この度、2016年4月1日より当フォーラムの代表世話人を仰せつかりました、川崎医科大学臨床腫瘍学 山口佳之でございます。ホームページの冒頭、ひとことご挨拶申し上げます。
 わたしは元外科医でございます。がんが死因の一位となった1981年の翌年、わたしは医師を拝命いたしました。当時はまだ『がん』とお伝えしてはならない、医師主導の医療が実践されていた時代でした。1990年代になって『インフォームド・コンセント』や『QOL』という言葉の上陸とともに、医療は患者さん主導の医療へと舵がきられる中、たくさんのがん患者さんに関わらせていただきながら、またたくさんのことを学ばせていただきました。爾来、『緩和ケアはグラウンド・ゼロの医療』、『在宅は究極の緩和』、『地域一体型緩和ケアネットワークの確立』、『地域はひとつのホスピタル。地域で診る、地域で看る体制創り』、これらの言葉が今の私の座右の名であり目標、原点となっています。ここに本フォーラムとの接点があり、いただきましたご縁に心より感謝申し上げます。
 本フォーラムは2007年8月に発足いたしました。川崎医科大学名誉教授、消化器外科学前教授 平井敏弘前代表世話人(現 顧問)に一からご指導いただき、また、地域医師会をはじめ地域の病院・在宅療養支援診療所、保険薬局、訪問看護ステーション等の医療スタッフの皆様に教えていただき、かつ、支えていただき、今日を迎えました。その間、本フォーラムでは、一般演題や教育・特別講演、施設のスペックを披露するパネルディスカッション、事例検討やロールプレイといったグロープワークを通じて研鑽を重ね、知識・スキルの向上とともに顔の見える関係作りを目指し、すでに36回の歩みを刻んで参りました。また、種々の情報共有や問題解決を意図したメーリングリストの開設、地域ご施設のスペックを検索するシステムや緩和在宅パスを搭載したホームページの開設を達成し、『ザ・倉敷力』の具体的な『見える化』に関わらせていただいてまいりました。これもひとえに、同じ方向を向いて歩んでくださる皆様と緩和在宅連携への熱い思いの共鳴あってこそと、重ねて心より御礼申し上げる次第でございます。
 本フォーラムのこれからの最大の課題は、この地域活動がいかに患者さん・ご家族の望む緩和在宅連携に有機的に関わって行けるか、現場のニーズに届くか、ということでございましょう。会員皆様のさらなる積極的なご参加を伏してお願い申し上げます。
これからも平井顧問のご意志を汲み、地域の緩和在宅連携活動のさらなる発展に少しでも貢献できますよう、努力する所存でございます。もとより微力ではございますが、皆様多数のお力をいただき、この倉敷地域の緩和ケアネットワークの確立、顔の見える関係創りに携わらせていただけたらと心しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成28年5月
緩和ケアーフォーラムin岡山 代表世話人
川崎医科大学臨床腫瘍学 山口佳之