Gene Reviews著者: Stephen Robertson, FRACP, DPhil
日本語訳者: 清水日智 (済生会長崎病院小児科)
Gene Reviews 最終更新日:2020.2.13. 日本語訳最終更新日: 2020.10.22
原文: FLNB disorders
疾患の特徴
FLNB疾患は軽症から重症までの表現型スペクトラムを持つ。スペクトラムの軽症に位置する疾患には、脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: spondylocarpotarsal synostosis syndrome) およびラーセン症候群 (Larsen syndrome) が含まれ、重症に位置する疾患には、骨発生不全症I型 (AOI: atelosteogenesis type I) およびⅢ型 (AOⅢ) およびピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD: Piepkorn osteochondrodysplasia) が含まれる。
SCT症候群は、出生後から出現するプロポーションが保たれない低身長、脊柱の側弯症と前弯症、内反足、聴覚障害、歯のエナメル質低形成、手根骨と足根骨の癒合、脊椎の融合を特徴とする。
ラーセン症候群は、股関節、膝関節、肘関節の先天性脱臼、内反足 (内反尖足または外反尖足といった足の変形)、脊柱側弯症および頚椎後弯症 (頚髄症を合併することがある)、短く広く、へら状に変形した末節骨、頭蓋顔面の特徴的所見 (目立つ前額部、低い鼻梁、頬部の平坦化、および眼間開離)、脊椎の奇形、および手根骨・足根骨における過剰な骨化中心を特徴とする。SCT症候群およびラーセン症候群の患者は、正中部の口蓋裂および聴覚障害を伴うことがある。
AOIとAOⅢは、四肢短縮型の重度の低身長、股関節・膝関節・肘関節の脱臼、および内反足を特徴とする。AOIは周産期致死となる。AOⅢの患者では、集中的かつ侵襲的な人工呼吸器管理によって新生児期以降も生存することが可能である。
ピープコーン骨軟骨形異形成症 (Piepkorn osteochondrodysplasia: POCD) は周産期致死的な小肢小人症 (micromelia dwarfism) であり、特徴的な所見として、ひれ状の四肢 (すべての指趾の完全な癒合を伴う多合指趾症、第1指の低形成または欠損、中節骨や末節骨の重複)、巨大短頭症 (macrobrachycephaly)、目立つ前額部、眼間開離、および眼球突出が挙げられる。時折、口蓋裂、臍帯ヘルニア、心臓および生殖器の異常が見られることがある。妊娠中期のX線所見は特徴的である。
診断・検査
SCT症候群の診断は、分子遺伝学的検査により発端者にFLNBの両アレル性病原性変異を同定することにより確立される。他のFLNB疾患 (ラーセン症候群、AOI、AOⅢ、およびPOCD) の診断は、分子遺伝学的検査により発端者にFLNBのヘテロ接合性病原性変異が同定されることによりなされる。
診断・検査
症状に応じた治療:
無症状の乳児における頸椎不安定症は、頸椎後方固定術にて良好な管理が可能である。脊髄症の徴候がある乳児では、 (頸椎後方固定術で改善されない場合) 前方除圧術と円周性の関節固定術を併用することで機能を安定させることができる。ラーセン症候群患者における股関節脱臼は、通常、手術による整復を必要とする。脊柱側湾症と内反足に対しては一般的な管理が行われる。喉頭・気管軟化症を合併する患者では、麻酔の際には、より迅速な導入と早期回復が可能な麻酔薬の使用が望ましい。可能であれば、口蓋裂と聴覚障害は多職種により構成される専門チームで管理することが最善である。
サーベイランス:
脊柱側弯症が進行性の場合は、年に1回の整形外科的評価を、口蓋裂がある場合には、多職種により構成される専門チームによる栄養状態と成長の評価を、年に1回の聴覚検査および歯科的な評価を行う。
妊娠管理:
股関節および膝関節の脱臼によって単臀位となることにより、患児の出産は複雑化する可能性がある。
遺伝カウンセリング
AOI、AOⅢ、ピープコーン骨軟骨異形成症、ラーセン症候群は常染色体優性遺伝形式をとる。致死的なFLNB疾患の大部分は新生突然変異によって引き起こされるが、新生突然変異によって引き起こされる常染色体優性FLNB疾患の割合は不明である。ごくまれに、低レベルのモザイクを持つ親から、原因となる病原性変異が子孫へ伝達されることがある。常染色体優性FLNB疾患を有する患者の子はそれぞれ、50%の確率で病原性変異を受け継ぐ可能性がある。常染色体優性FLNB疾患のリスクが高い妊娠について、出生前検査は家系内の病原性変異が判明していれば可能である。
SCT症候群は常染色体劣性遺伝形式をとる。受胎の時点において、SCT症候群を有する患者の同胞 (兄弟姉妹) はそれぞれ、25%の確率で疾患をもち、50%の確率でキャリアとなり、25%の確率で疾患を持たずキャリアでもない。家系内で病原性変異が同定された場合、リスクのある血縁者に対するキャリア検査やSCT症候群の出生前検査が可能となる。
FLNB 疾患: 含まれている疾患群 |
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同義語や古い名称については、他の名称を参照のこと。
FLNB疾患の正式な診断基準は確立されていない。
疑うべき所見
FLNB疾患は、軽度から重度までの表現型のスペクラムが存在する。スペクトラムの軽症に位置する疾患には、脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: spondylocarpotarsal synostosis syndrome) およびラーセン症候群 (Larsen syndrome) が含まれ、重症に位置する疾患には、骨発生不全症I型 (AOI: atelosteogenesis type I) およびⅢ型 (AOⅢ) およびピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD: Piepkorn osteochondrodysplasia) が含まれる。
脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群)
以下のような臨床的特徴およびX線画像の特徴を有する患者においては、SCT症候群を疑うべきである [Langer et al 1994]。
臨床的特徴
放射線画像的特徴
注: (1) 椎弓が非対称的に融合することにより "片側性の一塊となった椎骨の棒 (a unilateral unsegmented vertebral bar)"を生じることがある。 (2) より複雑な両側性および正中部の融合もまた報告されている。 (3) "体節形成の欠陥"と呼ばれることが多いが、SCT症候群における体節形成の過程は正常であり、隣接する椎体や椎弓の融合は、体節が形成された後に発生する形態維持に関わる他の過程の欠陥に関連している。 (4) 大後頭孔狭窄を伴うか否かにかかわらず、頭蓋底陥入症が繰り返し認められる。
ラーセン症候群 (Larsen Syndrome)
ラーセン症候群は、以下のような臨床的特徴と放射線画像的特徴を持つものにおいて疑うべきである [Larsen et al 1950]。
臨床的特徴
幼児期の放射線画像的特徴
骨発生不全症I型 (AOI: atelosteogenesis type I)
以下のような臨床的および放射線画像的特徴を有する患者に対して、骨発生不全症I型(AOI: Atelosteogenesis type I) を疑うべきである。
臨床的特徴
放射線画像的特徴
注: ブーメラン異形成 (boomerang dysplasia: AOIに近い類似性を持つ周産期致死的な骨異形成) の診断を受けた患者は、おそらく現在においてはAOIの診断の範疇に収められることが最善であろう。大腿骨の弓状 (ブーメラン状) 変形は、以前はこれら2つの病態を区別する特徴と考えられていたが、分子病態の定義によって、この臨床的徴候が2つの異なる病態を適切に区別するとは考えにくい。
ピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD: Piepkorn Osteochondrodysplasia)
以下の臨床的特徴および放射線画像的特徴を有する患者に対しては、ピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD) を疑うべきである。
臨床的特徴
放射線画像的特徴 (妊娠15~21週目) すべての長骨、椎骨、骨盤、中手骨、中足骨において骨化が認められない。恥骨、椎弓根、肋骨、肩甲骨、頭蓋骨、鎖骨においては一部骨化が認められる。
骨発生不全症Ⅲ型 (AOⅢ: atelosteogenesis type Ⅲ)
臨床的特徴
放射線画像的特徴
診断の確立
SCT症候群の診断は、分子遺伝学的検査により発端者にFLNBの両アレル性病原性変異を同定することにより確立される (表1参照)。
他のFLNB疾患 (ラーセン症候群、AOI、POCD、およびAOⅢ) の診断は、分子遺伝学的検査により発端者にFLNBのヘテロ接合性病原性変異を同定することにより確立される (表1を参照)。
分子遺伝学的検査のアプローチは、表現型に応じて、標的遺伝子検査 (単一遺伝子検査およびマルチ遺伝子パネル) と包括的ゲノム検査 (マイクロアレイ染色体検査、エクソームシーケンス解析、エクソームアレイ検査、ゲノムシーケンス解析) を組み合わせて行うことができる。
標的遺伝子検査では、臨床医がどの遺伝子が関与している可能性が高いかを判断する必要があるが、ゲノム検査では判断する必要はない。FLNB疾患の表現型は多岐にわたるため、疑うべき所見に記載されている典型的な所見を有する患者は標的遺伝子検査を用いて診断される可能性が高くなる (オプション1を参照) 一方で、骨系統疾患および/または関節脱臼を有する他の多くの遺伝性疾患と区別がつかない表現型を有する患者は、ゲノム検査を用いて診断される可能性が高い (オプション2を参照)。
オプション1
表現型および検査所見からFLNB疾患であることが示唆される場合、分子遺伝学的検査の手法として、単一遺伝子検査またはマルチ遺伝子パネルを用いることが出来る。
注: 現在までのところ、このような変異は、ラーセン症候群、AOI、POCDまたはAOⅢの原因としては見つかっていない。SCT症候群の患者2名において、FLNBの複数エクソンの欠失が同定されている (表1を参照)。
FLNBおよび関心のある他の遺伝子を含むマルチ遺伝子パネル (鑑別診断を参照) は、最も合理的なコストで状態の遺伝的原因を同定できる可能性が高く、その一方で、重要性が不明な変異および基礎となる表現型を説明できない遺伝子の病原性変異が同定されてしまうことを防ぐことが出来る。注: (1) パネルに含まれる遺伝子遺伝子の種類や診断の感度は検査室によって異なり、時代とともに変化する可能性がある。 (2) マルチ遺伝子パネルの中には、当GeneReviewのサイト上で説明した病態には関連しない遺伝子が含まれている場合がある。 (3) 検査会社によっては、パネルのオプションとして、臨床医が指定した遺伝子を含む、検査室で設計したカスタムパネルおよび/または表現型をもとに作成されたカスタムエクソーム解析が含まれている場合がある。 (4) パネルで使用される方法にはシーケンス解析、欠失/重複解析、および/または他のシーケンス解析に基づかない手法による検査が含まれる。
マルチ遺伝子パネルの詳細については、こちらを参照のこと。
遺伝子検査をオーダーする臨床医のためのより詳細な情報は、ここをクリックのこと。
オプション2
表現型が他の多くの骨系統疾患と区別がつかない場合には、包括的なゲノム検査 (どの遺伝子が関与している可能性が高いかを臨床医が判断する必要がない) が最良の選択肢である。エクソームシークエンス解析が最も一般的に用いられているが、ゲノムシーケンス解析も可能である。
エクソームシーケンス解析で診断がつかない場合、特に遺伝形式が常染色体優性遺伝形式と予測される場合には、配列解析では検出できない (複数の) エクソンの欠失や重複を検出するため、エクソームアレイ検査 (臨床的に利用可能な場合) を検討することもある。
注:現在までのところ、このような変異はラーセン症候群、AOI、POCD、またはAOⅢの原因として同定されていない。SCT症候群の患者2名において、FLNBの複数エクソンの欠失が同定されている (表1を参照)。
包括的なゲノム検査の詳細についてはこちらをクリックのこと。ゲノム検査をオーダーする臨床医のためのより詳細な情報は、こちらをクリックのこと。
表1.
FLNB疾患に用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子1 | 検査手法 | 各検査手法によって、病原性変異が発端者において同定される割合2 |
---|---|---|
FLNB | シーケンス解析3 | <100%&4 |
標的遺伝子における欠失/重複解析5 | 下の脚注6を参照のこと. |
疾患の説明
今日までに、FLNBの病原性変異を有する100名以上の患者が同定されている [Daniel et al 2012, Stenson et al 2017, Salian et al 2018]。FLNBの変異に基づく表現型の特徴についての以下の記載は、これらの報告に基づいている。
脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: Spondylocarpotarsal synostosis syndrome)
SCT症候群の患者は、出生時の身長は正常、または正常に近いが、椎体癒合が進行することにより、体幹の成長率が低下し、出生後より低身長が明らかとなる。身長は典型的には、平均よりも3~6SD低くなる。
脊柱側弯症は一般的にみられるが、椎体癒合の程度やパターンによって重症度や発症時期が異なる。いくつかの文献の中には、出生時より椎体の変形が認められたという報告もあるが、この表現型が顕著となるのは小児期に入ってからである。異常な椎骨の通常とは異なる性質によって、頸椎の不安定性 [Seaver & Boyd 2000] や頭蓋底陥入症などの他の合併症が引き起される可能性もある。
SCT症候群のごく少数の患者において、内反足、扁平足、および口蓋裂の合併が報告されている。一部の研究者は、軽度の頭蓋顔面の特徴的所見もSCT症候群に認めると報告しているが、当疾患患者の大多数はこれらの特徴を示さない。
SCT症候群は、網膜の異常 [Steiner et al 2000] や、感音難聴 [Langer et al 1994, Coêlho et al 1998] と関連するという報告がある。SCT症候群のある家系で報告された白内障および網膜異常は、視力を損なうほど重篤ではなく [Steiner et al 2000]、その後に報告された患者では観察されていないため、この疾患の根本となる症状ではないかもしれない。
歯のエナメル質低形成は、少なくとも非血縁患者2名において報告されている [Mitter et al 2008]。
知能は正常である。
ラーセン症候群 (Larsen syndrome)
ラーセン症候群は成人期までの生存が可能である [Bicknell et al 2007]。知能は正常である。
ラーセン症候群の家系内における臨床症状の多様性には驚くものがある。ラーセン症候群と関連する1つのFLNB病原性変異が複数者に同定された大家系において、一部の患者は口蓋裂と複数の大関節脱臼を有していたが、一方で主要な症状を認めなかった他の患者は低身長や、末節骨の短縮、過剰な手根骨および足根骨などの臨床的および放射線検査上の特徴を認めたものの、非常に軽度であった [Bicknell et al 2007]。臨床上の多様性は、軽症の親には原因となる病原性変異が体細胞モザイクに存在し、重症化した子では病原性変異が生殖細胞系列変異として存在することによってもまた、生じうる。
Bicknellら [2007] は、52名の罹患者が含まれる非血縁関係の20家系を対象とした研究において、すべての発端者に大関節の脱臼または亜脱臼 (股関節80%、膝関節80%、および肘関節65%) が存在することを明らかにした。最も軽度であった発端者においては、肩関節の亜脱臼が唯一の大関節症状であった。内反足は75%の患者に認められた。
身長は軽度の障害をうける。発端者20名中14名の身長は10パーセンタイル未満であったが、1パーセンタイル未満となることはまれであり、1名は97パーセンタイルを超えていた [Bicknell et al 2007]。
脊椎の異常は、発端者19名のうち16名 (84%) にX線画像検査上認められた。頸椎後湾症は50%に認められ、通常は亜脱臼もしくはC2、C3およびC4椎体癒合が原因であり、一般的に椎弓後部の癒合不全 (すなわち、すべての頸椎の椎弓板の異形成および横突起の低形成) を伴っている。頸椎形成不全を伴うラーセン症候群の患者は、頸髄症および二次性の四肢不全麻痺の有意なリスクを持つ [Bicknell et al 2007]。脊髄症の発生率は少なくとも15%である。頸椎異形成を伴うラーセン症候群患者において、予防的頸椎後方固定術により脊髄症の合併を予防できる可能性や、頸椎前方固定術と頚椎後方固定術を併用することによって、脊髄症の徴候がある患者の臨床症状が改善する可能性が存在する [Sakaura et al 2007]。
頭蓋顔面の特徴的所見はラーセン症候群のすべての患者に認められる。これらの特徴的所見には、目立つ前額部、低い鼻梁、頬部の平坦化、および眼間開離が含まれる。口蓋裂は罹患者の15%にみられる。
聴覚障害が一般的に認められる [Herrmann et al 1981, Stanley et al 1988, Maack & Muntz 1991]。中耳小骨の奇形を伴う伝導難聴は、発端者19名のうち4名 (21%) に認められた [Bicknell et al 2007]。
喉頭気管軟化症はラーセン症候群と関連することが報告されているが、FLNBの病原性変異が同定されているラーセン症候群の患者において、重症の喉頭気管軟化症を有しているものは少ない。
短く、幅広く、へら状の末節骨は、特に母指によく見られる (67%;Bicknell et al [2007])が、ラーセン症候群における不変の症状ではない。
骨発生不全症I型 (AOI: Atelosteogenesis Type I) / ブーメラン異形成症 (Boomerang Dysplasia)
出生前の超音波検査では、ブーメラン異形成症およびAOIの所見は、胸郭低形成および四肢短縮であり、椎骨および四肢骨の骨化遅延または欠損を伴う。関節脱臼が認められることもある。超音波検査のみで確定診断が可能である [Tutsumi et al 2012]。羊水過多は妊娠を複雑化する可能性がある。ブーメラン異形成またはAOIを有する新生児は、心肺機能不全により生後まもなく死亡する。時折、脳ヘルニアおよび臍帯ヘルニアといった骨格外症状がみられることがある [Bicknell et al 2005]。
骨発生不全症Ⅲ型 (AOⅢ: Atelosteogenesis Type Ⅲ)
AOⅢの最も顕著な所見は関節脱臼である。胎児期の超音波検査だけでは、AOⅢと診断をつけることはほとんどできない。
AOⅢの患者は新生児期を乗りきり乳児となることができるが、そのためには集中的で侵襲的なサポートが必要となるであろう。Schultzら [1999] が報告した乳児例では、喉頭気管軟化症と胸郭低形成のため呼吸不全という大きな問題を抱えていた。知的に正常である母は、新生児期に同様の呼吸器症状を認めていたものの、より軽度であった。AOⅢの症状はラーセン症候群の症状と重複している。すなわち、両者とも大関節における脱臼、内反足、低身長、脊椎の異常を伴う。X線画像上、上腕骨が遠位に向かい先細りとなることは、AOⅢを示す所見であり、また著明な喉頭気管気管支軟化症の所見も、AOⅢとラーセン症候群とを鑑別する特徴である。
AOⅢの乳児は、ラーセン症候群に似た軽度の表現型を持つ両親のもとに生まれることがある。このような場合、おそらく両親は体細胞モザイクに関連し軽度の表現型となっているが、子は非モザイク性に生殖細胞系列病原性変異を持つため重度の表現型となっている。
AOⅢの長期生存例の中には神経発達に軽度の影響を及ぼす者もいるが [Schultz et al 1999]、著者らはこれを、原疾患の合併症である整形外科的問題および呼吸器合併症による、二次的な結果であろうと推測している。
ピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD: Piepkorn Osteochondrodysplasia)
POCDは、周産期致死性の小肢小人症 (micromelic dwarfism) の一形態であり、文献上の報告数は5例にも満たない。特徴的な所見として、ひれ状の四肢、特徴的な形態の多合指趾症 (すなわちすべての指趾の完全な癒合) を伴う。母指及び拇指は低形成または欠損している。全ての指の中節骨および末節骨は重複しており、八本指症 (octodactyly) を呈している。頭蓋顔面の異常としては、巨大短頭症 (macrobrachycephaly)、目立つ前額部、眼間開離、および眼球突出が見られる。時折、口蓋裂、臍帯ヘルニア、心奇形および性別の反転を含む尿生殖器の欠損が見られることがある。妊娠中期のPOCDにおける放射線画像検査上の特徴は次のとおりである:すべての長骨、椎骨、骨盤、中手骨、中足骨において骨化が認められない。恥骨、椎弓根、肋骨、肩甲骨、頭蓋骨、鎖骨においては一部骨化が認められる。
遺伝型と表現型の関連
脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群) ホモ接合性または複合ヘテロ接合性の病原性を有するFLNBのフレームシフトまたはナンセンス変異は、SCT症候群を引き起こす[Krakow et al 2004]。SCT症候群に関連する病原性変異は、タンパク質発現の喪失と関連しており、それゆえに真の無効対立遺伝子 (null allele) を構成する [Farrington-Rock et al 2006]。
ラーセン症候群、AOI、AOⅢ ラーセン症候群、AOI、およびAOⅢに関連する病原性変異体は、ミスセンス変異または小さなインフレーム欠失であり、完全長のフィラミンB (Filamin B) タンパク質をコードすると予測されている。
いくつかの例では、同じ病原性変異を有していても、異なる表現型を呈していたことが報告されている (例えば、c.502G>A (p.Gly168Ser) はAOIおよびAOⅢの両者の表現型と関連している)。
繰り返し認められる病原性変異:
ピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD) POCDに罹患した3名の解析ではエクソン28および29に病原性変異が同定された。
モザイク
臨床的なエビデンスから、体細胞モザイクのためこれらの症状が複雑となっていることが示唆されている [Petrella et al 1993、Bicknell et al 2007、Bernkopf et al 2017]。最も注目すべきことに、あるFLNB病原性変異を体細胞モザイクに有していた場合にはラーセン症候群の表現型と関連しており、一方で、生殖細胞系列に同一の病原性変異を有していた場合にはAOⅢの表現型と関連していた。
浸透率
生殖細胞系列のFLNB病原性変異は完全浸透性であるが、表現型はこのGeneReviewに記載されている表現型の範囲の中で様々な様相をとる。
他の名称
ラーセン症候群 常染色体劣性ラーセン症候群と思われる症例を報告した著者も存在する [Clayton-Smith & Donnai 1988, Bonaventure et al 1992, Laville et al 1994, Yamaguchi et al 1996]。これらの家系の中には、罹患していない親に生殖細胞系列モザイクが存在し、結果として、同胞2名にラーセン症候群を認めたものも存在する [Petrella et al 1993]。
対照的に、過去にラーセン症候群と呼ばれていた、複数の関節脱臼を有するがラーセン症候群の他の臨床的特徴を共有していない他の劣性遺伝疾患は、ラーセン症候群とは呼ばないことが最善であろう [Topley et al 1994]。これらの病態には、複数の関節脱臼を伴う様々な軟骨異形成症が含まれ、以下のようなものがある: 「レユニオン島型ラーセン症候群」[Bonaventure et al 1992、Laville et al 1994]、これはFLNB異常によるラーセン症候群とは臨床的に、また放射線画像検査的に異なり、B4GALT7の病原性変異によって引き起こされる[Cartault et al 2015]; CHST3型軟骨異形成症;異なる2つの型のデビュクワ異形成症 (Desbuquois dysplasia)、これらの疾患はそれぞれCANT1およびXYLT1の病原性変異によって引き起こされる、が挙げられる。
骨発生不全症I型 (AOI: atelosteogenesis type I)およびⅢ型は、主要な症状が骨格の無秩序で不完全な骨化であることから、このように命名された [Maroteauxら1982、Sillenceら1982、Sternら1990]。
注:骨発生不全症Ⅱ型 (atelosteogenesis type Ⅱ)はSLC26A2 (DTDST) の病原性変異によって引き起こされる硫酸イオントランスポーターが関連する骨軟骨異形成症の一つであり、AOIおよびAOⅢとは遺伝学的に異なる。
ピープコーン骨軟骨異形成症 (POCD) POCDは、以前はブーメラン異形成症と同一であると考えられていたが、Rehderら[2018]によって再編成されている。4例からなるPOCD患者の解析からは、ひれ状の手足、特徴的な形態の多合指趾症、および妊娠中期において多くの骨組織の骨化が完全に欠如しているといった所見が、ブーメラン異形成症およびAOIの所見とは異なると示唆された。ブーメラン異形成症およびAOIの根底にある病態とは異なる病原性変異の分布が、このような表現型の違いを支持するのであろうと示唆された。
有病率
FLNB疾患のいずれの病型についても、利用可能な有病率の数値は存在しない。
FLNB病原性変異と関連する表現型は、このGeneReviewで議論されているもの以外に知られていない。
脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: Spondylocarpotarasal Synostosis Syndrome)
表2. 脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群) の鑑別疾患と関連した遺伝子一覧
遺伝子 | 鑑別疾患 | 遺伝形式 | 臨床的特徴 | |
---|---|---|---|---|
重複する症状 | 鑑別となる症状 | |||
DLL3 HES7 LFNG MESP2 RIPPLY2 TBX6 |
脊椎肋骨異形成症 (参照: Spondylocostal Dysostosis, AR) |
AR (AD) 1 |
脊椎の異形成 | 脊椎肋骨異形成症においては、肋骨の奇形を伴う |
FGF9 GDF5 NOG |
多発性骨癒合症 (OMIM PS186500) |
AD | 脊椎の異形成 | 多発性骨癒合症においては、進行性の指節癒合症および特徴的な顔貌所見を伴う |
GDF6 | クリッペル・ファイル症候群1 (Klippel-Feil syndrome 1 [OMIM 118100]) |
AD | SCT症候群に類似した脊椎、手根骨、足根骨の癒合 | SCT症候群においては、手根骨及び足根骨の癒合がなく、孤発性に頸椎のみが癒合していることはない |
MYH3 | 関節拘縮-翼状片-多様な骨癒合症候群1A (Contractures, pterygia, & variable skeletal fusions syndrome 1A [OMIM 178110]) |
AD | SCT症候群に類似した脊椎、手根骨、足根骨の癒合 | 単一ないし複数のMYH3病原性変異を有する患者においては、皮膚の翼状片を合併しうる |
関節拘縮-翼状片-多様な骨癒合症候群 1B (Contractures, pterygia, & variable skeletal fusions syndrome 1B [OMIM 618469]) |
AR | SCT症候群に類似した脊椎、手根骨、足根骨の癒合 |
AD = 常染色体優性遺伝形式; AR = 常染色体劣性遺伝形式
ラーセン症候群 (Larsen Syndrome)
表3. ラーセン症候群の鑑別疾患と関連した遺伝子一覧
遺伝子 | 鑑別疾患 | 遺伝形式 | 臨床的特徴 | |
---|---|---|---|---|
重複する症状 | 鑑別となる症状 | |||
B3GAT3 | B3GAT3不全症 (B3GAT3deficiency [OMIM 245600]) |
AR | 関節脱臼 | B3GAT3不全症においては、短指症および心奇形 (二尖弁大動脈弁、大動脈拡張を含む) を伴う |
B4GALT7 | エーラス・ダンロス症候群、脊椎異形成 1型 (Ehlers-Danlos syndrome, spondylodysplastic type 1 [OMIM 130070]) |
AR | 関節脱臼 | エーラス・ダンロス症候群、脊椎異形成 1型においては、低身長 (< -3 SD) を伴う |
CANT1 | デビュクワ異形成症 (Desbuquois dysplasia [OMIM 251450]) |
AR | 関節脱臼 | デビュクワ異形成症においては、低身長 (< -3 SD)、手根骨年齢の促進、股関節、骨盤および手指骨における放射線画像的特徴を伴う |
CHST3 | CHST3 骨異形成症 (CHST3 skeletal dysplasia)1 |
AR | 関節脱臼 | CHST3 骨異形成症においては、骨端異形成、小児期の初期から中期にかけて進行性の脊椎異形成、四肢における上腕骨および大腿骨の短縮を伴う |
FLNA | 耳口蓋指症候群 I 型 (OPD1: Otopalatodigital syndrome type 1) (参照: XL Otopalatodigital Spectrum Disorders) |
XL | へら状に変形した指; 頭蓋顔面の特徴的所見 | OPD1においては、大関節の脱臼 (橈骨頭を除く) 、頸椎の異形成、放射線画像上の手根骨および/または足根骨における骨化中心の過剰を伴わない |
GZF1 | 関節弛緩-低身長-近視症候群 (JLSM: Joint laxity, short stature, & myopia [OMIM 617662]) |
AR | 関節脱臼 | GZF1異常によるJLSMにおいては、近視、低身長および過剰な関節弛緩を伴う (FLNB異常によるラーセン症候群においては、これらを合併することは滅多にない) |
BPNT2 (IMPAD1) |
GPAPP 型関節脱臼を伴う軟骨異形成 (GPAPP不全症) (Chondrodysplasia w/joint dislocations, GPAPP type (GPAPP(訳注) deficiency) [OMIM 614078]) |
AR | 関節脱臼 | GPAPP不全症においては、著明な短指症、手の非対称性および低身長を伴う |
AD = 常染色体優性遺伝形式; AR = 常染色体劣性遺伝形式
(訳注:GPAPPとは、ゴルジ体に局在するリン酸化アデノシンホスファターゼホスファターゼ (Golgi-resident phosphoadenosine phosphate [PAP] phosphatase) の略称であり、ホスホアデノシンホスファターゼをAMPへと加水分解する働きをもつ [Vissers LE et al 2011])
初期診断に続く評価
FLNB疾患と診断された患者の症状の程度とニーズを確立するためには、(診断に至るまでの評価の一環として実施されていない場合には) 表4にまとめられた評価を行うことが推奨される。
表4. FLNB疾患を有する患者において推奨される初期診断後の評価
>評価対象 | 評価項目 | コメント |
---|---|---|
整形外科関連 | 屈位および伸展位の頸椎側面X線画像 |
|
全脊椎の画像 | 側弯症の原因となる脊椎異常の評価 | |
股関節脱臼の確認のための臨床的および超音波画像的評価 | 出生後の脱臼の発生については、文献上認められていない | |
関節脱臼および内反足に対する臨床的検査 | ||
耳鼻咽喉科関連 | 口蓋裂の評価 | |
呼吸器科関連 | 呼吸機能検査 | 喉頭気管気管支軟化症の評価のため |
聴覚関連 | 聴覚評価 | 感音難聴および/または伝音難聴の評価のため |
眼科関連 | 眼科的検査 | SCT症候群の患者については、網膜の異常について評価を受ける必要がある |
歯科関連 | エナメル質低形成の評価およびシーラント (保護剤) 必要性についての評価 | |
その他 | 臨床遺伝専門医および/または遺伝カウンセラーへのコンサルト |
合併症の治療
表5. FLNB疾患を有する患者の合併症に対する治療
臨床症状関連項目 | 治療 | 考慮すべき事/その他 |
---|---|---|
頸椎不安定症 |
|
術中の頸椎の伸展を最小限に抑えるための注意が必要である |
側弯症 | それぞれの整形外科医によって医学的治療がなされる | 効果的な外科的介入については報告されていない |
大関節脱臼 | 通常は手術による整復が必要となる | ラーセン症候群患者における股関節脱臼を、保存的に、外科手術を用いずに管理した場合、しばしば治療は成功しない |
内反足 | それぞれの整形外科医によって日常的な管理がなされる | |
喉頭気管軟化症 | 麻酔の際には、より迅速な導入と早期回復が可能な麻酔薬の使用が望ましい | ラーセン症候群の患者においては、気道合併症のリスクが上昇するため |
口蓋裂 | 可能な場合は集学的な頭蓋・顔面に特化したチームによる治療を行う | |
聴覚障害 | 使用可能な治療法: 補聴器、振動触覚デバイス (vibrotactile devices)、人工内耳など (参照: Hereditary Hearing Loss and Deafness Overview). |
|
サーベイランス
表6. FLNB疾患を有する患者において推奨されるサーベイランス (検査とその頻度)
評価対象 | 評価項目 | 頻度 |
---|---|---|
脊椎奇形 | 進行性側弯症の発症についての、整形外科的評価 | 出生後1年に1回のペース |
口蓋裂を有する人の食事摂取 | 食事摂取と成長についての評価 | 頭蓋顔面の専門チームの判断による |
聴覚 | 聴覚評価 | 1年に1回 |
リスクのある血縁者の評価
遺伝子カウンセリングを目的としたリスクのある血縁者の検査に関連する問題については、遺伝カウンセリングを参照のこと。
妊娠管理
股関節および膝関節の脱臼によって単臀位となることにより、患児の出産は複雑化する可能性がある。
今後の導入が検討されている治療法
米国のClinicalTrials.govと欧州の EU Clinical Trials Registerを検索することで、幅広い疾患や症状の臨床試験に関する情報にアクセス可能である。注:この疾患に関する臨床試験が存在しない可能性もある。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
以下のFLNB疾患は常染色体優性遺伝形式をとる。
(訳注: ピープコーン骨軟骨異形成症 [POCD: Piepkorn osteochondrodysplasia] も常染色体優性遺伝形式をとる)
脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: Spondylocarpotarsal synostosis syndrome) は常染色体劣性遺伝形式をとる。
常染色体優性遺伝形式をとるFLNB疾患―血縁者へのリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の同胞 (兄弟姉妹) に対するリスクは、発端者の両親の遺伝的状態によって異なる。
発端者の子
他の血縁者
他の血縁者へのリスクは、発端者の両親の遺伝的状態に依存する。すなわち、親のいずれかがFLNB病原性変異を有している場合、その血縁者にはリスクが存在する。
常染色体劣性遺伝形式をとるFLNB疾患
血縁者へのリスク
発端者の両親
発端者の同胞 (兄弟姉妹)
他の血縁者
発端者の両親の同胞はそれぞれ、FLNB病原性変異のキャリアであるリスクが50%存在する。
保因者(ヘテロ接合体保有者)診断
リスクのある血縁者に対するキャリア検査を行う場合、事前に家系内の病原性変異を同定しておく必要がある。
注:SCT症候群は常染色体劣性遺伝形式をとる。というのも、SCT症候群の原因となるFLNBの病原性変異をヘテロ接合性に有する場合は通常無症状である。ある報告によると、典型的なSCT症候群を持つ子供の親であって、身長が平均の-2.2SDと低く、軽度の片側性股関節形成不全を有している症例が存在する。他の全てのFLNB疾患は常染色体優性遺伝形式をとるため、キャリア検査は問題とならない。
遺伝カウンセリングに関連した問題
明らかな新生 (de novo) 病原性変異を持つ家系において考慮すべきこと 常染色体優性遺伝疾患を持つ発端者の両親のいずれにも、発端者において特定された病原性変異がない場合、または臨床的に疾患に関連した症状がない場合、病原性変異は新生 (de novo) である可能性が高い。しかしながら、例えば生殖補助による出産などいずれかの両親との血縁関係が存在しない場合や、非公開の養子縁組である場合などの、医学的でない理由も検討されるだろう。
家族計画
出生前検査および着床前遺伝子検査
ハイリスクと推定される妊娠
分子遺伝学的検査
[訳注:米国においては] 罹患した家族のFLNB病原性変異が同定された場合、リスクの高い妊娠に対する出生前検査や着床前遺伝子検査が可能となる。
低リスクと推定される妊娠
一般的な胎児超音波検査
ルーチンに行われる胎児超音波検査により、複数の関節脱臼を伴う四肢の変化などの骨格所見が確認された場合、ハイリスクではないと思われていた胎児であってもラーセン症候群の可能性が高くなることがある。第2三半期の胎児超音波検査において、四肢の短縮や胸部低形成などの複数の異常が見られることから、AOIやPOCDを有する胎児を発見することが可能である [Ueno et al 2002]。
このような場合には、FLNBの変異解析のため分子遺伝学的検査を検討することが適切である。
医療の専門家の間や家族内においても、特に検査が早期診断ではなく妊娠中絶を目的とした場合には、出生前検査に対する考え方の相違が存在しうる。多くの専門機関は出生前診断については夫婦の自己決定の問題だと考えているが、この問題については議論することが適切である。
支援団体
GeneReviews のスタッフは、本疾患を持つ患者とその家族のために、疾患特異的または包括的な支援を行う組織やレジストリーを、以下の通り抽出した。他の組織が提供する情報について、GeneReviewsが責任を負うものではない。選定基準についてはこちらを参照のこと。
13140 Coit Road
Suite 517
Dallas TX 75240
Phone: 800-535-3643 (toll-free)
Email: contactCCA@ccakids.com
www.ccakids.org
Supporting Family After a Child Dies
PO Box 3696
Oak Brook IL 60522
Phone: 877-969-0010 (toll free); 630-990-0010
Fax: 630-990-0246
Email: nationaloffice@compassionatefriends.org
www.compassionatefriends.org
PO Box 341
Los Gatos CA 95031
Phone: 888-908-HAND (4263)
Email: info@handonline.org
www.handonline.org
250 El Camino Real
Suite 201
Tustin CA 92780
Phone: 888-572-2001 (toll-free); 714-368-3689
Fax: 714-368-3367
Email: info@lpaonline.org
www.lpaonline.org
5 Cabot Place
Stoughton MA 02072
Phone: 800-673-6922 (toll-free)
Fax: 781-341-8333
Email: nsf@scoliosis.org
www.scoliosis.org
UCLA
615 Charles E. Young Drive
South Room 410
Los Angeles CA 90095-7358
Phone: 310-825-8998
Fax: 310-206-5266
Email: Salon@mednet.ucla.edu
International Skeletal Dysplasia Registry
Molecular GeneticsおよびOMIMの表の情報は、GeneReviewの表の情報とは異なる場合がある。すなわち、GeneReviewの表にはより新しい情報が含まれている場合がある。-編集者。
表A. FLNB疾患: 遺伝子とデータベース
遺伝子名 | 染色体座 | タンパク質 | 遺伝子座特異的データベース | HGMD | ClinVar |
---|---|---|---|---|---|
FLNB | 3p14.3 | Filamin-B | FLNB database | FLNB | FLNB |
データは以下の標準的な参照サイトより収載した:遺伝子はHGNCから、染色体遺伝子座はOMIMから、タンパク質はUniProtから。リンク先のデータベース(Locus Specific, HGMD, ClinVar)の説明はこちらを参照のこと。
表B. FLNB疾患に関連するOMIM項目 (OMIMで全てを見る)
108720 | 骨発生不全症I型 (AOI: ATELOSTEOGENESIS, TYPE I) |
108721 | 骨発生不全症Ⅲ型 (AOⅢ: ATELOSTEOGENESIS, TYPE III) |
112310 | ブーメラン異形成症 (BOOMERANG DYSPLASIA; BOOMD) |
150250 | ラーセン症候群 (LARSEN SYNDROME; LRS) |
272460 | 脊椎手根骨足根骨癒合症候群 (SCT症候群: SPONDYLOCARPOTARSAL SYNOSTOSIS SYNDROME) |
分子病態
FLNBは、膜貫通タンパクを含む細胞膜構成要素とアクチン骨格をつなぐタンパク質であるフィラミンB (Filamin-B) をコードしている。フィラミンBの特徴は以下の通りである:
病気発症のメカニズム
表7. 特記すべきFLNBの病原性変異一覧
参考配列 | DNA ヌクレオチド変異 | 予想されるタンパク質の変化 | コメント[参考文献]/ |
---|---|---|---|
NM_001457.4 NP_001448.2 |
c.502G>A | p.Gly168Ser | AOIおよびAOⅢの両者に関連する1 |
c.679G>A | p.Glu227Lys | ラーセン症候群と関連する頻回に認められる病原性変異1 | |
c.5071G>A | p.Gly1691Ser | 様々な程度のFLNB疾患と関連する頻回に認められる病原性変異1 |
表に記載されている変異は、著者によって提供されたものである。GeneReviewsのスタッフは、変異の分類を独自には検証していない。
GeneReviewsは、Human Genome Variation Society (varnomen.hgvs.org) の標準的な命名規則に従っている。命名法についての説明は Quick Reference を参照のこと。
Gene Reviews著者: Stephen Robertson, FRACP, DPhil
日本語訳者: 清水日智 (済生会長崎病院小児科)
Gene Reviews 最終更新日:2020.2.13. 日本語訳最終更新日: 2020.10.22[in present]
原文: FLNB disorders