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その他の教育集会など |
第2回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ |
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◆ 期日 | : | 平成17年11月19日(土)〜20日(日) |
◆ 場所 | : | 都道府県会館(東京永田町) |
◆ 対象者 | : | 日本家庭医療学会理事(旧運営委員)、若手家庭医部会、現在家庭医療後 期研修プログラムを運営している指導者、または将来立ち上げを計画している指導者 (学会員に限る*) *非学会員の方は当日入会手続きをしていただけます。 |
◆ 記録(テープ起こし)版 |
11月19日(土) 午後 開会式 竹村副会長 山田会長あいさつ 竹村副会長からのSaultz先生略歴紹介 Saultz先生講演 Saultz先生講演の概略(竹村先生) ●11月19日午後 第2部 前回のまとめ |
竹村 | 第2部は前の第1回ワークショップのまとめなのですが、前回来られた方は内容が間違っていないか注意して聞いていただきたい、また、前回来られなかった方は新たな目で内容を聞いていただけばいいと思います。では、山田こうすけ先生にまとめをお願いします。 |
山田 | 北海道の十勝地区の更別村診療所から来ました山田です。今回、縁あって前回のワークショップのまとめをお手伝いさせていただきました。 皆さんが前回ディスカッションされた内容から考えられることを、少しずつまとめていっております。 まず皆さんの総意として「こういう医師が不足している」というところが前回議論されました。日本にどのような医師が不足しているのか、国民のニーズというのはどこにあるのだろうか。これは私が勝手に最近のニュースなどから「こういう感じではないか」と考えて。国民の皆さんはこんな地域や国を望んでいるわけで。今回の衆議院選挙や総選挙でもずいぶん議論されましたけれども、やはり子育てや教育、老後の年金、社会保障などに興味がある中で、世論調査ではやはり安心して暮らせる保健医療、福祉に興味をもっているというのは、もうすでに明らかになっています。 そういった中で、医療というものは国民の中でどういう風にニーズがあるのか。一方ではこういう高度な医療の充実と安全が最近は非常に話題になって、がんの専門医がいないという話がよくニュースで見られます。 もう一方でやはり足りないといわれているのは安心して利用できるプライマリケア。特に前回のワークショップで議論されたものは、都市部の診療所の家庭医、あと僻地の診療所の家庭医、もうひとつは診療所だけでなくて地域のプライマリケアの第一線になっているお医者さんの中に中小病院のジェネラリストが非常に多いのだということ。この3種類の医者がすごく不足している。そのことが今、国民のニーズなのではないか。 皆さんに発表していただいた中には、こういったプライマリケアのPCのACCCAを網羅できる医師である、あとは外来診療がしっかり訓練されている、そういった医師が必要なんじゃないかと思われている。 山田会長のお話でもありましたが、日本家庭医療学会はそういったお医者さんを認定するのではなくて、そういったお医者さんを育てる施設を認定していきます。ではどのような能力を持った医師が求められる医師なのかということで、前回はグループにわかれてディスカッションした。その中の皆さんのコメントをまとめてみました。 全科相談にのれる。性別や年齢、性別や年齢、環境にとらわれない。頻度の高い疾患、緊急性の高い疾患、またはACLS、BLSといった力をもっている。メンタルヘルス、代替医療とかありますね。あとは適切な紹介とフォローアップができる。患者さんの主訴に対して自分のできること、できないことを理解している医者である必要がある。地域の医療資源をよく知っている。病診連携ができる。診療の中にEBMを取り入れている。診療に必要な情報の収集能力をもっている。インターネット、スキル、コンピューターの普及が必要である。 あとは、診療に加えケアができる。患者中心の医療、患者に合わせた医療を提供できる。家族指向型のケア、家族志向型のカルテ作成、家族カンファレンス、医師・患者関係、心理社会的アプローチができる。コミュニケーションの能力がある。 もうひとつどのグループでも強調されていたことは、生涯学習能力。特に地域のニーズに合わせて自分を伸ばしていけることができる。研修終了後のキャリアを考えることができて将来いろいろと。それから、学習という面からの情報収集能力。 運営という面もかなり強調されていたのが印象的でした。診療所のマネジメント、経営だとか、所長までできなくても副所長くらいできるといいね、とか。リスクマネージメント。 それとやはり制度の理解。介護保険制度や医療保険制度を理解してケアすることができる。 次に、診療所や病院を離れて地域に出るというところも非常に強調されたところでした。地域にいる不健康な人、医療機関を利用しない人もふくめたことも考えることができる、ということでした。医師会との関係、または産業医、学校医、地域の健康増進にかかわることも強調されています。 もうひとつ、学生研修医の教育ができる。後進への教育、または家庭医療、地域医療を通じて社会へアピールすることができる。家庭医療について明解に述べることができる。文書研究について理解できる。プライマリケアに関してのリサーチを読める。リサーチにかかわれる。 ここまでが皆さんが前回のワークショップでコメントしてくださったことですけれども、これだけだと、このまま研修医目標ということにはどうかと思いますので、皆さんがお出しになった意見をまず第一に。それと国内外のいくつかの研修カリキュラムというものを私の方で勉強させていただきまして、前回もうちょっと時間があればこんなことも出ただろうというところ、多分それは重要で研修医が勉強すべきことだろうということを私の方で肉付けさせていただいて、研修目標としての言葉らしくして作ってみたのですが、大きく皆さんからでた言葉が7つくらいの分野にカテゴラリーされました。 1番目は当然ですが医学的な知識と技術。2.その知識と技術を適応する能力。3.コミュニケーション普及と医師・患者関係。4.プロフェッショナリズム。ここに生涯学習も含まれるかなと。あとは5.組織、制度だとか運営に関する能力、6.ポピュレーションヘルス。7.教育と研究。 こういった7つの分野、それぞればらばらにというのではなくて、これらを統合された能力をもったのが家庭医として、ではないかと。 ここからは字がとても多いのでスライドとお手元の資料を見ていただきながら、これから皆さんが議論をしていく中で参考になればいいなと思います。 知識と技術を適用する能力。病歴と身体所見を見ることが出来る、鑑別診断を挙げる、審査プランをたてるといった具体的なことが色々書いてあります。こういったジェネラリスト、家庭医の中でどうしても避けることのできない不確実性、未分化の問題ということも書いてあります。コミュニケーションスキルということに関しては、いい患者さんとの関係を作るコミュニケーションなどは患者さんの背景に関して。プロフェッショナリズムでは前回のワークショップに出てこなかったところですが、他の研修会議では必ず含まれているのと、非常に重要だろうなと少し肉付けをしました。生涯学習のことを書いてあります。また組織に関する運営する能力、ここでは制度の話と管理運営、あとはチームワークというところ、もちろん施設内の事務職員とか看護師、その地域の保健士、地域の医療機関とか同じ同業者。地域とコミュニティーというところでは、読んでいただいたらいい。教育と研修、これは後期研修の中でどの程度のレベルですればいいのかわからないのですが、とりあえずここまでというところで書いてみたというレベル。 一番最初にやった医学的知識と技術で昨年出版されたとNLPから出ている「プライマリ・ケアから何を学ぶか」、これを参考に家庭医が扱う医学的技術の範囲というのはかなり広いのですが、こういった領域があるだろう。ただこれ全部はたぶん一生見ないだろうという病気も載っているので、必ずしも全部学ばなければいけないというものではない。一番最初に、今求められているのは都市型の診療所の医師であり、僻地の診療所であり、中小病院の一般内科で働く医師であること、それぞれが持っている能力にどうしても欠かせない部分というのがこの重なりあっている部分ではないかと。まず一つ目は今1から7まであった内の2から7までが入っていると考えています。それと1番は一部は重なるところに入るでしょうし、入らないものもあると思う。家庭医療学会としてこの部分だけを勉強しなさいというと、卒業した研修医たちは結構しんどいのではないかと、お医者さんはみな1ヶ所で働いているわけではなくて、時には中小病院で働き、そのキャリアの中で色々な場所で働くことがあるわけで、その部分だけを勉強してOKとしたのでは少ししんどいのではと思います。この部分をかなり慎重に選ばなければいけなく、学会としてはそれに+アルファくらいの部分を推奨していく必要があるのではないか感じたところです。ここが一番難しいところだと思います。 最後にこれも非常に大事なことで、これは研修目標を作ったのですけど、お題目で終わるとまずい。研修が達成したことを評価するということが大事であると。評価がされてなければ、この研修プログラムが国民ののぞむ家庭医を輩出しているとはいえない。研修目標をもってやっていますというだけではなくて、研修医をこのように評価して合格させているという証拠を出していくことも重要である。今後は学会として研修目標の評価法を提案して各研修プログラムに利用してもらうシステムを構築していく必要があると感じました。逆に、評価というのは、かなり難しいことなので色々な研修プログラムから色々な評価法のアイデアを取り入れてそれを学会にフィードバックする方法もあるのかなと思っています。私からのプレゼンテーションは以上です。 |
竹村 | ふたつの件をお話いただきました。ひとつは前回のまとめ。ついで、それを踏まえて色々な考え方があるんじゃないかということで、7つのカテゴリーにわけてお話いただいたわけですが、これが最終的に前回のワークショップの結果ということではなくて、その後いろいろなご議論のインターネットを通じてもありました。一度、皆さんスモールグループでこの点に関してお話いただいて、ご意見がございましたら、メモに列挙していっていただきたいと思います。 その後、今回のワークショップの本題「では、このようなアウトカムを得るためにはいかなるプログラムを用意したらいいか」ということについて議論していただきたいのです。例えばどんな施設が必要か、どのような施設ならいま発表していただいたような家庭医を養成できるのか、また、どのような医師が指導医として指導に当たるべきか。さらに重要なことですが、どんなプログラムが必要か。たとえば2年間の初期研修が終わったあとは1年目、2年目にこういったことをした方がいいのではないかという議論もあるでしょうし、3年間でこんなことができればいいのではないかとか、ご議論くださいませ。どんな形式でもかまいません。場所とか指導医とかプログラムの内容をざっくばらんにご議論いただけたらと思います。 |
●11月19日午後 第2部つづき グループ発表 グループA:森 グループAの発表をします。出雲市民病院からきました森と言います。 前回のワークショップを踏まえてから話をしたのですが、患者中心というよりもやはり人中心、パーソンセンターの方がいいのではないかという意見がでました。それから後期研修なので初期研修と違い、家庭医の後期研修はどういうところが「売り」なのかというところをもっと強調したほうがいいのではないかということで、出てきたのは、コミュニケーションのところでも外来という切迫した状況で技術が求められるということで、初期は病棟で、後期は外来という形ではどうかというふうになりました。 それから山田先生が作ってくださった、この1から7番の図は非常にすばらしい図だということで、ただもっとパッと見て家庭医の特徴を示して記述したほうがいいのではないかというアイデアがでました。一般の人から見ても「こんなお医者さんがいいわ」という風にしたらどうかと。たとえばどんなことでも相談にのりますとか、どこでも働きますとか。いつでもいいですとか、携帯電話をかけてもいいですとか、非常にアクセスができるシステムで安心をサポートするような記述ではどうかということで、山本先生が「心をわし掴みするアプローチをしてほしい」というふうに。 それから個別の話をしていったんですけども、知識と技術を適応する能力に関しては、やっぱり求められるのは初期研修と違って優先順位を決めたり、適切な紹介と言われました。タイミング、質の高い専門医を紹介します。適切なコンサルテーションのためにネットワークを利用できます。紹介後にも責任を持つという言葉が入った方がいいとなりました。 あと、単なるコミュニケーションではなく、限られた短時間で患者全体を包括的に看るということで外来というセッティングで学びましょう。その中には隠れたニーズの発見や隠れた思いの発見。患者さんの満足度があがり、納得できるような医療を提供できる内容がいいとなりました。NBMという言葉も入れたらどうかという意見もありました。 4はそのままでいいだろうということになって、選手宣誓のようなもので「私たちはこういうことをやります」ということで、知らないことも「専門外です」といわずに「調べておきます」という形でプロフェッショナルを追求しようと。 5の保健医療、福祉制度は家庭医には必須なので、たとえばケアマネの資格を取ったり、質の高いケアプランを提供しますといった内容を、逆にアピールしてもいいのではないかということでした。 6番は、受診しない人に対する予防活動をどうするかとか、ラジオやテレビに積極的に出たほうがいいのではないかとか。これは都市部でもコミュニティとして捉えるということでミニマムリクライアントに必ず入るという意見がありました。 7番目ですが、教育というのは非常に重要で、研修指導責任者というところまでは求めないけれど、頼まれたときに外来の教育ができるというレベルでどうかというで、教育するというのは非常にそのクリニックや医師のステータスになると。またそれは、患者さんから見ても「この先生は学生の教育もしているのだ」ということでメリットになるのではないかということでした。 研究については、なかなか時間がとりにくいという意見もあったんですが、やはり家庭医療学会をこれからどんどん大きくしていくためにも研究にはぜひとも取り組んでいただいて、少なくとも共同研究とか他施設の研究に参加するような形で年間に1本はその施設から出せるように義務としたほうがいいのではないかとのことでした。 最後にSaultz先生から発表のあった7キークェスチョンズを日本でもやったらどうかという意見がありました。以上です。 グループBは大きく分けて5つになりました。基本的には山田先生が決められた内容でほぼいいのではないかと。もう少しつけ加えるものとして、本当にこのプログラムが国民のニーズにあっているのか、きちんと確認しなければいけないということです。サーベイランスはどうするかとか、できた後に問題になったところも適時変えていかなければいけない。そういう潜在的な問題もあったりするので、そういうところをどうしたらいいかと。 Cグループは最初の話し合いの中で、このプログラムの目的などに話が膨らんできました。 グループD:細田 |
山田 | 家族指向型のカルテ作成というのは、私も知りません。というのは皆さんの文章の中に書いてあったものです。どなたか書かれた方にご説明いただければ。あと、1対1をイメージしたのは、研修医が診察をした、それに対して1対1で指導する場面を想定したものです。 |
竹村 | どなたか、最初の質問(家族指向型のカルテ作成)に対して答えていただける方はいませんか。 |
〇〇 | 推測なのですが、家族志向型のケアのひとつのツール、手段として家族どかという方法があるのではないかと。そう感じました。 |
〇〇 | 僕も想像なのですけど、多分高木さんのカルテをとったら高木さん一家のカルテが出てくるような、そういうシステムのことじゃないかなと思いました。家族カルテ。 |
〇〇 | ファビリテリを書いた上で、相互の関係についてコメントなどが両方に書き込めるとか、カルテと家族の情報が同時に取り出せる仕組みの2点だと思います。 |
グループE:小原 亀田メディカルセンター家庭医療診療科の小原と申します。 まず国民のニーズから、このプログラムがスタートすることは大切なことだと皆さんの意見が一致して、ぜひニーズ調査というものを実施すべきだ、という意見がありました。ただし家庭医というものをイメージできない一般の方への聞き取りには、結局どんな医者がほしいですかと聞いたときに、私はあくまで専門医に診てほしいとかいう言葉が返ってきてしまっては、元も子もないことで非常に危険すぎます。あとはメディアの戦略というかテレビ番組を見ていても、「頭が痛い」といえば「専門医に診てもらおう」という構成になっている番組がよくあって、国民の方が「やっぱりそうなのか」と思ってしまうと、こっちの流れとは反することになってしまう。そういうことも考えていかなければいけないと。 国民や市民の方へのアピールはわかりやすいものがいいのではないか。何でも診ますとか、何でもやりますというと、じゃあ何をしてくれるのだと、不透明でなにかうさんくさくなってしまったら困る。例えば小児の一時救急だったら診ますとか、私たちもできること、国民の方の希望していること、小児科の先生にも受け入れやすいことなど、折り合いのつくところで入っていって、その結果、患者さんと関係ができたら、実は他のこともできます、という形で広げていくといいのではないかという意見がでました。 ミニマム・リクライアメントの規定というのはすごく難しいことは勿論なのですが、それがしっかりすれば、それをどういったところで学べばいいのか指導医のイメージがついてくるのではないかということで、棄権することは早急に求められるし、議論が必要なところだという意見がでました。そこで決め方とし、例えばワーキングルーフみたいな形で少人数の方にコアになっていただいて、今年はこの分野について掘り下げ直すという、数年ごとに見直すという程度の形になるのではないかという意見がでました。 ミニマム・リクライアメント以外のプラスアルファの医療について。これは家庭医のできる範囲との区別があいまいになってしまうのではないかと。たとえばプラスアルファの部分でも臓器でこれは診れる、疾患でこれは診れると区切らずに、達成度を何段階かに分けたレベル設定をするとか、各々のケースについて対応ができるということも踏まえて、評価していく必要があるのではないかという意見がありました。 研修が終わる時点での評価もそうですが、ミニマム・リクライアメントの部分について制度のチェックを、3年のレジデンシーなら半年後とか、中間の時点で発表して、今、自分がどこまで出来るのかをしっかり認識したり、せっかく大量に立ってくる項目をむだにしないためにも再チェックをすることは必要なのではないかという意見もありました。 同じ設定で同じ患者さんを診ていても、たとえば自分がちょっと苦手にしている部分だと患者さんから聞きだせていない部分があるということで、ある程度一人の人で、経験をコントロールするのも必要ではないかという意見もでました。 最初の部分とも関連するのですが、ニーズの聞き取りを行って家庭医を作るということであれば、研修後のドクターというものがしっかりと皆さんのニーズに合ってますということを評価して、保証していくシステムがないと結局違うのではないかと。 最後に、ではどんなプログラムにしたらいいのかという話も出ました。診療所と病院をどの程度含めるかということは、地域性とか施設の特性によっても違うので難しいのかなと、ただ同じ診療圏でそれが設定できれば外来の継続性は保たれるのでいいのではないかとの意見が出ました。 研修はしっかりした指導医のもとで行うべきという意見が出たのですが、ではその指導医というものをどう規定するのかという、かなりコアな議論がありました。例えば学会主催のコースを受けてもらった人とか、認定を受けた人とか、学会員5人以上の推薦をとった人とか。この辺りも また話し合っていく必要があると思います。以上です。 |
竹村 | では、今の報告で追加意見がありましたら、ぜひともお願いします。 |
山田 | 前回の議論のまとめを山田康介先生にしてもらって、非常にいいのではないかなと、これなら受け入れやすいのではないかと思った。これを土台にして、でもこれから我々が家庭医療プログラムを作り、それを学ぶ人たちが目指す家庭医はとはこうあるべきだというところでは、結構いいレベルに来たのではないかなと思います。ただ、そうはいっても何か違和感があるなど、屈託のない意見を述べていただきたい。でないとこれから具体的なプログラミングというか、作業をすすめていってもなかなか難しいかなと。ただ本当に具体的なプログラムを作っていく上では、まだまだあと1回のワークショップぐらいでは完成するとは思わない。おそらく半年、1年かけて、評価しながら、色々なことを学んでいかなくていけないと思います。でも基本的にはコアの部分を共有しておかないといけないので、他にもこういったところを付け足しておかなければいけないのではとか、家庭医というものを固定的に表現したほうがいいのではないかとか、色々な意見があると思います。忌憚のない意見を聞かせておいていただけると有り難いと思います。 |
〇〇 | 前回も出ていたのですが、わかりやすい家庭医の表現というものを、ぜひ今回の間に作ってしまった方がいいと思います。前回も話題が出たのですが、なかなかまとまらず、やはり一般の人に通用する表現を、まず出さないといけないのではないかという気がします。そこを議論する時間が必要なのではないかと思います。ただのワンフレーズだと思うのですが、、どうでしょうか。 |
山田 | 先ほどの山田康介先生が作ったところにもう少し具体的な意味合いをつけて、でも表現としては「家庭医がいるおかげで専門医療への糸口がわかりやすくなった」とか「専門医を適切に紹介します」とかいったわかりやすい自身の中で提案してもいいんじゃないかなと。これはまだ硬いので、これをまた協議して雛形を作って示していきたい。なかなか2、3行のフレーズで言い表せないと思うので、なにかこう模式的なものを使って表現してもいいかなと思いました。何かご意見があれば。 |
竹村 | Saultz先生が何かいい絵を書かれていて。 |
山田 | じゃあここで見せていただいて。 |
Saultz 絵の解説(英語) | |
竹村(Sault先生の要約) | |
ミニマム・リクライアメントとマキシマムリクライアメントといろいろと議論がありましたが、レベルにわけて考えるといいのではないかということです。 | |
小林 | ちょっとさっきの話に戻っていいですか。みんなにわかりやすい用語がいいという話で、僕もちょっと考えてきたのですが。何科、何科とみんな聞くのですが、科の問題でなくて場の話だと思います。ひとつ思い浮かんだのが「外来診療のエキスパート」という言葉。外来の場が主で働く。そのほうが何科と聞かれるのでなくて。救急なら救急と呼ばれるし。外来診療ならわかりやすいのではないかと思いました。 |
〇〇 | わかりやすい言葉といったものですが、一般の人にも研修医の人にも見てもらえる研修目標のカリキュラムの前文を作るといいのかなと。「私たちはこんなお医者さんを育てます」と。それがあった上で、こんな研修目標があるといいのかなと思いました。それも山田会長の言葉で。 |
山田 | ちょっと荷が重いですけど。たたき台になるようなものはご提案できるのではないかなと思います。今日の雰囲気で、ある程度皆さんの思いというものがだいぶ吸収できたのでいいのではないかと。まだこのフロアで発言されていない方もいらっしゃるでしょうから、ご意見があればぜひ言っていただけるとありがたいです。 |
北西 | 先ほどの話に近いのですが、日本の医学教育の最も遅れている部分が外来教育だと思います。初期研修を指導する立場ですが、たしかに病棟教育は出来ていても、外来教育を指導する場がない。各科がやればいいのですが、特に家庭医療のプログラムを作るにおいては、外来教育の方法をみんなで高めあったり、タイムマネジメントをどうするかといったことなど、外来教育をひっぱる立場であればいいなと。そういうふうに強調すればいいなと思います。 |
〇〇 | 教育と研究ということに関して、何科でも教育と研究という形で高めていくことに加えて、プログラムを終えた人がそのままロールモデルになったり、教育者となってもらわないと発展しないと思うし、今回まとめていただいた中でも7番というのは重要じゃないかなと思います。 |
〇〇 | 前文の最後にニードというかリサーチみたいなものがあれば、それを目的として、家庭医としてこういうプログラムを作りますみたいなものができる。そこが抜け落ちると何のためにこれをするかがわからない。目的が書いてあれば説得力があると思います。 |
〇〇 | 国民ニーズや住民ニーズは非常に大事なことで、やはり調べた上で作るということは正しいと思いますが、時間的な問題やコストの問題などがあると思います。今お話がでたキャッチコピーみたいなものだけでもいいので、こちらで案を作ってそれを国民の皆さんに意見を伺ってみるというのは簡単にできる方法じゃないかなと思いますので、提案したいと思います。 |
竹村 | どなたか、いいキャッチコピーはございませんか。 |
〇〇 | 筑波大学の●●です。遅れてきたので、ひょっとしたら話が出たかもしれませんが。明日の作業の進め方で、キャッチコピーを作るワーキングチームだとか、前文を考えるワーキングチームとか、ある程度仕分けをして、それを持ち寄ったら一気にいくのではないかと思います。 |
竹村 | 時間もかなり押していて…たとえば、このあと懇親会があるのですが、そこで考えていただき、明日、一人1案くらい発表していただくとか。他によい案が思いついた人は教えてください、明日は明日のプログラムがありますので。 |
〇〇 | これは宿題にすればいいと思います。みんなが。明日、ベターッと貼ってもいいし。 |
〇〇 | それをまとめればいい。 |
竹村 | それでは皆さん、明日の朝9時までにキャッチコピーをお願いいたします。ユニークなもの、笑いのとれるもの、大歓迎ですので。他にこの際言っときたいこととか。 |
〇〇 | 今、実際にやっていてすごく悩んでいることがあって。それはホストの問題です。研究とか教育とか、いわゆる稼げない部分はホント退屈なのですけど。実際それを臨床の場でやるとなると、非常に難しい。プログラムを理想的に進行して、それを現場でやるとなったときに、どうすればいいんだろうかと。私自身、案はないのですが、そういうことを議論してもらったほうがいいのかと思っています。それと、キャッチコピーは私個人の希望としては「専門医」という言葉を入れて欲しいと思います。 |
〇〇 | さきほで、少し気になったところですが。山田先生のまとめの中で、「医師会と良好な関係を作る」。「我々は医師会ではない」というと、なにか潜在的な気分が…。同じ方向を向いていることが多いかなと思ったことが最近であり、去年の学会などでも感じるので。政治的な意味も含めてそっちのほうがいいかなと思いました。 |
北西 | 前回、今回と議論が深まったのですが、そもそもこの2回がどう活かされるのか、示していただけたらと思います。 |
竹村 | 一応今日までで、家庭医療後期研修プログラムのアウトカム、すなわち、この家庭医療後期研修プログラムを受けた人たちがどういう医師になるのかという議論はおわりにします。明日は皆さんでプログラムの内容について議論していただきます。これまで議論したようなアウトカムを得るにはどのような方法ですべきか、どういう施設で、どういう人が、どういうプログラムでやっていくかってことを議論していただく予定です。 |
〇〇 | 先ほどグループごとに発表した内容がそのように統合されるのでしょうか。アウトカムが今日で決定ということになると、今またいろいろな意見が出たものですから。 |
竹村 | もちろんこれは、今日明日ということにはなりません。今回のことはすべて録音されておりますので、テープ起こしをして、見直しながらまたまとめを作って次回に活かすという形になります。できるだけ早く、3回目に間に合うようにまとめておきたいと思います。 |
山田 | つめ方は非常に難しいところがあって、対立はしていないと思うのですが、調整しながら慎重に進めているところです。ただ、3学会で先週話したときも、「できるだけ早い時期に日本家庭医療学会としては、初期臨床研修が終わる人たちに焦点を当てて、その人たちのプログラムをまず提案します」と。他の学会の人たちは早く自分たちが適応するためにはどうしたらいいのだと言われている部分は多いのですが、「そんなことはうちは議題にしていません。一切自分たちのことはさておいて、新しい人たちのプログラムのことを集中して議論しています」と説明しています。ですから、今年度内に家庭医療学会が他の学会にも推奨できる家庭医療の後期研修プログラムのひとつのモデル、雛型を提案できるかなと思っています。だいたい3年間というプログラムの期間、どういった場所でどういった内容で――細かいことはこういったグループワークでは決まらないと思うので、ここで決めておかなくてはいけないのは、コンセンサス、皆さんの多様な家庭医療に対する思いや意見を意思統合して、これからプログラムを始めようとしている人たちの思いを共有しておきたいなと。あと、これからさまざまやらなくちゃいけないことが雪だるま式に多くなるので、それをワークショップでつめていくよりプロジェクトとしていろんな枠組みを作っていかなくてはいけない。今回は3学会のことや、初期臨床研修そのものが再検討されていることや、3月末で後期研修プログラムがいろんな専門医のところで始まるという状況を踏まえて、ある程度時間を区切ってやらなくてはいけないことと、あまり区切ってやってしまうとよくないこともあり、コンセンサスを得ながら、ある程度こちらで誘導してまとめながら、また提案しながらということで考えているところです。ですから1月下旬を予定している3回目を目処に行いたい。今年度内に、メディアに対しても、場合によっては公開シンポジウムのようにして、多少ビジターの人も呼んで、「我々が育てる次世代の家庭医」のような名前でやってもいいかなと考えています。なにぶんこれも今の状況次第というか、ちょっと不安定な要素があったので、皆さんにはわかりにくかったかもしれませんが、決まり次第できるだけ早く広報して皆さんに周知徹底しますので、ご協力をしていただきたいと思います。 今回のものも、出していただいた資料等もできる限りオープンにして、ホームページ上で公開するつもりです。ただまとめるという作業はすぐにはできないので、今回いわゆる概念についてのことは、こういった温度で共有できたということを基に、我々が提案をする形になると思います。それぐらいでご理解いただきたいと思います。 |
〇〇 | 今回の議論では、ミニマム・リクライアメント以外のところは、結構みんなそんなに触れていなかったのかなと思いました。最終的にそのミニマム・リクライアメント、研修の必修の最低レベルをどこにするかが一番面倒な作業になるのかなと思います。今回タイムパーも交わらないで、わざとうやむやになっているのですが、今後それも学会として決めていくのか。それとも個別の施設でゆだねる方針なのか、というのはどうなのでしょうか。 |
山田 | ミニマム・リクライアメントに関しては学会で統一したいというか、主導権をもつというか。そこは難しいかもしれないのですが、一応今日のような議論を基にして提案をしようと思います。それが受け入れられるかどうかわかりませんが、できるだけ受け入れていただこうと。そこは他の学会とも関係しているので、今日の議論をもとにミニマム・リクライアメントの部分は他の学会にも提案をしたいと考えています。 |
〇〇 | ひとつだけ確認を。今まで出たご意見で、この研修目標の中に家庭医らしさをもっと強調してもいいのではないかという意見が多かったのですが。全体としてはいいと、皆さん言っていただいているのですが、家庭医らしさをもっと強調する方向で組みなおす作業をしてもいいのかどうか、確認していただければそれができると思います。それを皆さんの総意なしにやっちゃうとまずいのではないかと。 |
竹村 | これはたたき台ということで、最終的な決定はまた後日ということになります。いかがでしょうか、草案、ドラフトという形で山田康介先生に考えていただいてもよろしいでしょうか。(拍手) |
参考 : 第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップのページ |
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