Gene Review著者: Kathleen A Williamson, PhD and David R FitzPatrick, MD, FRCP(EDIN).
日本語訳者: 奥 智子、升野光雄、山内泰子、黒木良和(川崎医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 遺伝カウンセリングコース)
Gene Review 最終更新日: 2014.7.31 日本語訳最終更新日: 2015.7.17
要約
疾患の特徴
SOX2関連眼疾患は、通常、両側性の重症で出生時か出生前の超音波検査で明らかな無眼球および、または小眼球を特徴とする。その他の共通所見として、脳奇形、食道閉鎖症、男性の停留精巣および、または小陰茎、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症および、または下垂体低形成がある。生後の成長障害、運動発達遅滞、学習障害はよくみられる。
診断・検査
SOX2関連眼疾患の診断は、臨床所見、3q27(SOX2を含む)欠失を検出するための細胞遺伝学的あるいは分子解析、および分子遺伝学的検査により確定される。分子遺伝学的検査では、両側性の無眼球/小眼球を持つ人の約40%にヘテロ接合のSOX2遺伝子の病原変異を同定する。
臨床的マネジメント
症状の治療:光学的に透明な拡張器を用いた眼窩および眼窩周辺組織の発育の刺激、視覚障害を有する乳児や小児向けに特化した教育サービス、運動障害に対する理学療法、神経発達の問題に対する特別教育、睡眠障害に対するメラトニンの使用、けいれんに対する抗てんかん薬。
経過観察:年1回の聴力検査および神経発達の評価を5歳まで実施する。身長、体重、頭囲の計測を小児期に3~ 6ヵ月ごとに実施する。
遺伝カウンセリング
SOX2関連眼疾患は、常染色体優性遺伝形式で、最も多いのは新生突然変異による。通常は発端者の同胞に遺伝する確率は低い。しかし、発端者の片親が生殖細胞系列モザイクを有する場合、同胞に遺伝する確率は50%と同じ位になりうる。家族の病原変異がわかっている場合は、リスクが高い妊娠では、出生前診断が可能である。眼球の著しい縮小は、胎児超音波検査で明らかとなる。
SOX2関連眼疾患:含まれる疾患
同義語および、もはや使用されない名称については命名法を参照
診断
SOX2関連眼疾患の診断は以下がある場合に疑うべきである。
診断の確定
SOX2関連眼疾患の診断は、発端者を対象としたSOX2遺伝子を含む欠失、染色体転座、あるいは病原変異を同定するための遺伝学的検査で確定される。
細胞遺伝学的解析には、染色体分析並びに、患者の15%で生じることが知られている微細欠失の検出法として、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)や高精度の検出法を含むコピー数多様性(CNV)分析がある。
・SOX2の欠失を含むことで知られ、細胞遺伝学的に目視可能な3q27欠失が観察されている。
・3q27を含む新生均衡型転座が他でも検出されており、SOX2遺伝子全体が欠失した、600 kbの微細欠失を伴うt(3;11)(q26.3;p11.2)[3番染色体長腕26.3と11番染色体短腕11.2の転座]と、2.7 Mbの欠失を伴うt(3;7)(q28;p21.3)[3番染色体長腕28と7番染色体短腕21.3の転座]がある。
・SOX2遺伝子を含む新生微細欠失は、比較的よくある、疾患の原因となるアレルである。
分子解析(表1参照)
表1. SOX2関連眼疾患に使用する分子遺伝学的検査の要約
遺伝子1 | 検査方法 | この方法で検出可能な病原変異 を持つ発端者の割合 |
---|---|---|
SOX2 | シークエンス解析2 | 25%-30%3 |
欠失/重複解析4 | 7%-10%5 | |
FISH6 | 4%3,6 |
遺伝学的に関連する疾患
GeneReviewで議論された以外の表現型については、SOX2の変異との関連があるものはない。
臨床像
臨床記述
SOX2関連眼疾患がある97家族の総計114人が、今日までに詳細に研究されている。
両側性無眼球および、または小眼球
SOX2関連眼疾患は、ふつうは両側性かつ重症であり、出生時あるいは通常の妊娠中の超音波検査で明らかになる。今日までに報告された114人では、56人(49%)が両側性無眼球、19人(17%)が対側に小眼球を伴う無眼球、12人(10%)が両側性の小眼球であった。残りの人は以下のような様々な眼の先天異常がある。
機能喪失型病原変異を持つ3人は、両眼とも構造上は正常な眼球であった。この3人は、気管食道瘻と片側の眼瞼裂狭小を持つ一卵性双生児(もう一方の双生児は片側の無眼球を伴う無眼球-食道閉鎖症-性器異常 [AEG] 症候群があった)、脳奇形と11対の肋骨を持つ
胎児(同胞がAEG症候群)、そして単独低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を持つ母親(病原変異のヘテロ接合性、または高頻度のモザイクを伴う)で、人工受胎により、両側の無眼球あるいはコロボーマを伴う片側の小眼球を持つ二人の子どもがいる。
視覚障害の程度は、通常は重症であり眼の構造上の異常の程度と一致する。一般に、存在する網膜組織には、いくらかの機能上の活動性がある。たとえば、極度の小眼球でさえ、機能を果たす網膜組織はいくらかの明暗を感じ、色を感じる場合もある。
脳奇形
MRIで明らかな内側側頭葉(海馬や海馬傍回)奇形がある12人の子どものうち、2人はさらに、内側側頭領域に異所性灰白質がみられた。下垂体低形成と脳梁の無形成あるいは形成不全は多数の人で報告されている。
下垂体前葉低形成
成長ホルモンとゴナドトロピンの詳細な測定では、症例の大多数で視床下部下垂体軸の機能不全の所見がある。
運動発達遅滞 は通例みられる。12ヵ月から4歳までの間で自立歩行が達成されるが、一部は自立歩行ができない。
学習障害については、正常な知能から重度の学習障害まで非常に幅があり、検査を受けた大多数の人は、これらの両極の間の点数であった。学習障害の程度は、変異のタイプや眼球に関連する重症度によっては予測できない。
けいれんについて16人で観察された。発作の始まりは不定で、通常は幼児期である。正確な発作のタイプの情報は限られている。しかし、多くは大発作(強直間代発作)であり、幼児期に現れ、標準的な抗けいれん薬の投薬に良く反応する。
感音性難聴 5人の子どもに補聴器を必要とする非進行性の中等度の感音性難聴がみられた。
気管食道瘻を伴う、あるいは伴わない食道閉鎖症 SOX2遺伝子のヘテロ接合の病原変異は、AEG症候群(OMIM 206900)を有する血縁関係のない8人と一卵性双生児で同定された。AEG症候群は、明瞭な疾患単位というよりは、SOX2関連眼疾患スペクトラムの一部と思われる。
遺伝型-表現型相関
今日までに報告された、ほとんど全てのSOX2病原変異は、ヘテロ接合の機能喪失型変異と思われる。したがって、遺伝型-表現型相関を明示することは難しい。
浸透率は、モザイクでない機能喪失型の病原変異で100%と思われる。表現度の差異は、N末端領域のポリグリシンリピートを変化させる最もよくみられる変異アレルやパートナー結合ドメインの特定の残基を変化させる反復してみられる変異アレルといった、いくつかの病原変異において観察された特徴である。
浸透率
浸透率は、モザイクでない機能喪失型の病原変異で100%と思われる。
命名法
SOX2無眼球症候群ともよばれてきた。
小眼球-無眼球-コロボーマ(MAC)は、SOX2関連眼疾患を記載したいくつかの初期の発表で、重症の眼奇形スペクトラムの包括語として使われた。これはコロボーマが、すべての小眼球に本質的に伴うことを意味し、実情にそぐわないため、ふさわしくない頭字語であろう。
SOX2病原変異と関連する、小眼球あるいは無眼球の胚発生起源に対する各仮説は、臨床表現型の異なるスペクトラムを予測する。
したがって、MACという用語は疾患を表す言葉としては不適当である。患者の大多数において眼球が非常に小さいかあるいは欠損しており、形態学的に分類不能のため、SOX2関連眼疾患に関連する特有のスペクトラムは、いまだ明確ではない。コロボーマは報告されているが、よくある特徴ではない。
無眼球-食道閉鎖症-性器異常(AEG)症候群については、以前は別個の疾患として報告されていたが、現在では、何人かの患者においてSOX2のヘテロ接合の機能喪失型変異と関連するものであると知られている。したがって、気管食道瘻を伴う、あるいは伴わない食道閉鎖症はSOX2関連眼疾患のひとつの特徴であり、独立した疾患ではないと思われる。これは、ひよことマウスの胚発生過程の内胚葉と性腺隆起におけるSOX2の既知の発現と一致する。
有病率
有病率は、約1/250,000である(英国における推定)。
鑑別診断
SOX2病原変異は両側性無眼球の40%を占め、重症の両側性眼球奇形の最もよく知られた遺伝的原因である。しかし、これらの疾患は著しい病因的異質性がある。
OTX2のヘテロ接合の機能喪失型変異によって引き起こされるOTX2無眼球症候群(OMIM 610125)は、SOX2無眼球症候群とほとんど同一の眼と脳の特徴となりうる。しかし、食道閉鎖症と気管食道瘻はOTX2変異に関連して記載されてはいない。
CHARGE症候群は、眼の奇形、成長障害、小陰茎、気管食道瘻を伴う小児では考慮されるべきである。典型的なCHARGE症候群、あるいは軽度の表現型を示す(すなわち、主要な特徴が少ない)患者のCHD7シークエンス解析では、約65%-70%に病原変異が検出される。SOX2変異が同定されなかったAEG症候群を有する1人の患者について、その後にCHD7におけるヘテロ接合の機能喪失型変異が同定された。
SOX2関連眼疾患と類似するかもしれない、十分には定義されていない疾患に、耳、歯、指、骨格、あるいは腎尿路生殖器系に関する奇形を伴い、片側性か両側性の小眼球/無眼球を特徴とするレンツ小眼球症候群(LMS)がある。男性患者の約60%に、軽度から重度の知的障害、あるいは発達遅滞がみられる。X染色体上の二つの遺伝子座のMCOPS1とMCOPS2がLMSと関連していることが知られている。MCOPS2のLMSに関連する遺伝子は、BCORである。遺伝形式はX連鎖である。
より完全な鑑別診断は、無眼球/小眼球概観を参照。CHX10、RAX、PAX6 (無虹彩を参照)、 およびOTX2における病原変異は表現型が重複しうる。
より完全な鑑別診断は、食道閉鎖症/気管食道瘻概観を参照。
本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.
最初の診断後の評価
SOX2関連眼疾患と診断された人の疾患の程度とニーズを確かめるため、以下の評価が推奨される。
臨床症状に対する治療
視力障害 視力障害に対する一般的なマネジメントは、無眼球あるいは小眼球に特異的なものではない(無眼球/小眼球概観を参照)。ケアは以下の通りである。
その他
二次的合併症の予防
新生児の多くは、"授乳してくるむ"方法を用いることにより、全身麻酔なしに適切なMRIを受けることができる。こうした場合にMRIで下垂体低形成が判明したら、その後に麻酔をする前に、朝のコルチゾール値を評価すること。適切な頭蓋内画像が得られるまでに麻酔薬が必要となった場合は、内分泌学的評価が適応となる。
経過観察
以下の手段が示唆される。
リスクのある血縁者の評価
遺伝カウンセリングの目的でリスクのある血縁者を検査することに関する問題については、
遺伝カウンセリングを参照のこと。
研究中の治療
広範囲の疾患と健康状態に関する臨床研究情報にアクセスするためにはClinicalTrials.govを検索のこと。
注:この疾患に関する臨床研究はないかもしれない。
最初の診断時における評価
SOX2関連眼疾患と診断された人の疾患の程度とニーズを確かめるため、以下の評価が推奨される。
内分泌学的評価
臨床症状に対する治療
視力障害 視力障害に対する一般的なマネジメントは、無眼球あるいは小眼球に特異的なものではない(無眼球/小眼球概観を参照)。ケアは以下の通りである。
その他
二次的合併症の予防
新生児の多くは、"授乳してくるむ"方法を用いることにより、全身麻酔なしに適切なMRIを受けることができる。こうした場合にMRIで下垂体低形成が判明したら、その後に麻酔をする前に、朝のコルチゾール値を評価すること。適切な頭蓋内画像が得られるまでに麻酔薬が必要となった場合は、内分泌学的評価が適応となる。
経過観察.
以下の手段が示唆される。
回避すべき薬物や環境
「一次病変の予防」の項を参照のこと.リスクのある血縁者の検査
遺伝カウンセリングの目的でリスクのある血縁者を検査することに関する問題については、 遺伝カウンセリングを参照のこと。
研究中の治療法
広範囲の疾患と健康状態に関する臨床研究情報にアクセスするためにはClinicalTrials.govを検索のこと。
注:この疾患に関する臨床研究はないかもしれない。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
SOX2関連眼疾患は、常染色体優性遺伝形式で、最もよく見られるのは新生突然変異による。まれに、親の生殖細胞系列モザイクの場合は、「偽常染色体劣性」遺伝形式となることがありうる。
患者家族のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の同胞へのリスクは、発端者の両親の遺伝学的状況に依存する
発端者の子
SOX2関連眼疾患を持つ人の子どもは、それぞれの子が50%の確率でそのSOX2病原変異を受け継ぐ。
発端者の他の家族構成員
SOX2関連眼疾患のほとんどが、完全な浸透率の新生突然変異によるので、発端者の両親以外の未罹患の家族のリスクは高くない。表現度の差異のため、まれに比較的軽度の表現型を示すことがある。
家族計画
出生前検査
分子遺伝学的検査 家族内の罹患者でSOX2遺伝子の病原変異が同定されているなら、リスクの高い妊娠の出生前検査は、この遺伝子の検査、あるいは家族内の病原変異の出生前検査を提供する臨床研究所で可能である。しかしながら、疾患の重症度と特有の臨床所見は一定ではなく、家族歴、あるいは分子遺伝学的検査の結果から正確に予測することはできない。
胎児超音波検査/胎児MRIもまた可能である。SOX2関連眼疾患(両側性無眼球あるいは重症の小眼球)を持つ胎児の眼の奇形は、通常は重症であり、胎児超音波を用いて妊娠第2三半期(14週~27週)の間に検出することが可能である。
着床前遺伝学的診断(PGD)は、SOX2の病原変異が同定された家族においては選択肢の
一つかもしれない。
GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリックすること。
分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。
表A. SOX2関連眼疾患:遺伝子とデータベース
遺伝子記号 | 染色体座位 | タンパク質名 | Locus Specific 座位特異性 |
HGMD |
---|---|---|---|---|
SOX2 | 3q26.33 | 転写因子SOX-2 | SOX2 @ The Human Genetics Unit Edinburgh U.K. | SOX2 |
データは、以下の標準的な参考文献を編集したものである:HGNCによる遺伝子記号; OMIMによる染色体座位、座位の名前、決定的領域、相補性群;UniProtによるタンパク質名。データベース(Locus Specific, HGMD)の記述についてのリンクは、ここをクリック。
表B. OMIM に登録されているSOX2関連眼疾患(OMIMですべてを参照のこと)
184429 | SRY-BOX 2; SOX2 |
206900 | MICROPHTHALMIA, SYNDROMIC 3; MCOPS3 |
遺伝子構造
コーディング領域は一つのエクソンである。遺伝子とタンパク質についての情報の詳細な概要は、表Aの遺伝子記号を参照のこと。
正常アレルのバリアント
The NHLBI Exome Sequencing Project Exome Variant Server
http://evs.gs.washington.edu/EVS/(accessed 6-14)には、一次タンパク質配列に変化を来さない7つの正常バリアントおよび、おそらく正常か、意義不明のSOX-2のトランス活性化ドメイン残基の置換が予測される7つのバリアントが列挙されている。HMG領域、あるいはパートナー結合ドメインに影響を及ぼすと知られているこれらのタイプのバリアントはない。SOX遺伝子は、ヒトSRY遺伝子におけるHMG領域との相同性が60%以上であることが明らかになっている。SOXファミリーの中でSOX2は、SOX1、SOX3、SOX14、SOX21と共にSOXBサブグループに属する。
病原アレルのバリアント
今日までに同定されているすべてのSOX2病原変異は、機能喪失型変異である。最もよくみられる変異はナンセンス変異とフレームシフト変異である。N末端領域のポリグリシンリピートのコドンをフレームシフトさせると予測された5つのアレルは、患者と家族の病原変異のほぼ5分の1を占める。残りの病原変異は、非同義アレル、インフレーム挿入アレルと遺伝子全体の欠失アレルである。これまでに知られた病原変異の詳細は、オンライン上のSOX2変異データベースで入手することができる。
正常遺伝子産物
転写因子SOX-2は、317のアミノ酸ペプチドである。HMG DNA結合ドメイン(アミノ酸40-111)、パートナー結合ドメイン、およびC末端のトランス活性化ドメインを持つ。N末端領域は機能が知られておらず、短いポリグリシンとポリアラニンリピートを含んでいる。
SOX2はマウスの胚性幹細胞(ES細胞)で発現しており、眼の発生において決定的なことで知られているその他の遺伝子(例えば、PAX6 とMAF1)を含む、いくつかの重要な発生上の遺伝子に対して転写活性化因子複合体の一部として作用することが明らかになっている。SOX2は、ひよこ胚の神経管形成の初期の指標であり、調べられたすべての脊椎動物の発生途上の神経系、性腺隆起、前腸において、部位特異的および発生段階特異的な発現を示す。
異常遺伝子産物
SOX2は単一エクソンの遺伝子であるので、ナンセンス変異介在性分解を受けず、患者では短縮されたペプチドが産生される可能性がある。これらの異常なペプチドが安定していれば、優性阻害効果となり得る。しかしながら、既知の多くの変異アレルが増えるにつれ、遺伝子全体の欠失と終止コドンとなる病原変異の臨床像の相違は明らかではなく、優性阻害効果はないことを示唆している。
同定されているミスセンス病原変異の3分の2は、高度に保存されたHMG DNA結合ドメインの内部にある。これらの変異の内、2つについての改変された酵母ワンハイブリッドシステムを使った機能研究は、これらの病原変異が協調的なSOX2/PAX6結合の喪失を通してDC5デルタクリスタリンエンハンサーの活性化を著しく減少させることを裏付けている。
更新履歴: