本研究について
日頃より厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)にご理解を頂きまして,誠にありがとうございます。今般,医療機器の安全使用に関するガイドラインを作成いたしましたので,ガイドラインがダウンロードできる研究成果公表サイトを開設いたします。
平成19年4月より医療機関等の管理者は、医療法施行規則第1条の11第2項第3号において「医療機器に係る安全管理のための体制の確保に係る措置」を講じることが求められるようになりました。これにより全ての医療機関が適切に医療機器の保守点検を実施するための仕組みづくりが重要な行政課題となり,厚生労働科学研究における調査研究として,平成20~21年度:「地域を支える医療機器の適正使用の確保に関する研究」(研究代表者:菊地眞・防衛医科大学校 医用工学講座教授 副校長),平成22~23年度:「医療機器の保守点検(医療安全)に関する研究」(研究代表者:菊地眞・防衛医科大学校 医用工学講座教授 副校長),平成24~25年度:「医療機器保守管理の適正実施にむけた諸課題の調査研究」(研究代表者:石原美弥・防衛医科大学校 医用工学講座教授),平成26~27年度:「医療機器保守点検のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の研究」(研究代表者:石原美弥・防衛医科大学校 医用工学講座教授), 平成28~29年度「中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究」(研究代表者:菊地眞・公益財団法人 医療機器センター 理事長)を実施しております。
また,平成25年8月に総務省行政評価局資料「医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」が公表されました。所見では特定機能病院以外の医療機関で発生した医療事故の中には研修不足が原因とされるものがみられたことより,特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器について,各医療機器の設置状況や使用頻度等を考慮した上で、定期的な研修を行うよう措置する必要性が指摘されました。
すなわち,医療機器を安心・安全に使用するためには研修および保守点検の適切な実施が必要であることと理解できます。ここで研修とは医療機器の安全使用のための技術習熟を目的として実施され、保守点検は策定した計画に基づいて実施されることを意図します。
そこで当研究班では,安全使用に関する研修と,保守点検に関する事項からなるガイドラインを作成しました。なお,今回は各医療機器の設置状況や使用頻度,使用する医療従事者を考慮した上で,輸液ポンプ,医用テレメータ,人工呼吸器,透析装置,人工心肺装置及び麻酔器を選定し,ガイドラインを作成しております。
既に開設しております医療機器保守点検の研修・教育サイトと同様に皆様のガイドラインの利用にあたり,機器や機種に依らない用語や構造で提示するよう努めました。本サイトを,貴機関で幅広くご利用いただければ幸甚です。
なお、本ガイドラインの作成にあたり、以下の団体のご協力をいただきました。
- 一般社団法人 日本医療機器産業連合会(JFMDA)
- 一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
- 一般社団法人 日本医療機器工業会(Jamdi)
- 一般社団法人 日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)
- 公益社団法人 日本麻酔科学会
- 一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会(AMDD)
- 欧州ビジネス協会(EBC)医療機器・IVD委員会
この場を借りて感謝申し上げます。
防衛医科大学校
医用工学講座
教授
石原 美弥