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HOME学術集会・教育集会その他の教育集会など 第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ(2005.10.15〜16) > 記録(テープ起こし)版・10月15日/後半

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日本家庭医療学会主催
第1回 家庭医療後期研修プログラム構築のためのワークショップ

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10月15日/前半
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10月15日/後半
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10月16日/前半
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10月16日/後半

◆ 期日 : 平成17年10月15日(土)〜16日(日)
◆ 場所 : 東京全共連ビル(東京永田町)
◆ 対象者 : 日本家庭医療学会理事(旧運営委員)、若手家庭医部会、現在家庭医療後期研修プログラムを運営している指導者、または将来立ち上げを計画している指導者(学会員に限る)

記録(テープ起こし)版 10月15日/後半
竹村 そろそろ次の会を始めさせていただきたいと思う。今までいろいろな方からいろいろな施設の紹介があり、その中でいろいろなヒントを皆さん得られたと思うが、さらにもう一つ現状ということで山田会長のほうから「日本の家庭医療の現状」ということで少し語っていただいた後、みなさんに各グループごと熱いご議論をいただきたいと思う。
山田 自己紹介だけで2時間ぐらい経ってしまいましたが、ご苦労様でした。比率からすると自己紹介が長かったと思うが、今回、こういった研修プログラムを作ってもらうプログラムディレクターに値するような人たちが中心になるということで、3回シリーズでやるので、それから全ての皆さんがお互いに全員の中で分かっていたほうがいいのではないかと思い、あえて時間を長く取った。これから10分か15分ぐらいで説明するのは、これは家庭医療学会の時のシンポジウムや、その後理事会でご説明した資料で、重複して聞かれる方もいるかと思うが、ザッと今回の作業の位置付けみたいなものをお話できればと思う。
パワーポイント資料)家庭医療学会では、大西先生や大橋先生がおっしゃったとおり「家庭医」という業務に憧れて家庭医療学会に集まってこられて、ジェネラルなことを志すという若い先生たちが非常に多くなってきたというか、そういう熱気に押されて 研修プログラムを整備しなければいけないのではないかというのが非常に大きな話題となってきた。そういった中でこういった作業が進んできたわけである。家庭医といっても日本の現状を考えると本当に家庭医なんているのかと。さっきの東京のど真ん中でという話もあったが、本当に家庭医がいるのかというようなことに関して、僕らが独りよがりな家庭医をいくら作っても国民に受け入れられなければ何の意味も無い。だから一体今の状況はどういった状況かということを認識していく必要があるということで、今は臨床研修必修化●医局在籍医師がわりかし少なくなったとか、その影響で田舎や就職病院の医者も少なくなってしまったとか、非常に就職病院が小さな病院は経営状態が非常に苦しくて、そういったところで総合的に働くお医者さんが少なくなってしまった、専門医の人たちは専門●しているのだが、楽に開業して楽チンな職場になっていくとか、そういった中で、本当に国民のニーズに応えているのかという、一種の集団が。今まで大学病院でだいたい医師を育てて、大学病院から地域の病院へ派遣して、●医療や周囲の医療を担ってきたわけだが、その●みたいな格好で、ここでやっているのだからたまには地域にも行けとか、田舎でも行けということで、第一線のいわゆる地方都市、あるいはそれ以下の小さな病院などが、そういったところはどちらかというとここで育った医者にとっては非常に不遇だというか不利なところだが、良くも悪しくも講座制というのがそういった医師まで教育していたと。それはあくまでも専門医療を中心にしてバランスがとれていたということである。そういう状況が続いてきて今の現状なのだが、現状では都市部にはある程度集まるが、地方には東北なんかはそのシビアな例だが、100床を切る公立病院クラスの常勤がいない、欠員になっているというのは、今では常識のような話になってしまった。地方のほうに行くと、大学病院でごく小さな専門をやったが、そういった人たちが嫌々地域病院に来られたが、実はそういったところから非常に全科的な患者さんがやってきて、非常にそういった人たちがうまくこなせないと。いくらこれ以上専門医を作っても、地域の病院も含めて医療ニーズに応えていくことはちょっと難しいのではないかと。ここに、一番上に大胆にも言っているが「専門医の集合だけでは日本の地域医療ニーズは支えられない」そこをしっかり認識するべきだと。そこで、僕らが培ってきた経験の中で、作らなければいけない、養成しなければいけないお医者さんは、やっぱりジェネラリストというか「家庭医」だという用語である。それは今日も研修医の中で総合医だとか地域医療、プライマリケア、僻地、離島医療など様々な用語があったと思うが、それは同じような概念だと思うが、言葉にあまり●される必要はないと思うが、やはり患者さんが臓器に合わせて受診する医療から、患者さんに合わせるプレシャント・センタードと言われている、そういった医療に変わっていかなければいけない。そのためには総合的な診療能力と、継続的に関わる人たちが必要だと。全体的には都市部のほうが人口が多いかもしれないが、都市部も含めて全身を診て継続的に診てくれる医師を求めている地域の医療ニーズは非常に高いと思う。それに合わせてバランスよく医師を養成していく必要があって、やはり専門医だけを育てるのではなく、家庭医、ジェネラリストを育てなければいけないということをしっかり訴えていいのではないかと思う。これは家庭医療学会だからそう言っているのではなく、現状を踏まえた上で、そういった地域に合った医師を育てなければいけないということである。そうすると、そのキーワードは多分、コアな部分だとか、それぞれ要素があると思うが、これはたまたまどなたかのスライドにあったと思うが、やはり専門、臓器別の診療医だけではなく、家庭医というようなことをやらすとすると、全身が診れて、一次救急が出来て、外来診療能力が優れていて、他の職種の人たちとうまく強調できて、一番最後にもっとも重要だと思うが、継続的な診療が出来ると。そこで、うちでは、家庭医の認定制ということを始めようという気運が強まってきたが、家庭医療の専門医を作るということには、まだまだ整えなければいけない状況がいっぱいあって、明日から日本家庭医療学会が専門医を認定して、それを受けて受かった人は表号できるようになりました、ということをやると、途端に明日から新聞のネタになって、また何が起こるか分からないということになるので、そういう修羅場はもう経験しないと。少し賢くなって、うちの家庭医療学会の方向としては、次世代の家庭医を担う、ジェネラリストを担う人たちに対して、とにかく我々は、ここに集まってきた人たちは、自分のことをちょっとだけ外に置いておいて、新しい人たちにどういう研修を提供するのか、その研修をしっかり評価を受けて認定されるように、プログラム自体の質をしっかり保障していく必要があると。日本には専門医の認定医試験が数多あるが、専門医の認定医試験、内科でもそうだが、プログラムというか研修そのものを評価している認定医試験というのは全くない。非常におかしなことだが、試験だけ受けて合格すればいいとか、何やかんやいろんなことを●指図されてやってきたが、最終的には学会費を何年間払い続けて試験に合格すればいいと。で、やったこと経験したことは、症例経験数として社会●では求められても、プログラム自体どんな指導医でやったのか、どんな場所でやったのか、どういうことが評価されているかというような内容のことをしっかりやっているところがないというのは、非常に奇異というか、●作りだと思う。そういう意味で、家庭医療学会が今回、新しい世代の家庭医を養成するにあたっては、現状の人たちの経過処置ではないが、そういった人たちの標榜だとか、そういったことには一切しばらくは気にしないで、新しく育てる人たちの研修のプログラムをしっかりやろうということである。その代わりこれを国民ニーズに合ったものに作らないと、ここで育った人が使い物にならないというか、作ったはいいが、こんな人は誰も必要としてないと言われたら何もならない。だから、あくまでもこのプログラムを終わった人たちが、国民に受け入れられる、こういったお医者さんが欲しかったと言われるようなプログラムを、我々が責任を持って作っていかなければいけないと思う。一つのモデルになったのは、葛西副会長とアメリカに行った、アメリカは別に家庭医だけではないが、ちゃんとプログラム評価というのがしっかりできていて、特に権威を持ったNGOへCG●という、プログラム研修の認定機構、日本でも今、専門医認定機構というのが立ち上がりつつあって、そういったことになってくると思うが、まだまだ専門医を束ねてどちらかというと認定医制を横並びにできるだけやっていこうという動きだけで、プログラム評価をしようということにはまだ一切なっていないと思うが、将来はおそらく専門医評価機構というのがプログラム評価をしていくことになるのではないかと思う。その先がけとして、こういった研修プログラムに関する評価と認定を学会でしていこうということである。で、いわゆるNGO、いろいろ学会が●してプログラム認定をしていく施設とは別に、家庭医療学会だけではなく他の科もそうだが、アメリカではRRCというResidency Review Committeeがあって、その中に学会の代表者、研修責任者、ボードの責任者、アフ●テーションコミッティーからの人、それからエージェントの代表という人たちが集まって、評価をして、このプログラムはあと1年大丈夫だとか、これはしっかりしているから3年認定していいとかいうことをやっている。このRRCに似た評価と認定の仕方が家庭医療学会でうまくできればいいと思っている。認定医試験は、もちろん3年間終わった人たちに対してやるが、これはまだ3年間余裕があるので、3年間考えようと。ここはいろいろな、これこそまさしくまた認定をするということになると世間を騒がすことになるので、また家庭医療学会以外のプライマリケア学会、総合診療医学会、あるいは日本医師会や他の団体ともよく協議を重ねて合意をしていこうと。これはたまたまRRCに実際に参加したときの風景だが、みなさんがやろうとしているプログラムの書類が山のように、だいぶん大きな・・・何十ヶ所というのを5日間か6日間かけてやるのだが、プログラム認定をして、そこのとこだったら、ここでプログラム認定をしようというようなことを・・・。非常に印象的だったのは、サイトビジットといって、この中の委員が必ず二人でペアになって、違う時期に一人ずつ病院に訪れて研修医に直接インタビューをしたり、あるいは指導医にインタビューをしてその評価を書くというようなことで、非常にパブリックというか、非常に外に対して責任を持っているというか、自分たちが生み出すプログラムや研修に対しては、社会からの責任という立場を非常に強く感じて活発にホットな議論がなされていたのが非常に印象的だった。そういったことが、うちのこれからプログラム認定をしていく皆さんとプログラムを作る、あるいは認定する仕組みを作るという時に活かされればいいかなと思う。これはシンポジウムの時に使ったが、今後、どういった人を家庭医療専門医、家庭医療専門医という名前がいいかどうかわからないが、家庭医認定●がいいかもしれないが、将来家庭医と呼ばれる人たちがどうやって認定を受けるかという概略である。一応、2年間研修後、2年間のスーパーローテートはおそらくまた変わるかもしれないが、スーパーローテートは家庭医にとっては必須のものなので、スーパーローテートが1年間に省略されたとしても、家庭医療学会としてはスーパーローテート2年間必須のものだと。そのあと一応、今日も議論の中には2年から4年の後期研修ということを考えられているようだが、他の認定医との整合性を合わせて考えると、最低でも3年間のプログラムというようなことを意識したほうがいいのではないかということで、後期研修、専門医研修のプログラムとしては3年ぐらいを目処に考えようと。それから、これで出てくる人たちが3年後にこういった試験を受けて家庭医になるわけだが、それ以外に経過処置として、他の内科コースを選んだ人が再研修プログラムを経てから、あるいは場合によってはプライマリケア学会や日本医師会とのネゴシエーションかも知れないが、この人たちが生涯教育プログラムをある程度単位を取ったら受けることができる。あるいは一切何も受けなくても学会員になった人たちは表号できるが、3年ごとに更新しなければいけない。そこで振り分けをするとか。いろんなやり方があると思うが、こちらはどちらかというと認定医試験のためのネゴシエーションみたいなもので、こういうことは政治的なことが多いので、あまり関わりたくない。ここだけ皆さんと一緒に純粋に考えて、どういった若い医師、ジェネラリスト、町医者、家庭医を志していくときに、どういったことを提供してどういった医師になってほしいかということを、皆さんのコンセンサスを作って欲しいということである。そして、家庭医療学会は今こういったことで重点項目に挙げて執行部で考えていた。法人化といって、今までの友好団体で、家庭医療が好きだとか、家庭医療に興味があるということだけではなくて、活動するためには社会に責任を持つということで、法人化の手続きをして、もうじきだと思うがNPO法人化されることになった。今回はこれだが、研修機能、後期研修プログラム認定医評価ということを重点項目に挙げてやっていこうと。それ以外ではこういったことの連携もしていこうと。で、今後の予定というか、今回の第一回のプログラムディテクター会議と書いてあるが、基本的にはそういったことを意識して、プログラムのディテクターに関係するような人たちが中心、もちろんそれ以外の人たちが今日みたいに集まってくれるのは非常にウエルカムだが、どちらかというとプログラムディテクターの会みたいに進んでいけばいいかと思っている。今日の段階では家庭医療とは?とか、日本に求められる家庭医とか、研修プログラムの必須要素とか、そういったようなことについて、今日明日ぐらいで少しでも議論ができればいいかと思う。一番重要なのはここの会場にいる人たちのネットワークができればいいかと思う。二回目がレインペペットだが、11月19、20日の土日。二回目、今度は実際に研修プログラムの作成をするワークショップを1泊2日でやる予定。この時には、海外の事例と称して●から先ほどのRRCに出ていたSaultz教授に来てもらう。アメリカでやっているやり方、そういった一応先進事例を得ることができれば、それも聞きながら、それを活かして我々の共通したミニマムリクワイアメントというか、いわゆる学会としてのスタンダードというか、そういったもののプログラムの、こういった案件を満たしていて欲しいというようなことができればいいかと思う。もちろん、大学に●設定のものを100%要求するというのは非常に難しいと思うので、他の資源も活用しながら、でも診療所での研修を必須にするとか、プログラム上での必須項目を次回の時には作成して、それを発表しようというふうに思っている。第三回のときは、そういった流れを受けて、プログラムを作ってからそのあと、評価のシステム、そういったことを話し合いたいと思っている。で、第三回の時には是非、市民に対する公開講座というような格好で「日本の家庭医」ということでメディアの人も呼んで、あるいはこの時は、いろいろな利害を関係する人たちも入っていただいて、例えば医師会や厚労省や、あるいは他学会や他の団体や、あるいは市民団体だとか患者団体だとかいう方も含んで、一体僕らが作ろうとして提案していることに関しては受け入れられるのかどうなのか、あるいはそういったことに対してどういった社会の評価があるのか、そういうことを含んだうえで、我々は次の戦略というかどういった方向性でやっていくべきかということを考えていく。これは非常に拙速だが、多少時間がない作業かも知れないが、今日、次回11月、三回目は大体1月の年明けを予定して、これから日程調整をするつもりだが、最終的に社会に対して発表しようと。プレス発表みたいなものである。家庭医療学会が正式に考えているプログラムの認定評価ということを言おうと。そういうことで今回、第一回目のシリーズということで、今後こういった流れがあるということを●ください。
竹村 では、今からが本題ということで、日本家庭医療学会が家庭医療後期研修プログラムを作ったならば、どのような家庭医療専門医が出来る、出来た。その出来上がったものはどういうものか。理想の家庭医は何かということではなくて、日本家庭医療学会が認定するプログラムを作った場合、どんな家庭医療専門医が出来るべきかということを各グループで議論してください。議論していただいた結果を箇条書きでもいいので、書いていただいて、後ほどグループごとに発表していただく。おおよそ1時間ぐらいかと思っているが、議論を今からしてください。誰か発表する人を決めておいてください。
山田 家庭医療学センターの山田です。先ほど皆さんに僕が作ってきたものを配ったが、めくってもらうと別冊参照と書いてあるところがあって、その別冊の部分を今から配ります。

(― グループ毎の議論開始 ―)

竹村 そろそろ時間もないので。一番奥の班から出来ていますか。では早速、一グループあたり10分ぐらいで説明していただきたい。
Word資料)僕たちの班は4つの分野に分けて、診療と地域と管理という分野と、研究と教育という4つの部門に分けて実際具体的にどういうことか、というのを一つずつ当てていった。見ていただいた通りだが、全年齢を診れる。ACLS、BLS・・・comon problemsに対応ができて、GPとして病院・診療所問わずどこでも働ける。心理社会的対応ができて、統計的に自分の診た患者を8割から9割対応していて、残り一割から二割は紹介しているというような感じになれたらいいのかなと。あと診療に加えて、適切な紹介とフォロー、予防医学もできて、在宅、緩和医療、EBM、認知行動療法、医師患者関係をきちんと築けるような内容と、診療の部分が多いが、介護保険をきちんと利用する。家族志向のカルテを作成できる、家族カンファレンスを経験したこと●、あと性差を問わず診療できてmental healthに関われる。代替医療にも活用できて、健康増進、●あと医療保健もきちんと知っているというような感じ。続いて教育・研究の分野では、学生・研修医の教育ができるようになって、家庭医療について明確に述べることができる。地域ニーズに合わせた生涯学習が自分でできる。プライマリケアに関してのリサーチなどの文献を読める。場合によってはリサーチに関わったことがある。あとインターネットを活用して診療に利用できる。スタッフ教育ができる。管理面、診療所の場合だが、診療所経営ができる。できればいいが、副所長ぐらいはできる。あと、リスク・マネジメント、異常死・不審死に対応できる。スタッフの管理ができる。あと個人情報保護法とか、感染対策とか、医療廃棄物、放射線管理などを知っている、というのも出た。地域の分野だが、ニーズをきちんと把握できること。あと医療資源を的確に活用ができて、あとチーム医療のコーディネーターになれる。地域の災害医療トレーニングを受けたことがあるというような感じ。あと医師会と良好な関係を作れる。産業医、学校医としての役割とか、あと健康増進というようなものも出た。以上である。
  (拍手)
竹村 次、お願いします。
?(女性) Word資料)Aチームは先ほどの班とだいぶん趣が違って、この5項目を並べた。最初にnon-selectiveであるということで、全科にと書いたが、全年齢もそうだし、性差もなく、とりあえず相談にのりますと言えること。生涯学習能力が、まず自分からニーズに気づく能力があること。気づけるということと、それについて学んでいく能力を身に付けていること。それから心理社会的アプローチができるという点。行動科学やhealth promotionを含むが、その点。情報収集の能力、新しいなり、正しいと思う情報を集めてきて、それを評価して使える能力が必要である。それから地域に出るという点で、診療所だとすればそこに来ない人や健康な人や在宅の人を対象にする。以上である。
  (拍手)
竹村 次、お願いします。
Word資料)色々うちの班はかなり家庭医とは何だみたいな、というところの議論を最初にやって、紆余曲折を経てきたのだが、まず最初に3年後終わった時のイメージだが、必ずしも診療所にいるということではなくて、家庭医療が分かりやすく発揮できるような診療所の業務に就ける人ということで、先ほどのアンケートのパートナーとして、というところぐらいかな。本当はひとり立ちがいいなあとしたが、日本では今の現状で3年後に一人立ちというのは、うーんというのがあったので、そういう意味では業務に就ける人で、パートナーとしてのイメージがあった。その資質として。
山下さんが大雑把なイメージを言って下ったが、具体的には6つある。さっきnon-selectiveみたいな話があったが、性別、年齢、環境問わず、頻度の高くまた緊急性の高い疾患に対して穴のない対応ができる、色々修飾語がつくのだが。そういうイメージと、2つ目は基本的スキルの重要性を認識してそれを実践していくことができるということで、基本的スキルっていろんな方法論があるかなと思うけれども、家庭医としての基本的スキルということで、患者中心の医療、家族志向型のケア、地域包括型ケアというのも、とりあえず入れさせていただいた。3つ目に生涯を通じて自己学習ができる、これには情報収集能力、リフレクションが入ってくると思うが、4つ目は予防・健康増進というところ。一次予防、二次予防の重要性を認識して、非常に●の生活習慣病の介入がここに入ってくるかなと思う。5つ目に教育。ここでは後輩の育成の重要性を認識し、指導することができるというふうに書いたが、また●れば、診療所のスタッフ。地域の住民に対しての予防も含めて、患者教育を入れた。6つ目に診療所で自立した運営ができるということで、マネジメントルームで運営管理といった部分もやっていける、というのがBグループの6つの項目である。
  (拍手)
竹村 質問はないか?それでは最後に。
Word資料)Cグループは皆さんに、意見をあそこにつらつらと大まかに並んでいるが、最初に言っていた話というのが、幅広い健康問題と真に社会に対応した診療ができるとか、地域のニーズに。こういうのはあれじゃないか、他の科の医師でも出来なきゃいけない能力、とこのごろ言われたりなんかしている項目、どんな医者でも出来なきゃいけないと言われているような項目でもあるが、その2番目に特にその中でやっぱり今の上の5つに関しては、家庭医はできるのではなくて、ある程度長けているということではないかという意見が出ていて、できるって今、書いているが、長けていると理解が近いんのではないかという意見が出た。2つめの枠としては、家庭医でなければできないってどういうことなんだろう、と考えてみると、いわゆるプライマリケア●生涯学習の方法を知るとか、予防医学の●を考えた行動●を含めたことができる。あと地域の医療支援をよく利用しているとか、病診連携や外来医療、特に外来は楽しいと思えるという、3年後のアウトカムとしたら外来は楽しいと思えるということなんかは、3年後のアウトカムでいいんじゃないかって思った。で、それぞれエキスパートの話っぽくなってしまうので、とりあえず3年間でできる医者ってどんな医師だろうかということで話したところ、いろんな意見が出たが、やっぱり具体的な一つ一つの項目に、コアでこれだけはやらなければいけないということと、例えばシチュエーションによって●が違ったりとか、いろんなシチュエーションがあるので、ここはエリクティブにしようとところというのを、やっぱりある程度明確にして、ここで目標設定しようとした方がいいというような話が出た。例えば一つの例としてみては、細かい話になってしまうが、骨折の治療というのはどのぐらいできたらいいかというと、例えば都市だと、キャスティングができる必要はないんじゃないか、でもやっぱり離島で●なんかもキャスティングができないと話にならないような感じで、どこまでをコアにするかという、今後の話だがすごく目標設定が一個一個大変なんじゃないかという話が出た。最後に下のところだが、家庭医になりたいという人がいっぱいいて、3年後にやっぱり不安になってしまう、やっぱり●アイデンティティが保てるかというようなこと●、その他という感じなのだが。例えば3年間でこういう、ある程度のアイデンティティを持って、自分のキャリア、3年後は自分はどうやって生きていくかというのが、ある程度自分で決めて出来るというのが3年間の●。後は周りの状況、自分が僻地に行くか都市に行くか分からないが、周りの状況に順応に対応できるような心意気、なんかひとつ面白い気がしたが、やっぱりローテーション中心なのでまだ不十分と思ってしまうという最近の若い者が多いじゃないかと。●といって、現場に行くのに後込みしてしまう人っているんじゃないか。少なくとも3年間だったらそういう後込みをしないで、とりあえずやってみようという気持になるというのが一つの目標になるのではないか。後は他科の医師に家庭医●が語れるとか、あとは教育ですね、社会へのアピール、研究マネジメント、どこまで設定するか分からないけれど、ちょっとかじっておけるぐらいは絶対必要なんじゃないかということである。
  (拍手)
竹村 質問及びコメントをどうぞ。
結構他に●のが、●で、カウンセリングが、認可がどうだとか、承認はどうだとか、結局、各専門どこまでできたらいいのか、あと専門医との関係をどうしたらいいのか。シチュエーションによって自分が今、初期研修を受けてきて、背景によってレベルがかなり違っている中でどこに対応するのかということにかなり時間を割いた。難しい●終わってしまった。ぜひこの辺り●。
竹村 じゃあ、この辺について議論しますか?今の科別で、どこまでカバーすればいいのかという問題で小児科とか、皆さんどの辺で、いわゆる将来、家庭医療後期研修プログラムをした後に、そういう望まれる医者、何科をカバーしたらいいかということだろうが、いかがか。どうぞ。
葛西 具体的にというか、そういう話もグループで出たが、結果的に同じ診てる外来患者からすると、判断すると8割、9割。どこまでというのは、ちょっと地域によって変わってくると思うのだが、結果的にそれぐらいだといいんじゃないのかな、というのはここのグループでは出た。
北西 さっき前野先生がグループ討論でおっしゃったが、こちらの学会から産婦人科領域に関して、ここまでできると提示するよりも、むしろ丸投げでもいいかもしれないが、協同して産婦人科学会とここまで一般医も診てもよいという合意を形成するのはどうでしょうか。教育の面でも各専門医と協同して作ったほうがお互いにやりやすいと思う。
僕は、やっぱり産婦人科は非常に訴訟が多いところであるし、小児もインテリジェントの高いお母さんは小児科専門医であるという看板が大事であるという人も凄くいる。だから我々が一方的にここまで診ると決めるよりは、むしろ専門医の方からお墨付きをもらう。それはいろんな意味があるが、一つは社会に対する責任。もう一つは小児科学会が組んだものであれば、コンサルトした時に多分快く受けていただける。少なくとも受けてくださいとお願いする●に、非常に心強い我々は。だから実際うちの産婦人科の教授から、産婦人科は手いっぱいだから何とか家庭医でおさめてくれないか、と言われた。その時にどうしたらいいかと言われたときに、そういう話になったが、やっぱり産婦人科学会がここまでなら診ていいと線を引く。そして、そのためにこれだけのトレーニングが必要というのを、産婦人科学会と例えば家庭医療学会が協議して作る。そうすると、そのトレーニングをすればここまでは診るし、この条件を超えて送った人は、快く取るという学会のコンセンサスを得るというのを大事ではないかと思っていて、一つの雛型はB●for・PCだと思う。B●for・PCは、あれを見るといろんな学会がやってプライマリケアのためのガイドラインを作っている。ああいうのでの形での協議をこちらから持ちかけていく。特に産婦人科は欲しがっている。とりあえず手いっぱいでどうしようもない。なので、多分応じていただけるのではないかと思っている。
大体皆さんが言ったとおりだが、実際に個々で考えると、自分は産科75例はやらないといけなかったのだが、実際に日本でお産したのは自分の子供を取り上げただけで、1例しかやっていないが。じゃあ日本で産婦人科学会がやってもいいよと言っても、本当に3年後出来たときに、必要かどうか日本のニーズを考えると、地理的な問題とかさっきのそれも離島が36週だったら良い病院に送っちゃう。だから研修中に教育で受けることと、実際その後にやることを分けて考えないといけなくて、産科に関しては75例も必要なくて、一回お産を経験できるとか、それぐらいにしておく。その比較下でのどれぐらいのレベルまでというのを、どれぐらいのニーズがあって、どうだということと、かみ合ってやらなきゃいけないと思っている。特に例えば精神科の話が出たが、色々患者さん、かなり精神科にも行けないし、●にも行けない。でも、かなり精神科疾患が多くて、というニーズを考えると、やはり家庭療の中で真に心理社会的な面ももちろん含めてだが、精神科的なアプローチをかなり長けてないといけないのか。という細々したところを、それぞれ小児科とか、小児科も夜当直するようにだんだんいなっていなくなって、皆さんやってよという形になっているので、そこはニーズがあるから我々が手を出さなきゃいけないのかなと思う。それを各科で決めてレベルを分けて、3年終わったところでどのレベルまで行ったか。そこが完成品じゃないということで、各学会とも協力しながらうまくやっていかなきゃ、という話になった。
竹村 他にいかがか。百年後に残るのでぜひとも。どうぞ。
森田 さきほど小児科の話が出たのでちょっと。やはり研修教育なんかでも、スタンダードというか、非常に安全でスタンダードに理解できるような内容だけ似ているという感じが一番いいんじゃないかなと思う。だからこれ以上やったらスタンダードから外れてしまう。あるいは危険をおかすというのは、ほんと最低限。スタンダードにしなさい。それは小児科に提案すべきだと思う。
山田 元々、臨床研修医の必修化が始まったのは単科の研修だけで全く他は診れないと。例えば小児のその問題なんかも、ひょっとしたら2年のうちに3ヶ月入れておけば診れる医者ができるんじゃないかというような期待からできたと思うが、おそらくそれだけでは、多分そのあと小児を見た経験が全然ない人が、10年経って、10年前の3ヶ月の技能で小児を診る自信があるかというと、多分ないと思う。この家庭医療枠の後期研修プログラムの中では、むしろ、おそらく診療し続ける設定ができると思うのだが、比較的それよりも上のバージョンというか、ちゃんと診れる自信がある程度にまでしないと、全く地域ニーズに応えられないというか。だから先ほどの川崎の例もあったが、都市部でさえ、非常に●もう困っている。僕らが今回、後期研修プログラムの中で小児診療ができます、3ヶ月だけの初期研修じゃなくて、このぐらいトレーニングをして、コモンのアップディーズ、小児科の専門医に渡すまでの間のできますということを中に盛り込んで訴えたら、非常に受けがいいのではないかというふうに思う。だからそこら辺の差を、スーパーローテートとちょっと違う差をもう少し盛り込んでも、盛り込みすぎちゃうとまたアップアップになるかもしれないけれど、社会の今の現状のニーズにうまく応えてあげるためには、結構重要なことかなという印象を持った。
葛西 個々のコモンプロブレムのマネジメントになるが、これは皆さんに配っているが、山田君の方で作ってくれて、それぞれ項目見てもらうと、例えば女性の健康問題ということで、産婦人科も入るところだが、それぞれ後期研修の中でやる必須な項目は一応推奨ということで書いている。オプションとしてセッティングとかで、完全に可能であればそれはやってもいいオプションとして掲げている。こういう形でこれもひとつのたたき台であるので、学会として何を推奨にして、何をオプションにするかは、決めていけばいいんじゃないかと思う。まだこれは全部完成してなくて、一部分のところもあるが、今後こういうのを詰めていくところではないかと思う。これ作成するにあたって頑張ってくれた山田君から一言。説明、追加のことも含めて。
山田 この件に関してはかなり議論になるところだと思うが、確かに山田会長のおっしゃる通りで初期研修のレベルではだめだろうな、と思うし、かといって広げすぎてもダメだと思う。大事なのはその働く場で求められているかどうかで決まるのかな、と思う。結構自分が診療している場所では、その地域にいる先生との間で段々コンセンサスが出来て、ここまではやってもいい、これはやらないでおいたほうがいい、とそういうのがあったりして、地域ごと、またはプログラムがある地域ごとに少し変化がつけられてもいいのではないかと思う。学会で求められるものプラスアルファで、地域ごとに、プログラムごとにやれるような柔軟性があればいいのかなと思う。とりあえず私どものところではこんな感じで作ってみたということである
竹村 今のことに関して、どこまでやるかということに関していかがか。
具体的な、多分そういうのは山田先生がおっしゃるように、コアな部分と、ここだけはぜひやらなければいけないということと、ここからはもう地域のニーズとか個人のニーズに合わせてやったらいいなということだと思う。後は、明確な目標設定だけをコアに関してはしておくということが大事だと思う。今まで、その目標が意外と整形外科の初期対応ができるみたいだったので、結構方略もいいかげんになったという部分があるので、目標さえ明確にコアな部分だけちゃんとしておけば、それを元に方略を決定するというふうだったり、ここでそのやり方だけちゃんと決めておけば後は時間はかかるが、難しい作業ではなくなると思う。これはアメリカの、ここで一つ宣伝だが、アメリカのやつを元ににしていると思うが、彼らはアメリカの家庭医療学会の研修プログラムの要点をまとめたものだと思うが、そこに必ず書いてあるのが、例えばリウマチだったらリウマチ学会と一緒に決めた。小児科学会と一緒に決めたって、最後に書いてある。その作業は必要ではないかと僕も思う。
竹村 他、いかがか。では、私もちらっと言わせてもらう。実際できるというのと、やっているってかなり差がある可能性があるという気もする。やるかどうかってニーズがある、制約があるけれど、それができるかどうか、必要な時にできるかどうかというのも、多少観点として必要かなという気もする。実際、アメリカでもきちんとお産ができると書いてあるが、やっている人はあまりいないとか。そういうのはあるので、その辺のニーズに合わせて離島でのニーズがあったらできる、とやらなければいけないことも多少は考えないといけないのかと思う。
今のところ僕、お話をお聞きしてすごく「あ、なるほど」と、自分の研修を振り返って思ったのだが、たまたま僕は長々と研修医を3年間やっていて、今の診療所に来て時々思うのは、まさにできるという、やっているというのではなくて、全く3年前に研修を受けていたからこそ、そこで引っ張り出してきて、再履修して出来ることがすごくあるので、ただそのベースの部分をどこまで決めるかというのは大事だと思うのだが、プログラムというのは一番コアな部分があって、その地域によって多分、だいぶん項目ができると。地域ごとにプログラムの雰囲気もだいぶ違うと思う。特に最終的に出来ることが何かというのをやれば、方略が違ってもかまわないので、●ものすごく雰囲気の違うプログラムがいっぱいあって家庭医療医になると思うのだが、特に専門医研修の部分であるという点においては、今までその施設ではあんまり考えていなかった部分も、コアになる可能性があると思う。それについてはやはりしっかりと引出しを作る時期を作るというのはとても大事なのかなと思った。
藤崎 できるかできないかは別として、診たことがあるというのはすごく大事だと思う。例えば、むくんでいて、息苦しさがあってレントゲンをとったら心臓肥大だったら、誰でも心不全かなと分かるわけだけれども、だけどこの心不全の人がいま気管挿管も考えなきゃいけないような心不全なのか、利尿剤を経口で出して外来で診ていいような心不全なのか、診たことがないと重傷度の評価ができないような部分がある。自分でそこで最後まで管理をするかしないかは別にして。だからそれをどこまでやるかということで、さっきここでも議論したが、全年齢と言ったけど、新生児も診るの?という話をしたら診るんだと言われたが、そこら辺は、ゼロ歳はある程度診たいと思うけれど、新生児はNICUなんかを経験をする必要があるのかないのかというところを、僕はどうなんだろうと考える。皆さんの意見を聞きたい。
竹村 スペシティック(?)に。新生児はいかが?
新生児について思ったのは、僕、小児科大好き。もともと僕は小児科医になりたかったので、やったらいいなあと自分が研修を受けた時期があったので、いいなあと思うが、今の時点では確かに突然家庭医がいるところに新生児が突然現れる可能性は少ないかなと。ただ新生児は小児科の時期に回ることも大事かと思う。ただ一方でこういうガイドラインというのは、必ず改変を繰り返さないといけないと思うし、そういった意味でさきほど産婦人科医との協働が出てきたのであれば、絶対新生児は抜きには語れなくなると思うので。そこはここで決めたから、もう20年30年違うんだということではないと思うが。診ておくという意味で、全く新生児研修がない、例えば初期研修の時点でそれがどのラインまで還付されているのか分からないけれど、ないところもあると思う。そういう意味では、その辺を確認してやはり新生児を小児の中に入れるというのを議論すべきだと思うし、というのは僕が見たことがあるのは、診療所に2ヶ月のお子さんがいわゆる無呼吸発作で運びこまれて開業医の先生が●僕が受け取りをやった。そういう時にしっかり●を見て、結構こういうことがあるんだなと思ったので。その分ぐらい。見たことがあるという感じかもしれない。
竹村 他はどうか?そんな感じでよろしいか?じゃあ、明日また葛西先生のお話があってから、また頭をリフレッシュして議論をするわけだが、今までのところで何か抜けているんじゃないか、とか不可能じゃないかとか。何かご意見はないか?
山田 今、専門診療科との学会との折衝でできるだけニーズに合わせているというご意見があって、もっともだなあと思った。非常にサポーティブな学会でいいと思うが、多分、小児科学会だったり、小児科外来だったり、非常に物分りのいいというか、そういうことで、お互いシェアできるというところは話がしやすいと思うが。例えば皮膚科学会に行ったら多分プライマリケア学会の家庭医が皮膚科の診療を始めたら、おそらく彼らの飯の種の8割ぐらいは食ってしまうということになりかねない。お願いだからやらないでくれと言われるのではないか。外来で、●で皮膚科の診療をやっておられる人たちは、そういうことを言わないだろうが、開業して皮膚科の診療をされている人たちにとっては、おそらく9割以上我々家庭医が診ている皮膚疾患と重なり合ってしまうのではないか。だから、場合によってそういったネゴシエーション、各学会、専門学会と必ずしも成立しないんじゃないかなと。だから、ちょっと難しいが、そこがないと公表できないと言われると、ちょっとできなくて。むしろ地域ニーズとか実際お年寄りの患者さんなんかは、例えばたくさんの問題を持ってこられて、たまたまここも診てくれてといって、皮膚がどうだとかいうことがあるだろうから、そういった地域のニーズとか診療所設定でのニーズに合わせてある程度考えて、うまく学会同士で交渉できる分野についてはそういったことの合意を取り付けるといった重要だと思うが、必ずしもそれが必要だと言われるとちょっと大変な作業になるのではないか。
前野 まず、学会のトップはほとんど大学の先生なので、開業医●あまりしないのではないかというのがある。それはそんなに心配しなくてもいいというのが印象だが、少なくとも学会対学会というのであれば時間もかかるし、間に合わないというのがあれば、エキスパートパネルを作ったらどうかと思う。皮膚科専門医で名の通った人を何人か呼んで、その人の意見をもらったと。それは家庭医のこともある程度分かってくださって、且つ、皮膚科学会では、あの人が言うのなら、という人をこちらで人選してコンサルタントにして、というようなプロセスは一度踏んでおかないと、もし学会同士で話し合ったらはねられることを、我々が勝手に走ってやると、何かあった時って言い方は好きではないが、やはり公共性を持つプログラムなのでそれに沿ってやったときに、後からプロセスを突っ込まれても嫌だと思う。何かそういう仕掛けは作ったほうがいいのではないかと思う。
本村 参加したことはないが、メーリングリストのTFCで何とか道場という教育機会が色々行われていると思う。ぜひ参加したいと思っている。こういった専門医の先生方と家庭医の先生方が今は個人レベルだろうが、その辺の草の根が広がってくるといいなと思うのと、そういったことに関して、家庭医療学会がサポート的なシステムがあれば、いきなりトップにアプローチするのではなくて、協力してくださる専門医の先生を少しずつ巻き込みながら、時間がかかるが、草の根から形が見えてくるのではないかと感じた。
山田 その意見を聞いて、今思いついたが、カリキュラムを、プログラムを考える時に、必ずしも大学の先生たちじゃなくて、今の草の根じゃないが、できればそういった時に地区の開業されている専門医の先生、医師会の会員になるような先生、そういった人たちとネットワークを作るとか、研修医のプログラムの中に開業医の先生のところでの研修をお願いするとか、そういうこともひとつ考えていいのではないか。そういった資源というか。医師会の先生が家庭医療の専門医の研修に参画してもらえるような仕組みとか、そういったことの手立てを考えることは重要ではないかと思う。ただ、どういうふうに進めるのかまだ分からないが、協力していただける方にはぜひいろんなプログラム、地元の医師会の先生の所へ研修医を出すと。その医師会の先生たちに何らかのフィードバックというか、してあげるとか。あるいは病院に来てもらってとか、そのようなことが出来ると、家庭医療学会の後期研修というのが比較的地域に広げようとしているんだなということを理解してもらえるひとつの戦略になるのではないかと。今、専門医のことでは、必ずしも大きな病院の専門診療じゃなくて、開業しておられる人たちとも連携していいのではないかと思った。
竹村 他にいかがか。
森田 小児科の例を挙げると、一番小児科学会がここへ話を持ってきても動かないと思う。非常に動きが遅い。その下に小児医会というのがある。外来小児科学会は動きが早いし、開業医が中心になっている。だから、話の持って行き先だと思う。
竹村 やっぱりどうなんだろう。学会というのは、社会正義とか言う人がいれば、非常に気持ちよく話が進むと思うが、声が大きい人とか、仕切っちゃうとか、もしくは最低限のレベルのところを担保しようとすると、どうしても都会で皮膚科の先生がいっぱいいるところの人のやめてくれという声が聞こえて、実は過疎地に行くと、そうでもないとかそういうこともあったりして、なかなか話し合いをすると、話し合いは大切なことで、透明性はあった方がいいと思うが、何か嫌な予感が。話さなきゃ良かったということにならないかなという気もするような危惧もあるような気がする。
?(女性) 確かにそうかもしれないが、でも研修をしている場から言うと、やはり家庭医というのは理解されにくいところもあるので、特に小児科とぶつかったりして、家庭医という意味が分からないのに小児科とか診るわけ、とか先生からも家庭医とか言うけど、どこまでやったら診れると思っているのか?という声をやはりどうしても聞くので、上の先生方たちの色々なコンセンサスを得るのはすごく重要であるし、実際そのプログラムでやる、私はできないかもしれないが、後輩たちがやる時にすごく安心してできる絶対のプラスの面だと思う。他の学会とコンセンサスを得ているということだと分かってやるのと、家庭医療学会だけが出したというのではだいぶん違って、やはり家庭医療学会だけが出したとなると、やっぱり家庭医療の一人歩きみたいになってしまうと思うが、さっきも話に出たと思うが、家庭医の立ててるところとして、横の関係を作ってやるというのを、そういうプログラムを作る中でもぜひ発揮して作ったら、凄くやっていく私たちも自信を持ってできると思う。
竹村 素晴らしい意見である。
それぞれの専門領域でどれぐらいのことをやるか、というのは一番重要な内容ではあると思うが、一番センシティブな問題になるだとろうという感じもする。それぞれの学会に家庭医とはこんなものだと打ち出して、それぞれの学会が非常に素晴らしいね、やりなさいというふうに言うためには、利害関係が生じないということが大事なのだが、利害関係が必ず生じると思う。だからこそ難しいと。ただし、患者さんは認めてくれる、社会は認めてくれるだろうという強い自信を持ってやるのであれば、まずはそういうところから何かお墨付きをもらえるところまで力を蓄えていった後に、学会とそういうセッションをやった方が賢いかなと。順序としては。そういうことを言っていると、プログラムを作る時にそれぞれの専門領域というのは考えにくいということであれば、それに関しては出来る限りコアなところ、低いところのレベルに留めておいた方が安全かなと。色々やりたくなると思うが、そういう風な印象を持った。
今の意見に対して、私はどちらかというと、出口のところは高く置いておいて。本当に出来たかどうかは別。出来てやれるかは別にして、こういう医者を作っていますというような、これから育つ人たちがすごく能力が高くていいぞ、というふうなことの積み重ねをしていかないといつまででも、やはり家庭医ってなったってできないとなるのは・・・。将来の戦略的にはいいかなと。今、さっき言ったようなお産が足りないからやってくれ、とか小児の夜の当直が足りないからそれをできるぐらいになってくれとか、そういう嫌なところから我々やらなきゃいけないと思う。そういうことは最低限学会で協力して、これぐらいはできるようにしとくとかいうのは詰めておいて、難しそうなところは歴史的にやっぱり時間をかけて段々コンセンサスを作っていく。今、多分家庭医療に限らず、例えば胸部外科と呼吸器内科の言っている治療法、本当に一緒かどうかという話もあるし、学会同士のコンセンサスも難しいかなというところもあるので。戦略的な部分で今の意見で言うと、3年のところは少し敷居を高くしておいた方がここでしか生まれない医師を作るというふうな意味ではいいかな。それに派生する問題はもうちょっと時間をかけて解決する。
松下 奈義ファミリークリニックの松下です。森田先生、非常にお世話になっております。さきほどご挨拶が遅れて申し訳ございません。非常にサポーティブな小児科の先生で、うちの研修医が2名お世話になっている。森田先生がさきほど言われていたように、専門家との折衝の入り口というのは、そこにいる先生でないと分からない部分というのは大きいのではないかと思う。僕自身はさっきのエキスパートパネルに非常に賛成だが、パネルの方を確保してどこから入り口を探すか、というところも含めて相談に乗ってもらう。まずパネルの方と相談して出来上がったものを、学会なり、大きな団体と折衝していくのか、という一つのパワーになるのではないかなと思って、森田先生に協力していただける先生を僕らが確保する作業が必要なんじゃないかと思う。プログラムを作る過程に入っていただいたら、非常にいいのではないかなと思った。●いないと思う、サポーティブな立場を取っておられる専門家の先生は。そういう方たちと相談して終わりと言ってしまうと、学会側からしたら、そんなの勝手にあの人が言ったことだ、という話になってしまうと思うので、何か抜け道があると思うので、相談相手になっていただくというところから始めてみてはどうかなと思う。
川尻 今、表号科は、内科、小児科、心療内科にしている。一日に●の●を●に来る患者さんが一番多い日もあったぐらいで、いわゆる人里離れたところでやっていると、本当に明らかなニーズがある。アンダーサー(?)という話が出たが、この家庭医療学会でアンダーサー(?)の僻地だったり、離島だったり、もしくはそれが中心になると思うが、そこにコアを標準に置くというのは大げさかもしれないが、そこが一番分かりやすいというか、必要なんだというのを専門医の先生たちに説明するのが一番分かりやすいのではないかと最近思っている。
大滝 必修化された研修の中でどうやって指導したらいいかをサポートをする色々なリソースを、厚生労働省から提供する、指導ガイドラインというプロジェクトがあって、その作成作業のお手伝いをしている。その中で似たようなことが起きている。研修目標の中に、たとえば「経験目標」が書いてあるが、どれぐらい経験したら経験したと評価していいのか、曖昧なまま走っているのでそれをもう少し具体的に、基準というものではなく、エキスパートから見た目安みたいなものを出してもらおうというような作業をやっている。その中でエキスパートパネルのような形で各学会にお手伝いをお願いして、具体的にはそういう相談に乗ってくれそうな、大学の助教授クラスの先生に出てきていただいている。あるひとつの分野でも、関連する学会がいろいろあるので、各学会から参加していただいて、その中で窓口になってくれる人を決めていただいている。そのような作業の中で、分かってきたのだが、とにかくものすごくレベルを低く、ここまでしかやってはダメという学会が一部ある。どの領域の学会かについては、具体的に言うと差しさわりがある。そういう中で、専門医が診る患者が減るからだめだと言う人は表向き誰もいなくて、リスクのことを言う。少し研修しただけで、もうその領域を診られるようになったと思われると困るという、その所を心配する人がいる。そのような議論の中では、誰が指導するということがキーワードになる。ある種の専門領域では、研修医病院にその専門医自体がいないにもかかわらず、研修到達目標の基準をクリアしろということになっている。その学会の指導医の資格を持っている人がいない研修プログラムでも、その領域の疾患を経験したと言える設定を考えてください、とお願いすると、反発が出てきていた。今回のことも、研修させてもらう各専門領域と交渉していただく時に、参考になるだろう。まず、僻地医療の話をはじめとして、どうしても一人で診ないといけない状況、それはいろんな時に起こりうるので、そのような状況で診療する時のために研修するのだ、という説明は凄く説得力がある。そして、誰が教えるかを交渉する時に、専門領域の学会の指導医など、こういう範囲の人に教わるのであれば研修していい、あるいは「研修した」としていい、といったようにたれに指導してもらうかもセットで交渉するというのも作戦かなと思った。
前野 指導ガイドラインだが、大滝先生は●の作業班の班長であるので、言っていただけないかなと視線を送っていた。ひとつ情報提供だが、これは厚生労働省の大プロジェクトで、厚生労働省が各担当官を挙げて学会と交渉をあたっている。いわゆる親方日の丸の保証付きのガイドラインを今、作ろうとしているわけである。だから今日、皆さんにお話したかったのは、非常にレベルの高いものができる。少なくとも行き届いたものができる。できたものを見ると、そのレベルを確実に全部クリアするというだけで、後期研修の目標にしてもいいぐらいだと思う。だからそれは学会との軋轢に関係なく、厚生労働省が学会として作ってくれるものなので、それをそのまま流用するんだったら学会はケチのつけようがない。初期研修の目標だから。それを後期研修でやって実施することに文句があるはずがない。だからそれをたたき台にして、学会でコンセンサスが得られる場合は、そのまま家庭医の後期プログラム3年ということで上乗せしてもらうと。そうでないところは、そのまま使うというのも、現実的な対応としてひとつのやり方かなというふうに思う。あとは、やっぱり僕はエキスパートパネルを作る時に、パネルを作るということを、やっぱり学会で仁義は切っておいた方がいいという気がする。なので、それを含めて、厚生労働省が作ったガイドライン、多分窓口は同じ人だと思うので、あれを一つ雛型にするというのはいいやり方かなと思う。
竹村 いい情報が次々と入ってくる。他はどうか。
山田 たまたまそういった合意を得るために、先ほど川尻先生がおっしゃったアンダーサー(?)というか、僻地や離島のことを言い訳にするというか、そうすると非常にやりやすいかなと。僕自身も今までそういう立場だったので、私は僻地をやっていますと言えば、何をやったって誰にも文句を言われない。そういったこともあった。でも、今の状況からすると、例えば地域の中小病院でさえ、東北地区なんか非常に、北海道もそうだろうが、非常に困窮している状況で、そういった全科当直する能力が非常に求められるとか、そういったことに応えられるということを、あるいは僻地や離島のところにも研修として出すとかいうことを強烈に言っておかないとこのエクスキューズが通らない。そういう社会の人たちにそういったことを認知してもらうためには、多少カリキュラムの中に日本が困っていることについて、当学会は研修プログラムの中で、研修医を送ってそれに対応しますということを言うのは、戦略的にありかなと思うが、あんまりそれを言ってしまうと研修医の人たちが後込みしないかな、と。じゃあ家庭医療というのは僻地やそういうところへ行かないとやれないんですか、と言われると、そうではなくて、例えば●先生のところみたいに都市部で診療所が出来る能力を、今目指しているんだと。実際そういうところで研修できるということもあるので、果たして家庭医療学会全体のコンセンサスとして、それを表面に出してしまっていいのか、出さない方がいいのか、ちょっと今議論を聞いていて、少し悩ましいなと思うところである。何か意見はないか。
竹村 どうか。
前野 何度もすみません。家庭医の後期プログラムが目指すところは、僻地に行こうと思えば行ける医者を育てることだと思う。だからやったら必ず行くわけじゃなくて、行こうと思えばハイと言ってサッと行ける、行く行かないは別にして、それがゴールだと思うので。そういうセッティングも対応できると言えば説得力があるんじゃないかと思う。後は地域の医師の確保が今、もっとも大きな医療に関する問題になっていて、地域医師確保の対策協議会が立ち上がって、この前、文部科学省がそのプレゼンテーションをやった中に、総合医の養成が大きな柱になっている。だから、うまくその辺は行政を巻き込めば、すごくタイムリーでトレンドに乗って押していけるところじゃないかと思う。
私、沖縄県の職員で地域医療の担当医でもあるが、ここで●僻地●あるのだが、ここであまり教育の話が強調されなくて、いつも私発言するのは経済化の解決のキーワードは教育ではないかと。地域できちんとした教育病院があれば、それなりの●は解決されるんじゃないかという話をしていて。高齢者の方とかいらっしゃると家庭医療とかありますけど、というふうな話をして、少し国からも学会へのアプローチもあっていいんじゃないかという話を個人的にはして●。
藤崎 今のところに関係するのだが、今度うちのMEDCのセミナーを岩手でやって、岩手医大からCommunity Based Medical Educationということで僻地の問題があるので、ワークショップとしてやりたいということで企画が出ているが、よく大学病院の先生たちは今までの要する大学医局の弱体化、関連病院やジッツとの関係で今のへき地医療の問題イコール研修必修化がうまくないんだみたいな議論もなきにしもあらず。そうやって、あるいは黒川先生みたいなデューティーで出させばいいんだみたいな、そういうようなやり方で義務でいやいや僻地医療を担いたくない人に担わせるような時代ではなくて、やっぱりそこに喜びを感じて、積極的に受け止める医者をどう作っていくかということが、やっぱり本当の意味での解決になるんだというのを一つの戦略として打ち出して行く必要はあると思う。それと、最近良くマスコミの人から研修必修化2年経ってとうですか?地域医療とか専門医療とかどんな具合か?ということを良く取材を受けるわけだけど、その中で、ひとつの大きな社会的な関心は地域医療が研修必修化で緩んでいるのではないかと言う疑念がある。だけど本当に必修化だけで緩んでいるんだとは思えない。今まで手がひけなかったところを大学の都合で、どさくさにまぎれて引いているところがいっぱいあるように僕は思うんだけど、だからそういう中でそこのところを、ある意味逆手にとって家庭医療の専門研修の必要性のアピールをやっていくという戦略は間違っていないと思う。
北西 余談みたいな話だが、この話は専門医制度の名称を僻地医療専門医だったら誰も文句は言わないというか。三学会合同の僻地医療専門医。そういう名前にするのも一つの案である。
都会ではやって行けない。
竹村 じゃ僻地の専門医が都会で開業するというのもいいかもしれない。
表号は自由ですから。
竹村 結構面白がってくるかもしれない。他にどうか。一応、予定の時間にはなっているが、何か。引き続き、議論は懇親会の中でもどんどん言っていただければと思う。

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