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HOME学術集会・教育集会その他の教育集会など > 第2回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ(2005.11.19〜20)

開催しました

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日本家庭医療学会主催
第2回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ

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11月19日
記録(テープ起こし)版
11月20日

◆ 期日 : 平成17年11月19日(土)〜20日(日)
◆ 場所 : 都道府県会館(東京永田町)
◆ 対象者 : 日本家庭医療学会理事(旧運営委員)、若手家庭医部会、現在家庭医療後
期研修プログラムを運営している指導者、または将来立ち上げを計画している指導者
(学会員に限る*)
*非学会員の方は当日入会手続きをしていただけます。

記録(テープ起こし)版
11月19日(土)
午後 開会式

竹村副会長
スケジュールの説明
 前回話し足りない人もいるかもしれないので、確認のためにアウトカムについてまずお話をいただきます。ついでそのアウトカムを具現化するためにどのようなプログラムを作ったらいいのかということについて、グループでディスカッションをしてください。その後でまとめをつくっていただいて、本日、時間があれば発表していただく。なければ翌日に発表となります。明日は第1部としてSaultz先生にプログラムの認可、認定医の認定についてお話いただくと同時に、評価についてもお話していただけると思いますので、お話しを聞いていただいた後、皆さんグループ討論に入っていただきたく思います。明日はグループを再度、つくります。この中には色々な所から来られている方がいると思います。市中病院で医療をやっていらっしゃる方もおられるでしょうし、クリニックで診療されている方、または大学等で診療教育などやっておられる方、色々な方がいると思います。このようなカテゴリーに分けて、前日に話したことが実際に自分たちの所で、自分たちの施設で実施出来るかどうかということについてお話していただいて、そのご意見をぜひプレゼンテーションしていただきたいと思います。そのような流れでこの2日間やっていきたいと思います。
まず最初に山田会長のほうから一言いただきたいと思います。

山田会長あいさつ
皆さんこんにちは、お忙しい土曜日、日曜日に集まっていただいてありがとうございます。いま竹村先生が話されたとおりのスケジュールで進めようと思います。
家庭医療学会では、できるだけ新しい世代の人たちに後期研修のプログラムを提供して、明日を担う人たちにどういったプログラムを提供すれば、地域の人たちに認められるのか、国民のニーズに応えられる家庭医が育つのか、ということを中心議題として、とにかく今の認定医制度などに焦点を当てないで、新しいプログラムに対して議論を行い、それに対して他の学会に、家庭医療学会としての提案をしていくために、主に3回シリーズで、一応、家庭医療学会が提案するひとつのプログラムのひな形を作っていただきたい。
作る際にぜひとも意識していただきたいのは、自分たちの家庭医療といった理念・概念を実現するというよりも、日本に家庭医というジェネラルなことをやる医師が、地域医療のニーズにマッチするような医師をどうやって生み出すかということ、実際にそういった人が地域や国民に受け入れられる、ああこんな人がいて良かったと思っていただけるようなプログラムを実現しなくちゃいけない、ということをぜひ再認識していただきたいということです。
第1回目で皆さんのコンセプト「自分が思う家庭医療とは」を議論していただいたのですが、その事については途中で山田こうすけ先生に発表していただきます。が、まだまだ表現されていない、あるいは表現が違うのではないかということもあると思う。我々が目指そうとしている日本での家庭医療、家庭医のコンテクストを、これを基にして修飾して各グループで「ここを手直ししたほうがいい」とかを議論して欲しいと思っています。
今日はSaultz教授をお迎えしました。これからお話をいただくのですが、アメリカでは家庭医療が非常に確立されて、社会的に認知があって何も問題がないかというと、全然そうではなくて、常に時代の変化とかあるいは浮き沈みだとか、経済だとか、他の専門医制度だとかということと、今日的に闘っている。今日は主に、時代というかアメリカの現状にあわせて、家庭医療というのはどう変わろうとしているのか、ということをお話いただきます。よくお話をお聞きいただくと、我々がいま取り組もうとしている、日本でどういう家庭医を作らなくてはいけないかという問題と、かなり共通した課題を見出してもらえると思います。
ですから今日はあえて、この講演を先にいただいて、細かい点では質疑応答をしっかりなさってください。今日の時間は非常に重要なコンセンサス作りだと思います。十分に議論していただいてSaultz教授からも知恵をいただきたい。あるいは前回みんなでまとめたものに手を入れて、少なくとも我々が目指している家庭医、あるいは家庭医療をどう肉付けしたいかということを、ある程度の形を作ってほしいなと思っています。
なお、時間があまれば竹村先生がおっしゃったように、プログラムの具体的な内容についても話してほしいと思っています。
明日には今日の議論をふまえて、ひとつのモデルがしめせると思います。そういった作業をワークショップでお願いしたいと思います。
今日は家庭医療学会の主催ですが、地域医療振興協会との共催という形でこの会場を借りて、協会と一緒にSaultz教授をお招きしているので、協会の指導医の方が入っています。一部研修医の皆さんも参加しています。研修医の皆さんは各セッションのグループに入ってもらって、一応オブザーバーという形で意見を聞き、どうしても話したいという時に限って議論をしてください、ということを改めてご提案しておくところです。
では、そういうことで今日の会議をはじめたいと思います。

竹村副会長
では、ここで第1部John. W.Sault教授のFuture of Family Medicate Projectというご講演をいただきます。

竹村副会長からのSaultz先生略歴紹介
 Saultz先生は役職としては、オレゴン健康科学大学の家庭医療学科の教授であり、チェアマンであり、大学の副学長です。55人の教員を要し、約70人のレジデントを指導しておられるそうです。研修プログラムとしては3つあるそうです。研究の分野は、1つは診療の継続性に関してのテーマ、次にハリーメイスンの原理原則というようなことの調査、及び健康政策と診療へのアクセスに関する研究をされておられるそうです。以上が、Saultz先生からいただいた履歴でございます。

Saultz先生講演

Saultz先生講演の概略(竹村先生)
 先生がお話されたのはFuture of Family Medicine Projectについてでした。4年ほど前から始まったプロジェクトのようですね。まず、家庭医療の今までのこととこれからのことでお話しされました。
その前に、さまざまなDefinitionの説明もありました。Family Medicine とは何かとか、General Practiceとは何か、ファミリー・フィジシャンとは、ABFMのお話し、他のスペシャリティの話もありました。
1966年のお話がありました。第2次世界大戦前はかなり多かった一般医がだんだんと減り、小さな都市とか僻地とかに少なくなってしまったとのことで、これに対して市民のほうから要求があり、医師会がそれに対して報告書を出した。重要なことは、家庭医療が社会的な要求で始まったということらしいですね。学際的な必要性で始まったのではないということです。そのレポートにしたがって1969年にFamily Medicine が設立されたということです。1970年代に15しかなかった研修プログラムが10年後の1980年には380のプログラムが出来たというお話にはびっくりしましたね。この頃には指導医がいなかったので、他の専門医で、例えば内科系とか小児科系の指導医を依頼したというお話です。もちろんレジデンシープログラムを終わっておられない方も指導医になれたというお話でした。
2005年には4500のFamily Medicineのレジデンシーがあったとのこと。これはアメリカで一番多い教育的なレジデンシーであるそうです。また、1969年にはFamily physiciansがいなかったのが今では7万人のFamily physiciansがいるそうです。
 次にNAMCS、国立外来医療ケアー調査で発表された最新の報告では、外来にかかる8億の人の中で、1億9900万人の方が家庭医をケアを受けている。これは非常に多い数であるということです。問題は診療に入ってくる家庭医が1997年を境に落ち込んで、10年前と同じような水準の数になってしまったというお話でした。理由として、経済的な理由などがあるのではないか、ということでしたね。医師の数が増えているのに家庭医が増えていなこと、しかもアメリカの医学校の卒業生でなく外国人によってまかなわれているということ、このことは大変というお話でした。医療費のことでは、一人当たりの医療にかかる費用が日本では20万円に比べて、アメリカでは950万円ということで、非常にお金がかかるということです。保険に加入できない人もたくさんいるということでした。医学生は医学を学ぶ上で借金をしている訳ですが、そういう状況には家庭医は似合わないということで、家庭医を選ぶ人が少なくなったのではないかというお話でした。このような状況をどうにかして打開しなくてはいけないということで、Future of Family Medicine Projectができたようです。2000年にOctober2000というのがあり、Saultz先生もいらっしゃったようですが、ここで議論をしてプロジェクトリーダーをきめた。そしてナショナル・コンサルティング・ファームという団体が設立し、それを基にいくつかのタクスフォースが出来上がった。2003年に最初のレポートが出来、最終的なレポートが2004年に出来たというお話がありました。Future of Family Medicine Projectにおいて、日本の家庭医療学会と似たような状況が日本にもあったお話がありました。(途中録音されず)
次に家庭医療の目的ですが、彼らはアウトカムを元に活動をしているので、目的が大切とのお話がありました。家庭医療にどういうことを期待しているかというと、家庭医療に対する政治的なニーズを見ているというお話しもありました。○○な状態ではない、○○な状態を阻止しなければいけないということで、より幸福でより楽しめる職場というお話がありました。
次にクオリティーのある、安全でエラーのない医療を作らなければいけないということで、お話しがありました。
Consulting Firm Assignment、これが先ほど申しました、いわゆる延長線のようなものなのですが、実際に(以下、録音なし)

●11月19日午後 第2部 前回のまとめ

竹村 第2部は前の第1回ワークショップのまとめなのですが、前回来られた方は内容が間違っていないか注意して聞いていただきたい、また、前回来られなかった方は新たな目で内容を聞いていただけばいいと思います。では、山田こうすけ先生にまとめをお願いします。
山田 北海道の十勝地区の更別村診療所から来ました山田です。今回、縁あって前回のワークショップのまとめをお手伝いさせていただきました。
皆さんが前回ディスカッションされた内容から考えられることを、少しずつまとめていっております。
まず皆さんの総意として「こういう医師が不足している」というところが前回議論されました。日本にどのような医師が不足しているのか、国民のニーズというのはどこにあるのだろうか。これは私が勝手に最近のニュースなどから「こういう感じではないか」と考えて。国民の皆さんはこんな地域や国を望んでいるわけで。今回の衆議院選挙や総選挙でもずいぶん議論されましたけれども、やはり子育てや教育、老後の年金、社会保障などに興味がある中で、世論調査ではやはり安心して暮らせる保健医療、福祉に興味をもっているというのは、もうすでに明らかになっています。
そういった中で、医療というものは国民の中でどういう風にニーズがあるのか。一方ではこういう高度な医療の充実と安全が最近は非常に話題になって、がんの専門医がいないという話がよくニュースで見られます。
もう一方でやはり足りないといわれているのは安心して利用できるプライマリケア。特に前回のワークショップで議論されたものは、都市部の診療所の家庭医、あと僻地の診療所の家庭医、もうひとつは診療所だけでなくて地域のプライマリケアの第一線になっているお医者さんの中に中小病院のジェネラリストが非常に多いのだということ。この3種類の医者がすごく不足している。そのことが今、国民のニーズなのではないか。
皆さんに発表していただいた中には、こういったプライマリケアのPCのACCCAを網羅できる医師である、あとは外来診療がしっかり訓練されている、そういった医師が必要なんじゃないかと思われている。
山田会長のお話でもありましたが、日本家庭医療学会はそういったお医者さんを認定するのではなくて、そういったお医者さんを育てる施設を認定していきます。ではどのような能力を持った医師が求められる医師なのかということで、前回はグループにわかれてディスカッションした。その中の皆さんのコメントをまとめてみました。
全科相談にのれる。性別や年齢、性別や年齢、環境にとらわれない。頻度の高い疾患、緊急性の高い疾患、またはACLS、BLSといった力をもっている。メンタルヘルス、代替医療とかありますね。あとは適切な紹介とフォローアップができる。患者さんの主訴に対して自分のできること、できないことを理解している医者である必要がある。地域の医療資源をよく知っている。病診連携ができる。診療の中にEBMを取り入れている。診療に必要な情報の収集能力をもっている。インターネット、スキル、コンピューターの普及が必要である。
あとは、診療に加えケアができる。患者中心の医療、患者に合わせた医療を提供できる。家族指向型のケア、家族志向型のカルテ作成、家族カンファレンス、医師・患者関係、心理社会的アプローチができる。コミュニケーションの能力がある。
もうひとつどのグループでも強調されていたことは、生涯学習能力。特に地域のニーズに合わせて自分を伸ばしていけることができる。研修終了後のキャリアを考えることができて将来いろいろと。それから、学習という面からの情報収集能力。
運営という面もかなり強調されていたのが印象的でした。診療所のマネジメント、経営だとか、所長までできなくても副所長くらいできるといいね、とか。リスクマネージメント。
それとやはり制度の理解。介護保険制度や医療保険制度を理解してケアすることができる。
次に、診療所や病院を離れて地域に出るというところも非常に強調されたところでした。地域にいる不健康な人、医療機関を利用しない人もふくめたことも考えることができる、ということでした。医師会との関係、または産業医、学校医、地域の健康増進にかかわることも強調されています。
もうひとつ、学生研修医の教育ができる。後進への教育、または家庭医療、地域医療を通じて社会へアピールすることができる。家庭医療について明解に述べることができる。文書研究について理解できる。プライマリケアに関してのリサーチを読める。リサーチにかかわれる。
ここまでが皆さんが前回のワークショップでコメントしてくださったことですけれども、これだけだと、このまま研修医目標ということにはどうかと思いますので、皆さんがお出しになった意見をまず第一に。それと国内外のいくつかの研修カリキュラムというものを私の方で勉強させていただきまして、前回もうちょっと時間があればこんなことも出ただろうというところ、多分それは重要で研修医が勉強すべきことだろうということを私の方で肉付けさせていただいて、研修目標としての言葉らしくして作ってみたのですが、大きく皆さんからでた言葉が7つくらいの分野にカテゴラリーされました。
1番目は当然ですが医学的な知識と技術。2.その知識と技術を適応する能力。3.コミュニケーション普及と医師・患者関係。4.プロフェッショナリズム。ここに生涯学習も含まれるかなと。あとは5.組織、制度だとか運営に関する能力、6.ポピュレーションヘルス。7.教育と研究。
こういった7つの分野、それぞればらばらにというのではなくて、これらを統合された能力をもったのが家庭医として、ではないかと。
ここからは字がとても多いのでスライドとお手元の資料を見ていただきながら、これから皆さんが議論をしていく中で参考になればいいなと思います。
知識と技術を適用する能力。病歴と身体所見を見ることが出来る、鑑別診断を挙げる、審査プランをたてるといった具体的なことが色々書いてあります。こういったジェネラリスト、家庭医の中でどうしても避けることのできない不確実性、未分化の問題ということも書いてあります。コミュニケーションスキルということに関しては、いい患者さんとの関係を作るコミュニケーションなどは患者さんの背景に関して。プロフェッショナリズムでは前回のワークショップに出てこなかったところですが、他の研修会議では必ず含まれているのと、非常に重要だろうなと少し肉付けをしました。生涯学習のことを書いてあります。また組織に関する運営する能力、ここでは制度の話と管理運営、あとはチームワークというところ、もちろん施設内の事務職員とか看護師、その地域の保健士、地域の医療機関とか同じ同業者。地域とコミュニティーというところでは、読んでいただいたらいい。教育と研修、これは後期研修の中でどの程度のレベルですればいいのかわからないのですが、とりあえずここまでというところで書いてみたというレベル。
一番最初にやった医学的知識と技術で昨年出版されたとNLPから出ている「プライマリ・ケアから何を学ぶか」、これを参考に家庭医が扱う医学的技術の範囲というのはかなり広いのですが、こういった領域があるだろう。ただこれ全部はたぶん一生見ないだろうという病気も載っているので、必ずしも全部学ばなければいけないというものではない。一番最初に、今求められているのは都市型の診療所の医師であり、僻地の診療所であり、中小病院の一般内科で働く医師であること、それぞれが持っている能力にどうしても欠かせない部分というのがこの重なりあっている部分ではないかと。まず一つ目は今1から7まであった内の2から7までが入っていると考えています。それと1番は一部は重なるところに入るでしょうし、入らないものもあると思う。家庭医療学会としてこの部分だけを勉強しなさいというと、卒業した研修医たちは結構しんどいのではないかと、お医者さんはみな1ヶ所で働いているわけではなくて、時には中小病院で働き、そのキャリアの中で色々な場所で働くことがあるわけで、その部分だけを勉強してOKとしたのでは少ししんどいのではと思います。この部分をかなり慎重に選ばなければいけなく、学会としてはそれに+アルファくらいの部分を推奨していく必要があるのではないか感じたところです。ここが一番難しいところだと思います。
最後にこれも非常に大事なことで、これは研修目標を作ったのですけど、お題目で終わるとまずい。研修が達成したことを評価するということが大事であると。評価がされてなければ、この研修プログラムが国民ののぞむ家庭医を輩出しているとはいえない。研修目標をもってやっていますというだけではなくて、研修医をこのように評価して合格させているという証拠を出していくことも重要である。今後は学会として研修目標の評価法を提案して各研修プログラムに利用してもらうシステムを構築していく必要があると感じました。逆に、評価というのは、かなり難しいことなので色々な研修プログラムから色々な評価法のアイデアを取り入れてそれを学会にフィードバックする方法もあるのかなと思っています。私からのプレゼンテーションは以上です。
竹村 ふたつの件をお話いただきました。ひとつは前回のまとめ。ついで、それを踏まえて色々な考え方があるんじゃないかということで、7つのカテゴリーにわけてお話いただいたわけですが、これが最終的に前回のワークショップの結果ということではなくて、その後いろいろなご議論のインターネットを通じてもありました。一度、皆さんスモールグループでこの点に関してお話いただいて、ご意見がございましたら、メモに列挙していっていただきたいと思います。
その後、今回のワークショップの本題「では、このようなアウトカムを得るためにはいかなるプログラムを用意したらいいか」ということについて議論していただきたいのです。例えばどんな施設が必要か、どのような施設ならいま発表していただいたような家庭医を養成できるのか、また、どのような医師が指導医として指導に当たるべきか。さらに重要なことですが、どんなプログラムが必要か。たとえば2年間の初期研修が終わったあとは1年目、2年目にこういったことをした方がいいのではないかという議論もあるでしょうし、3年間でこんなことができればいいのではないかとか、ご議論くださいませ。どんな形式でもかまいません。場所とか指導医とかプログラムの内容をざっくばらんにご議論いただけたらと思います。

●11月19日午後 第2部つづき グループ発表
グループA:森
グループAの発表をします。出雲市民病院からきました森と言います。
前回のワークショップを踏まえてから話をしたのですが、患者中心というよりもやはり人中心、パーソンセンターの方がいいのではないかという意見がでました。それから後期研修なので初期研修と違い、家庭医の後期研修はどういうところが「売り」なのかというところをもっと強調したほうがいいのではないかということで、出てきたのは、コミュニケーションのところでも外来という切迫した状況で技術が求められるということで、初期は病棟で、後期は外来という形ではどうかというふうになりました。
それから山田先生が作ってくださった、この1から7番の図は非常にすばらしい図だということで、ただもっとパッと見て家庭医の特徴を示して記述したほうがいいのではないかというアイデアがでました。一般の人から見ても「こんなお医者さんがいいわ」という風にしたらどうかと。たとえばどんなことでも相談にのりますとか、どこでも働きますとか。いつでもいいですとか、携帯電話をかけてもいいですとか、非常にアクセスができるシステムで安心をサポートするような記述ではどうかということで、山本先生が「心をわし掴みするアプローチをしてほしい」というふうに。
それから個別の話をしていったんですけども、知識と技術を適応する能力に関しては、やっぱり求められるのは初期研修と違って優先順位を決めたり、適切な紹介と言われました。タイミング、質の高い専門医を紹介します。適切なコンサルテーションのためにネットワークを利用できます。紹介後にも責任を持つという言葉が入った方がいいとなりました。
あと、単なるコミュニケーションではなく、限られた短時間で患者全体を包括的に看るということで外来というセッティングで学びましょう。その中には隠れたニーズの発見や隠れた思いの発見。患者さんの満足度があがり、納得できるような医療を提供できる内容がいいとなりました。NBMという言葉も入れたらどうかという意見もありました。
4はそのままでいいだろうということになって、選手宣誓のようなもので「私たちはこういうことをやります」ということで、知らないことも「専門外です」といわずに「調べておきます」という形でプロフェッショナルを追求しようと。
5の保健医療、福祉制度は家庭医には必須なので、たとえばケアマネの資格を取ったり、質の高いケアプランを提供しますといった内容を、逆にアピールしてもいいのではないかということでした。
6番は、受診しない人に対する予防活動をどうするかとか、ラジオやテレビに積極的に出たほうがいいのではないかとか。これは都市部でもコミュニティとして捉えるということでミニマムリクライアントに必ず入るという意見がありました。
7番目ですが、教育というのは非常に重要で、研修指導責任者というところまでは求めないけれど、頼まれたときに外来の教育ができるというレベルでどうかというで、教育するというのは非常にそのクリニックや医師のステータスになると。またそれは、患者さんから見ても「この先生は学生の教育もしているのだ」ということでメリットになるのではないかということでした。
研究については、なかなか時間がとりにくいという意見もあったんですが、やはり家庭医療学会をこれからどんどん大きくしていくためにも研究にはぜひとも取り組んでいただいて、少なくとも共同研究とか他施設の研究に参加するような形で年間に1本はその施設から出せるように義務としたほうがいいのではないかとのことでした。
最後にSaultz先生から発表のあった7キークェスチョンズを日本でもやったらどうかという意見がありました。以上です。

グループBは大きく分けて5つになりました。基本的には山田先生が決められた内容でほぼいいのではないかと。もう少しつけ加えるものとして、本当にこのプログラムが国民のニーズにあっているのか、きちんと確認しなければいけないということです。サーベイランスはどうするかとか、できた後に問題になったところも適時変えていかなければいけない。そういう潜在的な問題もあったりするので、そういうところをどうしたらいいかと。
次にミニマム・リクライアメントの「ミニマム」はどこをとっているかと。ひとつには、いろいろと経験しておくことは大切なので、マキシマムにすべきという意見もありました。病院内でできることと、地域のニーズが違ってくることがあるので難しい面があるとの話が出たのですが、基本的にはマキシマムというよりミニマムから少し枠を広げた範囲とする考え方のほうが、色々と将来診療をしないとしても応用がきくのではないか、という意見がでました。プログラムを終えたあとの診療の領域を、ある程度明示しておいてもらったほうがいいのかと。それは学会同士の話し合いとか、実際には専門医とやりとりするので、その辺りをうまくしてプログラムによって明示してもらえると診療がしやすいということです。
最終的なゴールとしては、診療所で働く医師をイメージするのかという意見があったり、あるいは地域で病棟を看れる医者が求められているのではないか、と思いました。
次に評価の問題で、評価するときに知識、技術、体力と分けて項目を決めておいたほうが評価しやすいので、きちんとカテゴライズしたほうがいいのではないか、という意見がでました。
最後に、実際にはプログラムとは関係ないのですが、女性の先生から、出産とか子育ての時期になっても、きちんとプログラムとして研修できる保証をしてくれたらいいかなと。産科とか小児科の分野でいわれていますが、家庭医療としても早く取り組んでほしいという意見がでました。以上です。

Cグループは最初の話し合いの中で、このプログラムの目的などに話が膨らんできました。
知識技能適応能力は知識技能の1の項目にまとめてもいいのではないかと。
まず、1の具体的な知識技能の項目ですが、具体的な目標設定が細かくなされるべきだ、と。それがないときちんとした法令化がなされないので、今もいったミニマム・リクライアメントと整合性をふくめてきちんとやっていかないといけない、との意見がでました。
1から7の各項目においてそれぞれ重みが違うのではないかと。最後に全体的にまとめたときに、重みがわかるような表記の仕方があってもいいのではないか。
再び1の知識技能の領域で、ミニマム・リクライアメントと家庭医としての見識の資質レベルの境目はどこかというのが今後問題になるだろう。僻地ではやはりギプスをまけないとだめだろうけど、中小の内科病院ならそこまで必要ないだろうと。どこまでを研修の必須レベルにするかということで、プロジェクトチームができるくらいにしっかり議論をすすめなくちゃいけないのではないかと意見がでました。
全体として、施設の色が出ないように努力された結果と思いますが、全体的に「家庭医らしい魅力」が伝わりにくいのではないかと。これは地域医療振興協会の研修医の先生からの意見ですが、家庭医のアイデンティティというかプロパティが、プログラムを見ることによって分かるようなものを項目の中に盛り込んではどうなのかと。継続性やファーストコンタクトなどの用語も入れてはどうかとの意見も出ました。
次に家庭医療や家庭医の定義を盛り込まなくてもいいのか、という意見がでました。日本家庭医療学会のホームページを見ると、一応、家庭医の定義が書いてあるのですが、せっかく作るのであれば、日本の家庭医療や家庭医の定義をみんなで考えていったらいいのではないかとの意見が出ました。
戻りますが、ファイアティーについてプログラムにどのくらい入れたらいいのかという話がでました。個別評価というかどこらへんまで入れたらいいのか、これについてもしっかりした議論が今後必要になってくるのではないかと。開かれた医療も盛り込んではどうかと。
最後にこのプログラムの目的。普通、このように研修したら家庭医が出来るというものなのかもしれませんが、今、家庭医というものが国民やまわりに広まっていないということを考えると、このプログラムを見たら「あ、家庭医ってこんな医者なんだ」と他の人が見て分かるようなことも、このプログラムの目的にあるのではないか。もしそういうことを考えるのであれば、今後の戦略として、たとえば国民のニーズをふまえてこんな医者が必要という家庭医の定義を前文に明示して、そのためにこのプログラムを作ったという構成がいいのではないかと。あと、このプログラムを見ただけで家庭医の魅力が伝わるといったふうにした方がいいのではないかと。そこが内科や外科のように、みんなが分かっているプログラムとの違いなのではないかという意見がありました。

グループD:細田
Dグループの亀田メディカルセンター家庭診療科の細田と申します。
まず、生活保護、高齢者、低所得者の方で受診できない人に対しても我々はアプローチしていかなければいけないので、そのことを明文化するとよりいいのではないかなと。
医学的知識技術という点で災害医療というのが入っているのですが、どこまで入れるべきなのか、救急医療の方に入れてもいいのではないかと。災害医療だと難しいなという印象があって、これもどこまでミニマム・リクライアメントするかという問題だと思うのですけど。
あとウーメンズ・ヘルスというのも家庭医には必要で、妊娠前ケアなんていうのも家庭医の仕事で、大いに関わっていけるところだと思います。では分娩などはどうするのかということもあるのですが、僻地に行ったらやらなければならない場合もあります。都会では必要ないでしょうから、やはりこれもミニマム・リクライアメントなのだと思います。
教育については、患者の教育、スタッフの教育も入れていくといいのではないかと。後期研修3年間の間に、将来家庭医としてロールモデルを示せるようになることを目指すというのを入れてもいいのではないかと。あと今の直前教育に抜けている行動科学も教育の中に組み込んでいくといいのではないかという意見もありました。
CQI、「診療の質向上の活動」というのも、自分自身のクリニックの質を高めていく上で、後輪となる、そういったものも入れていったらいいのではないかと。「知識と技術を適用する」の2に入ると思いますが、よりよいのではないかと。
研究は、研究に関する基礎的な知識の理解にとどまらず、実際に3年間でひとつのアウトカムがだせるところまでやることで、より家庭医療学という学問として極めてくれるのも重要ではないかとの話でした。
あとレジデントスタッフのメンタルケア。実際に後期研修をやっていてプライマリケアという不確実性に加えて、色々な場面で研修していく上で、自分自身や同僚のメンタルケアというのが非常に重要になってくるので、これも明文化してほしいとの意見もありました。
あと質問として、山田先生にプレゼンテーションしていただいた中で、家族志向型のカルテ作成と書かれてありましたが、これはどういった意味でしょうか。あと指導で、1対1の指導という表現は、どういう意味が含まれているのでしょうか、というのが出ていました。ご回答いただければ幸いです。

山田 家族指向型のカルテ作成というのは、私も知りません。というのは皆さんの文章の中に書いてあったものです。どなたか書かれた方にご説明いただければ。あと、1対1をイメージしたのは、研修医が診察をした、それに対して1対1で指導する場面を想定したものです。
竹村 どなたか、最初の質問(家族指向型のカルテ作成)に対して答えていただける方はいませんか。
〇〇 推測なのですが、家族志向型のケアのひとつのツール、手段として家族どかという方法があるのではないかと。そう感じました。
〇〇 僕も想像なのですけど、多分高木さんのカルテをとったら高木さん一家のカルテが出てくるような、そういうシステムのことじゃないかなと思いました。家族カルテ。
〇〇 ファビリテリを書いた上で、相互の関係についてコメントなどが両方に書き込めるとか、カルテと家族の情報が同時に取り出せる仕組みの2点だと思います。
グループE:小原
亀田メディカルセンター家庭医療診療科の小原と申します。
まず国民のニーズから、このプログラムがスタートすることは大切なことだと皆さんの意見が一致して、ぜひニーズ調査というものを実施すべきだ、という意見がありました。ただし家庭医というものをイメージできない一般の方への聞き取りには、結局どんな医者がほしいですかと聞いたときに、私はあくまで専門医に診てほしいとかいう言葉が返ってきてしまっては、元も子もないことで非常に危険すぎます。あとはメディアの戦略というかテレビ番組を見ていても、「頭が痛い」といえば「専門医に診てもらおう」という構成になっている番組がよくあって、国民の方が「やっぱりそうなのか」と思ってしまうと、こっちの流れとは反することになってしまう。そういうことも考えていかなければいけないと。
国民や市民の方へのアピールはわかりやすいものがいいのではないか。何でも診ますとか、何でもやりますというと、じゃあ何をしてくれるのだと、不透明でなにかうさんくさくなってしまったら困る。例えば小児の一時救急だったら診ますとか、私たちもできること、国民の方の希望していること、小児科の先生にも受け入れやすいことなど、折り合いのつくところで入っていって、その結果、患者さんと関係ができたら、実は他のこともできます、という形で広げていくといいのではないかという意見がでました。
ミニマム・リクライアメントの規定というのはすごく難しいことは勿論なのですが、それがしっかりすれば、それをどういったところで学べばいいのか指導医のイメージがついてくるのではないかということで、棄権することは早急に求められるし、議論が必要なところだという意見がでました。そこで決め方とし、例えばワーキングルーフみたいな形で少人数の方にコアになっていただいて、今年はこの分野について掘り下げ直すという、数年ごとに見直すという程度の形になるのではないかという意見がでました。
ミニマム・リクライアメント以外のプラスアルファの医療について。これは家庭医のできる範囲との区別があいまいになってしまうのではないかと。たとえばプラスアルファの部分でも臓器でこれは診れる、疾患でこれは診れると区切らずに、達成度を何段階かに分けたレベル設定をするとか、各々のケースについて対応ができるということも踏まえて、評価していく必要があるのではないかという意見がありました。
研修が終わる時点での評価もそうですが、ミニマム・リクライアメントの部分について制度のチェックを、3年のレジデンシーなら半年後とか、中間の時点で発表して、今、自分がどこまで出来るのかをしっかり認識したり、せっかく大量に立ってくる項目をむだにしないためにも再チェックをすることは必要なのではないかという意見もありました。
同じ設定で同じ患者さんを診ていても、たとえば自分がちょっと苦手にしている部分だと患者さんから聞きだせていない部分があるということで、ある程度一人の人で、経験をコントロールするのも必要ではないかという意見もでました。
最初の部分とも関連するのですが、ニーズの聞き取りを行って家庭医を作るということであれば、研修後のドクターというものがしっかりと皆さんのニーズに合ってますということを評価して、保証していくシステムがないと結局違うのではないかと。
最後に、ではどんなプログラムにしたらいいのかという話も出ました。診療所と病院をどの程度含めるかということは、地域性とか施設の特性によっても違うので難しいのかなと、ただ同じ診療圏でそれが設定できれば外来の継続性は保たれるのでいいのではないかとの意見が出ました。
研修はしっかりした指導医のもとで行うべきという意見が出たのですが、ではその指導医というものをどう規定するのかという、かなりコアな議論がありました。例えば学会主催のコースを受けてもらった人とか、認定を受けた人とか、学会員5人以上の推薦をとった人とか。この辺りも
また話し合っていく必要があると思います。以上です。
竹村 では、今の報告で追加意見がありましたら、ぜひともお願いします。
山田 前回の議論のまとめを山田康介先生にしてもらって、非常にいいのではないかなと、これなら受け入れやすいのではないかと思った。これを土台にして、でもこれから我々が家庭医療プログラムを作り、それを学ぶ人たちが目指す家庭医はとはこうあるべきだというところでは、結構いいレベルに来たのではないかなと思います。ただ、そうはいっても何か違和感があるなど、屈託のない意見を述べていただきたい。でないとこれから具体的なプログラミングというか、作業をすすめていってもなかなか難しいかなと。ただ本当に具体的なプログラムを作っていく上では、まだまだあと1回のワークショップぐらいでは完成するとは思わない。おそらく半年、1年かけて、評価しながら、色々なことを学んでいかなくていけないと思います。でも基本的にはコアの部分を共有しておかないといけないので、他にもこういったところを付け足しておかなければいけないのではとか、家庭医というものを固定的に表現したほうがいいのではないかとか、色々な意見があると思います。忌憚のない意見を聞かせておいていただけると有り難いと思います。
〇〇 前回も出ていたのですが、わかりやすい家庭医の表現というものを、ぜひ今回の間に作ってしまった方がいいと思います。前回も話題が出たのですが、なかなかまとまらず、やはり一般の人に通用する表現を、まず出さないといけないのではないかという気がします。そこを議論する時間が必要なのではないかと思います。ただのワンフレーズだと思うのですが、、どうでしょうか。
山田 先ほどの山田康介先生が作ったところにもう少し具体的な意味合いをつけて、でも表現としては「家庭医がいるおかげで専門医療への糸口がわかりやすくなった」とか「専門医を適切に紹介します」とかいったわかりやすい自身の中で提案してもいいんじゃないかなと。これはまだ硬いので、これをまた協議して雛形を作って示していきたい。なかなか2、3行のフレーズで言い表せないと思うので、なにかこう模式的なものを使って表現してもいいかなと思いました。何かご意見があれば。
竹村 Saultz先生が何かいい絵を書かれていて。
山田 じゃあここで見せていただいて。
Saultz 絵の解説(英語)
竹村(Sault先生の要約)
  ミニマム・リクライアメントとマキシマムリクライアメントといろいろと議論がありましたが、レベルにわけて考えるといいのではないかということです。
小林 ちょっとさっきの話に戻っていいですか。みんなにわかりやすい用語がいいという話で、僕もちょっと考えてきたのですが。何科、何科とみんな聞くのですが、科の問題でなくて場の話だと思います。ひとつ思い浮かんだのが「外来診療のエキスパート」という言葉。外来の場が主で働く。そのほうが何科と聞かれるのでなくて。救急なら救急と呼ばれるし。外来診療ならわかりやすいのではないかと思いました。
〇〇 わかりやすい言葉といったものですが、一般の人にも研修医の人にも見てもらえる研修目標のカリキュラムの前文を作るといいのかなと。「私たちはこんなお医者さんを育てます」と。それがあった上で、こんな研修目標があるといいのかなと思いました。それも山田会長の言葉で。
山田 ちょっと荷が重いですけど。たたき台になるようなものはご提案できるのではないかなと思います。今日の雰囲気で、ある程度皆さんの思いというものがだいぶ吸収できたのでいいのではないかと。まだこのフロアで発言されていない方もいらっしゃるでしょうから、ご意見があればぜひ言っていただけるとありがたいです。
北西 先ほどの話に近いのですが、日本の医学教育の最も遅れている部分が外来教育だと思います。初期研修を指導する立場ですが、たしかに病棟教育は出来ていても、外来教育を指導する場がない。各科がやればいいのですが、特に家庭医療のプログラムを作るにおいては、外来教育の方法をみんなで高めあったり、タイムマネジメントをどうするかといったことなど、外来教育をひっぱる立場であればいいなと。そういうふうに強調すればいいなと思います。
〇〇 教育と研究ということに関して、何科でも教育と研究という形で高めていくことに加えて、プログラムを終えた人がそのままロールモデルになったり、教育者となってもらわないと発展しないと思うし、今回まとめていただいた中でも7番というのは重要じゃないかなと思います。
〇〇 前文の最後にニードというかリサーチみたいなものがあれば、それを目的として、家庭医としてこういうプログラムを作りますみたいなものができる。そこが抜け落ちると何のためにこれをするかがわからない。目的が書いてあれば説得力があると思います。
〇〇 国民ニーズや住民ニーズは非常に大事なことで、やはり調べた上で作るということは正しいと思いますが、時間的な問題やコストの問題などがあると思います。今お話がでたキャッチコピーみたいなものだけでもいいので、こちらで案を作ってそれを国民の皆さんに意見を伺ってみるというのは簡単にできる方法じゃないかなと思いますので、提案したいと思います。
竹村 どなたか、いいキャッチコピーはございませんか。
〇〇 筑波大学の●●です。遅れてきたので、ひょっとしたら話が出たかもしれませんが。明日の作業の進め方で、キャッチコピーを作るワーキングチームだとか、前文を考えるワーキングチームとか、ある程度仕分けをして、それを持ち寄ったら一気にいくのではないかと思います。
竹村 時間もかなり押していて…たとえば、このあと懇親会があるのですが、そこで考えていただき、明日、一人1案くらい発表していただくとか。他によい案が思いついた人は教えてください、明日は明日のプログラムがありますので。
〇〇 これは宿題にすればいいと思います。みんなが。明日、ベターッと貼ってもいいし。
〇〇 それをまとめればいい。
竹村 それでは皆さん、明日の朝9時までにキャッチコピーをお願いいたします。ユニークなもの、笑いのとれるもの、大歓迎ですので。他にこの際言っときたいこととか。
〇〇 今、実際にやっていてすごく悩んでいることがあって。それはホストの問題です。研究とか教育とか、いわゆる稼げない部分はホント退屈なのですけど。実際それを臨床の場でやるとなると、非常に難しい。プログラムを理想的に進行して、それを現場でやるとなったときに、どうすればいいんだろうかと。私自身、案はないのですが、そういうことを議論してもらったほうがいいのかと思っています。それと、キャッチコピーは私個人の希望としては「専門医」という言葉を入れて欲しいと思います。
〇〇 さきほで、少し気になったところですが。山田先生のまとめの中で、「医師会と良好な関係を作る」。「我々は医師会ではない」というと、なにか潜在的な気分が…。同じ方向を向いていることが多いかなと思ったことが最近であり、去年の学会などでも感じるので。政治的な意味も含めてそっちのほうがいいかなと思いました。
北西 前回、今回と議論が深まったのですが、そもそもこの2回がどう活かされるのか、示していただけたらと思います。
竹村 一応今日までで、家庭医療後期研修プログラムのアウトカム、すなわち、この家庭医療後期研修プログラムを受けた人たちがどういう医師になるのかという議論はおわりにします。明日は皆さんでプログラムの内容について議論していただきます。これまで議論したようなアウトカムを得るにはどのような方法ですべきか、どういう施設で、どういう人が、どういうプログラムでやっていくかってことを議論していただく予定です。
〇〇 先ほどグループごとに発表した内容がそのように統合されるのでしょうか。アウトカムが今日で決定ということになると、今またいろいろな意見が出たものですから。
竹村 もちろんこれは、今日明日ということにはなりません。今回のことはすべて録音されておりますので、テープ起こしをして、見直しながらまたまとめを作って次回に活かすという形になります。できるだけ早く、3回目に間に合うようにまとめておきたいと思います。
山田 つめ方は非常に難しいところがあって、対立はしていないと思うのですが、調整しながら慎重に進めているところです。ただ、3学会で先週話したときも、「できるだけ早い時期に日本家庭医療学会としては、初期臨床研修が終わる人たちに焦点を当てて、その人たちのプログラムをまず提案します」と。他の学会の人たちは早く自分たちが適応するためにはどうしたらいいのだと言われている部分は多いのですが、「そんなことはうちは議題にしていません。一切自分たちのことはさておいて、新しい人たちのプログラムのことを集中して議論しています」と説明しています。ですから、今年度内に家庭医療学会が他の学会にも推奨できる家庭医療の後期研修プログラムのひとつのモデル、雛型を提案できるかなと思っています。だいたい3年間というプログラムの期間、どういった場所でどういった内容で――細かいことはこういったグループワークでは決まらないと思うので、ここで決めておかなくてはいけないのは、コンセンサス、皆さんの多様な家庭医療に対する思いや意見を意思統合して、これからプログラムを始めようとしている人たちの思いを共有しておきたいなと。あと、これからさまざまやらなくちゃいけないことが雪だるま式に多くなるので、それをワークショップでつめていくよりプロジェクトとしていろんな枠組みを作っていかなくてはいけない。今回は3学会のことや、初期臨床研修そのものが再検討されていることや、3月末で後期研修プログラムがいろんな専門医のところで始まるという状況を踏まえて、ある程度時間を区切ってやらなくてはいけないことと、あまり区切ってやってしまうとよくないこともあり、コンセンサスを得ながら、ある程度こちらで誘導してまとめながら、また提案しながらということで考えているところです。ですから1月下旬を予定している3回目を目処に行いたい。今年度内に、メディアに対しても、場合によっては公開シンポジウムのようにして、多少ビジターの人も呼んで、「我々が育てる次世代の家庭医」のような名前でやってもいいかなと考えています。なにぶんこれも今の状況次第というか、ちょっと不安定な要素があったので、皆さんにはわかりにくかったかもしれませんが、決まり次第できるだけ早く広報して皆さんに周知徹底しますので、ご協力をしていただきたいと思います。
今回のものも、出していただいた資料等もできる限りオープンにして、ホームページ上で公開するつもりです。ただまとめるという作業はすぐにはできないので、今回いわゆる概念についてのことは、こういった温度で共有できたということを基に、我々が提案をする形になると思います。それぐらいでご理解いただきたいと思います。
〇〇 今回の議論では、ミニマム・リクライアメント以外のところは、結構みんなそんなに触れていなかったのかなと思いました。最終的にそのミニマム・リクライアメント、研修の必修の最低レベルをどこにするかが一番面倒な作業になるのかなと思います。今回タイムパーも交わらないで、わざとうやむやになっているのですが、今後それも学会として決めていくのか。それとも個別の施設でゆだねる方針なのか、というのはどうなのでしょうか。
山田 ミニマム・リクライアメントに関しては学会で統一したいというか、主導権をもつというか。そこは難しいかもしれないのですが、一応今日のような議論を基にして提案をしようと思います。それが受け入れられるかどうかわかりませんが、できるだけ受け入れていただこうと。そこは他の学会とも関係しているので、今日の議論をもとにミニマム・リクライアメントの部分は他の学会にも提案をしたいと考えています。
〇〇 ひとつだけ確認を。今まで出たご意見で、この研修目標の中に家庭医らしさをもっと強調してもいいのではないかという意見が多かったのですが。全体としてはいいと、皆さん言っていただいているのですが、家庭医らしさをもっと強調する方向で組みなおす作業をしてもいいのかどうか、確認していただければそれができると思います。それを皆さんの総意なしにやっちゃうとまずいのではないかと。
竹村 これはたたき台ということで、最終的な決定はまた後日ということになります。いかがでしょうか、草案、ドラフトという形で山田康介先生に考えていただいてもよろしいでしょうか。(拍手)


参考 : 第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップのページ

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