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RIJIKAITSUSHIN2014

理事会通信 平成27年1月

 平成27年1月発行号のダウンロード

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  • 今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。

ぜひPDF版をご覧下さい。ここをクリック!

事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。
今年度も各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、理事会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに理事の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 平成26年度 各理事からのメッセージ


東海公衆衛生学会理事長 名古屋大学大学院医学系研究科医療行政学 教授 浜島 信之

インフラにあった公衆衛生

名古屋大学医学系研究科医療行政学講座に異動致してから2年が経ちました。文部科学省の奨学制度であるYoung Leaders’Program(YLP)という1年間の医療行政修士コースを、学内外の講師の支援を受けながら担当することが、この講座の使命です。対象国15カ国のうち、これまでにポーランドを除く14カ国を訪問しました。
本年10月にはアフガニスタンにも初めて出かけ、その自然の美しさと戦争による荒廃、戦時の生活を3日だけ経験しました。カブール市内での攻撃(自爆テロ、銃撃、ロケット弾)は平均週1回ですが、2泊の滞在で3回の攻撃がありました。大使館が雇用している軍人は機関銃を携帯しており、大使館から出るときには警備してくれました。その軍人から、自分はmedic(衛生兵)であり、受傷時の応急キットは準備されていること、手に負えない場合にはすぐに軍の飛行機で海外に移送される手はずが整っているので心配ないこと、ここからまっすぐの道路を使うと狙撃される可能性があるので回り道をするとも説明してくれました。大使館に着くと、保安担当者から攻撃を受けた場合の対応について説明を受けました。24時間トランシーバーを携帯し、大使館外では防弾チョッキとヘルメットの着用をしました。
戦時と平時での医療システムは当然違いますので、日本の医療システムは戦時での医療にはあまり役立たないであろうと感じました。平時であっても、食品、住居、衛生がある程度確保されてから、初等教育、プライマリーケアと政府の対応は進みます。高等教育、福祉、高度先進医療は更に先ということになります。多くの貧しい地域で富裕層が世界標準の医療を求めて海外に出かけますが、貧しい国での医療を目の当たりにすると、標準的な医療を求めるのは仕方のないことのように思えます(私もそうします)。
インフラの違う地域で、どのように公衆衛生を実践し医療を提供したらよいかというのは、なかなか想像力を必要とする課題です。国際保健を専門とし、低開発国での生活を体験したことのある研究者は容易に理解できることが、日本での体験しかないと理解できないことが多くあります。日本政府が低開発国への支援を加速させている中で、私たちのまわりにも低開発国から多くの研修生がくるようになります。それらの人に適した公衆衛生分野の研修を企画するためには、より多くの日本人公衆衛生専門家が海外に出向き、多くの事実を体験する必要があります。

名古屋市中保健所 所長 明石 都美

インセンテイブ

「顧客満足をテーマにしているマーケテイングは健康づくりに有用」「健康づくりでの成功の2つのポイントは、/佑魯ぅ鵐札鵐謄ぅ屬鉾娠する 結果に影響を与える要素は、インセンテイブ、コスト、環境、登場人物である」これらは、平成26年「公衆衛生情報」10月号に、青森県むつ保健所長 平紅氏が書かれているものです。
健康づくりと経済学については、過去にも読んだことはあったのですが、今回は「インセンテイブ」という言葉に反応し、読む内に大いに納得をしてしまいました。現在、ある住所不定の結核患者さんが、服薬のため、月曜日から金曜日まで毎日保健所に来ています。人とのコンタクトができず、受診からも逃げ出していた彼が、毎日来所する習慣ができたのは、缶詰等のインセンテイブがきっかけです。今では「病院の人たちも、保健所など行政の人たちも怖くて理解不能の人たちばかりではない」と初めて実感したらしく、受診からも逃げ出さず、回りの住所不定の人たちへも笑顔をみせるようになったとのことです。個別対応では、どのようなインセンテイブなら来てもらえるか、真剣に考えることができるのに、健康づくりなどの公衆衛生の施策には生かせていないと感じています。
「経済学は人を幸せにするのか」(宇沢弘文)、遅まきながら、勉強したいと思っています。

学校法人中西学園 名古屋学芸大学管理栄養学部 教授 五十里 明

「年末に向けて」

秋も早々と終わり、寒い冬が到来しています。ゆとり教育世代の学生と向き合いながら、慌ただしい毎日を送っていますが、来年度からは新カリキュラムによる学生を迎えることになり、その変化を注意深く見守りたいと思います。
今年は、栃木県で第73回日本公衆衛生学会が「連携と協働:理念から実現に向けて」をメインテーマに開催されました。各分野間、職種間の連携の重要性を誰もが認識しつつも、多くの壁があることも再確認させていただきました。
また、栃木へ向かう東北新幹線で、これから除染作業に従事するという70歳の男性と同席になり、会話の中から未だ変わらない福島の現状を垣間見ることになり、帰りには、こちらも変わらない奥日光の晩秋を散策して来ました。
公衆衛生を取り巻く課題も多く、来年も新たな対応を求められることもあろうかと思われますが、会員の皆様のご活躍をご期待致します。


豊橋市保健所 所長 犬塚 君雄

「健康づくり」から「健康なまちづくり」へ

本年4月に地元豊橋市の職員となり、健康部長兼保健所長を務めております。自身3か所目の中核市保健所勤務であり、住民により身近な基礎自治体での保健活動に強い魅力を感じていたことと、「自分が住んでいる豊橋市のことをもっと知り、何かお役に立てれば。」との想いから豊橋市へ転身しました。
豊橋市でも高齢化が着実に進み、2025年問題は避けられません。地域包括ケアへの具体的な取り組みも始まったばかりです。健康部としては今年度、広く市民、企業にも働きかけて「歩く」ことに着目した「地球周回チャレンジ事業」を行っています。「来年の2月末までに登録していただいた市民全員で地球を何周できるかチャレンジしよう。」というもので、多くの市民が一緒になって健康づくりの楽しさを体感し、習慣化を目指す事業です。さらに健康寿命の延伸を目指して「健康づくり」から「健康なまちづくり」へ発展させるため全庁的なプロジェクトを立ち上げるとともに、「健康なまちづくり」につながる様々な取り組みを模索しています。皆様からもアイディアをいただければ幸いです。

浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島 俊之

健康格差に対応できる人材の育成

健康の社会的決定要因に関する研究班で、そのような課題に対応できる人材を育成するためにどのようなことが重要かという検討を行っています。獲得すべき資質としては、知識、態度、技能に大別できると考えられます。人材育成のための取り組みとしては座学型の研修会によって「知識」を向上させる取り組みが行われることが多い現状があります。一方で、実際にある人が活躍するかどうかは、「態度」に左右される部分が大きいように思います。態度を活性化するためには、感動的な出会いが重要でしょうか。「技能」については、健康格差などを分析する技能や、また組織を動かして施策化を進める技能などが求められます。すべての資質について優れている人はいないと考えられ、ある部分が得意な人や、また別のある部分が得意な人がいるように思います。人々の健康を向上させるためには、多様な人々が、それぞれ自分の得意分野を発揮しながら力を合わせることが必要でしょう。東海公衆衛生学会の活動が、ひとりひとりの得意分野や不得意分野の資質向上に寄与していくことを願っています。

愛知県一宮保健所 所長 澁谷 いづみ

公衆衛生、地方会の意義

11月に第73回日本公衆衛生学会が開催され多くの参加者があったが、毎年参加するのは自治体職員にとってかなり難しい。自身、今回は地衛研フォーラムの座長やシンポジウムの演者等があり出席できたが、やはり遠方の学会は難しい。
東海公衆衛生学会には、地域から様々な立場の多くの方が出席できる工夫もしていければと考える。一般公開プログラムや専門職のクレジット以外にも何かの単位になるとか、話し合っていければと思う。
また、日々の活動の評価をする場として、当学会は身近な研鑽の場である。地域に根ざした保健活動を発表する場として、他県の仲間とも情報交換できる。PDCAサイクルを回すのに一役買う、そんな学会として意識し活用してほしいと願う。
発表者もそれを指導する者も地域を見つめ直し、業務を見直し、新たな仕組みづくりや人材育成に寄与できるよう、独立した地方会ならではの役割を果たせることを期待したい。

あいち健康の森健康科学総合センター長 兼 あいち介護予防支援センター長 津下 一代

動き出したデータヘルス計画〜PDCAを回した保健事業へ

今年の大きな成果として、特定健診・特定保健指導のNational Data Base(NDB)を分析し、保健指導が健診データ・保険診療費に及ぼす効果を発表できたことです。介入研究のような特殊なセッティングではなく、日常の大量の保健事業データを分析することにより、その効果を検証できるようになったことは、公衆衛生の一歩前進につながるのではないかと考えます。
医療、介護、健診データをはじめ、さまざまな保健統計が活用できる基盤が整ってきました。これらを分析して健康課題の全体像を整理したうえで、保健事業の優先順位づけ・対象者の選定・効果の分析をおこない、より効果的・効率的で波及性・継続性のある保健事業を組み立てていく。この動きを強力に推進するのが、データヘルス計画です。
そこには、実践活動に結びつく分析能力が求められます。結果を真摯に受け止め、より広く、より効果的な保健事業を進めていきたいというマインドも大切です。
来年も、一歩でも前進できれば、と思っています。

岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野 教授 永田 知里


大学で私が担当する履修科目は地域・産業保健、いわゆる公衆衛生です。当大学は少人数能動型学習の一つであるチュトーリアル教育をいち早く導入したことで有名ですが、このコースもグループディスカッションに講義や演習を組み合わせた形で行われています。公衆衛生は、それまでの知識の蓄積に頼るというより、常識に基づき考察、問題解決に結びつけるという点で、他の科目よりチュトーリアル教育に相応しいと考えられます。ところが実際は、massを扱うより個々の事例を取り扱う科目に慣れた学生達には、こちらの意図が伝わらないことが多々あります。当たり前過ぎて何を勉強するのか見当がつかないという感じを持つようです。講義では、疫学の見方、公衆衛生の見方という観点で他科目との差異を強調していますが、センスの有無よりそもそも興味がないのかもしれないと気落ちすることもあります。このコースが基礎、臨床を一通り習った時点で開設されるのが望ましいのですが、2年生時での学習となっている点も不利な点です。とはいえ、学生に少しでも公衆衛生マインドが養われるよう、教育者として努力を怠らず精進していきたいと考えています。

名古屋市健康福祉局 参事 松原 史朗


今年度の第60回東海公衆衛生学会学術大会は平成26年7月19日に名古屋市立大学医学部において開催しました。169名の方にご参加頂き、一般演題では44題のご発表を頂きました。多くの皆様のご協力で盛会のうちに終了できましたことを、心よりお礼申し上げます。
さて今年度はデング熱やエボラ出血熱など輸入感染症に注目が集まっています。名古屋市でも蚊のウイルス保有状況を調べたり、エボラ出血熱を発症した方を病院に搬送する訓練を行ったりしました。健康危機における保健所や生活衛生センター、衛生研究所の重要性を改めて痛感しています。世界がグローバル化している今日、他の国の感染症も対岸の火事ではありません。感染症対策につきまして、引き続き充実に努めていきたいと考えています。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


2014年は私にとって、人生優しくない!と痛感した1年でした。でもそうやって悲しんだり、悩んだりして苦しみを乗り越えると、人の優しさや痛みが分かる人間に少しだけなれた気がします。
“愚者は成功に溺れ、賢者は危機を経て成長する”いくつになっても強烈な好奇心、探究心を忘れず、前向きでいたいと思います。
事務局として6年、不手際で皆様に色々とご迷惑をおかけした事も沢山ありました(申し訳ありません!)が、初心も学んだ事も決して忘れず、これからもきめ細やかな仕事ができるよう、精一杯励みたいと思います。

事務局一同より

理事会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
理事会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

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