受診案内
摂食障害の外来診療
摂食障害の診断
摂食障害には、低体重で一般的に拒食症として知られる「神経性やせ症」、体重は保たれているものの、過食や代償行動(絶食、嘔吐、下剤の乱用など)のある「神経性過食症」、過食はあるが代償行動のない「過食性障害(むちゃ食い症)」などがあります。完全に診断基準を満たさない場合も本人や家族が生活に支障を感じるのであれば治療が必要となります。
また、病型に関わらず、摂食障害の精神病理には共通する特徴があり、病気の本態は食欲の多寡ではなく、体型・体重に対する認知の偏りであると考えられています。例えば、ボディイメージの障害(自分が異常にやせていることを認識できない、自分の特定部分を見て太っていると思い込んでしまう)、肥満恐怖(体重が増えると怖い、体重を増やすことを嫌がる)、体重や体型が理想のものでないことに著しく思い悩むなど、体型・体重に対する過大評価が存在します。
当院の初診では、じっくりとお話を伺い、身体診察を行います。必要に応じて血液検査をはじめとする検査を行って、栄養状態を含め心身の状態を確認し、他の病気が隠れていて摂食障害に似た症状がみられている可能性はないか、また摂食障害の影響で心身に異常がみられないかを判断します。
外来治療の概要
外来治療でははじめに、摂食障害ではどのような症状が出るのか、治療しないとどのような弊害や危険性があるのか、病態や対策についての情報提供をします。治療法は基本的な栄養療法の他、心理療法と薬物療法があります。栄養療法は、当院では必要に応じて、管理栄養士による栄養指導も受けることができます。心理療法は、治療中に起こる様々な苦痛や困難に対して、心のケアを行いつつ、それらにどのように対処していけば良いか考えるサポートをしていきます。また、家族療法などの専門的な治療が行なわれることもあり、摂食障害患者さんに向けて開発された認知行動療法「CBT-E」も近年注目されています。
摂食障害に対して長期的な効果が証明されている薬はありませんが、体や心の症状を和らげるため、お薬を使用することがあります。その他、社会的資源を利用するなど、環境調整も治療経過に有効な場合があります。