公益社団法人全国大学保健管理協会は、昭和39年10月に設立された社団法人全国大学保健管理協会を前身とし、全国の国・公・私立大学等により組織・運営されています。その公益性が認められ、平成24年4月1日付で内閣総理大臣の認定を受け、公益社団法人へ移行しました。
本協会は、大学における保健管理に関する相互の連携・協力体制を推進するとともに、調査・研究、研修・啓発活動を通じて得られた知見を実務へ還元し、大学における保健管理の充実、公衆衛生の向上ならびに学術研究の発展に寄与することを目的としています。そのため、大学保健に関する諸課題について調査・研究を行い、研究集会を開催して成果を広く共有するとともに、各種情報の収集・提供や大学間の連携・協力事業を積極的に展開しています。
我が国では高等教育への進学率が上昇し、多くの若者が大学や短期大学で学ぶ時代となりました。また、大学は学生が主体的に学び、生活し、自ら健康を管理する力を育む重要な場でもあります。さらに、教職員を含めたキャンパスコミュニティ全体の健康と安全を支えることは、教育・研究活動を支える基盤としてますます重要性を増しています。
大学における保健管理業務は、
① 一般定期健康診断や特殊健康診断、感染症流行時・災害時等における健康管理
② 健康診断結果に基づく保健指導および就学・就業上の支援
③ 身体的・精神的健康に関する相談支援
④ 傷病に対する応急対応および必要な医療機関との連携
⑤ 健康教育・健康増進活動およびヘルスリテラシーの向上
⑥ 復学・復職支援、過重労働対策、メンタルヘルス対策、産業保健活動
⑦ 作業環境管理、作業管理、安全衛生管理ならびにリスクマネジメント
――など多岐にわたり、その対象は感染症、生活習慣病、メンタルヘルス、障がいや慢性疾患との両立支援、国際的な健康課題まで幅広く及びます。
また、大学保健には次のような特色があります。
① 学生と教職員の双方を対象とし、学校保健と産業保健の両面から健康管理を実践する必要があること
② 教育機関であると同時に高度な研究機関でもあり、多様な研究活動に伴う化学物質、生物学的因子、放射線等の健康リスクへの対応が求められること
③ 学生の成長と自立を支援し、生涯にわたる健康づくりの基盤となるヘルスリテラシーを育成する役割を担うこと
④ グローバル化や多様化の進展に伴い、多文化共生や海外渡航・留学、感染症危機管理など新たな課題への対応が必要であること
⑤ デジタル技術やデータ活用を進めつつ、個人情報保護や倫理的配慮との両立を図ることが求められること
――などが挙げられます。
近年は、新興・再興感染症への備え、学生・教職員のメンタルヘルス対策、障がいや疾病を有する方々の修学・就労支援、ウェルビーイングの推進など、大学保健に期待される役割は一層拡大しています。一方で、多くの大学では限られた人的・物的資源の中で対応を迫られており、大学間の連携や専門家との協働はますます重要になっています。
本協会は、学生および教職員一人ひとりが安心して学び、働き、研究できるキャンパス環境の実現を目指し、大学保健に関する学術研究の振興・発展と実践の向上、公衆衛生の発展に貢献してまいります。今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年6月
公益社団法人全国大学保健管理協会
代表理事 長友 泉
(大阪大学 ウェルネス推進機構 健康支援相談センター教授)