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HOME学術集会・教育集会その他の教育集会など 第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ(2005.10.15〜16) > 記録(テープ起こし)版・10月16日/前半

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日本家庭医療学会主催
第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ

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10月15日/前半
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10月15日/後半
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10月16日/前半
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10月16日/後半

◆ 期日 : 平成17年10月15日(土)〜16日(日)
◆ 場所 : 東京全共連ビル(東京永田町)
◆ 対象者 : 日本家庭医療学会理事(旧運営委員)、若手家庭医部会、現在家庭医療後期研修プログラムを運営している指導者、または将来立ち上げを計画している指導者(学会員に限る)

記録(テープ起こし)版 10月16日/前半
竹村 続きまして、田坂先生の方からお願いします。
田坂 田坂と申します。広島市で開業して、三代目の医者を引き継いでいる。●大を昭和56年に卒業して、大滝先生と一緒に研修を受けて当時からこの問題をずっとやっているが、やっと火がついたかと思うと非常にウキウキしている。半分、プライマリケア学会にも足を突っ込んでいて、ある先生が非常に誤解をされているので誤解を解くというか、こちらから情報を仕入れて向こうに流して解かないといけんかなあと思って来たところもある。みんな仲良く、よく言うんですが広島市内に5人だけ家庭医がいても仕様がないと思っているので、よろしくお願いします。
竹村 田坂先生がおっしゃるように、有益な議論を今日はまたしましょう。浜野先生どうぞ。
浜野 筑波医療センター病院総合診療科の浜野と申します。昨日は仕事の都合で参加できませんでした。すみませんでした。今、卒後4年目になりまして、自身後期研修の途中というか、これからどうしたらいこうか悩みを持っていて、今回、学会のこういう場で皆さんのご意見や自分自身の意見も入れながら、色々な形でディスカッションできるのを非常に楽しみにしている。よろしくお願いします。
竹村 他に昨日、今日通して自己紹介していない人はいないか?
雨森 滋賀県弓削メディカルクリニックの雨森と申します。後期研修プログラムはないが、昨年から北海道家庭医療学センターから後期研修医をうちの医院で継続して来ていただいて、一緒に診療している。できれば後期研修プログラムの方向を勉強したくてやってきた。よろしくお願いします。
竹村 大まかな今日の流れをお話したいと思う。昨日お話していました葛西先生の方から「理想的な家庭医」といったお話をしていただいて、昨日、現実に日本家庭医療学会後期研修プログラムで出来てくる医者と多少差がある可能性があるので、その点について多少皆で議論していただいて、昨日そんなことはうちは挙げなかったけど、どうしてそんなのが入っているのだとか、忘れていたとか、そういうこと議論があると思うので、議論していただく。その後にがらっと変わって、次回への布石ですが、実際に家庭医療後期研修プログラムを作った場合、うちはこんな不安があるんだ、こんなことって苦しいかもしれないとか、こんなこと出来ないとか、当然やるべきだとか、議論があると思うが、不安みたいなことがあれば、皆さんでまた小グループ討論していただく。それを討論していただいた後に、また同様発表していただいて、その後、大西先生の方からプログラムに関する一般論をお話していただく予定。最初に葛西先生の方から「日本家庭学会認定後期研修プログラム作成に向けて」ということでお話いただきたいと思う。よろしくお願いします。
葛西 パワーポイント資料)今日は皆さんの議論のきっかけに色々使ってもらおうということで。さきほど竹村先生の方から理想的な家庭医という話が出たが、理想というと、日本では実現不可能だとか、あるいはまあそうは言ってもね、ということがある。今日お話するのは現実的な、実際的な家庭医について、うちからの提案をさせていただければという風に考えているので、よろしくお願いします。我々は今、チームでいろんなことにプロジェクトをアプローチするようにしていて、今回の後期研修のワーキンググループ、後期研修のプログラム作りのワーキンググループというところでは、一応私が所長として関わるが、山田君をチーフとして、青い色になっているところがうちの4年間のコースを終わったフェローと呼んでいる家庭医の専門医。それからシニアレジデントも全員関わって意見を出せるような形で、かなりディスカッションを経てある程度の形にしてきたということである。昨日もお話したように、不文律、コモンセンスというところからあまり言葉にしていなかったところが、インターネットの時代になったり、今も山田君が二期生だが、佐藤君が一期生で、草場と水川君が三期生、その下が六期生、七期生となってシニアレジデントがそれだけいるわけだから、やっぱり言葉で伝える部分もあるし、全国でやっていただく参考にしてもらうには、やはり言葉を使わなきゃいけないなということで、いくつか作業してきたということである。今日はそのことをお話したいと思う。一番今日のお話で大事なのは、大きな目標を共有してもらいたい。大きな目標が違えば仕方ないと思っているが、大きな目標はとりあえず日本に住んで、もちろん世界に行く日本の人もいるが、それから我々が世界に行って日本の人を診療することもあるし、世界の人を診療することもあるかもしれないが、とりあえずは日本にいる人たちが、これから家庭医療というものを利用することになると思うが、それがいい家庭医療を利用できるようになりたいと。それからここにいる人たちは、ほとんど、これから家庭医療を養成する立場の人だと思うが、皆さんのところに集まる人たち、日本で家庭医を目指す人たちが良い教育を受けるようになって欲しいと。そういうこと。スライドもホームページ上に全部公開されるようになるので、皆さん大丈夫ですよ。細かくメモをしなくても。感想とかメモしながら聞いてもらえるといい。大事なことは、目標設定は大きな目標を共有してもらいたいわけだが、その時に良い家庭医療って何?良い教育って何?ということがある。これやっぱり充分学会としても、それからそれぞれ施設も考えていかなきゃいけないと思う。そうするとこれは、EBMと同じようなことである。教育についてもいろんなことを皆さんが研究して、例えば大西先生はそういう専門をやっておられるわけで、その中で内外の研究結果ということを、これはデイビット・サケットが言っているわけだが「良心的・明示的かつ思慮深く利用」するということが大事である。盲目的にそれに従うのではなくて、自分たちの立場も色々考えながら、だけど大きな目標に向かって良心的に動くことが非常に大事であるし、それを明らかにしてどういう理由から自分はこういうことでやっているんだと言ったらいいし、そしてそれを思慮深く考えてやってもらいたい。そうすると日本に住んでいる人、それから日本で家庭医療を目指している人たちのニーズを考えようということになる。その人たちがいいと思うことは重視した方がいい。ただ単にアンケート調査して、ニーズ化しましたということでは、まだまだ表面のことしか出てこないだろうという風に思う。これは充分話し合って、それぞれの代表となるグループ、包括するグループだとか、いろんなやり方があるかと思うが、その中で我々がこんなことを提供できるんだけれどもという話をして、それに対してどう思いますか?というようなこととか。あるいは我々が提供できるという風に挙げなかったことでも、こんなことして欲しいことがあって、それなら我々が努力して、こんなことがんばってやっていかなきゃなという風に、色々歩み寄って考えていく必要がある。そういう共通の理解基盤を見いだすプロジェクトを立ち上げていかなきゃいけないだろうと。これがまだまだ全然出来ていない。だから今回、後期研修プログラムアンケートもやられていますが、とっかかりだと思う。例えば研修プログラムを作る立場の人は、どんな気持を持ってやろうとしているのか、今日こうやって、メンバーの中から、日本から集まってきてくれたわけで、その人たちの不安も聞いてみよう。そして学会として何を提供できるか話してみよう。その中で共通の理解基盤が形成されるし、これが今度研修医たち、学生たちの誰でもやっていかなきゃいけないし、それからそれを利用する日本の人たちのことも、そういう作業していかなきゃいけないと思う。そして最後のプロセスとしては、これが一つの提案になるが、我々のところでは教えるときに教育なら教育とは何なんだ、ここで言うなら家庭医療とは何なんだということを、とりあえずの定義を作る。完全無欠な定義なんてないので。そしてそれでやってみる。そのことでうまくいくかどうかを評価してみる。フィードバックを加える。さらにそれを改訂する。この作業を繰り返していくのがいいのではないかということである。これは前にも夏期セミナーでもお話したと思うが、精神科で言えばDSMと同じ。DSMは、ディプレッションというものの定義がある。完全無欠な定義じゃなくて、とりあえずあの定義で診療してみましょう。あの人を物として診療してみましょう。抗うつ薬というものを使ってみましょう、あるいはインターベンションを加えてみましょう。その結果がどうなったかを調べてフィードバックかけて、このディプレッションの定義でよかったのかどうか、また考えてみてDSMも改訂している。そういうことで家庭医療の定義というのも考えて行ったらいいのではないかという風に思う。そして一般の人には言葉はいっぱいあるが、それぞれ分かりやすい言葉で家庭医療とはこういうことで我々が教えている研修医は、将来こういう家庭医になりますよ、と言った方がいいと思う。だけども、我々としても、これは当たり前じゃないという風に言われても、これを目の前にやってきた研修医の人にどう教えていくのかということになる。そこで我々としては教育のために使う定義というか、考え方を示す必要があって、これを先ほどのグループで、山田君をチーフとしてディスカッションしてきたわけである。そのプロダクトが皆さんのところにもお配りしたものになってきているが、とりあえず図で示すとこんな風になるが、これは昨日皆さん方から一部パワーポイントでUSBでもらったが、どんな家庭医を育てるのかということをグループでディスカッションしたプロダクトを見せてもらったし、それを教えていく上でどういうふうにしたらいいのか、カテゴリ別にやっていくとこのようになるのではないかという一つの提案である。まず例えばEBMだとかITとかそういったことも出ていたが、家庭医が必要とされるような基礎知識、技術、態度があるだろう、と。これは後で項目が細かく出るが、非常にベーシックなところでこういうことを抑えておかなきゃいけない。そしてその上で、広い範囲の我々が扱うコモンプロブレムをマネージする能力を見つける必要があるだろう、と。そしてこういったことが家庭医に必須なアプローチとして、いわば結晶化するようにまとまっていくというか、あるいは研修でいえば、例えば後期研修3年間なら3年間と設定した時に3年目ぐらいにはわりとまとまりのいい家庭医療がそれぞれの診療、例えば15分に設定されるとしたら、その15分の中のまとまりといったものが出てくる。その時にアプローチ法を使っていくと便利でまとまりが良いだろうという風に考えている。
山田 私自身、教育を受けたということと、今現場で研修医に教えているという立場であるが、こういう図にするとか、別に研修医にこの図を描けというような教えることはしない。学問としてこれを勉強しろという話ではなくて、例えば現場の実際に教えている面の例をお話すると、例えば研修医が中年の男性の方が足をひねってやってきたと。研修医が診察した。僕のところに報告が入ってきたと。誰々さんで50代の男性で足をひねったみたい、でも足をついて歩ける。「オタワのアンクルルールといいうのがあって、足をつけて歩けるから、それぐらいのレベルであればレントゲンは取らなくてもいいと思うので、今日は痛み止めで帰ってもらおうかなと思います」と言った時に、皆さんだったらどう患者さんか、研修医に返すのでしょうか。「あ、いいよ。そうして」と返すのかというと、皆さんそうじゃないと思う。皆さん、「僕たちに何をして欲しくてきたのだろう」と聞くのではないかなと思う。「本当は骨折でないかどうか、確認して欲しくて来たのかもしれないよね?」と聞くかもしれない。多分、皆さん普段、外来で普通にやっておられることだと思うが、研修医にそのこと「いいよ」と言うと、本当は大事なことを教わらずにそのまま過ごしてゆく。すると彼らは卒業した後にそのまま実践し続けていくと。それはまずいのではないか。皆さんが当然だと思っていることを、少し言葉にしようとか、これを教える項目として言葉にしておかないと、書いていない研修目標を見ると、研修医もそんなこと聞かなくていいんだというふうになるかもしれない。そんなこともあって、患者さんの期待であるとか、解釈だとか聞くということが研修目標に明示してあるという意味では重要なんじゃないかなという風に、実際に僕は現場で教えていて感じていることである。
葛西 どうもありがとう。今、山田君が言ってくれたように、確かにここに集まっている人たちは自分の日常の診療でこういうことをやっているのだろう。我々も違うことをやっているわけじゃない。そういったことをレジデントたちに教えていると思う。だけど、それを明らかに意識化すると。こういうことを教えているのだ、ということ。それからこういう風になっているとチェックリストに使える。例えば研修医がここをもうちょっと改善するといいよ、ということがこれを使って言える。図だけでなくて、文章に示したものもあるから細かくて大変だと思うかもしれないが、例えばこれはパフォーマンスのひとつをチェックするときにも評価するときにも使えるし、大体これを取り入れて教育していくこともできる。なぜそんな面倒くさいことをするのかと言うが、ひとつは実は面倒くさくないということ。これはやっていくと非常に何かそのとき名人技で家庭医療をやっていくというのではなくて、あるいはそれを教えるみたいになって、具体的だから分かりやすい。だから患者中心の医療の方法が方法として一見複雑に見える方法で出来上がっているのだということで、一回驚いていただいて、それが皆さんが今までやっていたことと変わりなくて、そしてそれを実際に敷居も高くなくて教育できる、学べるというところで、また二回驚いてもらって、ぜひこれはやっていただきたいと思う。例えは悪いが、技術的なところの問題で例えをすると、脳外科の専門医のする手術ということで考えてみましょうか。そうすると分野が違う人間とか、あるいは医学生とか初期研修医とかは脳外科の手術なんてとんでもない、あんなものできるはずがないと思うだろう。実際に、私も大変だなと思う。だけど、脳外科を専門にやっている人は、その手術をして暮らしているわけ。だからできる。ちょっと例えがなんですが、難しさでいうとそういうところである。そこに一歩踏み込んで実際にやってみて、ということをしていけば、その分野の人にはほとんどできること、ということであるし、そう難しくはないということ。指導医が少ないことも、これは非常に問題になってくると思うが、指導医を学会のワークショップのような形で、我々のところでお手伝いしてワークショップをやっていけば、そこで参加した人が色々教えることもできるようになるし、決して特定の条件でなければできないというようなことではないのだ、ということを今日は理解していただきたいと思う。そういうことも含めて、いろんなことでこれから研修プログラムを作っていくには、目から鱗というか、コペルニクス的な展開も必要になってくるかと思うが、例えばパラダイムのシフトということでいわれるが、我々はやはり教育に関して、パラダイムシフトを考えておかないといけないわけで、医療において色々あるが、問題提起をするのは医者という古いパラダイムから問題提起をするのは、患者という新しいパラダイムになったし、そして実際、諸外国での家庭医療の発達はパラダイムの転換、パラダイムのシフトということを理解して、担当するのに適切な人間たちが家庭医だったと。その分野が家庭医療だったということである。ですから、日本では色々悲しい歴史があったわけだが、世界でやってきたパラダイムシフトということをこれから考えて、教育でも学習者が自分の課題を設定するということで考えていけるわけです。ぜひその諸外国のように家庭医療の分野にいる人たちが日本でも、教育についても大西先生とかからのアドバイスも受けながら、我々が興味を持って、やっていきたいと思うわけです。そういったことは皆さんが昨日出してくれた教育研究ということについても、家庭医が考えなきゃいけないということは、皆さんグループ討論で出ている。だからそういうプロダクトも充分個々に対応しているという風に考える。もう一度言うが、大きな目標のためにいろんな方法を作って使って行こうということ。ここで、またサケットを出すが、さきほどのことで、イビュンというのは医療情報を使って、医療の標準化ということになるわけだが、研修プログラムを標準化する。これがこれから学会のプログラムを作る時に出てくる言葉だと思う。どうしても標準化というのは、我々アレルギーを起こす。何か制限されるのではないかとか、自分のやりたいことがやれないのではないか、と思うかもしれないが、私が考えること、私が言っていることだが、研修プログラムの標準化というのは、自分の強みは活かす、自分のプログラムでこういうことがやれるのであれば、これは殺すわけではなくてここを充分に活かしつつ、更に改善が必要なことについて、先ほど言ったように良心的に、イメージ的に、かつ思慮深く取り入れるということ。良心的にというのは、自分のプログラムのここが足りないということは、やはり言いにくい。だけど、それを大きな目標のためには、これが足りないからやりますよ、ということで他のプログラムで、あるいは例えば家庭医療学会の標準化したプログラムの中でよいものを使っていこうと。それをちゃんと、イメージ的に隠れてコソコソっとやっているのでなくて、我々今日から日本家庭医療学会の標準のプログラムで、今まで家庭医療学センターで足りなかった、ここを努力してやってみますと言います。それを思慮深くやっていく必要がある。こういうことをこれからしていけばいいと思う。だからこの後、私のプレゼンテーションに対するディスカッションをしたその後だが、皆さん方が自分のプログラムで、これから改善するためにどんなところを取り入れたいのか、それは裏返せば今のプログラムで自分たちが不安に思っていること、心配に思っていることを話してもらって、それを共有して学会として何か支援できないか、あるいは互いのプログラムの中で「あ、それ、うちちょっと提供できるよ」というような形で、ネットワークをここで組んでもらったらいいのではないかと思う。2004年のオーランドで、WONCAの前のCOのレスリー・ファーブ先生と、プログラムのコミティの院長のロバート・テラー先生が世界で家庭医療の発達していない6つの国の人間を呼んで、こういうプレナリー・セッションをやった。そのときに、私は、最後のスライドをこれから自分たちのやっていくことは、自分たちにやらなきゃダメな仕事はこういうことがあるのだということを話した。これはこれから学会で取り組んでいくことになるが、レジデンシプログラムを作っていくということ、それからレジデントシのプログラムの評価をする、研修プログラム評価のコミッティを作っていく、それからこれはまた3年先になるが、認定医試験についても考えなきゃいけないし、ひとたび認定医になった人を更にアップ・トゥ・デートしていく生涯教育というプログラムを作っていかなければならない。そういうことがあるが、それと共に日本では自分たちの考える価値基準がそういうことで、我々が自分自身にチャレンジする必要があると思う。日本では質を高くしようとすると、それは差別化になるとか、質が高いと敷居が高いという形でよく言われるが、皆同じである。やっていることは。それの良い方法があれば、それを皆利用してやっていけばいい。それからそういうことをしっかりと仕事をして、よくやったという形で皆が満足していけばいいと思うし、最近は、そのアウトカムベーストの、という言葉がキーワードとして言われて、終わりよければ何でもいいと言われますけど、教育のプロセスも大事にする、両方大事にするというバランス感覚が家庭医には大事だと、パク先生も前のプライマリ・ケア学会20周年記念の講演で言われたときにもそういう話をしている。ということで、積極的に本当に自分たちがやりたいのだということでいろんな企画を出して、学会と交渉する、また周りの病院と交渉する、調整していくことが大事であるという風に思う。日本家庭医療学会では、これからこういうことを目指して進んでいかないといけないと思うし、これは学会員、特にプログラムに関しては、ここに集まっている人たちが核となってやっていってもらいたいと思う。だから大事なことは、皆さん参加してください。それからローカルコンテクストというのは、非常に大事であるから、日本の。それから皆さんがいる地域の、施設の。そこのローカルコンテクストを大事にして関わっていきましょう。そして大きな目標を共有しましょう。大きな目標は再度いいますけども、核にするが、こういうことじゃないかと思う。こういう大きな目標がどうでもいいと言うなら、色々話はあるが、ぜひ、ここは共有して行ったらいいのではないかなという風に思う。皆さんが出してくれたプロダクトも色々機能検討して、三役とも話をして、私としては皆さん方のこういう家庭医がいいという所、細かいアイテムはまたディスカッションできるにしても、今のような大枠での共有プログラムを作っていくことが、より効率的ではないかと思う。細かいところは、これからワーキンググループを作って進めていけばいいと思う。だから理想的なというよりかは、あくまでも今の皆さんが育てたい家庭医という特徴を、どうやって実際的に学会として進めていくのかということのひとつの提案である。そして北海道家庭医療センターではそれぞれ細かい項目についてどう設定して、どうやっていくのかというところを、皆さんにお配りしたものに入っているわけで、これをそのまま学会のプログラムにしようということではない。ということで、私のプレゼンテーションを終了します。ありがとうございました。
竹村 葛西先生、ありがとうございました。大きな目標に対して、到達目標、個別目標が葛西先生が先ほどお配りになった資料の6ページ、北海道家庭医療学センター後期研修プログラム(草案)の6ページに載っている。こういう目標が立てられるのではないかということである。患者中心の医療の方法が実施出来る、地域医療や家族指向型の医療が出来る、地域包括プライマリ・ケアが出来る、家庭医療に特異的な問題解決技法を実行できるということですが。さて、皆さんいかがかでしょうか。できるだけ目標という点に関してぜひとも議論を。これはどういうことかとか、これはうちではできないとか、ぜひともこれを入れるべきだとか。色々議論はあると思うが、その議論をしていただきたいのだが、当初申したように喋りすぎる人は喋らないけれど、喋らない人はどんどん喋るというようなスタンスでいかがでしょうか。
●●(女性) 研修目標について、私がイギリスで感じたことをお話すると、研修目標というのは、例えばイギリスだとロイヤルカレッジでのGPがあるが、毎年あるいは2年ごとに目標が変わっていく。目標というのは時代や社会が必要な医療とか、そういうものを反映して、毎回毎回見直されていくものではないかなと思う。家庭医療学のコアな部分、例えばエージェントに対するアプローチ法とか、そういうコアな部分は基本的には変わらない。ただ、どういう医者を作っていこうかというのが研修目標だから、そういう部分ではほとんど見直されてリプルートされている感じがある。葛西先生が提示した研修目標は、今の時代では妥当性があるし、適切ではないかなと。私の個人的な感想だが。
葛西 ありがとうございました。時代に合ったということでは、今回また改めて驚いたことだが、オーストラリアの家庭医療学会のカリキュラムの本なのだが、カリキュラムが書かれているのだが、彼らが言っている図をスライドにすればよかったのだが、うちと似たような感じのいくつかの柱というか、コンポーネントで組み合わさっているが、その中にナショナルヘルスプライオリティというのがある。オーストラリアの国では今、何を優先させるかというところが、家庭医のその時代その時代で変わってくる。家庭医の教育の中でそこを重点的にやろうとすると出てくる。これはコモンプログラムの中に押し込んでもいいが、あえてそこを出してよりそこを重点的に教育しようということ。それが今、カルビオバスケア、キャンサー、コントロール、メンタルヘルスとか、インジャリーとかそういったことが出てくる。こういうことが時代と共にこれが必要になる。多分今、オーストラリアのカルビオバスケア、それが今、世界的なトレンドであるにしろ、今問題になってきている、交通会社が多いというのが出てくるかもしれない。それからアボリジニですね、ネイティブな人たちの健康問題とか出てくる。そういった形の学会も絶えず社会のニーズを共通の理解基盤で確認していくという作業をしながら、日本ではこんなことが問題だ、日本の研修医にはこんなことが必要だということが出てきたら、それは学会のプライオリティとして出してもいいんじゃないかなと思う。
山本 葛西先生がおっしゃっている家庭医療に関して、私は全然異論はない。先生たちがやってきたという医療を、すなわち家庭医専門医がやるのを家庭医療という文章になっているように見えたが、その時にプライマリ・ケア医という集団に入っていたり、総合診療医学会に入っていたりというような人と、大同団結しようとする時期にそこが引っかからないかなという気がした。すでに家庭医療というのはこういうことをやっているのだから、やっている人がやる、普通の医師がやるのが家庭医療というのにして、それをちゃんと資格を持っている人が専門医という風にすればそこはあえて専門医がやる医療は家庭医療だと、そこまで厳密に言う必要はないかなということが気になった。もう一つ別の話で、患者中心の医療の方法というのは、アメリカに行った先生なんかは、LEARNというのですね。Listen、Explain、acknowledge、recommend、negotiateというのが、まさに患者中心の医療で、それを置き換えたのが患者中心の医療じゃないかという風なコメントがあったので、僕はそうだと思う。意外とアメリカで家庭医療をやっている人って、理論はあまり知らないまま実践しているので、その辺はアメリカではどうなのか。伴先生にはわかるかもしれないが、と思った。
葛西 まずプライマリ・ケア学会、総合診療学会と一緒にやっていくときにどうか、というところは、ここは学会で戦略的に何か考えていく必要があるかと思う。だが、私が言っているのは、日本に住む人と日本で家庭医療を学ぶ人たちのために、ある程度そのフォーカスのはっきりしたビジョンでこういう風にやるんだよ、ということで、それ以外の人間はやれないんだと言っているわけでもないので、学会に入って若い学会員が目指すものとして、この研修プログラムでクリアなビジョンがいいかなという風に思っている。それからランのアプローチとか、バルサイコソーシャルモデルとか、いろんなモデルがある。これはヤンマー・クリニーの本を読んでもらえると分かるが、そういうモデルがあって、そして、そういったものを全部参考にしてきて、実際の方法として作ってきたのが患者中心の医療の方法なので、当然その要素も入ってきている。しかし、それだけじゃなくてこういったことが例えば実際の15分の診療の中で可能なのかどうか、自分の施設でそれをやるためには、教育をするためにはどうしたらいいのか、実際に考えることも必要になっていくし、どこでも家族とか地域とかそういう部分もここで入ってきたり、これをそれぞれコンポーネントをやっていくと、ある程度まとまりの良い、そしてそのこともアウトカムも出せる、良いアウトカムを出せるものが提供できることになる。だからアメリカもやっていないというのではなくて、一つの方法としてこういうものが出てきたというわけで、それは今まで、世界で色々言われてきた、アメリカで言われてきたことも含めて参考にしてきたということ。
竹村 小松先生はいかが。
小松 昨日も色々な場で働けるジナルスチャンという勉強があったと思うし、確かに今求められているところは、例えば僻地であるとか、離島であるとか、そういうところで働く先生方ではなくて、中小病院をベースに置いた、しっかりベースの先生方であると思いますし、その中で、さきほどの説明で、こういったアプローチ方法をもって、こういった医師を育てるんだと明確な目標が示されたと思うので、私は非常にこういう医師を育てるという、今出された目標も妥当だろうと思うし、そのためにはこういう明確なアプローチ方法、こういったスキルを獲得していけばいいのだと。非常にすっきり示されたのではないかと思った。
竹村 東先生
東  患者中心の医療の方法というのは、初期研修で全ての医師を教えたいと思うと、更に家庭医療コースだったら、どうすればバージョンアップされるのかなというのが、ちょっと分かりにくいなというのが感想と、家族を指向するということに対しても、家庭医療以外の人が何もこだわらないことかもしれないけれど、初期研修の段階である程度やらなきゃいけないかなと思って。どこまでを初期研修に入れて、どこからが家庭医療研修になるのか、というのをどうしたらいいのかなという風に思う。
葛西 初期研修からやっているとか、やりたいというのは凄くオッケーである。やってもらって素晴らしいなあと思う。後は後期研修からこれをやり始める。我々今、後期研修プログラムについて話をしているので、後期研修に一般のローテーション、スーパーローテンションをやっていた施設から本当やってきて家庭医を目指す人に、じゃあ、こういうことで提供しようというのをやる。だから初期研修ですでにやってきたということが、学習者の間でわかったら、学習者が更にどう学びたいのかということを聞いて、やっていけばいいと思う。基本的にはそれぞれの診療所で、うちなんかは4年間こういう風に言っているわけだが、やることは患者中心の医療の方法を、大きなフレーム枠を与えて、そしてそれがやれるかどうかをこちらがフィードバックしていく。そのうちに自分が今度3年目、4年目になると自分で自己チェック、自己評価をしてみることもやってみる。それからジュニアレジデントがやっているのを自分がフィードバックすることで、人のパフォーマンスをチェックしてみる。そういうことで深めていける。だから私も毎週、週に半日はこの方法を使ったトレーニングをビデオレビューをやりながら見ているが、その彼とか彼女は一週間ごとに変わっていく。2年目になるとグッと良くなって、3年目になるとほー、4年目になるとフェローになっていくと任せられるなという感じになる。そういうのは目に見える。だから初期研修でやってもらえるのは凄い、素晴らしいことと思う。
井田 名古屋の生協病院の井田と申します。元々総合診療を私はやっていて、現在家庭医立ち上げに関わっているが、ここでいつも問題になるのは、従来型の医療と家庭医療の違いをどういう風に今の医療情勢の中でやっていくかということが一番問題になってくる。例えば診療所ベースでやっていくという風になると診療所の予算はどうなるのかとか、あるいはどれだけの、例えば50人の患者さんが来ると医者を何人配置して、ということが問題になるかと。例えばどういう医者を日本で養成するかということ、どういう家庭医を養成するかということは、その家庭医がひとり立ちした時に、例えば自分で開業した時に、食い扶持をきちんと稼げるかということが前提になって、それがないとなんのかんの言っても、例えば収入が少ないからとか、例えば家庭医アプローチが対外的に認められないからということになると、そういうことがどうしてもないがしろにされていくことになるのではないかと思う。そこで必要なのは保険などのサポートと、後はそれに対する周囲の理解というのが前提というか、逆に言うと社会のニーズにどう即しているかというのが非常に大事になってくるのではないかと思う。この辺り何かあるか教えて欲しい。
葛西 どうもありがとうございました。家庭医療の実践、実際診療とか教育でひとつの誤解は時間がかかるのではないかということ。これについては確かに2分、3分の診療ではやるのは難しいかもしれないが、20分やらなきゃだめだ、30分やらなきゃだめだということはなくて、6分か7分、これぐらいのレベルでそれを継続して積み上げていくので、家庭医の診療は。このときに家族について聞いてみよう、この時に今までのことをして、双方の共通基盤を見いだそうとか、そういうやり方でやっていく。それから家庭医の患者中心の医療の方法の中のコンポーネントで先ほど言ったようにキーになるところは実際に実行可能であるかどうかということで、皆さんにあげた6枚ものの最後のページに書いてあるが、Being realisticというところで、ここで自分たちの診療所のリソース、現実的な時間や人や物の資源をどう使っていったらいいのか、そしてそれが今の日本の保険診療システムの中でやっていけるのかどうかということも、これ当然講評になっていく。こういう教育もして、現実的に対応していかなければいけないと思う。そしてそれを診療報酬に則るプログラムに反映させるような働きかけとなると、これはまた本当は学会が力を蓄えて、医師会とか政府とかに対してディスカッションをしていくことになるんだろうけれど、まだそこまではできないところです。ただ、それでも今の診療報酬の体験の中で、自分たちが診療所をやっていけるようなことを考えた現実的な対応はしなければいけない。例えば北海道家庭医療学センターというのは、かなりお金の面では厳しい。厳しいというのは、どこからお金をもらってやっているわけじゃなくて、自分たちの診療報酬でシニアレジデントを雇って、私の人件費も出して、スタッフの人件費も出してという、そういうシュミレーションを理事長から強いられているので、そこで赤字を出したらレジデントを雇えなくなる。そういうことは現実的にならざるを得ない。それは非常に大事な視点で、うちの卒業生たちも自分で経営していけるという風な、そういう目を持ってもらいたいと思う。実は本当にそれでいいのかというと、うちは結構過疎地とか、北海道でやっているというのがあるので、もっと都会でやったらお金がかかるのではないかということが言われるので、ひとつは都市型のプロジェクトを経済的にも考えてやっていけるのかということを今度展開していく予定であるし、一つのプロジェクトとしてお話すると、家庭医ということを日本でやっていくのに、どのぐらいの予算が必要になってくるのかということをハーバードのメディカルスクールと一ツ橋の経済医療政策の大学院が一緒になった、コラボレートしたケーススタディというモジュールを作っている。MBAの人たちがそのケーススタディで学ぶ。うちのは一つの例として出ている。まだ始まったばかりなのですが、教材を作って、ハーバードとMBAの一ツ橋の人たちがどんなことを言ってくるのか、楽しみにして。学会にもフィードバックしてやっていきたいと思う。
竹村 まだまだ発表したい人がいるはず。伊達先生や田川先生も。
伊達 今のコメントについて。さきほど財政問題を今、進めないと崩れてからではまずいので、高齢者は3割にするとか色々言っているし、聞いてもらわなくても意見は言い続ける必要があると思う。家庭医がきっちり機能すればかなりうまい循環、特に病診連携。私は携帯電話を全部患者さんにいう人が、家庭医の定義のひとつとするときがきたと思うが、必ず0.5時でそこでとどめて必要な人だけ専門医に送るとかすれば、かなりうまく効率よくいくと思いますので。少なくとも黙っていると小泉さん何をするか分からないので不安があって、今でもすでに受診抑制がかかって、必要な人が病院に来ない状態になっているので、聞いてもらえないかもしれないけど、コストに関しては意見を言って欲しい、言うべきだと僕は思っている。さっきからそのことをぜひ言いたかった。日本全体のコストのバランスをどうするか、家庭医がここでこれだけしたらこれだけ留めれる可能性があるとか、そういう議論は我々の中だけでつながらず、外へ発信して欲しいと思う。私、一つ、二つ別のコメントだが、やはりワンポイントの専門医じゃなくて、CMEがあって専門医なので、いわゆる持続的に教育するよという所をクラクションしていただきたいし、それが一番重要。もっと言うと皆さんからの不満とか不平はいろんなところにやってくるが、それをフィードバックして聞きますよ。例えばコムロとか割にいい活動していると思うが、あそこに不平不満が入ったら、家庭医療学のタイトルを出した人は全部フィードバックやろう、その先生に直接匿名でも記名でも行くよ、というフィードバックシステムも作りますよ、ということも重要。あと、地域のニーズというのは、僕はアメリカでびっくりしたが、うちの病院はパネルを作っていて、住民のニーズをほめられたので、「パネルって何ですか?」と聞くと、どうも住民の人に集まってもらってうちの診療所どういう風に運営したらいいでしょう、という話をしているらしい。自治医科大学の先生方は当然のようにされていると思うが、我々の普通の診療所もそういう流れで持っていくことも重要かなと思った。
竹村 コミュニティと経済。田川先生、経済的な問題では非常にお語りになりたいと察するのですが?
田川 話したかったのは経済の話ではないが、経済について少しお話するとすれば、私は今、奄美でそういうモデルをしようということで、私自身の考えとしては、家庭医もできたら病棟を持った方がいいんじゃないかということで、有償の診療所を一つ、奄美の島に持っていて、介護保険も含めて通常のリハとかそういうことも含めた診療所を、一応家庭医の一つのモデルにならないかなと思って、やり始めている。元々診療所機能としてはあったが、そこがやっぱり月300万は赤字を出していた。それで僕が行って、色々方法を変えて、多分8月から黒字が出ているが、これは色々な方法による。医者が僕一人だから、医者の人件費という意味では良いのだが、それをそこでレジデントを雇った時にどうなるか、ということはまだシュミレーションはしていない。それに関しては今後の課題である。ただ、先ほども言ったが、やはり入院患者さんを持つ専門医診療はしなくてもいいが、例えばいわゆる肺炎、例えば抗生剤をソウカイ(?)してしまう肺炎は無理だとしても、酸素を投与して抗生剤でいけるような肺炎であれば家庭医は見れるのではないかと。そういうことを考えた診療所というのをやってみたいという風には思っている。さきほどから皆さんのお話を聞いてみると、家庭医療とは何か、ということが何か私はこの会に参加するのが初めてだから非常に刺激を受けるのだが、研修プログラムということにそろそろ戻さないといけないのかなという気がする。その研修プログラム構築に関して少しお話させてもらうと、大きな目標、葛西先生が挙げられた2つというのは非常に僕もそうかなと思って。そのうちの後半の方、家庭医になりたいものが教育を受けるということに関してのプログラムということでいえば、例えば昨日から皆さん色々発言されているが、こんなセオリーがあって、こんなメソッドがあってというようなことをどんどん盛り込むことはいいかもしれないが、その上の、地域の人が、日本でもどこでもいいが、地域の人が家庭医というところに、どんな患者さんが家庭医の診察を受けようかなと思うかな、ということを考えた場合には、どのようなプログラムがいるかということも、ちょっと考えていただくべきことがあるのではないか。僕も年寄りではないが、皆さん見たらお若くて、どうしてもセオリーだとか、メソッドだとかというところに目がいきがちなのでしょうが、日本でもやはり家庭医の概念とか名前しか知らない。概念とかセオリーを知らなくても、10年、20年、場合によっては50年ぐらい、地域で家庭医としてやっておられる先生方がたくさんおられるはず。ただそういう人たちは、もちろん教科書も書かないし、学会でも発表しないし、そういう人たちの考えだとか経験だとか、なかなか出てこない。ただ日本でやる以上はそういう人たちの何か知恵をもらえるような方法を考えて、それを研修プログラムに盛り込めるような方法も考えないと、どうしてもその教科書とか学会発表というのは、欧米型ということになってしまう。それは日本に取り入れることは一番なのだろうが、日本でやる以上はそういう70歳、80歳で現役でやっておられる先生方の、そういう知恵とかを盛り込めるようなプログラムというものを作る方法も考えていいのかな、というような気がした。
葛西 田川先生、ありがとうございました。非常に大事なポイントだと思う。我々メソッド、メソッドと言われるかもしれないが、今、田川先生が大事なことを言った。そして何十年もやっている先生たちから、日本ではどういうことが必要なのかを知る必要があると言ったわけだが、あと方法を考えなきゃいけない。学会としては。だから私はローカルテクストを大事にすると言った背景にはそういうことも入っている。例えば地区医師会の中で、地域でやっているわけだが、そうするとその中で経験を積んだ年配の先生たちと親しく話す機会を作って、その中でこの地域でやっていてどうだったのか教えて下さい、といったような話も出来るのではないか。そういう方法もひとつとして、これから学ぶ人たちにアドバイスしてもいいのではないかな、という風に思う。
竹村 雨森先生はどうですか。昨日、議論に参加されていなかったので。
雨森 親友の刺激を受けているのだが、葛西先生が出していただいた目標とか、非常に素晴らしいと思う。先ほどからのローカルコンテクスト、その地域にあわせたメソッドというのも昨日から非常にたくさん出てきたが、非常に重要なことで。やはりアメリカのファミリープラティクスのレジデンシというのは、アーバンとか、ルーランとか、やはりプログラムによって分かれていると。そういうような色々のプログラムが日本の中であってもいいのではないかなと考えている。先ほどからのローカルコンテクストの中で、地域の医師会とかを巻き込むのも良いことだし、僕自身は、プライマリ・ケア学会のやっている者を知っているし、地域の医師会の方で初期研修なんですよね、地域プログラムの診療所実習の手配師が来ているが、非常になかなかむずかしいというのが一言である。80歳の人のところに行っていただければいいのだが、そんななかなか手を挙げてもらえないなと。個人的なアプローチでやっているというような形でなんとか広げている形。できれば後期の家庭医の研修プログラムの中で、親元の病院が、そこの中で、あるクリニックか何かを持たれるのかと思うが、そういうところ以外にも葛西先生とか来てもらっているが、実際にまた関係なしに地域の中で家庭医療とか、地域医療をやっている診療所のところで短期間でも研修するような機会を設けるようなことは必須にしていただいた方がいいかなと。自分のところだけでやっている目を持った人にだけじゃなくて、他のところ、例えば普通に私は開業しながら研修医を扱って、当然経済的にもやっていけて、教育もやっていけて、全部やっていける。全く赤字にしたら自分が首つるだけ、とそういうことが絶対ないようにやっている。やろうと思えばできるので、こういうことも考えていただければいいかなと。
浜野 今、卒後4年目で、自分自身、後期研修の最中だが、もしすでに昨日の議論の中で出ていたら申し訳ないのだが、今、自分自身が悩んでいることとして、他の人に何をやっているのと聞かれたときに、今みたいなことをゆっくり説明して分かってもらえればもちろんいいが、例えばそういう知識がない人とか、これから家庭医になりたい人に対してどういうものなのですかと例えば端的に説明する時だとか、ひいては国民に医療保険システムの中に家庭医の制度を入れていく時に、どうしてもやっぱり医療知識とか、そういう知識のベースのない人にもわかりやすい言葉で何かを示していく必要があるという形が出てくると思うが、後期研修プログラムを考える時に、できればそういう細かい目標プログラムと平行して一般の人、もしくは後輩に家庭医ってどういうものなのか、将来どういうものになっていくのか、もう少しイメージとしてうまく表現できるパラグラフというか、それを学会と一緒に考え、例えばあなたの専門医ですと、そういうような分かりやすい言葉を、もし学会として提示できればいいんじゃないかと思う。
葛西 いい提案だと思う。学会で懸賞応募みたいな感じ。そのフレーズを皆から集めてみてもいいと思う。私はまだそういう頭がないのでフレーズができないので、一応、特徴を並べて長いと言われるかもしれないが、一応網羅はしている。最近は一般の人とか学びたいという人には、最近いつもパソコンを持っているので、こういうスライドを見せる。こういうことだと、興味を持ってくれたら、こういう家庭医になる研修プログラムがある、というような形でこの次の話に入っていく。メディアの人なんか、一行ぐらい言ったら、そこでストップ、先生長いからって言われてカメラも15秒ぐらいでおしまい。なかなか難しい。だけどないわけではない。言えれば「これぐらい言える」と言って、「これいいですか?じゃ、やりましょう」となる。確かに短いフレーズは大事である。あなたの専門医です、と日本に言ったら引かれちゃう。もう少し日本にあった、ローカルコンテクストを大事にした、良いフレーズを募集したらいいのではないか。若い人たちから見て学びたくなるような、あるいは将来めざしたいような家庭医、家庭医療の特徴を一言で言ってみるとね。考えましょう。
佐々木 京都民医連の佐々木です。葛西先生の言った大きな目標には非常に共感できるものがあって、地域別に色々細かい設定はあると思うが、大きな目標を共有するのはすごい良いことだと思った。僕もちょっと民医連ということで、最初のウリが地域に密着したお医者さんへ、というフレーズに騙されて入ったが、実際は色々な場面があるが、地域に根ざしているなということもあれば、これ全然地域見ていないのでは、ということもあった。一般的に中小病院では、病棟を持っている家庭医、家庭医という意識はないが、やっていることは家庭医なのです。だからそのプロセスの中に自分がこう失敗したから今度はそうしているという、失敗を踏まえて、家庭的志向というのを作り上げているという人が多いと思う。それで僕も医者になる時には大体、皆半分は、言い過ぎかもしれないが家庭医ということを考えて医者になる人が多い。さっき筑波の先生がおっしゃったように、家庭医のプログラムを見て、僕はこのプログラムで将来こういう医者になれるというのが具体化して、具体化しすぎるとぼやけるかもしれないが、ある程度夢のあるプログラムを作って欲しいと言ったら他人任せになるが、そういう将来が語れる、見通せるプログラムができたらいいかなと思っている。
竹村 いい意見がいっぱい出てきた。個別目標としては葛西先生のおっしゃることに賛同する方が多かったという認識でよろしいか。
高木 京都民医連中央病院の高木です。今の、葛西先生の言われる中身で、目指すべき家庭医像がだいぶん明らかになってきて、大筋分かってきたかなというふうに思っています。今、悩んでいるところは、後期研修3年間で、診療所をずっとやるのがいいのか、病院とミックスしてやったほうがいいのかということです。研修医の方も初期研修2年間終わった時点で、あとはずっと診療所でやるという風に決めきって家庭医のコースに入ってくる人だけでなく、家庭医的なこともやりたいけれども、もしかしたら病棟や救急とかもやりながら、というような形で来る人も結構あるのではないのかと思ったりもするので、3年間、診療所ベースでするのか、病院と診療所をミックスして作っていくのかどちらがよいのか、教えていただければと思います。また、それと関係して3年間でのアウトカム、家庭医療の後期研修を3年間をやったらこうなる、というのは診療所で3年間ずっとやっている中身と、診療所を1年とか1年半とかで後は病院で研修するというのとでは到達度が違うと思うので、その点に関してもあわせて教えていただければと思います。
竹村 その辺のことでご意見のある方はいませんか。
山本 暗に診療所ベースの人だけのそういうプログラムを作るというのであればそれでよい。しかし、各大学病院の総合診療科の先生もそうだと思うが、総合内科医も含めたいわゆるゼネラルとしてのベースになる基本的な専門医資格を作りたいというのが僕の一番の関心事なので、そこをちょっと入れてもらいたい。内科学会が結局すごく緩めて、内科医専門医をいっぱい作った。その時に、日本では内科専門医がホスピタリストの代わりになるということでやってしまった場合と、僕は家庭医の資格を持っている診療所を経験した人たちがホスピタリストになる場合とでは、家庭医の資格を持った人がなった方が日本の医療はよくなると僕は思っている。だからできたらそういう風なことまで踏まえて日本の総合診療部に今いる人たちが、たとえ将来ホスピタリストになったにしてもその研修をやってみれば良かったと思えるようなプログラムにしていただきたいなと思って発言した。
山田 今の山本先生の意見を受けて、後で葛西先生の方からご意見があるかもしれないが、今、先生の質問にもあった通り、病棟を持つ家庭医というか、いわゆる診療所ベースの家庭医だけを目指して家庭専門医とするとか、あるいは一番最初の定義にもあったが、家庭医療は専門家庭医という人たちだけがやるというのは、やっぱりまだ御幣がある。僕自身は、やっぱりその病棟を持つ今の日本の地域医療ニーズというのは、比較的中小病院というか、一時医療の病棟管理できる人たちが圧倒的に少ない。昨日もお話したと思うが、日本の家庭医に求められているナショナルヘルス・プロパイオリティ、日本でのニーズというのは恐らくそういったことをやって欲しいというのは、もう入っているのではないか。勝手に外来だけをやるジェネラリスト、外来だけをやる家庭医だけじゃなくて、できれば家庭医の人たちが、今、山本先生がご指摘のように、どういった視点で病棟管理してくれたら、ずい分助かる部分があるのではないかと、いうことを盛り込んでいいのではないか。だから、家庭医専門医、家庭医、あるいは家庭医療専門医、どういう名称か分からないが、でも家庭医療学会をやっているわけだから、やっぱり家庭医という名称は、僕は認定医とか専門医の中に入れておくべきだろうと。グローバルスタンダードとしても、それは適切じゃないかな。この初期研修のプログラムをやるに当たって、我々はこういう提案をして、次世代の人たちにはこういう称号をしていこうと。名称については、三学会でもおそらくプライマリ・ケア専門医より、総合診療専門医より家庭医専門医の方がいいではないかというような合意は出来ていたと認識している。その中で我々は、後期研修プログラムについては家庭医療学会が三学会に対して提案をしようということで、この作業を始めることになったわけである。今後、実際のプログラムを進めていく中で、他の学会のご支援、ご理解の中で、共同作業はこれから進めていかなければいけない。ただ、とりあえず後期研修を始めるプログラムディレクターに値するような人たちが、まずどういった家庭医を育てていくかということは、共通認識はしないといけないのではないかということで、この会を始めた。最初から葛西先生からお話にもあったように、我々が家庭医というアイデンティティを持つたびに、やっぱり患者中心の医療だとか、こういう風に明記してあると非常にやりやすい。開業医の先生たち、実際の地域でその機能を充分に果たしておられる。そのことでも研修医を使って、研修、教育ということに参加することによって高めて欲しいというか、埋もれているというか、潜在的にこうやって、やっていることを背中を三つ育てというのでは、やはり新しい人たちに繋げにくいので、やっていることを細かく、実は表現すれば、他の先生たちは研修目標に値することをほとんど自然と身につけている。だから、そこをちょっと記述して、開業医の先生たちにも後期研修に協力してもらう代わりに、そういったことに気づいて明文化して欲しいと、一緒にこういったことを学んでいきましょう、ということを進めていけば、今の開業医の先生たちと充分リンクして、若い世代の家庭医が、自分たちのやっていることをそのまま、家庭医という言葉で今後はやってもらう、という感じになればいいのではないかと思う。それは別に家庭医という用語が似つかわしくなければまた考え直せばいいかもしれないけれど。一応、今三学会の合意だとか、グローバルスタンダードとか、そういったことを考えると家庭医という用語を使って、今の開業医の先生たち、地域医療を担っている人たちのことを非常に注目して、それを非常に重要な要素だと思っているふうに、研修、若い人たちを育てているということが社会に理解してもらえればいいと思った。まだまだこのゴールに向かって、今日提案したことが、葛西先生の言ったことが、家庭医療学会のスタンダードになって、このままやっていくから皆さん文句ないだろうというようなことを言うつもりはなくて、むしろいろんなところで現実的には問題があると思うので、今もちょっと発言を制限するようなやり方をしたけれど、今の時点でいろいろご意見があればぜひ活発に言っていただいて。僕も最初の先生の定義のところ。一般の人のですね。専門家庭医によって提供されるというのは、あまりよくないと思う。責任を持つ医師によって提供されるサービスとか、家庭医によって提供される。専門をはずしてもらえれば、とりあえず、というふうに思う。
田川 一つ質問をしたい。さっきのプレジャーセンターだが。専門医の先生方も我々よくやっていると言われる。あれを患者家族中心の、にするとまずいのか。あえてされなくてプレジャーとされたのでしょうか。
葛西 この中にコンテクストというと、世界の人たちは「あ、家族も入っているね」、そして「地域も入っているね」と分かっている。我々もわかるようになったらいいだけかなと思う。
田川 特に専門医の先生からよく言われるので。
葛西 ただそれは脳外科の術式について、みんな脳外科医が知ってても、我々はそれ何ですかと言うのと似ている。これはこう発表して見たい人は見るし、内容も見れますということで言っていた方がいいと思う。逆に家庭医を学んだ人がプレッシャンド・ファミリーセンターという言葉を覚えて、外に出て行って、海外で「それは何ですか」といわれると困ると思う。
田川 分かった。対外的ということ?
葛西 これはただアイデアとして、そういう核になるものがあるということでなくて、出来るということが大事で、例えば10分間先生が患者さんと診療する、それから脳外科の同期の人が診療するのをビデオにとって比べようっていうのでもいいと思う。別に僕は挑戦しなくてもいいと思う。挑戦して相手を打ち負かすというのは、あまり攻撃的な家庭医っていうのはどうかなと思うが。そして読み込む人は読み込んだ家族と地域が入っている、それから昨日もプレゼンテーションでよく出てきたけれども、次回お出でになるが、オレゴンのジョン・ソルツ先生が出しているCCCといっぱいCがくっついたコンテクスチュアという、最近新しいと言われるかもしれないが、コンテクスチュア・ケアというのは、よんでみると、ファミリーであり、地域のコンテクストを考よう、という話になってくる。それから我々が言っているのは、このところで、必須のアプローチの中にもう一本の柱として、ファミリーというのも入っていますよということになるわけで。これは少しスライドにするには、字が多くて見にくいと思ったが、原図はこれ。この中に4本入っているので、いいかなと思う。
小林 患者中心の医療の方法は、他の専門医の先生がやっていてもOKじゃないかなと思う。ここに必須のアプローチ法と、あえて書いてあるが、最初に家庭医に専門的なアプローチ法と書いてあったのが、その違いが分からない。他の専門医の先生がやってくれたらとても嬉しいと思う。患者中心の医療を他の科の先生と区別するポイントとして、あえて挙げるとすると段々苦しくなる、という気持があって。こういうのを全体として、コーディネートしてできるのか、家庭医の先生は。これができるから専門だと区別するようになってきたら、なかなか専門医の先生とギクシャクすると思うが、如何か。
伊達 私もギクシャクさせるつもりはないが、診察室の風景でドクターがいて、患者さんがいて、家族がいるというのが、普通の専門医の関係。家庭医の関係だったら、こたつの中にぐるっと回って患者さんがいて、他の方々がいて、一緒になってやっている。この雰囲気の違いを、もし言うなら言いたい。逆に言うと、変に患者さんを動かすと、こっちが動くと分かっているから動けないとか、そのしがらみの雰囲気が出るほうがいいかなと思って言っただけ。本人が全部知っているだけに辛いということがあるのだが。
細田 亀田医療センターの細田です。4年間、北海道家庭医療学センターで患者中心の医療ということで勉強して、亀田の方で教える立場でやっている。本当に思うのは、この前の他科の外科の友人と飲んでいた時に、患者中心の医療の話をしていたら、そんなの僕もやっているよと言われた。何が違うかと言われて、ちょっと困った。患者中心の医療という呼び方自体がすごく漠然としすぎていて、その辺の呼び方で非常に混乱もあるのかなと。あとテンセンド・クリニカルセンターメソッドの本なんかを見ても、ケンジングイグザンプル(?)というのは、心臓外科医がやっていたり、整形外科医がやっていたり、読んでみると皆卒前レベルで、カナダとか北米ではもうやられていて、山田先生がおっしゃったように、医者が、患者さんが咳で来たときに、咳がどのぐらい患者さんに影響を与えているのだろうと、どの方もやっている、だけどそれはあえて図式化して普及しやすいやり方になっていると思うので、あえて患者中心の医療を専門性のひとつという、非常に声高に言ってしまうと、誤解も、ある種呼び方もややこしいのではないかと思う。そういう意味では学会主導で、担い手のひとつとして総合診療学会とか、プライマリ・ケア学会とか、他の学会ともそういう患者中心の医療を共有していくようなスタンスでやっていけば非常にうまくいくんじゃないかと思った。
竹村 司会に関わらず一言そのことについて。WONCAのヨーロッパに患者ペリシャルセンターズと書いてない。パースンセンターズと書いてある。感じではない。そこ、ここにいる人センターズとなっているので、カッコして中心とすると、専門医はなかなか難しい。健康な人も入っているから。まあいいかなと思う。
小林 防衛医大の小林です。少し話が戻りますが、山本先生が総合内科とか、私も総合臨床医なので同じ境遇であるので、やはり家庭医療ということは、ある程度特性があって、内科医でできてはいけないことだと思う。これから専門性を出すことによって、GINとか総合内科学とか言っているが、それと異なるもので、プログラムを作らなければいけないと思っている。ただそれを相反するものにしようという考えはあまりよくないと思う。先生がさっき言ったように家庭医療の志向をもって、結局働く場所は、最後は病院の内科を中心にした病棟DRCがやれば、とても良い医師になると思うし、そういう素養を持ったジェネラリストの内科で働く医師が出来たら素晴らしい。それをプログラムの中でどうするかと話が問題なだけで、それを3年の家庭医の後期研修プログラムだけでは、多分、実際やって行くには、無理ではないかと。いくらエレクティブとか作っても、家庭医療に必要なコアなコンポーネントをやって、エレクティブを全部内科にやったとしても、まだまだ市病院で、内科で病棟を背負ってというか、結構厳しいかなと思っている。これは一つの方法だが、そういうプログラムの場合は4年更新するとか、5年更新にして、家庭医療の研修も含めたプログラム。全部が3年である必要はないと思うし、その辺他の学会とうまくやりながらどっちにも進めるように、ということで家庭医療はやっぱり、私は外来中心の医療をする専門医を育てるところで、総合診療の内科の方は、病棟を中心として、といったところが活躍の場が将来的に違うのではないかと思う。
山本 僕は地域医療とか家庭医療をやる人は、家庭医専門医のプログラムを取った人がやってほしいし、日本でホスピタリストと言うときには、この家庭医のプログラムを終わって内科認定専門医を持っている人をホスピタリストにするという風にすれば、内科学会からも文句は出ないし、非常に良い医療ができるのではないかなと思っている。ただこれが総合診療学会の考え方や、内科学会の考え方ではないので、そこだけ補足しておく。
竹村 プログラムも押しているので、ここら辺で。目的に関してはこういう議論があったということで。最後に一言、葛西先生の方から。
葛西 皆さん、活発なディスカッションどうもありがとうございました。これで最後の話だが、皆さんのディスカッションを聞いていて、一つは管理運営、制作に関わるようなことをきっちり考えて、検討していくワーキンググループが必要だと思う。だから病棟でやるのか、外来でやるのか、あるいは他学会とどういう風な形でやっていくのか、市民に対してどういう風にやっていくのかというような辺りは、制作として、管理運営の手続きのこととして、考えていかなければいけないと思う。それともう一つは内容。研修プログラムの内容はどうなのだと考えて、それを両者合体させて外へ出していくようにしないと、どちらがまずくても、学生も来ない、世間からもそっぽを向かれるということになる。これは一応、家庭医療を研修するのに必要な内容がこんな風になるのだなということだが、誤解を受けないように最後に一言付け加えると、これは外来でやらなければ駄目だと言っているのではない。それから、病棟ではできないのだということも言っていない。それから誤解があるが、我々の家庭医療学の後期の2年間のプログラムは、外来だけやっているのではない。例えば、山田君の所にいく更別の6ヶ月、ここは有償診療所である。ここで入院病棟を診る。この4月から始めたと津(?)という所も、前の道立病院が町に移管された病院だから凄く忙しい。急性期も含めた入院病棟もやる。そういうことで、決して外来だけではない。もちろん在宅ケアもやっていく。その病棟でも、こういうことは教育、学んでもらうことはできるわけである。そういうことがある。だからそれぞれの方からとってくるコンテクストで、どのくらい診療所にかけるのか、どのくらい病棟にかけるのか、やっぱり色々考えていって、けれど全体としてはこういうことができる教育ができるようなものを作っていったらいいと思う。そしてそれぞれの個々の、例えばコモンプロブレムのマネージメントには我々の今のところのローカルセッティングでの推奨を掲げて、あとはオプションにしているが、そういう推奨オプションの項目の選定についてもこれから考えていけばいいと思う。我々のアドバンテージはあともう1年ある。一応4年間プログラムでやったので、学会の方で3年間となると、もう1年我々はフリーな時間を使えるので、そこで今、いろんな3年目をどうするか、と今の後期2年プログラムから3年プログラムへどう移行させるかと、今、ディスカッションしているところ。例えば病棟で1年間みっちりやって、ということも有りかもしれない。いろんな可能性があるから、あくまでもこの内容が制作でき、管理運営の部分もしっかり考えて、学会としてそれこそ良心的、かつ思慮深くやったらいいと思う。ありがとうございました。
竹村 ちょっと予定を変えることにした。15分まで休憩で、その後、大西先生の講演を最初にさせていただいて、それを受けて質問及びディスカッションをしていただき、その後全体討論ということにさせていただく。よく喋る人もどうぞ。あと若手の人も静かにしているが、どうぞ喋って。

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