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FGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症
(FGFR-Related Craniosynostosis Syndromes)

[Acrocephalosyndactyly. Includes: FGFR1-Related Craniosynostosis (Pfeiffer Syndrome type 1, 2, and 3),FGFR2-Related Craniosynostosis (Apert Syndrome; Beare-Stevenson Syndrome; Crouzon Syndrome; FGFR2-Related Isolated Coronal Synostosis; Jackson-Weiss Syndrome; Pfeiffer Syndrome Type 1, 2, and 3), FGFR3-Related Craniosynostosis, (Crouzon Syndrome with Acanthosis Nigricans, FGFR3-Related Isolated Coronal Synostosis, Muenke Syndrome)]

Gene Review著者: Nathaniel H Robin, MD   Marni J Falk, MD
日本語訳者: 池田英敏,松阪康弘,坂本博昭(大阪市立総合医療センター小児脳神経外科)
Gene Review 最終更新日: 2006.1.9. 日本語訳最終更新日: 2006.12.22.

原文 FGFR-Related Craniosynostosis Syndromes


要約

疾患の特徴 

FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症の範疇にある8つの疾患は.Pfeiffer症候群,Apert症候群,Crouzon症候群,Beare-Stevenson症候群,FGFR2関連の非症候群性*冠状縫合早期癒合症,Jackson-Weiss症候群,黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群,Muenke症候群(FGFR3関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症)である.Muenke症候群およびFGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症をのぞいて,その他の疾患では全て両側冠状縫合早期癒合またはクローバーリーフ頭蓋,特異な顔貌,手足のさまざまな変化を呈する.;Muenke症候群とFGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症では一側もしくは両側の冠状縫合早期癒合の特徴を示す.

診断・検査 

Muenke症候群(FGFR3関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症)の診断は病因となるFGFR3遺伝子の変異を特定することによる.FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症の診断は病因となるFGFR2遺伝子の変異を特定することによる.その他6つのFGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症は臨床所見によって診断される; しかし,診断が疑わしい症例においてFGFR1FGFR2FGFR3遺伝子の分子遺伝学的検査によって診断を確定される.

遺伝カウンセリング 

FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症は常染色体優性遺伝の遺伝形式を示す.患者は50%の割合で変異遺伝子を子ども一人一人に引き継ぐ.出生前の検査は可能である.しかし,診断価値が低いためその施行は限られる.

(訳者注:*「isolated」には適当な日本語訳がないため,isoltaed craniosynostosisをsyndromic craniosynostosisに相対する疾患としてnon-syndromic craniosynostosisと同義と見なして,「isolated」を「非症候群性」と訳した)

診断

臨床診断

8つのFGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症のうち6つの疾患の診断は,両側の冠状縫合癒合もしくはクローバー葉頭蓋,特徴的な顔貌,手足のさまざまな所見に基づいている;診断が疑わしい症例においてFGFR1,FGFR2もしくはFGFR3遺伝子の分子遺伝学的検査が有効な補助診断となることがある.分子遺伝学的検査はMuenke症候群とFGFR2関連の非症候群性冠状縫合癒合症の2疾患においては診断を確定するために必要である.Muenke症候群の患者は一側の冠状縫合早期癒合,または頭蓋骨縫合早期癒合症を伴わない巨脳症を示す;診断は病因となるFGFR3遺伝子の変異の特定による.FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症は一側もしくは両側の冠状縫合早期癒合のみを特徴とする;診断は病因となるFGFR2遺伝子の変異の特定による.

頭蓋骨縫合早期癒合症の診断,病的縫合の診断は通常臨床所見に基づいており,頭部X線撮影や頭部CTで確定できる.

FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症を伴う臨床型は,これらの疾患群の遺伝子に関する情報が発見されるよるずっと以前に臨床的に明確に示されている(表1)

表1.FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症の臨床所見 .

  母指 母趾
Muenke症候群 正常 手根骨の癒合 幅広 足根骨の 癒合
Crouzon症候群 正常 正常 正常 正常
黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群 正常 正常 正常 正常
Jackson-Weiss症候群 正常 さまざま 幅広で内側に屈曲 足根骨の
異常
Apert症候群 時に指に癒合 骨性合指症 時に趾に癒合 骨性合指症
Pfeiffer症候群 幅広で内側に屈曲 さまざまな短指症 幅広で内側に屈曲 さまざまな短指症
Beare-Stevenson症候群 正常 正常 正常 正常
FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症 正常 正常 正常 正常

分子遺伝学的検査

遺伝子 

FGFR1,FGFR2,FGFR3遺伝子の変異がFGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症を引き起こす.

表2. FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症の分子レベルから見た基礎的事項

疾患名 FGFR1の変異による疾患の発生率(%) FGFR2の変異による疾患の発生率(%) FGFR3の変異による疾患の発生率(%)
Muenke症候群     100%
Crouzon症候群   100%  
黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群     100%
Jackson-Weiss症候群   100%  
Apert症候群   100%  
Pfeiffer症候群 1型 5% 95%  
Pfeiffer症候群 2型   100%  
Pfeiffer症候群 3型   100%  
Beare-Stevenson症候群   <100%  
FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症   100%  

分子遺伝学的検査:臨床的利用

分子遺伝学的検査:臨床的検査法

配列分析 FGFR1,FGFR2,FGFR3遺伝子の塩基配列の分析はApert症候群,FGFR関連の非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症(FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症およびMurnke症候群)の診断に高い感度を持っている.その他の疾患に対しては,分子遺伝学的検査の診断的な感度は低く,臨床診断が疑わしい例の診断を確定するための第一選択の検査として用いる.分子遺伝学的検査は一側冠状縫合の早期癒合症より両側冠状縫合の早期癒合症の方がより有効である.

表3ではこれらの疾患の分子遺伝学的検査をまとめた.

表3. 分子遺伝学的検査

疾患 検査法 検出される変異 検出される変異の頻度 1 検査の有効性
Pfeiffer症候群 (1型) 塩基配列の分析 FGFR1の配列の変化 67% 臨床レベル
Apert症候群 FGFR2の配列の変化 >98% 臨床レベル
Beare-Stevenson症候群  
Crouzon症候群 >50%
FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症 100%
Jackson-Weiss症候群 不明
Pfeiffer 症候群
(すべての型)
67%
黒色表皮症を伴ったCrouzon 症候群 FGFR3の配列の変化2 100% 臨床レベル
FGFR3関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症 FGFR3の配列の変化
Muenke症候群 特定の変異の分析 FGFR3の変異3
  1. 数値は感度(臨床型をもった真の患者が陽性となる確率)を示す.検査の陽性的中率(検査陽性者が真の患者である可能性)に類似するデータはない.
  2. 黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群の変異は通常A391Eである.
  3. この疾患においてFGFR3の変異P252Rの特定は必須であり,それによってこの疾患は定義づけられている.

発端者の検査手順

遺伝学的に関連する疾患

FGFR3遺伝子の変異によって発生する臨床的な疾患は軟骨無形成症,軟骨低形成症,致死性異形成症がある.

注):FGFR3遺伝子の変異ではMuenke症候群と軟骨低形成症を合併した2例報告されている.2例とも認知機能は正常であるが,側頭葉てんかんを早期に発症し,両側性の側頭葉内側の発育不全を伴っている.


臨床像

自然経過

FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症にみられる頭蓋の形態異常は通常新生児期に気づかれる;時に出生前に超音波検査で見つかったり,幼児期になるまで気付かれないことがある.頭蓋骨は縫合線とは垂直な方向に成長するため,縫合線の早期癒合は癒合した縫合線と垂直な面での成長の停止をきたし,縫合線と平行な面での成長を続ける.頭蓋は左右非対称となり,その形態はどの縫合線が閉じたかによって特徴的である.冠状縫合早期癒合症では塔状短頭蓋を示し,時にクローバー葉頭蓋(Kleeblatschadel),もしくは「塔状」の頭蓋を示す.クローバー葉頭蓋は通常冠状縫合,人字縫合,前頭縫合,矢状縫合の早期癒合により起こる3つの葉のように分かれた頭蓋の変形で,開存している大泉門や頭頂孔の部分から脳が突出する.

全てのFGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症(Muenke症候群,FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症を除く)で顔面の形態の特徴として認められるのは,両眼隔距症,眼球の突出を伴う中顔面の低形成,小さなくちばし状の鼻,下顎の前方への突出である.高口蓋はしばしば見られる;口蓋裂がごくまれに認められる.感音性難聴や斜視を含む視覚の障害と同様に,後鼻孔の狭窄もしくは閉塞が見られることがある.クローバー葉頭蓋は中顔面の低形成,下方に傾いた眼裂,極端な眼球突出を伴う;さらに発達遅滞や精神遅滞,水頭症,難聴,視力障害はよくみられる.

中顔面の低形成もしくは合併する後鼻孔の閉塞や狭窄により上気道が閉塞されるために,生後2,3ヵ月以内に呼吸障害が発生することがある.重篤な場合は生命を脅かすような呼吸不全,もしくは栄養摂取不良のため成長障害をきたすことがある.いずれの場合もしばしば気管切開が必要となる.非交通性の水頭症は早期に診断,治療されなければ,神経障害を来たしたり死亡につながるもう一つの合併症である.頭蓋内圧亢進の発生頻度はCrouzon症候群で最も高い.医学的な全ての合併症が適切に治療されても,このような疾患に罹患した例では精神発達障害や神経学的障害を呈す例がある.精神発達遅滞が最も発生しやすいのはApert症候群である.一般的には,重大な障害のリスクはある特有な症候群によるというよりは,個々の症例の先天性の病変の重症度による.

各々のFGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症の特徴的な臨床像を以下に要約する.

Muenke症候群

臨床型ではPfeiffer症候群,Jackson-Weiss症候群,Saethre-Chotzen症候群に共通点が見られる.疾患を引き起こす遺伝子変異を持っていても臨床上明らかな病変を持たず,この疾患を持った子どもが生まれた後に臨床像,放射線学的診断,分子遺伝学的評価によってのみ診断される例がある.

Crouzon症候群

黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群

Jackson-Weiss症候群

Apert症候群

Pfeiffer症候群

Pfeiffer症候群は臨床所見より3型に分類される.2型,3型 は1型より頻度が高い.

Pfeiffer症候群1型

Pfeiffer症候群2型

Pfeiffer症候群3型

Beare-Stevenson Cutis Gyrata

FGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症

遺伝子型と臨床型の関連

FGFR2遺伝子の同一の変異を持つ患者でも幅広い臨床型を呈する.FGFR2FGFR3遺伝子の変異では,同じ家族内においてさえ両側性もしくは一側性の冠状縫合早期癒合症のどちらでも発生する.47名の一側の冠状縫合早期癒合症(これは前斜頭蓋を起こす)の研究で,非対称的な短頭蓋や両眼隔離はFGFR2FGFR3もしくはTWIST遺伝子の変異と強い関連性が示された.

遺伝型と臨床型の特異な関連を示すものとして,黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群の患者におけるFGFR3遺伝子のA391Eの変異がある.黒色表皮症のないCrouzon症候群ではFGFR3遺伝子に変異は認めることはない.

浸透率 

Crouzon症候群,Jackson-Weiss症候群,Apert症候群,Pfeiffer症候群は100%の浸透率をもつ.FGFR関連の冠状縫合早期癒合症では通常低い浸透率をもった常染色体優性遺伝を呈する.

病名

Muenke症候群を示す言葉として,アデレード型頭蓋骨縫合早期癒合症という言葉は使用しない.

頻度 

頭蓋骨縫合早期癒合症の全種類では2000-2500の出生に1例の割合である.冠状縫合早期癒合症は男児で16000の出生に1例,女児では8000出生に1例の頻度である.FGFR遺伝子の変異の関与が全体のどれくらいかは明らかではない.Crouzon症候群は100,000の出生に1.6例,Apert症候群は100,000出生に1例,Pfeiffer症候群では100,000の出生に1例の頻度である.


鑑別診断

原発性の頭蓋骨縫合早期癒合症は二次性のものと区別する必要がある.原発性の頭蓋骨縫合早期癒合症では,FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症のように,縫合部での生物学的な異常により縫合の早期の癒合が起こる.二次性の頭蓋骨縫合早期癒合症では縫合部の生物学的活動は正常であるが,異常な外的因子が早期の縫合の癒合を起こす.脳の成長が十分ではない小児では,すべての頭蓋縫合が癒合し頭蓋は対称性で小頭蓋を呈する.子宮内もしくは乳児期の異常な頭部の位置により異常な頭蓋の形(斜頭蓋)が発生することもある;このような頭蓋の形態の異常は頭部の位置を適切にすればしばしば改善されるが,時に頭蓋骨縫合早期癒合症を呈することがある.

原発性の頭蓋骨縫合早期癒合症の例において,どの縫合が異常であるか,そしてそれはほかに合併病変を持たない非症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症とするか,ある症候群性のものに伴う症状であるのかを診断することは重要である.

非症候群性(isolated)の頭蓋骨縫合早期癒合症(すなわち他の先天性の病変を伴わない頭蓋骨縫合早期癒合症)は頭蓋骨縫合早期癒合症の大半を占める.家族性の非症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症はほとんど見られないが,そのような例では通常浸透率の低い常染色体優性遺伝を呈し,同胞に再発するリスクはどの縫合が病的かによる.

症候群性(syndromic)の頭蓋骨縫合早期癒合症 頭蓋骨縫合早期癒合症は150を越える遺伝子異常で認められている.さらに以下のようなものも考慮に入れるべきである.

第一中足骨の短縮が認められる.頭痛,痙攣,近視そして視野欠損が出現することがある.大切なことは,疾患原因となる遺伝子変異を持つ患者の中には症状のない例もある.MSX2遺伝子の変異が原因である.遺伝形式は低い浸透率で種々の発現形式を持つ常染色体優性遺伝である.この疾患はきわめてまれである;WilkieとMavrogiannisは,主な原因となる他の遺伝子の変異を認めなかった原因不明の頭蓋骨縫合早期癒合211名でMSX2の変異は1例も認めなかったとしている.


臨床的マネジメント

最初の診断時における評価

病変に対する治療

二次病変の予防

頭蓋骨縫合早期癒合症に関連した頭蓋顔面の病変に対する最初の治療は外科的な再建である.早期に治療を行うことにより,水頭症,認知障害など二次的な合併症のリスクを減らせる.

リスクのある親族の検査

すべての患者において症状の出現が明らかではないため,発症の可能性のある親族は臨床的,放射線診断の基準にそって検査を受けるべきである.原因遺伝子の変異が発端者において判明すれば,遺伝子検査によって親族がこの疾患かどうかの評価に役に立つ.この検査で軽症の親族においても早期の診断や治療で有利となることがある.

研究中の治療法

疾患や病態の広範囲の臨床研究の情報を得るにはClinicalTrial.govを参照のこと.

遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症は常染色体優性遺伝の遺伝形式をとる.

患者家族のリスク
 
発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の子 

罹患した患者は疾患の原因となる遺伝子変異を50%の確率で子供一人一人に遺伝する.

発端者の他の家族 

発端者の他の家族へのリスクは発端者の両親の状態による.両親が発症していたり,原因となる変異を持っていた場合は,他の家族もリスクがある.

遺伝カウンセリングに関連した問題

各々の症候群は通常患者の家族内に発症する;例えば,親がPfeiffer症候群の臨床症状を呈していれば,その子供はCrouzon症候群,Jackson-Weiss症候群,Apert症候群よりもむしろPfeiffer症候群である可能性が50%である.しかし,その家族内の患者の臨床型がさまざまに異なっている例もまれながら存在する;Pfeiffer症候群を示唆する所見を持つ家族がおり,一方で他の家族はJackson-Weiss症候群,Crouzon症候群を示唆する所見を持つことがある.

明らかに新生突然変異による家族 発端者の両親が罹患していない場合は,父親が異なる場合や明らかにされていない養子縁組など,医学的要因以外の原因も考えられる.

DNAバンキング DNAバンクは主に白血球から調整したDNAを将来に使用できるように保存しておくものである.検査法や遺伝子,変異あるいは疾患に対するわれわれの理解が進歩するであろうという理由で,患者のDNAバンキングは考慮すべきである.特に現在用いられている分子遺伝学的検査の感度が100%でないような疾患では重要である.

出生前診断

高リスク妊娠

50%のリスクのある妊娠における出生前診断は,通常妊娠15~18週に行われる羊水穿刺より得られる胎児の細胞,もしくは妊娠10-12週に行われる絨毛膜の採取(CVS)から抽出されたDNAを解析することによって可能である.発症した家族の疾患の原因となる対立遺伝子(allele)は出生前検査を行う前に同定できる.

注意:妊娠週数は最終月経初日もしくは超音波検査から計算される.

低リスク妊娠

超音波検査による頭蓋変形といった頭蓋骨縫合早期癒合症のリスクを前もって指摘されていない場合には,出生前検査は困難である.FGFR1,FGFR2,FGFR3遺伝子の変異を検査することは可能であるが,その有効性は低い.さらに,これらの遺伝子のひとつに変異が見つかったからといって,予後の判定にはつながらないと思われ,予後判定は臨床所見から行う(例えば,クローバー葉頭蓋の予後評価は手足の特徴や遺伝子レベルの欠損にもかかわらず難しい).超音波検査でこの疾患を疑う所見を,さらに詳しく描出するために三次元超音波検査や三次元CTが有効となる症例もある.

更新履歴:

  1. Gene Review著者: Nathaniel H Robin, MD   Marni J Falk, MD
    日本語訳者: 池田英敏,松阪康弘,坂本博昭(大阪市立総合医療センター小児脳神経外科)
    Gene Review 最終更新日: 2006.1.9. 日本語訳最終更新日: 2006.12.22.[in presnet}

原文 FGFR-Related Craniosynostosis Syndromes

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