資料作成:2003年 1月12日、四国がんセンター麻酔科 越智元郎
目次
From: 越智元郎
Date: Tue, 12 Nov 2002 13:35:22 +0900
Subject: [eml-nc2: 4120] 救急救命士はAEDを使えない?(acls-osakaより)
四国がんセンターの越智です。acls-osakaというメーリングリストへ投稿
したメールを転送させていただきます。eml-nc2では何度か取り上げられた
話題ですが、よかったら皆様の意見をお伺いできれば幸いです。
==============
From: 越智元郎
Date: Tue, 12 Nov 2002 13:21:45 +0900
Subject:[acls-osaka:2448] Re: 2401 Re: AED 君の不思議(救急救命士は
AEDを使えない?)
・・さん、皆様、四国がんセンターの越智です。
救急救命士はAEDを使うことができない? 私はそのような合意はど
こにもないと考えます。まして、二相性の AEDでないと使えないという
ような考え方は非常に奇妙だと思います。
■
1.半自動式除細動器という「用語の問題」
「半自動式除細動器」という語は救急救命士法の関連規則のなかに出てきま
すが、この語は薬事法には載っておらず、いわば救急・消防の世界の中での非
公式な用語です。私は半自動式除細動器は広義の「自動式除細動器」に含まれ
ると考えており、
自動式除細動器(広義)=自動式除細動器(狭義)+半自動式除細動器 であ
ると思います。
すなわち、自動式除細動器(狭義)はマニュアルでは作動させることができ
ないもの、半自動式とはマニュアルでも自動モードでも作動させることのでき
るものです。救急救命士が医師の具体的な指示のもとに、半自動式除細動器を
使用できるということは、当然 その動作が自動モードに限定された自動式除
細動器(狭義)を使用できることになります。すなわち救急救命士は自動式除
細動器(広義)を使用することができます。
米国の事情をみますと、訓練を受けた市民は自動式除細動器(狭義)を使用
することができます。パラメディックや医師は自動式除細動器(狭義)も手動
式除細動器も使用できます。日本の救急救命士は医師とパラメディックの中間
で、自動式除細動器(狭義)と半自動式除細動器は使用できるが、手動式除細
動器は使用できないという位置づけです。
このあたりの事情につきましては以下に表としてまとめていますので、ご参
照下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「5歳児の病院外心室細動例への対応
―第一線救急医による症例検討セミナー」
プレホスピタル・ケア 第15巻 1号 p.58-63, 2001
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/lc-ped.htm
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
また、今回ご発言いただきましたような誤解がわが国の救急医療関係者の間
に存在することは承知しております。このことについては以下の提案書で日本
救急医療財団 心肺蘇生法委員会への提案書でも触れております。
――――――――――――――
日本救急医療財団 心肺蘇生法委員会への提案書
心肺蘇生に関する用語・定義の統一について(2001年1月)
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/00/kcyougo2.htm
――――――――――――――
|自動式除細動器(automated external defibrillator, AED)
|「自動式体外除細動器」が正確な訳であり、傷病者の心電図のリズムを解
|析する機能を有する除細動器を総称する。なお、救急救命士に対して使用
|が許されている「半自動式除細動器(semi-auto or shock advisory
|defibirillator)」も自動式体外除細動器(AED)の一種である。これら
|は自動式除細動器として用いることも、医師や(医師の具体的な指示のも
|とに)救急救命士が手動式で作動させることも可能である。
■
2.救急救命士は心室細動(VT)への除細動が許されていないから、VTへ放電
してしまう恐れのある自動式除細動器(AED)を使用できないのか?
米国の市民(AEDの訓練を受けた人)にはAEDを用いた無脈性心室頻拍
(pulseless VT)への除細動が許されているのに、日本の救急救命士にはVTへ
の除細動が許されていません。このことは早急に改めるべきだと思います。
さて、救急救命士が心肺停止患者に遭遇し、その場に AED しかなければどう
すればよいのでしょう。
1.AEDが心電図波形を表示できる機種のとき
波形を確認し、心室細動であれば医師と連絡を取り除細動を実施、心室頻拍
以外の場合は、CPRをしながら病院に搬送する。
2.AEDが心電図波形を表示できない機種のとき
・近くにハートメイトのような携帯型心電計や通常の心電計があれば、それで
波形を確認。あとは1.と同じ。
・心電図波形を確認する手段がないときはCPRをしながら病院に搬送する。
3.緊急避難に該当するとき
たまたま業務外で心肺停止患者に遭遇し、そこにたまたまAEDがあり、医師
がいなくて、また心電図所見を確認できないとき。緊急避難としてAEDで除
細動を実施する勇気のある救急隊員もきっといるでしょう。あなたならどう
しますか?
もし裁判になったとき、緊急避難が成立するかどうかが争点となるでしょう。
場合によっては敗訴して、賠償金の支払いを命じられたり、職を失うような
ことも絶対ないとは言えないでしょう。あとはその場でのあなたの判断です
(あなたは道義的には非難はされないでしょう・・)
以上、皆様のご意見はいかがでしょうか。
==============
From:A(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 4138] Re: [eml-nc2: 4120] 救急救命士はAEDを使えない?(acls-osakaより)
Date: Wed, 13 Nov 2002 02:32:34 +0900
はじめまして、越智さん、EMLの皆さんこん・・は、A@・・FDです。
> さて、救急救命士が心肺停止患者に遭遇し、その場に AED しかなければどう
> すればよいのでしょう。
>
> 1.AEDが心電図波形を表示できる機種のとき
> 波形を確認し、心室細動であれば医師と連絡を取り除細動を実施、心室頻拍
> の場合は、CPRをしながら病院に搬送する。
>
> 2.AEDが心電図波形を表示できない機種のとき
> ・近くにハートメイトのような携帯型心電計や通常の心電計があれば、それで
> 波形を確認。あとは1.と同じ。
> ・心電図波形を確認する手段がないときはCPRをしながら病院に搬送する。
>
> 3.緊急避難に該当するとき
> たまたま業務外で心肺停止患者に遭遇し、そこにたまたまAEDがあり、医師
> がいなくて、また心電図所見を確認できないとき。緊急避難としてAEDで除
> 細動を実施する勇気のある救急隊員もきっといるでしょう。あなたならどう
> しますか?
>
> もし裁判になったとき、緊急避難が成立するかどうかが争点となるでしょう。
> 場合によっては敗訴して、賠償金の支払いを命じられたり、職を失うような
> ことも絶対ないとは言えないでしょう。あとはその場でのあなたの判断です
> (あなたは道義的には非難はされないでしょう・・)
>
> 以上、皆様のご意見はいかがでしょうか。
私の意見ですが1,2の・近くにハートメイトのような携帯型心電計や通常の心電
計があれば、それで 波形を確認。あとは1.と同じ。
までは文章どおりにすると思います。
さて問題はそれ以下の事例ですが、先日我署の勉強会において業者さん(名前は忘れ
ましたが)にAEDの説明を受け実際現物を見せていただきました。ひとつは、AED+プ
ロパック機能のついたもの、もうひとつは米国の市民(有資格者)、日本のスッチー
が使用する(できる?)心電図波形を表示できない機種で本当に小さく(ファミコン
くらい)値段も数十万円と安く、これがディズニーランドなどでは消火器と同じよう
な間隔で設置されていますと聞きショックを受けました。
救命士の業務範囲は救急車内もしくは車内収容するまでの間となっていますので業
務外に心肺停止患者に遭遇した場合は、バイスタンダーであり緊急避難と解釈、そこ
にたまたまAEDがあれば(日本ではまだ考えられない)私なら除細動を実施してしま
います。こう考える救急隊員(救命士に限らず)は、多いのではないのでしょうか?
その他、救命士の搭乗のない救急隊が活動中に非番の救命士(医師なら完璧!)がた
またま通りかかったら・・・等悩むところです。
だらだらまとまりのない文ですいません。
From: 越智元郎
Date: Wed, 13 Nov 2002 07:48:39 +0900
Subject: [eml-nc2: 4139] Re: 4138 救急救命士はAEDを使えない?(acls-osakaより)
Aさん、皆様、四国がんセンターの越智です。「救急救命士はAEDを
使えない?(acls-osakaより)」に対しご意見をいただき、有難うござ
いました。
〇(省略)
〇
Aさんは書きました(eml-nc2: 4138):
> 私の意見ですが1,2の・近くにハートメイトのような携帯型心電計や通常の
心電計があれば、それで 波形を確認。あとは1.と同じ。
>までは文章どおりにすると思います。
→ 有難うございます。迷うことはないですよね。
>さて問題はそれ以下の事例ですが、(中略)
> 救命士の業務範囲は救急車内もしくは車内収容するまでの間となってい
ますので業務外に心肺停止患者に遭遇した場合は、バイスタンダーであり
緊急避難と解釈、そこにたまたまAEDがあれば(日本ではまだ考えられな
い)私なら除細動を実施してしまいます。こう考える救急隊員(救命士に
限らず)は、多いのではないのでしょうか?
→ パチパチパチ(拍手)。事前の覚悟が私たちにとっさの行動を可能
にするでしょう。こういう頭の中でのシミュレーションは一次救命
処置でも同じですよね。「俺は見知らぬ人にでも人工呼吸やるで」、
「私は人工呼吸はいやじゃが、通報と心マはきちんとやるぞ」とき
めておけば悔いのない行動が取れるでしょう。
>その他、救命士の搭乗のない救急隊が活動中に非番の救命士(医師なら完璧
!)がたまたま通りかかったら・・・等悩むところです。
→ 原則は
・患者さんの利益になるように(命だけは後では取り返せない)
・裁判所にでも警察にでもどこへでも出るところへ出まっせと胸を
張ること(こそこそ匿名でする「緊急避難」ってあり得ない)
でしょうね。
★それより早く、早期除細動を可能にする法整備を!
1.救急救命士による包括的指示による除細動を早期に許可して!
2.脈無し心室頻拍も救急救命士の除細動の対象に!
3.訓練を受けた一般救急隊員にも電気的除細動の使用を許可する!
これらは消防職員のための御願いではなくて、国民の命のための御願い
でっせ!!
それでは皆様、また。
Date: Wed, 13 Nov 2002 10:00:54 +0900 (JST)
From: 畑中
Subject: [eml-nc2: 4142] 救急救命士はAED を使えない?(acls-osaka より)
越智さん、Aさん、皆さん、おはようございます。
ELSTA九州の畑中です。
越智さんの以下の提言で、すべてが解決する簡単な話ですね。
まあ、現在、以下の方向で話が進んでいるようですから、期待しましょう。
3.については、AEDうんぬんの話とは無関係ですが、それにしても越智さんの
おっしゃるとおりだと思いますね。
【越智さん】
> ★それより早く、早期除細動を可能にする法整備を!
> 1.救急救命士による包括的指示による除細動を早期に許可して!
> 2.脈無し心室頻拍も救急救命士の除細動の対象に!
> 3.訓練を受けた一般救急隊員にも電気的除細動の使用を許可する!
> これらは消防職員のための御願いではなくて、国民の命のための御願い
> でっせ!!
Subject: [eml-nc2: 4150] RE: [eml-nc2: 4146] Re: 救急救命士はAEDを使えない?
Date: Thu, 14 Nov 2002 10:29:53 +0900
From: 松尾
・・さん、みなさんこんにちは
日本メドトロニックの松尾です。
(中略)
> AEDの話ですが、半自動と全自動(AED)で、Drによっては、全自動では今現
> 在よりは後退?と解釈されている方もお見えのようです。
==>繰り返し繰り返し出てくる議論ですね。恐らく日常生活の場でAEDが当たり前に
見られるようになるまではこの議論は尽きないのでしょう。
もう何度もここではご紹介しましたが、AEDと言う言葉そのものは、全自動或いは
半自動を特定しているわけではありません。 従来から病院などで使用されている
「手動」の除細動器に対して、その機能、特に除細動対象となる心電図の解析等
が自動化されているものを総称してAED(Automatic/Automated External Defibrilator)
と呼んでおり、一般的には通電操作に人手が介入するものをAEDのなかでも特に
半自動(Semi-Automatic)と呼んできたようです。 この事は、American Heart
Association Report on the Public Access Defibrillation Conference, December
8-10, 1994や、又、最近のAHAによるBLSトレーニングビデオでのサンプル映像
からも明らかです。
「AED=全自動」との誤解から、「そんなモン使ったら危ない」という頭ごなしの
認識があるのも事実で、その意味で「現在よりは後退」という解釈もでるのかも
しれません。
勿論、AEDの仲間には通電まで自動で行うモデルもでてきています。(日本には
未だ上陸していませんが)
> しかし、「AED、バイフェージックは小型で軽量。全例患者サイドまで携帯でき
> ます。」
==>これも良くある誤解の一つですね。
AEDの中にはモノフェージックもバイフェージックもあります。
有名なカジノスタディの中でも複数の種類のAEDが使われていましたが、中には
モノフェージックもバイフェージックも両方あります。 国内ではJALが昨年よりAED
の搭載を始めていますが、この製品はモノフェージックです。
モノフェージックであるから小型軽量化できないと言う事はありません。
但し、世の中の流れとして、除細動器の出力がバイフェージックへ移行する事は
間違いなく、今後は時間を掛けて(或いは急速に?)バイフェージック出力の除細動器
に代わっていくでしょう。
> 現場では、除細動機や吸引機、O2は小型軽量が第一条件だと思っています。
>
> 除細動機は、現在救急事例の全例持ち込んでも試用する回数は1000回に一回く
> らいでしょうか。
==>除細動の実施頻度が1000回に1回かどうかは判りませんが、ご指摘の通り少しでも
小型軽量化を進める事は重要で、我々メーカーに課せられた挑戦課題であると認識
しております。
ただ、一つご教授頂きたいのは、「それにもめげず、全例、除細動機を携帯しようとした
場合、軽量小型以外にないと思います。」 とのご意見から推測するに、現在は全例
で除細動器を携行する事はなく、その理由が現行の製品が全霊に携行できるほど小
形軽量ではないから、、なのでしょうか?
日本メドトロニック
松尾
From: 安田康晴
Subject: [eml-nc2: 4152] Re: 救急救命士はAEDを使えない?
Date: Thu, 14 Nov 2002 11:55:35 +0900
松尾さん、みなさん、こんにちは、安田@出雲消防です。
| 日本メドトロニックの松尾です。
(中略)
| ただ、一つご教授頂きたいのは、「それにもめげず、全例、除細動機を携帯しようとした
| 場合、軽量小型以外にないと思います。」 とのご意見から推測するに、現在は全例
| で除細動器を携行する事はなく、その理由が現行の製品が全例に携行できるほど小
| 形軽量ではないから、、なのでしょうか?
小型軽量じゃないと現場に携行できないという論法はあてはまりませんよね。
少なくとも僕が見てきたアメリカの地域では日本よりでかい機種を現場に持ち込んでました。
外傷以外は全例でした。
出雲も今年度G2000に準拠したマニュアル(プロトコル)を作成しましたが、胸痛あり
や不明の場合は除細動器を現場に持ち込むようにしました。マニュアルですから示された
キーワードに従って持ちこまなければなりません。
全例となるとまだまだですが、除細動の機会がありうるような症例が予測されれば携行
し早期除細動を行うことが狙いです。空振りがほとんどですが苦にはなりませんよ。
早期に除細動ができたときは持って行った甲斐があった、って思えます。
まあ、小型軽量になれば救急バッグの中に入れて置けますから全例携行しやすくはなり
ますが。考え方ですかね。
アメリカの救急雑誌ではハートメートサイズのAEDが紹介されてましたね。こんなのが
あると良いなあーって率直には思います。
Date: Thu, 14 Nov 2002 14:19:28 +0900 (JST)
From: 畑中
Subject: [eml-nc2: 4153] 救急救命士はAED を使えない?
皆さん、こんにちは。
ELSTA九州の畑中です。
安田さん(出雲消防)いわく:
> 小型軽量じゃないと現場に携行できないという論法はあてはまりませんよね。
こりゃ、まあ、当然ですよね。
・・さんも、CPAが疑われる症例では「全例」持ち込んでいるのだと思います。
・・さんがおっしゃりたいのは「救急要請事例の全例で」ということでしょう?
超小型なら、それも可能ですよね。
必要か否かは別にして。
現実には「まさかCPAとは思わなかったので除細動器を持ってこなかった」
ということもありうるのでしょう。このようなアンダートリアージを如何に
減らすか。除細動器が超小型ならオーバートリアージを広く容認する、
極端な場合、救急要請事例の全例で除細動器を持ち込めばよいですよね。
「全例」が非現実的な現在、どうすりゃいいか?
皆さんの知恵が集まるといいですね。
「うちでは通報内容がこんな場合は、念のため持ち込むようにしている。
すると、20回に1回はあたりのことがある。」ってな感じでね。
From: 越智元郎
Date: Thu, 14 Nov 2002 15:44:06 +0900
Subject: [eml-nc2: 4155] Re: 4153 救急救命士はAED を使えない?(忘れてはならない!心電図伝送問題)
安田さん、畑中さん、皆様、四国がんセンターの越智です。
〇
さて、救急隊が現場に行ってみたら心肺停止、除細動器を持って
おらず救急車に取りに帰る、これは早期除細動の観点からみて、で
きるだけ避けたいですよね。
1.(こういう横着な救急隊員はおられないと思いますが)重いか
ら、空振りになると損だから、心肺停止が疑われる現場へ除細動器
を持って行かない。――これはその救急隊員の職業意識が腐ってい
ますよね。
2.(実は中国四国地方では半数以上の消防本部がそうなのです)
除細動器を持っていっても、除細動をかけることができるのは結局
心電図伝送後の救急車内(だから除細動器も持ってゆかない)。――
これは(好意的に言えば)制度が腐っていますね。辛辣に言えば、
改善しようとしない救急隊員、指導医師の双方が腐っていますね。
*第3回中国四国救友会アンケート結果より
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/m5chusi2.htm
1のハ.除細動を行うのに心電図伝送が必要か?
・消防本部の自主的な縛りで伝送実施 約45%
・指示医師が求めるので伝送実施 約10%
・伝送なしに除細動実施 約30%
・その他および無回答 約15%
1のニ.最初の除細動を実施する場所
・救急車内で 約45%
・つねに又はほぼ患者の枕元で 約35%
・その他および無回答 約20%
これらの事情は改善したでしょうか? 本投稿中 少し辛辣な
書き方をしましたが、国民(住民)の立場にたてばこの位書いて
も書きすぎではないと思っています(国民は何も知らないけれど
・・)。
それでは皆様、また(除細動器の話題からそれて済みません)。
From: A(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 4156] Re: [eml-nc2: 4153] 救急救命士はAED を使えない?
Date: Thu, 14 Nov 2002 16:29:26 +0900
皆さんこんにちは、A@・・FDです。
----- Original Message -----
From: "Tetsuo Hatanaka"
Subject: [eml-nc2: 4153] 救急救命士はAED を使えない?
> 皆さん、こんにちは。
> ELSTA九州の畑中です。
> 現実には「まさかCPAとは思わなかったので除細動器を持ってこなかった」
> ということもありうるのでしょう。このようなアンダートリアージを如何に
> 減らすか。
我署においては情けないことですが各救命士でバラバラで全症例携行、頭痛・胸痛・呼吸苦等
の通報内容、意識がない、CPA、携行せず等に分かれています。
私は頭痛・胸痛・呼吸苦等の通報内容以上+勘にしています。全症例携行が理想なのですがや
はり甘え(怠慢?)で小児のひきつけや明らかに軽症と思われる事例には携行していません。
反省を込めて、我々に許された最大の神の手・除細動器が重症傷病者接触時にないな
んて事がなくらない限り、モノフェージックよりバイフェージックだ!・MC・処置拡
大なんて遠い先の話ですね。
Date: Sun, 17 Nov 2002 22:45:41 +0900
From: 井上
Subject: [eml-nc2: 4207] Re: 救急救命士はAED を使えない?(忘れてはならない!心電図伝送問題)
明石消防の井上です。
Subject: [eml-nc2: 4155] 救急救命士はAED を使えない?
四国がんセンターの越智さん
> さて、救急隊が現場に行ってみたら心肺停止、除細動器を持って
> おらず救急車に取りに帰る、これは早期除細動の観点からみて、で
> きるだけ避けたいですよね。
>
> 1.(こういう横着な救急隊員はおられないと思いますが)重いか
> ら、空振りになると損だから、心肺停止が疑われる現場へ除細動器
> を持って行かない。――これはその救急隊員の職業意識が腐ってい
> ますよね。
救急隊の除細動器携行に関してなんですが・・・
新ガイドライン変更後
成人傷病者に対する市民救助者のBLS手順は、
無反応の場合は、何をおいても「まず通報」(phone first)
「まず通報」の根拠は、成人の心停止の疫学に示されており、
市民救助者によるEMSシステムへの通報(すなわち119番通報)は、
単なる救急隊の到着の必要性を意味するものでなく、
早期除細動判断・対応ができる救急隊とその効果を生み出す除細動器
の早期到着のため(何をおいても)の通報と解釈しています。
無反応な傷病者の発見
= 救急システムの始動要請 + 除細動器の要請
新ガイドライン変更後において、
消防機関が行う心肺蘇生法の指導は、
「応急手当指導者テキスト(AHA−G2000対応)」を元に市民に指導しており、
このテキストにも質疑において phone first の根拠が解説されております。
このテキストを元に救急要請の初動を一手に担う消防機関が、
市民に対し無反応の傷病者は、何をおいても「まず通報」ですよ!
反応のない傷病者の早期発見通報は救命チャンスを高くする!
除細動器を積んだ救急車がすぐに駆けつけます!
と除細動の有効性をふまえた新BLSの手順を示しておきながら
指令内容等で無反応を否定できない傷病者の傍らに除細動器を携行しない
救急隊の職業意識を疑いますし、
市民にBLSを指導する資格すらないと思っています。
●救命の連鎖
ECCを成功させるのに欠かすことができず、
連鎖的につながっている。
このどれが弱くても、欠けても生存の可能性はへり、
EMSシステムとして結果が悪いと非難される。
成人の救命の連鎖
「迅速な通報」 「迅速なCPR」 「迅速な除細動」 「迅速なACLS」
前述のBLS等に関しまして、解釈違いがあればご指摘をお願いいたします。
From: 坂本
Subject: [eml-nc3: 0028] Re: 忘れてはならない!心電図伝送問題
Date: Mon, 6 Jan 2003 13:01:00 +0900
坂本@岡山消防です
めちゃくちゃ以前の[eml-nc2: 4155] (02: 11: 14)への返信です
私事でこの時期の数十件のメールを未読状態でした m(_ _)m
---- 四国がんセンターの越智さん メッセージ ----(編集ご容赦)
> *第3回中国四国救友会アンケート結果より
> 1のハ.除細動を行うのに心電図伝送が必要か?
> ・消防本部の自主的な縛りで伝送実施 約45%
> ・指示医師が求めるので伝送実施 約10%
> ・伝送なしに除細動実施 約30%
> ・その他および無回答 約15%
> これらの事情は改善したでしょうか?
はい、おかげさまで改善しました
本当に意義深い中四国会・救友会であったと、感謝しています
当市では、昨年の残暑の頃まで特定行為に心電図伝送が必須でした
今は電話での状況説明で指示をいただいています(除細動に限らず)
ここ数例は傷病者に接触する直前から、実況中継風に医師と会話しなが
ら活動してます
伝送モデムを持ち込むのと比べて、気分的にも、時間的にも軽快!!!
中四国に限らず、伝送されていた本部はどのようになりました?
指示なし除細動OKとなれば、大きく変わるのでしょうが、好ましくな
い取り決めが残りませんように・・・
では、では・・・失礼します
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
坂本 知康 岡山市消防局(岡山県)
Date: Tue, 07 Jan 2003 08:01:57 +0900
From: B(医師)
Subject: [eml-nc3: 0039] Re: 心電図伝送問題
坂本 さんへ
・・救急部の
Bです。
> 昨年の残暑の頃まで特定行為に心電図伝送が必須でした
> 今は電話での状況説明で指示をいただいています(除細動に限らず)
> ここ数例は傷病者に接触する直前から、実況中継風に医師と会話しなが
> ら活動してます
> 伝送モデムを持ち込むのと比べて、気分的にも、時間的にも軽快!!!
以前から朧気に感じている不安があります。
心電図伝送は、今後益々必要です。
理由を以下に述べます。
(1)救急隊からの、除細動施行のための
心室細動症例の「心電図伝送による指示受け」は、全く不要です。
(危険性なく利益が多大:和歌山では数年前から行ってます)
(2)しかし、今後の、救急隊業務の限りない医療者としての発展のためには
心電図伝送による、MDとの協同しての、患者評価、診断は、”より益々”
必要不可欠です。
「例」超早期心筋梗塞なのか否か、はたまた、これは心筋梗塞か?
「例」電解質異常なのか、虚血性変化なのか、脳血管障害の2次性変化か?
「例」遅い心室頻拍なのか、心室性期外収縮か?
「例」脚ブロックの上室性頻拍なのか、心室性頻拍なのか?
「例」心室調律か、遅い洞調律か?ブッロクか?
「例」ブロックは、U度か、V度か?
・・・枚挙にいとまがありません。
いずれも、診断をふまえての
搬送機関、時間、転帰、予後、治療方針におおいに関わって
きます。
そして、専門医でも、悩む心電図は沢山あります。
引き続き「伝送システム」自体は必要で、より「活用」すべきです。
Date: Tue, 07 Jan 2003 10:47:00 +0900
Subject: [eml-nc3: 0040] Re: 心電図伝送問題
From: 関
みなさん、Bさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
当地では、数年前より救急隊による12誘導心電図電送を
行っております。
Bさんがご指摘になった、
> 「例」超早期心筋梗塞なのか否か、はたまた、これは心筋梗塞か?
> 例」電解質異常なのか、虚血性変化なのか、脳血管障害の2次性変化か?
> 「例」遅い心室頻拍なのか、心室性期外収縮か?
> 「例」脚ブロックの上室性頻拍なのか、心室性頻拍なのか?
> 「例」心室調律か、遅い洞調律か?ブロックか?
> 「例」ブロックは、?度か、?度か?
上記は、12誘導心電図でないと現在多くの救急隊で行っている
第2誘導のみのモニター電送では診断が困難なことも多いと考えます。
12誘導心電図電送は、横浜市救命指導医会と消防局の連携の元、
心電図を消防司令室に24時間常駐する指導医が判読し、
アドバイスを行う体制でやっておりますが、問題山積みなのが
現状です。
もちろん、一定の成果が上がっており、救命に寄与しています。
しかし、
1,電送が必ずしも安定してできない(ハードの問題)。
2,家族、本人の承諾をとる(早く運べとのご意見、女性の場合など)。
3,比較的近くに救急施設があり、心電図をとり、電送し、判読し、
アドバイスを待つ間に搬送した方が早いので、
救急隊によっては必ずしも積極的でない。
などなど問題点が多くあります。
AHA G2000のクラス1であり、今後、薬剤使用が可能となったときには
一層の効果が上がると考えています。
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
関 一平
Date: Tue, 7 Jan 2003 12:25:59 +0900
Subject: [eml-nc3: 0041] Re: 心電図伝送問題
From: 岩崎百合隆
坂本さん,Bさん,みなさん.
岩崎@宇部です.
心電図伝送問題について,伝送手段は残すことは
必要だと感じております.
Bさんの言われることも良く理解しております.
当地区を含め近隣からの指示体制については,
言われるとおり,救命士運用段階から心室細動での
伝送はなし運用です.
しかしながら,心電図伝送をすることのは必要だと
思います.
(救命士以外の標準課程修了救急隊員も伝送は可能で
すから)
関さんが言われている12誘導までは,採用してはいま
せんので,正確には伝わらない場面もありますが・・・
心電図伝送はMC体制のひとつとしても残すことは重要だ
と思います.
医師の要請で,必要であれば,搬送中は常時接続で伝送する
ことも必要でしょう.
(幹部は電話代がかかってしかたがないといいますが,
命はお金では代えないと思って無視していいと現場の
救命士には言っています.)
ですから,「指示へのすべて伝送なし」は困りますし,将来
的に処置拡大となって薬剤投与が可能となった場合には
医師の指示を得るためにも絶対に削れないことでしょう.
生意気を言って申し訳ありませんでした.
____________________
岩崎百合隆(岩崎@宇部)
iwasaki yuritaka
=========================
勤務先
宇部市消防本部
From: 越智元郎
Date: Tue, 07 Jan 2003 12:59:05 +0900
Subject: [eml-nc3: 0043] Re: 0039 心電図伝送問題
Bさん、皆様、四国がんセンターの越智です。本年も宜しくお願いいた
します。
〇
Bさんは書きました(eml-nc3: 0039):
>> 昨年の残暑の頃まで特定行為に心電図伝送が必須でした
>> 今は電話での状況説明で指示をいただいています(除細動に限らず)
>> ここ数例は傷病者に接触する直前から、実況中継風に医師と会話しなが
>> ら活動してます
>> 伝送モデムを持ち込むのと比べて、気分的にも、時間的にも軽快!!!
>
> 以前から朧気に感じている不安があります。
> 心電図伝送は、今後益々必要です。
→ 救急隊と医療機関の間で心電図に関する情報を共有することは非常に有
用と思います。また、簡易な12誘導心電図記録法とその送信法も広まっ
てゆくものと思います。心電図伝送装置を廃棄しようとする消防本部や
医療機関はないと思いますので、Bさんの不安は「杞憂」かと存じま
す。
心電図伝送は「(虚血性心疾患における)早期の再濯流療法」の実現の
ために、引き続いて有用な手段だと思います。一方、心停止患者におい
て特定行為実施するにあたり医師へ心電図伝送をしている消防本部(消
防本部の自主規制により、または医師が求めるから・・)は速やかにそ
の悪習をやめ、早期除細動に努めていただきたいです。
<ここまで書いて仕事に入り、その後 関さん、岩崎さんのメールを読ませ
ていただきました。このまま変更せずに書き進めます。>
〇
愛媛県での事情を少し紹介させています。
前任の愛媛大学医学部附属病院がある町の消防本部は救急救命士制度運用
時から、特定行為実施時の心電図伝送は求めていません。一方、毎月1回、
消防本部から試験的に伝送して貰い、伝送装置が有効に作動することは確認
しています。
問題は県内の他の消防本部(A本部とします)です。A本部は現在も特定
行為実施時の心電図伝送を続けています。心肺停止患者がいる現場(自宅な
ど)へは除細動器は持ってゆかず、患者を救急車に収容したのちに心電図解
析を行い、そして心電図を伝送し、医師の指示を得た段階で除細動を実施し
ています。この間、余分に必要な時間は1〜2分では済まないでしょう。そ
の結果、潜在的により多くの患者が死亡する(100人のVF患者につき15〜20人)
わけですが、そのことについて痛みを感じる人はいないのでしょうか。
思えば県立広島病院 石原会長に以下の要望書を出していただいたのは
私にとってはA消防本部へのラブレターのようなものでした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
心電図伝送についての要望書 (日本救急医学会中国四国地方会会長)
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/densou.htm
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なに来年度から「包括的指示での除細動」が可能になるから今はこのまま
でよい? それまでの数ヶ月、無駄に死ぬ命については平気なのか? この
ような地域に「包括的指示での除細動」の前提となるメディカルコントロー
ルが確立されていると言えるのか?
本メールはBさんのメールの引用部分を除き、転送可能です。ホンマ、
A消防さんに転送してほしいわ。
新春から怒ってごめんなさい。
Date: Tue, 07 Jan 2003 14:05:24 +0900
Subject: [eml-nc3: 0045] Re: 心電図伝送問題
From: 藤田@好生館
坂本さん、Bさん、関さん、こんにちは。藤田@好生館です。
> 坂本 さんへ
> Bです。
>> 昨年の残暑の頃まで特定行為に心電図伝送が必須でした
>> (以下、略させていただきます。)
> 以前から朧気に感じている不安があります。
> 心電図伝送は、今後益々必要です。
> 理由を以下に述べます。
> (1)救急隊からの、除細動施行のための
> 心室細動症例の「心電図伝送による指示受け」は、全く不要です。
> (危険性なく利益が多大:和歌山では数年前から行ってます)
→ 御意!!
> (2)しかし、今後の、救急隊業務の限りない医療者としての発展のためには
> 心電図伝送による、MDとの協同しての、患者評価、診断は、”より益々”
> 必要不可欠です。
> 「例」超早期心筋梗塞なのか否か、はたまた、これは心筋梗塞か?
> 「例」電解質異常なのか、虚血性変化なのか、脳血管障害の2次性変化か?
> 「例」遅い心室頻拍なのか、心室性期外収縮か?
> 「例」脚ブロックの上室性頻拍なのか、心室性頻拍なのか?
> 「例」心室調律か、遅い洞調律か?ブッロクか?
> 「例」ブロックは、U度か、V度か?
> ・・・枚挙にいとまがありません。
> いずれも、診断をふまえての搬送機関、時間、転帰、予後、
> 治療方針におおいに関わってきます。
> そして、専門医でも、悩む心電図は沢山あります。
> 引き続き「伝送システム」自体は必要で、より「活用」すべきです。
→ と、発言されたBさんに、一票! 全くその通りだと思います。
特に、救急スタッフ数が不十分な夜間帯における
“「例」超早期心筋梗塞なのか否か、はたまた、これは心筋梗塞か?”
などのケースでは、近似2誘導・近似V2〜3誘導・近似V5誘導などの
心電図伝送により、場合によっては、プレホスでの心筋梗塞の診断は
可能であり、救急車到着時には冠インターベンションの準備が全て
完了している、なんてこともありえます。何と言っても、関さんが
御指摘されているように、AHA G2000のクラス1の推奨度ですしね。
Bさん、関さんのタイムリーな御発言に深謝します。
ところで、皆さんのところでは、例えば、
「5歳、男児。CPA。救急現場でVFを確認。」というホットライン
が入った時には、電話のみで「100Jで マニュアル除細動して下さい」
と指示されますか? それとも「小児はマニュアル除細動だから心電図
伝送して」と言われますか?
所属:佐賀県立病院好生館 救命救急センター 救急科
氏名:藤田 尚宏
From: 坂本
Subject: [eml-nc3: 0046] Re: 心電図伝送問題
Date: Tue, 7 Jan 2003 15:17:06 +0900
eml-nc3 でもよろしくお願いします。坂本@岡山消防です
---- Bさん メッセージ ----(編集ご容赦)
> 引き続き「伝送システム」自体は必要で、より「活用」すべきです。
坂→そうですね、まったく異論ありません
我市では、救急隊から指令センターに傷病者情報を入れ、センターが病
院選定をするという方法を取ることが多いです
そのような中で、心電図上で変化を認める症例の中には、センターを通
さずに伝送を行い、医師からのアドバイスを受けた方がいいものがある
な、と話をしています
でも、伝送を受けた先生はつらくないですか?
伝送心電図だけでは、情報がだいぶん少ないでしょうから・・・
救急隊も有用・正確な情報を集める感覚を磨いていき、心電図と共にお
送りできるよう努めますので、よろしくお願いします
では、では・・・失礼します
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
坂本 知康 岡山市消防局(岡山県)
Date: Tue, 07 Jan 2003 15:21:10 +0900
Subject: [eml-nc3: 0047] Re: 心電図伝送問題
From: 関
藤田さん、こんにちは。
実は、横浜市には心電図電送(除細動指示のための)の器械が
ありません。当院を含め、最初からないはずです。
すべて、現場の救命士を信頼し、半自動除細動器を信頼して
「心室細動です」
「200Jで除細動して」
でやっております。
> 「5歳、男児。CPA。救急現場でVFを確認。」というホットライン
> が入った時には、電話のみで「100Jで マニュアル除細動して下さい」
> と指示されますか? それとも「小児はマニュアル除細動だから心電図
> 伝送して」と言われますか?
「100Jでマニュアル除細動してください」です。
いままで小児での院外心室細動は、遭遇しておりませんが。
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
関 一平
Date: Tue, 7 Jan 2003 15:26:22 +0900 (JST)
From: 畑中
Subject: [eml-nc3: 0048] 心電図伝送問題
Bさん、越智さん、藤田さん、坂本さん、みなさん、こんにちは。
ELSTA九州の畑中です。
心電図電送の必要性に関しては千代さんのご意見のとおりだと思います。
越智さんも指摘されていますように、「不要だ」と考えている方はおら
れないとも思います。
それにしても、越智さん、どこの消防本部だかは知りませんが、ひどい
もんですね。まさにご指摘のとおり、その地域ではMCがなされていない
わけですから、今後も犬死VF症例が延々と続くのでしょうか?
なんとかならんもんでしょうかねえ。
Date: Tue, 07 Jan 2003 15:59:21 +0900
From: B(医師)
Subject: [eml-nc3: 0049] Re: 0039 心電図伝送問題
越智 先生へ
・・救急部の
Bです。
>
>心電図伝送装置を廃棄する消防本部や医療機関はないと思いますので、
>Bさんの不安は「杞憂」かと存じます。
いえいえ、「天は、ある土地では、落ちかけている」事を
心配するのです。
(誤解のないように)和歌山ではありませんが、
見聞したこととして・・・
「除細動への指示不要」と「心電図伝送不要」が同一視されたり、
「除細動への指示不要」と「特定行為への指示不要」が、、
「包括指示」と「指導不要」が、
「医療技術の体得」と「医療能力の向上」が、
同一に考えられたりする懸念があります。
これからは、MC体制のもと、益々「指導」「教育」「指示」「検証」
「連携」「行為への責任」等の、充実と決意が必要なこの時に大切な時期に
「私達は独立した、これからは自立して活動するのだ」との
誤解が生じることを恐れます。
「救急は”手”でするのではない、”頭”でするものだ」が私の持論です。
「手先の技術は、二の次のこと」
最も大切なのは、「考える頭」です。
救急の現場でも、”切った張ったの手術””挿管、CV、動脈ライン””
”血液浄化””内視鏡”等「手技の習熟」は、二の次のこと、
最も大切なのは「患者評価」「病態把握」「診断」です。
目先の”技術”を求めて狂奔しないように若い医者を戒めています。
指揮者は、上から下まで患者を、診て、触れて、聴いて、考えます。
専門家の意見を拝聴します。適当な検査を加えます。
そして、結論を出し、最終判断が間違ってないように祈ります。
そして、後刻の結果により、安堵したり、猛省します。
また、救急は「チーム医療」です。
野球の試合に、投手9人は要りません。
4番バッター、俊足バッター、守備要員、セットアッパー、鈍足捕手が
はたまた、打撃投手が、控え選手が必要です。
全員が、最も、存在理由のある活動をする。
これが、円滑な”救急の輪”であるとも思っています。
From: A(救急隊員)
Subject: [eml-nc3: 0050] Re: 0039 心電図伝送問題
Date: Tue, 7 Jan 2003 17:33:31 +0900
越智さん、みなさんこん・・は、A@・・FDです。今年もよろしくお願いいたし
ます。
> 問題は県内の他の消防本部(A本部とします)です。A本部は現在も特定
> 行為実施時の心電図伝送を続けています。心肺停止患者がいる現場(自宅な
> ど)へは除細動器は持ってゆかず、患者を救急車に収容したのちに心電図解
> 析を行い、そして心電図を伝送し、医師の指示を得た段階で除細動を実施し
> ています。この間、余分に必要な時間は1〜2分では済まないでしょう。そ
> の結果、潜在的により多くの患者が死亡する(100人のVF患者につき15〜20%)
> わけですが、そのことについて痛みを感じる人はいないのでしょうか。
⇒ほんまでっか?しかも個人ではなくて組織で?(@_@。
車内収容までは、傷病者接触から約5分〜10分かかります。そんな事では
よくてもベジ製造隊ですね!!!まさか、現場でIVとってたりして・・・。
(数年前に発売された救命処置を今の考えでやるとすぐゲームオーバー)
From: 越智元郎
Date: Tue, 07 Jan 2003 18:58:25 +0900
Subject: [eml-nc3: 0056] Re: 0049 心電図伝送問題/ウェブ収載にご協力を
Bさん、皆様、四国がんセンターの越智です。
〇
Bさんのご心配を了解致しました。「杞憂」と書きましたのは早計で
ありました。
Bさんは書きました(eml-nc3: 0049):
>「除細動への指示不要」と「心電図伝送不要」が同一視されたり、
>「除細動への指示不要」と「特定行為への指示不要」が、、
>「包括指示」と「指導不要」が、
>「医療技術の体得」と「医療能力の向上」が、
> 同一に考えられたりする懸念があります。
>
>これからは、MC体制のもと、益々「指導」「教育」「指示」「検証」
>「連携」「行為への責任」等の、充実と決意が必要なこの時に大切な時期に
>「私達は独立した、これからは自立して活動するのだ」との
>誤解が生じることを恐れます。
From: 越智元郎
Date: Tue, 07 Jan 2003 23:24:11 +0900
Subject: [eml-nc3: 0060] Re: 0058 心電図伝送問題 (小児除細動)
・・さん、皆様、四国がんセンターの越智です。取り急ぎ・・
〇
現時点では小児ならびに身体の小さい成人へのマニュアル除細動は
救急救命士には許されていません。
来年度以降は医師の進行性の指示下にマニュアル除細動を実施でき
る形になるのではないでしょうか(メディカルコントロールが確立さ
れた地域では)。
・・さんは書きました(eml-nc3: 0058):
>心電図伝送問題の標題で議論されている中で、小児の除細動についての
>記載がありましたが、救急救命士の小児に対するマニュアル除細動はOK
>であるのか、以前議論されたような気がします。
〇
拙著をご参照下さい。
――――――――――――――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5歳児の病院外心室細動例への対応
― 第一線救急医による症例検討セミナー ―
越智元郎、プレホスピタル・ケア 第15巻 1号(通巻47号) p.58-63, 2001
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/lc-ped.htm
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3.救急救命士が小児に除細動を行うことは可能か
救急救命士法施行規則(平成三厚令四四)第21条一で、 救急救命士の行
える除細動は半自動式除細動器(以下、半自動式)によるものと定められて
いる。半自動式は広義の自動式除細動器(以下、自動式)の一種であり、自
動モードでは心電図診断と充電が機器に内蔵したコンピュ-タによって自動
的に行われる一方、手動モードでは操作者が心電図判定をして、放電エネル
ギ−を用手的に設定して除細動を行う機能を有する(表2)。
ここで、法ならびに省令によって規定されている除細動の実施方法として
は単に、半自動式除細動を用いることしか規定されていない。一方、救急活
動の細部を定めた旧自治省消防庁の報告書3)では、体重35Kg未満の傷病者で
は半自動式による除細動を実施しないことと、手動モードでの除細動を実施
しないことを求めている。この報告書は多くの消防本部の救急活動基準の下
敷きになっている。いわばこの記載が、本例において手動モードでの除細動
が行われなかったゆえんであり、所属本部の活動基準をおかすことは通常は
許されないことであろう。
しかし、医学的妥当性は永久的なものではなく、最善と思われる救急活動
のあり方も年と共に変化してゆく。例えば、蘇生に関する最新の国際指針と
して重視されている G2000では、AEDによる除細動の適応を8歳以上(ある
いは約25Kg以上)としている。10J/Kgまでは心筋障害なしに安全に実施でき
ると言われ、25Kgの傷病者に対し半自動式の初期設定である 200Jで実施す
ることは、学問的には妥当である。一方、厚生省健康政策局指導課の「病院
前救護体制のあり方に関する検討会報告書 (平成12年5月)」においても、
医師の具体的指示のもとにであるが、身体の小さい成人ならびに小児に対す
る手動モードでの除細動については、「救急救命士の業務内容の充実」の項
目の1つとして、検討されている。
近い将来、メディカル・コントロール体制が全国的に整備され、救急救命
士による小児への除細動処置(手動モードで実施)が、医師の指示のもとに
迅速に行うべき救命処置の1つとして消防本部の救急活動基準にも明記され
ることを願うものである。
なお、本例ではまれとされる小児の心室細動に対応せざるを得なかったこ
と、救急医療機関までの距離が遠くかったこと、早期除細動によって救命効
果が期待できたことなどから、救急救命士が手動モードで除細動で行うこと
はできなかったのかという声もある。このことは直ちに救急救命士法ならび
に関連省令に抵触するとは限らないが、総務省消防庁や所属消防本部の方針
とは合致しない。また、仮に本例で除細動を行うことに違法性があるとして、
その行為が「緊急避難」として処分を免れるかどうかは、判例もなく、文字
通り救急救命士としての「職を賭して」実施する覚悟が必要であろう。
――――――――――――――
それでは・・さん、皆様、また。
花田利男: [eml-nc3: 0078] Re: 心電図伝送問題
Date: Thu, 9 Jan 2003 01:39:05 +0900
皆さん、こんばんは花田@宗像消防です。
B(eml-nc3: 0039)
> > (2)しかし、今後の、救急隊業務の限りない医療者としての発展のためには
> > 心電図伝送による、MDとの協同しての、患者評価、診断は、”より益々”
> > 必要不可欠です。
> > 「例」超早期心筋梗塞なのか否か、はたまた、これは心筋梗塞か?
> > 「例」電解質異常なのか、虚血性変化なのか、脳血管障害の2次性変化か?
> > 「例」遅い心室頻拍なのか、心室性期外収縮か?
> > 「例」脚ブロックの上室性頻拍なのか、心室性頻拍なのか?
> > 「例」心室調律か、遅い洞調律か?ブッロクか?
> > 「例」ブロックは、U度か、V度か?
> > ・・・枚挙にいとまがありません。
> > いずれも、診断をふまえての搬送機関、時間、転帰、予後、
> > 治療方針におおいに関わってきます。
> > そして、専門医でも、悩む心電図は沢山あります。
> > 引き続き「伝送システム」自体は必要で、より「活用」すべきです。
全く仰るとおりなのですが、現実は少しばかり厳しいようです。
救命士導入当初に伝送システムを設置したところでは、既にシステムそのものが
10年を超えようとしており、修理をしようにもPCがDOSであったりモニター(DOS用
の)が既に製造を中止していたりと、後何年かは機械も持つかもしれませんが(ここで
言っているのは受信側つまり医療機関側のシステムです)、近々使えなくなるのは
目に見えている感じです。
かと言ってこの財政事情では新規に購入することも難しいのではと思います。
ちなみに当時1施設450万円くらいの費用ですので、当本部の場合は3施設で
約1500万円程度の予算が必要となります。
ただ、MCが確立?された今では各単消毎での受診システム設置も無意味なような
気もしますので、MCブロック毎に受信(指示)施設を統一化するなどして、経費削減
(設置施設のDRの労力は増えるでしょうけど^^;)を図った方が良いのではとも思います。
各消防本部が1施設設置したとしても福岡だと26本部×500万円で13000万円
ですからねぇ・・・・ただし現在の設置費用が割安となっていれば別ですが。。。
”独り言”
PCが車載出来るようになれば動画でモニター画面送った方が早いし安いかも(^_^;)
ムービーメールとかでOKならばまだ安い?
失礼しましたm(__)m
-----------------------------------
福岡県 宗像地区消防本部 花田利男
小島:[eml-nc3: 0159] 心電図伝送装置について
Date: Thu, 16 Jan 2003 16:14:03 +0900
心電図伝送装置の開発者の一人として、少し書いてみたいと思います。
少し長くなりますが長年積もっていた複雑な思いを書くことをお許しください。
救急車からの心電図伝送は、救命士法ができるかなり前から
一部地域で実施されておりました。
開発を進めた背景は、急性心筋梗塞等の患者さんを早く見つけて
CCUの施設に運ぶためと、病院側では受け入れ準備を整えて
できるだけ早くPTCAなどの処置を開始したいという理由からでした。
当初は携帯電話など無く、家庭の電話を利用して伝送をしておりました。
この方式では現場での時間が長くなるため、何とか救急車で搬送中に
病院に心電図を送りたいと考えて、救急無線を利用した心電図伝送を
開発し、運用しました。この方式では一度消防本部で中継する必要が
あることと、無線の占有時間が長くなることが欠点でした。
ようやく自動車電話も普及しはじめて、自動車電話を利用した
心電図伝送装置も開発し、実際に運用がはじまり、当初の目的を
果たすことができるようになりました。
その後救命士法ができ、拡大9項目に心電図伝送が含まれて
評価されたと思っておりました。
運用がはじまってみると、除細動の具体的指示のために病院に
心電図を伝送する必要があるといった考えが出てきて、
開発者としては非常に複雑な気持ちでかかわって来ました。
受信病院の先生の中でも、除細動の指示を出すには心電図を
見なくては責任が持てないではないかと言われることもありました。
当時のAHAのガイドラインでも早期に除細動を行わなければ
救命できないとなっており、伝送して医師の指示を仰ぐ時間が
もったいないといった気持ちでおりました。
当時半自動除細動器も開発しており、VFで一度充電されても
リスクをさけるため一定時間でエネルギーを内部放電するように
設計しており、このあたりもマッチングはとれておりませんでした。
VFの解析論理に関してもいろいろ発言したいことはありますが
とりあえず伝送の開発に関わった人たちは皆、
除細動の指示目的で心電図伝送を開発してきたのではない
ということをわかっていただきたいと思います。
日本光電工業(株)事業本部プレホスピタルBG 小島 武