日々のことなど

インデックス

2021年5月17日(月)

もちろんその考え方の大切さは、深く理解しているつもりなのです。

もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないものだよ返してもらうまでもない筈
何故なら価値は生命に従って付いてる
彼らが手にしている富は買えるんだ
僕らは数えないし失くすこともない
世界はまだ不幸だってさ
ーー椎名林檎, ありあまる富(2009)

2021年5月10日(月)

たとえば、人間の平等という観念。それを認めるからこそ、一部の人間の合意だけでは不十分と考え、すべての人間の発言権を尊重するわけだ。道徳の最も根底にある平等の観念は、しかし、人間は神によって創造された被造物にすぎないというのであれ、どれほど権勢を誇っている人間もいずれは死んでゆく無常の存在であるというのであれ、人間の力ではいかんともしがたいことに思いを馳せればこそ肺腑を衝く認識となるのではないか。
品川哲彦, 『倫理学入門 アリストテレスから生殖技術, AIまで』, 中央新書, 2020年, 44頁.

人間の平等という思想の根底に、それ自体正当化が難しい観念があることは確かだろう。しかし人間を超えた存在を受け容れる宗教のすべてが、「人間の平等」に行き着くだろうか。宗教内部において、「より近い人間」と「より遠い人間」の区分が設けられることはないのだろうか。