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第2回 北見地域のがん患者さん支援の充実に向けたセミナー 2023
【グループワーク】
グループワーク1:治療の導入と経過について、各職種の立場から見たこの症例の課題や強みについて

講演の画面01

関:ここで、最初のグループワークを行います。今、お話しいただきましたのは、治療の導入と入院後の経過までです。アイスブレイクも兼ねまして、お話をしていただきたいと思います。このケースに対しての、いわゆるがん患者さんに対する意思決定、方針決定についての課題は何かということを、立場の違う皆さんでお話をしていただきたいと思います。
今日は多くの職種の方がお集まりです。今、症例の紹介がありました身体症状に加えて、皆さんの立場から見て、この症例で紹介していただいた方の強み、そういったものも、やはり支援する中では、視点で含めなければならないと思っています。また、解決すべき問題、ポイントは何でしょうか。これも中心にお話はしていただきたいのですが、この症例を聞いて、今の時点での課題や皆さんの視点、こういったものを共有していただきたいと思います。
では、よろしくお願いいたします。

皆さん、ありがとうございました。ようやくお話に火がついたあたりでお止めして、大変申し訳ありません。どのようなことをお話しされたのか発表していただきたいと思います。

予後についての説明の仕方が課題

1グループ:北見薬剤師会の大川原といいます。私たちのグループでは、まず強みとして、ご本人の自分自身の状態に対する理解があるということと、将来に対しての希望も明確になっている、そういったことをあげました。また、奥さんやお子さんがいるので、今後の状態を考えた時に、いろいろな支援が得られ、対策が取れるということで、独居ではなくてご家族がいるというのは、本人の強みかなと感じています。
今後の課題としては、まずは予後についての説明をどのようにしていくのか、また、奥さんとの関係性で、例えば病状のことや、「家に帰りたい」などの思いをどのようなタイミングで伝えていくのか、そういったところを課題としてあげました。

ご家族に正しい情報を伝えることが必要

2グループ:ケアマネジャーをしている岡といいます。強みに関しては、こちらのグループではご本人の意識がしっかりしていて意思決定ができること、奥さんへあまり病状を知らせてほしくないという奥さんへの思いやり、あとは家族に会えることを楽しみにしているという希望など、そういうところをあげました。
解決すべき課題に関しては、一つは親が施設入所中であり、それがもしかしたら奥さんの負担になっているのではないかというところと、あとはご本人がどうして奥さんに病状に関して言いたくないのかというところで、主治医が本当のことを伝えるようにしてはどうなのか、正しい情報を知らせるというところについて話しておりました。以上です。

関:ありがとうございました。いろいろな立場、視点からの報告をいただきました。ここで上林先生からお願いします。

患者さんに意思決定できるような情報提供を

上林:皆さん、ありがとうございます。いろいろと話し合っていただいている、そのことが素晴らしいと思いました。今、お話がありましたように、ご本人は意思決定ができたり、ご家族のサポートが得られそうだったりという強みはあるのですが、一番の課題としてはおそらく、ご本人が病状を正しく理解していないということと、支えることができるであろうご家族に情報がしっかり共有できていないのではないかというところがあると思います。
このままではこれをどうするという話はおそらく進められないでしょうし、退院支援だ何だといったところで、何を課題にしていけばよいのかをいうことはできないので、自戒を込めて、治療しているわれわれ病院の医師としては、しっかり主治医として患者さん、あるいはご家族に病状の説明をして、次にどうしたらよいのかという、患者さんに意思決定できるような情報提供をしていかなければいけないと思います。

講演の画面02

次のグループワークへ向けた追加情報というところで、入院後の身体症状として、痛みは薬物療法、放射線治療で軽快しているが、麻薬の定期内服、頓用が必要で、上肢は外固定によって痛みはないが機能障害があり、脊髄不全麻痺(まひ)が残存しています。倦怠(けんたい)感があり疲れやすいが、夜はまずまず眠れています。
入院後の退院調整開始時点のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)としては、排せつは膀胱(ぼうこう)直腸障害があり自立は困難で、食事は5割程度食べられ、車いす移乗と入浴には介助が必要で、準備をすれば洗面、歯磨きは可能です。更衣は一部介助が必要で、電動ひげそりでひげをそることはできるが、爪切りは介助が必要です。
今後の想定される予後は2~3か月で、1か月後ぐらいにはおそらく食べられなくなって、麻薬の内服も難しくなってくるだろうというところですが、現状は先ほどもお話ししたように意識が保たれています。

ご家族としては「何とか本人の希望をかなえてあげたい」という思いがあるのですが、お子さんは家族があったり、遠方であったりして難しいと思っています。奥さんも病状については理解したところで、「何とか家族でやっていこう」と思っています。それに対して退院に向けてどうしたらよいかが課題になります。

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掲載日:2023年12月04日
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