受診案内
サイコオンコロジー領域における診療
緩和ケア
がん患者さんやそのご家族は、診断や治療を受ける経過の中でさまざまな苦痛やストレスを経験します。緩和ケアは、がんを始めとした病気を抱える患者さんやそのご家族の様々なつらさを和らげ、可能な限り生活の質を保って自分らしく過ごせるようにサポートを行う医療であり、がんが進行してからだけでなく、がんと診断されたときからがんの治療と並行していつでも受けることができます。
緩和ケアチームは患者さんとご家族の抱える多方面のつらさを和らげるために様々な職種で構成される専門家のチームです。多くのがん患者さんは痛みなどの身体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛、社会・経済的な悩みなど多方面に渡る悩みを抱えているため、様々な職種のスタッフが連携し、治療やケアにあたります。
がん患者さんではこころとからだの症状が特に密接に関わり、心身両面からの評価やケアが重要となるため、当院では2005年から心療内科医が緩和ケアチームに参加しています。
心療内科医が緩和ケアチームのカンファレンスや診察に定期的に参加し、精神心理面の評価やサポートが必要な患者さんやご家族への直接的なケア、スタッフへの助言などを行っています。緩和ケアチームのサポートを希望される患者さんは、主治医にご相談ください。
専門的な精神心理的ケアが継続的に必要ながん患者さんについては、心療内科の外来や入院中の心療内科のコンサルテーションでの相談も可能です。当院で治療中のがん患者さんについては主治医に当科への紹介をご相談いただき、当院以外で治療中のがん患者さんについては、主治医から当院の地域医療連携センター(https://www.h.u-tokyo.ac.jp/participants/shoukai/)にご連絡いただき、「心療内科のサイコオンコロジー枠」の初診の予約をしていただいてください。
造血幹細胞移植治療におけるチーム医療
造血幹細胞移植を受けられる患者さんは、治療の副作用や合併症などによる身体面の強い苦痛や無菌室への隔離などによる強いストレスを経験されるため、気分の落ち込みや不安、不眠などの症状が多くみられます。また、移植前の心理社会的な要因が移植の結果や生活の質と関連する可能性がこれまでの研究で報告されています。そのため、造血幹細胞移植を受ける患者さんに対して移植前から心理社会面の評価を行い、必要なケアを早期から提供することが重要となります。
当院心療内科では1996年から血液・腫瘍内科と連携し、造血幹細胞移植を受けられるすべての患者さんを対象として造血幹細胞移植リエゾン活動を行っています。リエゾンは「連携」などの意味を持ち、リエゾン活動では他科の医療スタッフと継続的な協力関係を持ち、予防的な面からも診療に協力することを重要な役割としています。
造血幹細胞移植の予定が決まった患者さんについて血液・腫瘍内科の主治医から心療内科に連絡があり、担当の心療内科医が決まります。移植前には担当の心療内科医の心理社会面の評価を行い、移植中のストレスへの対処方法やお困りの症状への対応について患者さんと一緒に検討します。移植期間中は定期的に患者さんの診察を行いながら精神心理面の治療・ケアを行い、必要に応じてご家族のケアも行っています。また、主治医・看護師などの治療チームと合同カンファレンスを週1回行い、情報共有や助言を行うことで最善のチーム医療の提供に努めています。
まだ移植の予定が決まっていない患者さんや退院後の患者さんのサポートも可能ですので、心療内科の受診を希望される方は血液・腫瘍内科の主治医とご相談ください。