GeneReviews著者:Ivona Aksentijevich、 MD、 Natalia Sampaio Moura、 BS、 and Karyl Barron、 MD.
日本語訳者:清水 日智(社会福祉法人恩賜財団済生会支部済生会長崎病院 小児科)
GeneReviews最終更新日: 2020.10.15. 日本語訳最終更新日: 2021.11.23.
原文 Sphingosine Phosphate Lyase Insufficiency Syndrome
臨床的特徴
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) は、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 (非免疫性胎児水腫から青年期発症までを含む)、原発性副腎不全 (ミネラルコルチコイド欠乏症を伴う、または伴わない)、精巣機能不全、甲状腺機能低下症、魚鱗癬、リンパ球減少症/免疫不全、そして神経学的異常 (発達遅滞、退行/進行性神経障害、脳神経障害、末梢運動・感覚神経障害) を含むの様々な症状組み合わせによって特徴づけられる。
診断・検査
DADA2の診断は、発端者 において、臨床上および検査上疑うべき所見があり、分子生物学的検査にてADA2の両アレル性 機能喪失型病原性バリアントが同定され、血漿または血清中のADA2触媒活性が低い (正常値の5%未満)、もしくは検出されない場合に確立される。
臨床的マネジメント
症状に応じた治療
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、内分泌疾患、免疫不全、体重増加不良/摂食障害、発達遅滞/知的障害、神経病変、難聴、魚鱗癬に対する総合的な管理を行う。
定期検査 (サーベイランス)
専門医療機関からの要求に応じて定期的なフォローアップを行い、発達状態や教育上の必要性を定期的に確認する。
避けるべき薬剤/環境
腎毒性のある薬剤、(腎不全のある人に対する) 腎排泄性の薬剤、生ワクチン、感染性物質への曝露、放射線照射されていない血液製剤。
リスクのある血縁者の評価
早期に治療を開始したり、避けるべき薬剤や状況(agents/circumstances to avoid) を意識したりすることが有益な人をできるだけ早く特定するためには、一見無症状に見える、リスクがある罹患者の年上・年下の同胞 (兄弟姉妹) の遺伝的状態を明らかにすることが適切である。
遺伝カウンセリング
SPLISは、常染色体劣性遺伝形式をとる。両親はそれぞれヘテロ接合性にSGPL1の病原性バリアントを持つことが知られており、受胎時点において、罹患者の同胞 (兄弟姉妹) は、25%の確率で罹患をし、50%の確率で無症候性保因者 (ヘテロ接合体 ) となり、25%の確率で罹患しておらず保因者でもない。SGPL1の病原性バリアントが罹患者のいる家系内で特定されると、(訳者注:米国では) リスクのある血縁者に対する保因者検査、リスクの高い妊娠に対する出生前検査、着床前遺伝検査 が可能となる。
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS) は、以下のような臨床所見、検査所見、画像所見および家族歴の組み合わせを持つ人で疑う必要がある。
疑うべき所見
臨床所見
検査所見
血漿を用いた代謝分析において、スフィンゴシン-1-リン酸および/または他のスフィンゴ脂質が増加していることが確認される。患者のほとんどにおいて、研究プロトコルに基づいたタンデムマス分析法による特殊検査が行われてきた。しかしながら、スフィンゴ脂質中間代謝産物の蓄積は、広範な小分子を捕捉するように設計された包括的な血漿/血清メタボロミクス解析 (metabolomics profiling test) において検出されるかもしれない [Guerrero et al 2018]。血漿スフィンゴシン/ジヒドロスフィンゴシン比の増加が観察されることがある。
画像所見
家族歴。常染色体劣性遺伝形式 (autosomal recessive) に一致する (例: 罹患者の同胞 [兄弟姉妹] における発症、および/または、罹患者の親が近親婚 [consanguinity] である)。原因不明の胎児死亡や非免疫性胎児水腫の家族歴があるかもしれない。家族歴がないからといって診断ができないわけではない。
診断の確立
発端者 が少なくとも一つの疑うべき所見を有し、かつ分子遺伝学的検査により両アレル性SGPL1病原性バリアント(表1 ): が同定された場合に、スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) の診断は確立される。
注:両アレル性 に意義不明 のSGPL1バリアントが同定された場合(または既知のSGPL1病原性バリアント が1つと、意義不明のSGPL1バリアントが1つ同定された場合)は、SPLISの診断を確立することにもならず、診断を除外することもできない。
分子遺伝学的検査の手法には、表現型 に応じて、特定の遺伝子 を対象とした検査 (単一遺伝子検査、マルチ遺伝子パネル と、包括的なゲノム 検査 (エクソームシーケンス、エクソームアレイ、ゲノムシーケンス) の組み合わせが選択できる。
特定の遺伝子を対象とした検査では、どの遺伝子が関係しているか、臨床医があらかじめ判断する必要があるが、包括的なゲノム 検査ではその必要はない。疑うべき所見 記載されているような特徴的な所見を持つ患者では、特定の遺伝子を対象とした検査 (オプション1参照) で診断される可能性が高いが、SPLISが鑑別疾患に挙げられていない患者では、包括的なゲノム検査 (オプション2参照) で診断される可能性が高くなる。
オプション1
単一遺伝子検査。
まず、SGPL1のシーケンス解析を行い、遺伝子内の小さな欠失/挿入、ミスセンス、ナンセンス、およびスプライスサイト バリアントを検出する。注意: 使用するシーケンス方法によっては、シングルエクソン 、マルチエクソン、あるいは遺伝子全体の欠失/重複が検出できない場合がある。使用したシーケンシング方法でバリアントが1つしか検出ない、もしくは全く検出されない場合、次のステップとして、エクソンや遺伝子全体の欠失や重複を検出するために、遺伝子を対象とした欠失/重複解析 行うことが一般的である。しかし、現在までのところ、このようなバリアントがこの疾患の原因として特定されたことはない。
SGPL1 およびその他の候補となる遺伝子 (「鑑別診断」参照) を含むステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、遺伝性神経障害、 原発性副腎不全のマルチ遺伝子パネル は、最も合理的なコストで遺伝的原因を特定できる可能性が高く、その一方で、意義不明 なバリアントや、患者に認められる表現型 とは合致しない病態を引き起こす遺伝子の病原性バリアントが偶発的に見つかることを抑制できる。注意: (1) パネルに含まれる遺伝子の種類や診断の感度 は検査室によって異なり、時間の経過とともに変化する可能性がある。(2) マルチ遺伝子パネルの中には、当GeneReviewのサイト上で説明した病態には関連しない遺伝子が含まれている場合がある。特に、スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群の希少性を考慮すると、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、遺伝性神経障害、原発性副腎不全などのパネルにはこの遺伝子が含まれていない場合がある。(3) 検査会社によっては、パネルの選択肢として、臨床医が指定した遺伝子を含む、検査室で設計したカスタムパネルおよび/または表現型をもとに作成されたカスタムエクソーム解析が含まれている場合がある。(4) パネルで使用される方法には、シーケンス解析、欠失/重複解析、および/または他のシーケンス解析に基づかない手法による検査が含まれる。
マルチ遺伝子パネルの詳細については、こちらを参照のこと。遺伝子検査をオーダーする臨床医のためのより詳細な情報は、ここを参照のこと。
オプション2
包括的なゲノム 検査では、どの遺伝子が関与しているかを臨床医があらかじめ判断をする必要がない。エクソームシーケンスが最も一般的に用いられるが、ゲノムシーケンス も可能である。エクソームシーケンスでは診断不能の場合、シーケンス解析では検出できない (複数の) エクソン欠失や重複を検出するために、エクソームアレイ を実施する (臨床的に可能な場合)。注意:現在までのところ、このようなバリアントがこの疾患の原因として同定されてはいない。
包括的なゲノム検査については、 こちらを参照のこと。ゲノム検査を依頼する臨床医のためのより詳細な情報はこちらを参照のこと。
表1.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: phingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) に用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子1 | 検査手法 | 各検査手法によって、病原性バリアントが発端者において同定される割合2 |
---|---|---|
SGPL1 | シーケンス解析3 | 報告されるもの全て4 |
遺伝子標的欠失/重複解析 (deletion/duplication analysis) 5 | 報告は存在しない6 |
臨床所見
アスフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群(SPLIS)は、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、原発性副腎不全(ミネラルコルチコイド欠乏症を伴う場合もある)、精巣機能不全、免疫不全、神経学的異常がさまざまに組み合わされることが特徴であり、原発性甲状腺機能低下症や魚鱗癬を伴うこともある (表2)。
現在までに、スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS) の患者46人が報告されている [Atkinson et al 2017、Janecke et al 2017、Lovric et al 2017、Prasad et al 2017、Bamborschke et al 2018、Linhares et al 2018、Saygili et al 2019a、Settas et al 2019、Taylor et al 2019、Maharaj et al 2020、Zhao et al 2020]。注目すべきことは、Taylorら[2019]が報告した患者は、Zhaoら[2020]の報告にも含まれていることである。以下のSPLISの表現型の特徴に関する説明は、これらの報告に基づいている。
表2.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) の臨床的特徴
臨床症状 | 有症者数 | コメント | |
---|---|---|---|
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 | 37/46 | ||
内分泌 | 原発性副腎不全症 | 31/46 | 5人がミネラルコルチコイド欠乏症も伴っていた1 |
精巣機能不全症 | 26人中8人は停留精巣および/もしくは小陰茎 (マイクロペニス) を伴っていた | ||
甲状腺機能低下症 | 6/46 | ||
免疫不全 | 31/46 | ||
神経学的異常所見 | 22/46 |
|
|
感音難聴 | 8/45 | ||
魚鱗癬/表皮肥厚症 (acanthosis) | 13/46 |
ネフローゼ症候群
腎病変の範囲は、非免疫性胎児水腫といった重篤な症状を認める場合から、診断後何年も経過した後にネフローゼを発症したり、2名の同胞例において20代、30代の経過観察期間で認められたように、何年も経過しても腎病変を発症しないような場合まである [Atkinson et al 2017]。一般的には、ネフローゼ症候群は先天性または乳児期に発症し、ステロイドに反応せず、1年以内には末期腎不全へと急速に進行する。報告された46人の中でネフローゼ症候群と診断された最高齢は18歳である [Lovric et al 2017]。
6人の患者が腎移植を受けている。その内、2人が5歳で、1人が5歳で移植を受けた後に12歳で再移植、1人が8歳で移植を受けている。他の2人の移植時の年齢は記載されていないが、報告時の年齢は、1人は8.4歳、もう1人は17.5歳であった。
腎生検の病理学的所見は、通常、糸球体硬化症、特に、ポドサイトにおける足突起の消失という微細構造の変化を伴う巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS) 合致している。3人の患者では、急速進行性の亜型である虚脱型亜型分節性糸球体硬化症 (collapsing variant FSGS) であった [Zhao et al 2020]。病理学的にびまん性メサンギウム硬化症と診断された人もいた。局所的な尿細管拡張、びまん性IgM沈着、石灰化巣、脂肪滴または硝子滴変性、血管周囲の硬化、および血管壁の肥厚が、一部の腎生検結果として報告されている。
内分泌症状
原発性副腎不全は、副腎石灰化を伴う場合と伴わない場合があり、コルチコステロイドと電解質補充による緊急治療が必要とされる副腎クリーゼ (an Addisonian crisis) として発症することがある。原発性副腎不全の患者はすべてグルココルチコイドの欠乏があり、一部の患者ではミネラルコルチコイドの欠乏も伴っている。
原発性副腎不全のほとんどの患者は、10歳までに発症する。最年長の発症年齢は11歳と報告されている [Lovric et al 2017]。
胎児期に認められることがある副腎の石灰化や肥大は、副腎不全の危険因子である可能性が高い [Janecke et al 2017、 Zhao et al 2020]。
精巣機能不全は、小陰茎 (マイクロペニス: micropenis)、停留精巣または小精巣を有する新生児において疑われる。ホルモン検査では、テストステロン基礎値の低値、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 負荷試験においてテストステロン値の低反応、乳児期早期における黄体形成ホルモン放出ホルモン (LHRH) 負荷試験に対するゴナドトロピンの過剰反応、ミュラー管抑制物質 (抗ミュラー管ホルモン) 低値、血清インヒビンB低値、などの特徴がある。
甲状腺機能低下症。発症年齢は不明である。内分泌学的検査では、T4は低値か正常であり、TSHは高値である。サイロキシンの補充が必要となる
リンパ球減少症。SPLISの患者では、ネフローゼ症候群、副腎不全、神経障害と比較してリンパ球減少症の発生率が低いが、これは、この疾患の初期の報告において、無症候性リンパ球減少症の存在が認識されておらず、報告されなかったことに起因するようだ。
複数のSPLIS患者では、頻繁に感染症を繰り返しており、その中には、感染症に関連して亡くなったケースも含まれている [Lovric et al 2017、 Bamborschke et al 2018、 Saygili et al 2019b、 Zhao et al 2020]。敗血症で死亡したほとんどの人は、長期の入院、複雑な経過、その他の感染症の危険因子を伴っていた。
現在までに、SPLISの罹患者2人が、新生児スクリーニングでTREC (T細胞受容体切除環状DNA; T-cell receptor excision circle) の異常を認めている。1人は、リンパ球絶対数が低値であり、ナイーブ細胞とメモリー細胞の分布異常が見られ、B細胞数とNK細胞数が低値であり、IgG値は測定感度以下であったが、予防接種に対する免疫反応は維持されていた。もう1人では、リンパ球絶対数が低値であり、CD3 T細胞の絶対数が少なく、B細胞とNK細胞の数は正常で、IgG値は低く、予防接種に対する免疫反応は認められなかった [Zhao et al 2020]。
神経学的異常
脳神経の障害は、第III、IV、VI脳神経を侵し、眼瞼下垂、斜視、内斜視、弱視などの症状を呈する。
第VIII脳神経の障害は感音難聴として表出する。難聴は先天性 (congenital) のものもあれば、10歳前までに遅れて診断されるものもある。難聴は進行性で重度であり、片側または両側の場合がある (例: 両側性、500Hzで気骨導差を伴う上向き傾斜型 [upward sloping] の聴力)。
発達遅滞。一部の小児においては、一定期間は定型発達を示し、デンバー式発達スクリーニング検査で示される期待される発達指標へと到達した後、新しい成長スキルを獲得することが出来ず発達遅滞となる。報告されている大部分の症例からは、発達に関する詳細な情報を得ることができない。
退行/進行性の神経学的病変。一部の患者において、一定期間は神経学的異常所見を認めずに正常な発達を示すが、その後、粗大運動、言語、および社会的スキルの発達が遅れ、続いて、獲得していたスキルや機能 (歩行、言語、および社会的相互作用) の喪失が生じる。この退行は、進行性のMRI画像変化を伴うことが多く、進行に伴い、全身性の筋緊張低下、けいれんを引き起こし、死に至ることもある。
神経症状増悪の発症年齢や初発症状の種類は様々で、若干12か月の症例もあれば (Zhao et al [2020] の症例4)、25歳と年長の症例もある(眼瞼下垂 [Lovric et al 2017])。神経学的異常の合併が報告されていない人もいる。
末梢神経障害として、以下の症状を認めうる:
SPLISの他の症状がなかった2人の同胞例において、下記の症状が認められた [Atkinson et al 2017]。
けいれん
全般発作および複雑部分発作は、副腎不全、低血糖、または進行性の神経疾患に関連する可能性がある。
小頭症 (4人)。詳細な脳のサイズや神経放射線学的な測定結果の記載なく報告されることが多い。脳の発達障害も伴っていた患者1名において、生後2週間で頭蓋前後径 (OHC) が31.5cm (3パーセンタイル未満) であったとの報告がある [Bamborschke et al 2018]。
その他
魚鱗癬/表皮肥厚症 (acanthosis)
魚鱗癬は出生時から認めることもあれば、出生以降に出現することがある。色素沈着は、原発性副腎不全の結果として、通常、多くの患者に認められる症状である。皮膚生検では、過角化を伴う表皮の菲薄化および顆粒層の減少が認められる。
胎児期の異常
15例の妊娠中、14例では、非免疫性胎児水腫、副腎石灰化、胎児後頸部透亮像 (NT) などの異常が胎児期に認められた。子宮内胎児死亡例が数例存在する。
遺伝型と表現型の相関
伝型と表現型の相関 ) はSPLISでは完全には確認されていない。
同一家系内で、同一のSGPL1の病原性バリアントを持つ患者同士であっても、臨床症状や発症年齢が異なっており、家族内多様性が認められる。例えば、ある人は胎児期に流産となるが、他の人は乳児期や小児期以降になってから症状を発症することがある。
有病率
SPLISの有病率は不明である。現在までに約46人のSPLISが報告されている。報告されている総数は、SPLISの診断と一致する症状を呈した発端者の同胞例 (兄弟姉妹) (ただし、分子遺伝学的な確認はされていない) がカウントされているか否かによって異なる。
SGPL1の両アレル性生殖細胞系列病原性バリアントによって引き起こされる表現型は、このGeneReviewで述べられているもの以外には知られていない。
表3.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) の鑑別疾患と関連する遺伝子一覧
遺伝子 | 鑑別疾患 | 遺伝形式 | 鑑別疾患の特徴 | |
---|---|---|---|---|
SPLISと合致する症状 | SPLISと異なる症状 | |||
ALDH3A2 | シェーグレン・ラルソン症候群 Sjögren-Larsson syndrome 1 |
AR | 魚鱗癬、知的障碍、脳MRIの異常 | 痙性、腎病変を伴わない |
GBA | ゴーシェ病 (Ⅱ型) Gaucher disease type 2 |
AR | 魚鱗癬、非免疫性胎児水腫、脳MRIの異常 | 肝脾腫、汎血球減少 |
LAMB2 | ピアソン症候群 Pierson syndrome (OMIM 609049) |
AR | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、発達遅滞 | 小瞳孔症 |
LIPA | ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症Lysosomal acid lipase deficiency | AR | 副腎石灰化 | 肝線維化、肝硬変、腸管吸収不良 |
LMX1B | 爪膝蓋骨症候群 (ネイルパテラ症候群) Nail-patella syndrome |
AD | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、感音難聴 | 爪形成不全、膝蓋骨の低形成あるいは無形成、眼の異常 |
NPHS1 NPHS2 PLCE1 |
先天性ネフローゼ症候群1型、2型、3型 (OMIM 256300、 600995、 610725) | AR | ステロイド抵抗医性ネフローゼ症候群 | 他の症候性 (syndromic) 病変を認めない |
SMARCAL1 | シムケ免疫性骨形成不全Schimke immunoosseous dysplasia | AR | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、Tリンパ球減少症 | 脊椎骨端異形成症、多発性色素斑 |
AD = 常染色体優性遺伝: autosomal dominant; AR =常染色体劣性遺伝: autosomal recessive; MOI = 遺伝形式: mode of inheritance; SPLIS = 遺伝形式: スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome)
表4.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) の臨床的特徴とその鑑別疾患
臨床的特徴 | 鑑別の手掛かりとなる特徴 | コメント |
---|---|---|
運動/感覚神経障害 | 時に常染色体優性遺伝形式をとる | シャルコー・マリー・トゥース遺伝性ニューロパチー概説 (Charcot-Marie-Tooth Hereditary Neuropathy Overview)を 参照 |
先天性魚鱗癬 | SPLISにおいては表皮肥厚症 (acanthosis) が診られうる |
|
非免疫性胎児水腫 | 副腎腫大/出血 | 多くの疾患が胎児水腫と関連している (例; 染色体 [chromosome] 異常、RAS病 [RASopathies]、 ライソゾーム病 [lysosomal storage disorders])。1 |
原発性副腎不全 | 副腎石灰化、甲状腺機能低下症、停留精巣、小陰茎 (マイクロペニス) など が原発性副腎不全と関連していることがある。 |
多くの疾患が副腎皮質に影響を与え、副腎ステロイドの産生が不十分となり、嘔吐、低血糖、体重増加不良、倦怠感などの症状が出現する。原因としては、ステロイド生合成、コレステロール代謝、ミトコンドリア機能に影響を与える疾患(「ミトコンドリア異常症概説 [Mitochondrial Disorders Overview]」参照)、様々な代謝異常を伴う疾患が含まれ、これらは様々な代謝障害 (例:ペルオキシソーム病)、副腎異形成、ACTH不応症などと関連している。2 |
原発性免疫不全/ Tリンパ球 (CD4 & CD8) 減少症 (B細胞減少やNK細胞減少を伴う/伴わない) |
SPLISではT細胞が減少し、B細胞やNK細胞もしばしば減少するが、 T細胞の機能やワクチンへの反応性は一般的に保たれている (SCIDの場合と比較して)。 |
|
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 Steroid-resistant nephrotic syndrome (SRNS) |
SRNSにおいて高頻度で認められる虚脱型亜型 (collapsing variant) 巣状分節性糸球体硬化症4 | SRNSの原因として50を超える単一遺伝子が同定されており5、多くの患者において病変は腎臓に限定されている。 |
PNP = プリンヌクレオシドホスホリラーゼ: purine nucleoside phosphorylase; SCID = 重症複合免疫不全症: severe combined immunodeficiency; SPLIS = スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群: sphingosine phosphate lyase insufficiency
初期診断後の評価
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) と診断された患者に対して、疾患の重症度と治療ニーズを把握するために、表5にまとめられた評価を行うことが推奨される (診断に至る検査の一部として実施されていない場合)。
表5.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群と診断された患者において、診断時に推奨される評価一覧
評価対象 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 | 腎臓専門医への紹介 |
|
原発性副腎不全< | 内分泌専門医への紹介 |
|
甲状腺機能低下症 | 血清TSH、free T4測定 | |
精巣機能不全 | 年齢に応じた検査: 黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、テストステロン、血清インヒビンB、抗ミュラー管ホルモン | |
免疫不全 | 免疫の専門科への紹介 |
|
体重増加不良/成長障害 | 消化器内科、栄養科、摂食チームによる評価 | 必要に応じて経管栄養を開始する |
神経病変 | 神経学的検査 |
|
筋骨格系 | 整形外科医、理学療法・リハビリ専門医、PT、OTによる評価 | 下記の評価を行う:
|
聴力 | 聴力評価 | 感音難聴の評価のため |
言語 | 発話と言語に関する評価 | 発達遅滞を伴う場合や聴力障碍を伴う場合がある |
発達 | 発達の評価 | 下記が含まれる:
|
魚鱗癬/表皮肥厚症 (acanthosis) | 皮膚に異常を認めた場合には皮膚科へ紹介する | |
遺伝カウンセリング | 遺伝学の専門家によって行われる 1 | 医療方針や個人の方針の意思決定を円滑に行うことが出来るように、患者および患者家族に対し、SPLISの自然歴、遺伝形式、合併症について説明を行う。 |
家族支援/援助 | 下記を評価する:
|
ACTH = 副腎皮質刺激ホルモン; ADL = 日常生活動作; DD = 発達遅滞; DTRs = 深部腱反射; EEG = 脳波検査; EMG = 筋電図; LMN = 下位運動ニューロン; MOI = 遺伝形式: mode of inheritance; NCV = 神経伝導速度; OT =作業療法; PT = 理学療法; TSH = 甲状腺刺激ホルモン; UMN = 上位運動ニューロン
症状に対する治療
表6.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群の症状の治療について
症状合併症 | 治療 | 考慮すべきことその他 |
---|---|---|
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 |
|
腎移植の予後については、多くのケースにおいて不明である |
原発性副腎不全 | 内分泌専門医による治療 |
|
甲状腺機能低下症 |
|
|
精巣機能不全 |
|
|
免疫不全 | 免疫不全専門科による診療 | リンパ球絶対数を長期的にモニタリングする。リンパ球の増殖に異常があれば、生ワクチンの接種回避を検討する。ほとんどの患者では、リンパ球絶対数の減少にもかかわらず、T細胞の機能は正常/ほぼ正常である。 考慮すべき事柄:病歴や検査結果に基づいて、感染を防ぐための支持療法 (例: IVIG) を行う。 |
体重増加不良/成長障害 | 腎臓や内分泌系の問題など、基礎疾患を検索する | 栄養士への相談を考慮する、非経口の栄養法を考慮する。 |
発達遅滞/知的障害 | 「発達遅滞/知的障碍の管理に関する問題」を参照 Developmental Delay / Intellectual Disability Management Issues. |
|
神経学的症状 | けいれんの管理 |
|
移動能/ADL | 整形外科/理学療法・リハビリ科/PT/OT | 良肢位が保持され (ポジショニング)、移動が可能な装置/デバイスの必要性、障害者用駐車場利用証の必要性を考慮する |
聴力 | 聴覚の専門科による介入、補聴器が有用な場合がある。 | 乳幼児健診や学校区を通じた地域聴覚サービス |
発話 | 言語療法 | |
魚鱗癬 | 局所における保湿剤 (エモリエント剤: emollients) | |
家族/コミュニティー |
|
緩和ケアの必要性および/または訪問看護の必要性についての継続的な評価 |
ADL = 日常生活動作; DD = 発達遅滞; ID = 知的障碍; OT = 作業療法; PT = 理学療法
発達遅滞/知的障碍の管理に関する問題
以下の情報は、米国における発達遅滞/知的障碍をもつ人に対する典型的な管理上の推奨事項を示したものであり、標準的な推奨事項は国によって異なる場合がある。
0~3歳。
作業療法、理学療法、言語療法、摂食療法に加えて、乳幼児の精神保健サービス、特別支援教育、および感覚障害の専門家への受診を利用するために、早期介入プログラムへの紹介を受けることが推奨される。米国では、早期介入プログラムはすべての州で利用可能な連邦政府出資のプログラムであり、個々の治療ニーズに応えた在宅サービスを提供している。
3~5歳。
米国では、地元の公立学区を通じた発達段階のプレスクールが推奨されている。入園前に行われる評価によって、必要なサービスや治療法が決定され、運動、言語、社会性、認知発達の遅れが認められる場合には、個別教育計画 (IEP) が作成される。早期介入プログラムでは通常、IEPへの移行を支援する。発達プレスクールは施設で行われるが、医学的に不安定な状態ために通うことができないこどもたちに対しては、家庭でのサービスが提供される。
全年齢
適切な地域社会、州、教育機関 (米国) の関りがあることを確認し、生活の質を最大限に高めるために、発達小児科医との連携を取ることが推奨されている。考慮すべきいくつかの点は以下の通りである:
定期検査 (サーベイランス)
公表されている、定期検査に関するガイドラインは存在しない。SPLISに関連する既知の潜在的な医学的状態に基づいて、私たちは以下の定期検査を検討することを提案する (表7 [Table 7] 参照)。
表7.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群の患者に対し、推奨される定期検査/サーベイランス
象関連臓器 | 評価項目 | 頻度 |
---|---|---|
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 | 腎疾患の合併が判明している場合
|
担当の腎臓専門医の判断に応じて |
腎疾患の合併が判明していない場合 |
|
|
原発性副腎不全 | 早朝ACTH、血清コルチゾール値 (基礎値の結果が境界域/異常の場合には、その後ACTH負荷試験)、電解質、および血漿レニン活性 | 6~12ヶ月ごとに臨床症状の確認と検査を行う。加えて、大きな手術の実施前にも検討される。 |
甲状腺機能低下症 | Free T4、TSH | 1年に1回 |
精巣機能不全 | 臨床医は思春期の進行を詳細に評価し、思春期発来が遅れていたり、進行が悪い場合には、さらなる検査を行う。 | 1年に1回 |
免疫不全 | リンパ球数および免疫能の継続的な評価 | 6~12か月ごと、または感染症などの懸念がある場合はそれ以上の頻度で行う |
摂食/栄養 | 年齢・性別に応じた成長曲線に沿った成長の確認 | 小児期の定期健診にて発育良好の場合には標準的な間隔で。成長率が低下している場合には、より頻繁な体重測定を行う。 |
神経学的症状 | 神経学的検査による新たな症状および/または症状の進行具合の確認 | 少なくとも年に1回 |
筋骨格系/移動能/ADL | OT/PTによる評価 | |
聴力 | 聴力検査 | 少なくとも年に1回 |
発話 | 言語聴覚士による評価 | |
発達/教育上の必要性 | 発達の状態や教育的ニーズの把握 | |
魚鱗癬 | 経時的変化を把握するための病変部の写真撮影と計測。オプションとしての皮膚生検。 | 必要時に |
Miscellaneous/ Other |
家族への社会福祉的支援 (例:緩和ケア/レスパイトケア、訪問看護、その他の地域による支援) とケア調整の必要性の評価 | 受診ごとに |
OT =作業療法士; PT = 理学療法士
避けるべき薬剤/環境
腎毒性のある薬剤はすべて避けるべきである。
腎不全がある場合は、腎排泄性薬剤を避ける。
生ワクチンの接種や感染症への暴露は、免疫不全のために特に危険な場合がある。
輸血製品は放射線照射が行われるべきである。
リスクのある血縁者の評価
早期に治療を開始したり、避けるべき薬剤/環境を認識したりすることが有益な人を、できるだけ早く発見するためには、一見無症状に見え、リスクがある、患者の年上・年下の同胞 (兄弟姉妹) の遺伝的状態を明らかにすることが適切である。
遺伝カウンセリング (を目的としたリスクのある血縁者の検査に関する問題については、遺伝カウンセリングを参照のこと。
今後の導入が検討されている治療法
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群の患者2人において、補酵素の補充 (ピリドキシン塩酸塩) に反応したことが報告されている [Zhao et al 2020]。
米国のClinicalTrials.govと欧州の EU Clinical Trials Registerを検索することで、幅広い疾患や症状の臨床試験に関する情報にアクセス可能である。注:この疾患に関する臨床試験が存在しない可能性もある。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群(SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome)は、常染色体劣性形式 (an autosomal recessive manner) を取る。
家族構成員のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の子孫
PLIS患者の中には妊孕性が低下する人がいるかもしれない。
他の家族構成員
発端者両親の同胞 (兄弟姉妹) はそれぞれ、SGPL1病原性バリアントの保因者あるリスクが50%ある。
保因者診断
リスクのある血縁者に対して保因者検査を行うためには、あらかじめ家系内におけるSGPL1の病原性バリアントが同定されている必要がある。
遺伝カウンセリングに関連した問題
早期診断と治療を目的としたリスクのある血縁者の評価に関する情報については、管理、リスクのある血縁者の評価 参照のこと。
家族計画
出生前検査および着床前遺伝子検査
(訳注:米国においては) 家系内で罹患者にSGPL1の病原性バリアントが同定された場合、リスクの高い妊娠のための出生前検査 (や着床前遺伝子検査が可能となる。
医療の専門家の間や家族内においても、出生前検査に対する考え方の相違が存在しうる。多くの専門機関は出生前診断については夫婦の自己決定の問題だと考えているが、この問題については議論することが適切である。
GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリック。
11921 Rockville Pike
Suite 300
Rockville MD 20852
Phone: 866-300-2900
Email: helpline@kidneyfund.org
www.kidneyfund.org
310-5160 Decarie Boulevard
Montreal Ontario H3X 2H9
Canada
Phone: 800-361-7494 (toll-free); 514-369-4806
Fax: 514-369-2472
Email: info@kidney.ca
www.kidney.ca
Phone: 866-NephCure; 866-637-4287
Email: info@nephcure.org
nephcure.org
分子遺伝学
Molecular GeneticsおよびOMIMの表の情報は、GeneReviewの表の情報とは異なる場合がある。すなわち、GeneReviewの表にはより新しい情報が含まれている場合がある。-編集者。
表A.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome): 遺伝子とデータベース
遺伝子名 | 染色体座 | タンパク質 | HGMD | ClinVar |
---|---|---|---|---|
SGPL1 | 10q22.1 | Sphingosine-1-phosphate lyase 1 | SGPL1 | SGPL1 |
データは以下の標準的な参照サイトより収載した:遺伝子はHGNCから、染色体座はOMIMから、タンパク質は UniProtから。リンク先のデータベース(Locus Specific、HGMD、ClinVar)の説明はこちらを参照のこと。
表B.
スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 (SPLIS: Sphingosine phosphate lyase insufficiency syndrome) に関連するOMIM項目 (OMIMで全てを見る)
603729 | スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群 SPHINGOSINE-1-PHOSPHATE LYASE 1; SGPL1 |
617575 | ネフローゼ症候群 14型; NEPHROTIC SYNDROME、 TYPE 14; NPHS14 |
分子病態
SGPL1は、小胞体の外膜に存在し、ホモダイマーとして機能するスフィンゴシンリン酸リアーゼ (SPL: sphingosine phosphate lyase) をコードしている。SPLは、スフィンゴ脂質分解経路の最終酵素で、スフィンゴシン-1-リン酸 (S1P: sphingosine-1-phosphate) と呼ばれるスフィンゴ脂質代謝物の不可逆的な分解に必要なビタミンB6依存性の細胞内酵素である[Choi & Saba 2019、 Saba 2019]。S1Pは、アルブミンやHDLに結合した状態で血流中を循環し、ほとんどの細胞に発現しているGタンパク質共役型受容体を介してシグナルを活性化する。S1Pシグナルは、胸腺や末梢リンパ器官からのT細胞の放出を調節する。S1Pシグナルは、血管の機能維持にも重要である。
SPL活性の消失は以下の病態と関連する:
SPLは副腎の発達に一定の役割を果たしている可能性があり、SPLISで合併する原発性副腎不全の説明となるかもしれない。さらに、上流のスフィンゴ脂質中間代謝産物の蓄積は、ストレス時におけるステロイド産生の障害となる可能性がある [Lucki & Sewer 2010、 Prasad et al 2017]。
注:SPLISはスフィンゴリピドーシス (スフィンゴ脂質蓄積症) とされており、ライソゾーム蓄積病ではない。
病気の原因となるメカニズム。機能喪失 (Loss of function)。
SGPL1に特化した研究室において技術的に検討される事項 患者由来の皮膚線維芽細胞の生化学的分析 (すなわち、酵素分析、タンパク質発現、スフィンゴ脂質プロファイリング) と血漿中スフィンゴ脂質プロファイリングは、意義不明) なバリアントの評価に有用である。
表8
特記すべきSGPL1病原性バリアント一覧
参照配列 | DNA ヌクレオチド変化 | 予測されるタンパク質の変化 | コメント [参考文献] |
---|---|---|---|
NM_003901.4
NP_003892.2 |
c.665G>A | p.Arg222Gln | SPLIS患者46人中10人に認められた病原性バリアント [Lovric et al 2017、 Prasad et al 2017、 Zhao et al 2020] |
表に記載されているバリアントは、著者によって提供されたものである。GeneReviewsのスタッフは、バリアントの分類を独自に検証していない。GeneReviewsは、Human Genome Variation Society (varnomen.hgvs.org) の標準的な命名規則に従っている。命名法に関する説明は Quick Reference を参照のこと。
GeneReviews著者:Ivona Aksentijevich、 MD、 Natalia Sampaio Moura、 BS、 and Karyl Barron、 MD.
日本語訳者:清水 日智(社会福祉法人恩賜財団済生会支部済生会長崎病院 小児科)
GeneReviews最終更新日: 202.10.15. 日本語訳最終更新日: 2021.11.23.[ in present]