Baraitser-Winter脳前頭顔症候群
(Baraitser-Winter Cerebrofrontofacial Syndrome)

Gene Reviews著者: Alain Verloes, MD, PhD, Séverine Drunat, PharmD, PhD, Daniela Pilz, MD, PhD, and Nataliya Di Donato, MD, PhD.
日本語訳者: 佐藤康守(たい矯正歯科)、櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)

GeneReviews最終更新日: 2022.3.24. 日本語訳最終更新日: 2023.1.8

原文: Baraitser-Winter Cerebrofrontofacial Syndrome


要約

 

疾患の特徴

Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群は、特徴的頭蓋顔面症候と知的障害を特徴とする先天性多発奇形症候群である。多くの罹患者(全例ではない)が、前頭葉を中心とした脳回肥大、肩甲帯筋群の萎縮、虹彩や網膜のコロボーマないし感音性聾に起因する感覚障害を呈する。知的障害は多くみられるものの、脳奇形の程度に従って、その程度には幅がみられる。癲癇発作、先天性心疾患、腎奇形、消化器機能障害なども多くみられる。

診断・検査

発端者におけるBWCFF症候群の診断は、これを示唆する所見がみられることに加え、分子遺伝学的検査にて、ACTBACTG1のいずれかにヘテロ接合性の病的ミスセンスバリアントが同定されることで確定する。

臨床的マネジメント 

症候に対する治療:
医学的懸念事項に関しては、関連各科との連携のもとに標準治療を行う。発達遅滞と知的障害については、個々の事例に合わせた対応を行う。

定期的追跡評価:
全般的な神経発達評価について通常のフォローアップを行うことが推奨される。癲癇発作(※1)、コロボーマや小眼球(※2)、難聴(※3)、心奇形、腎尿路奇形、消化器機能障害を有する例については、必要に応じ、神経学的評価(※1)、眼科的評価(※2)、聴覚評価(※3)等のフォローアップを行う(訳注:※1同士、※2同士、※3同士がそれぞれ対応)。

遺伝カウンセリング

BWCFF症候群は、常染色体顕性遺伝疾患である。現在までに報告されているBWCFF症候群罹患者の大多数は、ACTBないしACTG1de novoに生じた病的バリアントに起因して生じたものである。発端者で同定された病的バリアントを片親が有していた場合には、その病的バリアントを同胞が継承するリスクは50%である。家系内に存在するACTBないしACTG1の病的バリアントが既知の場合は、BWCFF症候群に関する出生前検査や着床前遺伝学的検査が実施可能である。


診断

臨床診断

現在のところ、Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群に関してコンセンサスが得られた臨床診断基準は公表されていない。

本疾患を示唆する所見

次のような臨床所見、画像所見を有する例については、BWCFF症候群を疑う必要がある。

臨床所見

多様な現れ方をするものとしては、次のようなものがある。

画像所見

脳の画像にて、前頭葉を中心とした脳回肥大が、特に後頭葉の帯状異所性灰白質や血管周囲腔の拡大と組み合わさった形で現れる。

診断の確定

発端者におけるBWCFF症候群の診断は、これを示唆する所見を有することに加え、分子遺伝学的検査にて、ACTBACTG1のいずれかにヘテロ接合性の病的(pathogenicとlikely pathogenicの両方を含む)ミスセンスバリアントが同定されることで確定する(表1参照)。

注:(1)アメリカ臨床遺伝ゲノム学会(ACMG)のバリアントの解釈に関するガイドラインによると、「pathogenic」のバリアントと「likely pathogenic」のバリアントとは臨床の場では同義であり、ともに診断に供しうるものであると同時に、臨床的な意思決定に使用しうるものとされている。
本セクションで「病的バリアント」と言うとき、それは、あらゆるlikely pathogenicまでを包含するものと理解されたい。
(2)意義不明のバリアントのヘテロ接合が同定された場合、それは本疾患の診断を確定させるものでも排除するものでもない。

分子遺伝学的検査のアプローチとしては、表現型に応じて、遺伝子標的型検査(マルチ遺伝子パネル)と網羅的ゲノム検査(エクソームシーケンシング,ゲノムシーケンシング)とを組み合わせるやり方が考えられる。
遺伝子標的型検査の場合、臨床医の側で関与している遺伝子の目星をつけておく必要があるが、ゲノム検査の場合、その必要はない。「本疾患を示唆する所見」にある特徴的所見を複数有する例については、遺伝子標的型検査(「方法1」参照)で診断がつく可能性が高く、一方、表現型の上からはその他数多くある知的障害を伴う遺伝性疾患と鑑別しにくいような場合は、ゲノム検査(「方法2」参照)で診断がつく可能性が高い。

方法1

現況の表現型と直接関係のない遺伝子の意義不明のバリアントや病的バリアントの検出を抑えつつ、疾患の遺伝的原因の特定につながる可能性が最も高いと思われるのは、表1にある遺伝子の一部ないし全部、ならびにその他の関連遺伝子(「鑑別診断」の項を参照)を含む知的障害用マルチ遺伝子パネルである。

注:(1)パネルに含められる遺伝子の内容、ならびに個々の遺伝子について行う検査の診断上の感度については、検査機関によってばらつきがみられ、また、経時的に変更されていく可能性がある。
(2)マルチ遺伝子パネルによっては、このGeneReviewで取り上げている状況と無関係な遺伝子が含まれることがある。
(3)検査機関によっては、パネルの内容が、その機関の定めた定型のパネルであったり、表現型ごとに定めたものの中で臨床医の指定した遺伝子を含む定型のエクソーム解析であったりすることがある。
(4)ある1つのパネルに対して適用される手法には、配列解析、欠失/重複解析、ないしその他の非配列ベースの検査などがある。
マルチ遺伝子パネル検査の基礎的情報についてはここをクリック。遺伝子検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。

方法2

網羅的ゲノム検査の場合、どの遺伝子の関与が疑われるか臨床医の側で目星をつけておく必要はない。エクソームシーケンシングが広く用いられているが、ゲノムシーケンシングを用いることも可能である。

網羅的ゲノム検査の基礎的情報についてはここをクリック。ゲノム検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。

表1: Baraitser-Winter脳前頭顔症候群で用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1,2 その遺伝子の病的バリアントが原因となってBWCFF症候群に至る例の割合 その手法で病的バリアント3が検出される割合
配列解析4 遺伝子標的型欠失/重複解析5
ACTB 55%超 100%6 利用不可7,8
ACTG1 35%超 100%6 利用不可7,8
不明9 10%未満 利用不可
  1. 遺伝子の配列はアルファベット順。
  2. 染色体上の座位ならびにタンパク質に関しては、表A「遺伝子とデータベース」を参照。
  3. これらの遺伝子で検出されているバリアントに関する情報については、「分子遺伝学」の項を参照のこと。
  4. 配列解析を行うことで、benign、likely benign、意義不明、likely pathogenic、pathogenicといったバリアントが検出される。バリアントの種類としては、遺伝子内の小さな欠失/挿入、ミスセンス・ナンセンス・スプライス部位バリアントなどがあるが、通常、エクソン単位あるいは遺伝子全体の欠失/重複については検出されない。配列解析の結果の解釈に際して留意すべき事項についてはこちらをクリック。
  5. 遺伝子標的型欠失/重複解析では、遺伝子内の欠失や重複が検出される。具体的手法としては、定量的PCR、ロングレンジPCR、MLPA法、あるいは単一エクソンの欠失/重複の検出を目的に設計された遺伝子標的型マイクロアレイなど、さまざまなものがある。
  6. データは、ヒト遺伝子変異データベース(HGMD)[Stensonら2020]の購読ベースの専門家向けデータより引用したもの。
  7. ACTBACTG1の欠失や重複が、BWCFF症候群という表現型で現れることはない。
  8. 現在までに報告されているACTBACTG1の変異は、すべて機能獲得型のミスセンスバリアントである。したがって、欠失(ハプロ不全)や重複(発現過剰)の検査は検討対象にならない。
  9. 著者らの経験に基づく推定値。

臨床的特徴

臨床像

Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群は、特徴的頭蓋顔面症候と知的障害を特徴とする先天性多発奇形症候群である。多くの罹患者(全例ではない)が、前頭葉を中心とした脳回肥大、肩甲帯筋群の萎縮、虹彩や網膜のコロボーマないし感音性難聴に起因する感覚障害を呈する。知的障害は多くみられるものの、脳奇形の程度に従って、その程度には幅がみられる[Verloesら2015,Yatesら2017]。これまでに報告されているBWCFF症候群罹患者は100例に満たない。

臨床症候には大きな幅がみられ、臨床上の疑いからではなく、遺伝子パネル検査やエクソーム解析において病的バリアントが検出されたことで疾患が判明した例については、臨床的にはBWCFF症候群の診断に至ることが決してないと思われるほどに軽度、ないし不完全な表現型を示すことがある。

2Baraitser-Winter脳前頭顔症候群:代表的症候の出現頻度

症候(その症候を有する罹患者の割合 コメント
以下のような頭蓋顔面の形態異常(100%)
  • 目立つ前頭隆起ないし三角頭蓋(65%)
  • 眼間開離(95%)
  • 両側性眼瞼下垂(90%)
  • 高い眉毛(90%)
  • 眼のコロボーマ(30%);小眼球を伴う例あり(10%未満)
  • 後方傾斜を伴う小さな耳,前向きの耳甲介,過剰に折れ込んだ厚い耳輪,対耳輪低発達(73%)
  • 大きく平坦な鼻尖を伴う幅広で短く厚く上向きの鼻(85%)
  • 長く、平坦な人中(84%)
  • 下がった口角や下赤唇の反転を伴う大きな口(45%)
  • 口唇口蓋裂(10%)
中には、頭蓋顔面症候がかなり軽度で、形態異常なしとみなされるような例も存在する。
発達遅滞/知的障害(95%超)
  • 軽度の知的障害を伴う軽度から中等度の発達遅滞
  • 重度の滑脳症がみられる場合、遅滞の程度は極度となる。
  • 稀に正常知能を有する例あり。
小頭症(50%近く) 小頭症の発症は出生前である場合があり、通常は軽度であるが、滑脳症が存在する場合は重度(最重度で-5SD)の場合もあり。
脳の奇形(83%)としては、以下のようなものがある。
・脳回肥大(前頭葉、あるいは主として中心溝部)ないし皮質下帯状異所性灰白質(61%)
・脳室周囲異所性灰白質(2%)
・脳梁の異常(20%)
 
癲癇(50%) ・通常、脳の構造的奇形と関連あり。
・年齢による。
・生後1ヵ月から24ヵ月まで出現。
神経筋の異常(20%) ・変わった姿勢、関節拘縮、翼状片がみられる例あり。
・拘縮や筋委縮が経時的に進行する場合あり。
視覚異常(30%) コロボーマや小眼球と関連あり。
感音性ないし伝音性難聴(35%) ・進行性の場合あり。
・内耳奇形に起因する場合あり。
中等度の低身長(44%)  
心血管異常(38%)  
腎尿路生殖器異常(41%) 具体的内容は以下の通り。
・水腎症(23%)
・構造的腎奇形(10%)
・小陰茎,停留精巣,尿道下裂(稀)
骨格症候(20%) 胸の変形や幅広の拇指趾
消化器機能異常(41%) ・慢性便秘(毎日の薬物使用を要する)の頻発、ならびに逆流性疾患
・頻繁な嘔吐,下痢,摂食障害,成長障害
・経管栄養や経皮内視鏡的胃瘻造設術を要した例が数例あり。
・消化管回転異常,十二指腸閉鎖,偽性腸閉塞などの稀な奇形
腹部の奇形(稀1 臍帯ヘルニア
悪性腫瘍(5%未満) 悪性リンパ腫と白血病の報告あり。
  1. Zhangら[2020]

頭蓋顔面の形態異常
頭蓋顔面の形態異常は、軽度から重度まで幅がみられ、経時的に大きく変化する様相がみられる。年齢とともに顔貌の粗野さは増大していく。乳児期の顔は丸く、平坦である。顔面症候がより重度の例になると、眼間開離の程度の拡大、ならびに幅広の鼻により、前頭鼻異形成(frontonasal dysplasia)を彷彿とさせるものとなる。

頭蓋顔面の全体的形状
特徴としては、頰骨領域の平坦化とオトガイの尖った下顎後退がみられ、前頭隆起の突出、すなわち三角頭蓋を呈することもしばしばである。


顕著な眼間開離がみられ、手術を要する可能性があるような両側性の眼瞼下垂を伴う。
それ以外の症候は以下の通り。


後方傾斜を伴う小さな耳が多く、時に、前向きの耳甲介、過剰に折れ込んだ厚い耳輪、低発達の対耳輪を伴う。

鼻と口

発達遅滞(DD)/知的障害(ID)
これらについては、非常にばらつきの幅が大きい。

脳奇形
脳奇形は、罹患者の80%超にみられる。その所見は、以下のようなものである。

神経系

視覚異常
虹彩や網膜のコロボーマ、ならびに小眼球により、重度の視覚障害に至る場合がある。眼瞼下垂についても、外科的改善を要する場合がある。外眼筋の先天性線維症を呈する1例が報告されている[Chacon-Camachoら2020]。内斜視と屈折異常が報告されている。

難聴
さまざまな重症度の感音性難聴がみられることがあり、進行性で、補聴器を要する場合がある。内耳や聴神経の奇形・低形成の例がみられる。中耳炎が頻発する例があり、特に幼児期に伝音性難聴をきたす。

成長

消化管機能異常[著者らの未公表データ]

その他の奇形

悪性腫瘍
3人の罹患者に、それぞれ別種の血液悪性腫瘍が報告されている。本症候群との因果関係は証明されていないものの、因果関係なしと信頼性をもって断定することもできない(「癌ならびに良性腫瘍」の項を参照)。

予後
BWCFF症候群の成人に関する報告されているデータは限定的である。40歳超の例となると、文献上、6例がみられるのみである[Hampshireら2020]。著者らの経験からは、神経筋の異常は経時的に悪化し、進行性の筋委縮や筋力低下、進行性の脊柱側彎、骨粗鬆症、40歳代での歩行能力の喪失といった例がみられる。認知機能の低下が報告されている[Di Donatoら2014]。寿命は短い可能性がある。2人の成人が、急性イレウス、摂食障害を伴う神経機能の低下、再発性肺炎のため20歳代で死亡している[著者らの未公表データ]。
把握できている範囲での最高齢者は、フォローアップ時の年齢で62歳である。

遺伝型-表現型相関

BWCFF症候群については、同一の病的バリアントを共有する互いに血縁関係のない罹患者間にあっても、その表現型に非常に大きな幅がみられる。それでも、小頭症と脳回肥大、極度の知的障害、癲癇、他の器官系の種々の奇形といったBWCFF症候群の臨床的スペクトラムの最重度端にある例については、2種類の病的バリアントが同定されている。その2つは、ACTBのp.Thr120IleとACTG1のp.Thr203Metである。

浸透率

BWCFF症候群の浸透率は100%であるように思われるものの、ある1つの必発の症候というものが存在するわけではない。

命名法について

脳前頭顔症候群(cerebrofrontofacial syndrome)の1型と3型、ならびにFryns-Aftimos症候群とされるものは、BWCFF症候群の重度端である。同一の病的バリアントによって上記3つの表現のいずれもが引き起こされる可能性があることから、これら3つは同一アレル疾患というわけではなく、BWCFF症候群の表現型のスペクトラムの一部であると考えられる。

頻度

BWCFF症候群は稀である。分子レベルで診断が確定したものとしては、今日までに、100をわずかに下回る数の報告があるのみである。それでも、表現型の幅の大きさを考えると、これは過小な数字であると言えよう。


遺伝子学的に関連のある疾患(同一アレル疾患)

ACTBACTG1がコードしているのは細胞骨格タンパク質で、その機能は複雑である[Duginaら2021]。両遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントに起因して生じるBWCFF症候群以外の反復性の表現型について、表3に概要を示した。

注:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群とも、表3に概要を示した同一アレル疾患とも異なる、軽度で非反復性の表現型を呈する症例で、ACTBACTG1のバリアントが同定されている。
著者らは、こうした表現型の名称として、「分類不能型非筋性アクチノパチー」という仮称を提唱したい。

表3:同一アレル疾患

遺伝子 病的バリアント 疾患名/表現型 参考文献/OMIM/GeneReview
ACTB p.Arg183Trp ジストニア-難聴症候群。
薬物非応答性のジストニアと早期発症型の感音性難聴で、多様な形態異常、発達遅滞/知的障害、脊柱側彎、癲癇などを伴う。
Skogseidら[2018],
Freitasら[2019],
OMIM 607371
機能喪失型バリアント 発達遅滞/知的障害,内臓奇形(先天性心疾患や腎尿路奇形など),発育不全,BWCFF症候群とははっきり異なる顔面の形態異常(不連続な波状の眉,濃い睫毛、幅広の鼻,大きな口,突出したオトガイ)を伴う40例近くの報告がある。 Cuvertinoら[2017],
Baumannら[2020]
3’領域,エクソン5,6にクラスターでみられる機能喪失型バリアント(ミスセンス,小欠失,1塩基対挿入) 症候群性血小板減少症。
軽度の発達遅滞,多様な軽度の形態異常,小頭症,白血球増多症,ならびに血小板異方性(通常サイズ、大きいものを含め、多様なサイズが混在する状態)を伴う血小板減少症を呈する。
反復性感染症,光過敏症ないし奇形(口唇裂,先天性心疾患),不整脈,脳室周囲結節状灰白質のみられることあり。
Nunoiら[1999],
Lathamら[2018],
Sandestigら[2019]
ACTBを含むp22.1の微小欠失 非特異的な発達遅滞,低身長,小頭症,形態異常等が多様な形で出現。 Shimojimaら[2016]
ACTG1 いくつかのミスセンスバリアント 常染色体顕性遺伝性非症候群性進行性感音性難聴(DFNA20/26) 遺伝性難聴・聴力喪失概説」のGeneReview
p.Pro70Leu 単発性のコロボーマが、互いに血縁関係のない2例で報告されている。 Raingerら[2017]

鑑別診断

Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群との鑑別診断に際して頭に入れておくべき疾患群を表4にまとめて示した。

表4:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群との鑑別を要する代表的疾患

遺伝子 疾患名 遺伝形式 主たる症候
PTPN11
SOS1
LZTR1
KRAS
RAF1
RIT1
SOS2
BRAF
MAP2K1
MRAS
NRAS
RRAS2 1
Noonan症候群(NS) AD
(AR)2
両疾患で重なる症候:BWCFF症候群のうち、脳奇形を伴わない例については、乳児期の顔貌(前頭隆起のみられない場合)や胸の変形、後頸部の皮膚のだぶつきないし翼状頸といった特徴から、NSと誤診されることがある。
両疾患で異なる症候:NSではコロボーマはほとんどみられず、脳回肥大や筋の症候が現れることもない。
SPECC1L
CDH11
眼間開離症Teebi型(短頭前頭鼻異形成症;brachycephalofrontonasal dysplasia;OMIM PS 145420) AD 両疾患で重なる症候:眼間開離
FGD1 Aarskog-Scott症候群 XL 両疾患で重なる症候:眼間開離
SERAC1 SERAC1欠損症 AR 知的障害、筋緊張低下、早発性のジストニア、聾が組み合わさって現れる。

AD=常染色体顕性;AR=常染色体潜性;XL=X連鎖性

  1. Noonan症候群の原因遺伝子の掲載順は、Noonan症候群への関与の頻度を最優先とし、残余はアルファベット順とした。最近、これら以外にも、RRASA2ML1をはじめ、症例数10例未満ながらNoonan症候群様の表現型をもたらす遺伝子がいくつか存在することが報告されている(「Noonan症候群」のGeneReviewを参照)。
  2. Noonan症候群は、大部分が常染色体顕性の遺伝形式をとる。

  ただ、LZTR1の病的バリアントに起因するものだけは、常染色体顕性、常染色体潜性の両方が存在する。


臨床的マネジメント

Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群の臨床的管理のガイドラインは、今のところ公表されていない。

最初の診断に続いて行う評価

BWCFF症候群と診断された罹患者については、疾患の範囲やニーズを把握するため、診断に至る過程ですでに実施済ということでなければ、表5にまとめたような評価を行うことが推奨される。

表5:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群罹患者において最初の診断後に行うことが推奨される評価

系/懸念事項 評価 コメント
発達 発達評価
  • 運動,適応,認知,言語の各評価を含むものとする。
  • 早期介入/特別支援教育に向けての評価。
神経系 神経学的評価
  • 脳のMRIを含むものとする。
  • 脳のMRIでの異常ないし癲癇発作がみられるときは、脳波を検討する。
眼底検査を含む眼科的評価 奇形,低視覚,異常眼球運動,斜視に関する評価
聴覚 聴覚評価 難聴に関する評価
消化器
  • 腹部超音波検査,ならびに必要に応じ消化管運動能の評価
  • 摂食障害に関する評価
消化器疾患,消化器機能障害、ならびに摂食障害の評価を目的として行う。
心血管 心エコー 先天性心疾患の評価
腎尿路生殖器 腎超音波検査 腎,尿管の奇形に関する評価
血液 血球数,血小板数 血液の悪性腫瘍のリスク上昇を念頭に、治療開始時点の記録としての検査1
遺伝カウンセリング 遺伝の専門医療職2の手で行う 医学的、個人的な意思決定の用に資するべく、本人や家族に対し、BWCFF症候群の本質、遺伝形式、そのもつ意味についての情報提供を行う。
家族への支援,情報資源 以下の必要性に関する評価
・地域の情報資源や、「Parent to Parent」等のオンラインの情報資源
・親の支援のためのソーシャルワーカーの関与
・在宅看護への紹介
 
  1. BWCFF症候群で血小板減少症が現れることはない。
  2. そのため、分子遺伝学的検査でACTBの病的バリアントが確認されてはいるものの、BWCFF症候群の症候がごく軽微なものにとどまり、かつ血小板減少症を有する例については、同一アレル疾患のほうである可能性が考えられる(「遺伝子の上で関連のある疾患」の項を参照)。
  3. 臨床遺伝医,認定遺伝カウンセラー,認定上級遺伝看護師をいう。

症候に対する治療

BWCFF症候群に特異的な治療というものが存在するわけではない。推奨される管理のあり方は、表6に詳しく示した。心臓、尿路、ならびに口腔の裂については、標準的な手法で治療が行われる。

表6:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群罹患者の症候に対する治療

症候/懸念事項 治療 考慮事項/その他
発達遅滞/知的障害 「発達遅滞/知的障害の管理に関する事項」の項を参照。  
筋萎縮,関節運動制限 緩徐に進行する関節強直や脊柱側彎に対して、理学療法が有益な場合あり。 脊柱側彎の早期発見・早期治療のため、成長スパートの時期や思春期には整形外科的モニタリングを行う。
癲癇 経験豊富な神経内科医の手で、抗痙攣薬を用いた標準治療を行う。 ・本疾患に特に有効な抗痙攣薬があるわけではなく、多くの抗痙攣薬が有効。
・両親/介護者に対する教育1
視力の異常ないし斜視 コロボーマや小眼球があるとき、ならびに低視力が続く場合は、眼科医による標準治療を行う。 眼瞼下垂については手術が必要な場合あり。
聴覚 補聴器が有用な場合あり。
耳鼻科医がこれを行う。
早期介入プログラムや学区を通じて、地域の聴覚サービスを受ける。
消化管機能異常 便秘の例の多くに浸透圧性下剤が有効との報告あり。 長期投薬のモニタリングのため、消化管の評価が必要。
  1. 両親/介護者に対し、癲癇発作のよくある現れ方について説明しておくことが適切である。
    癲癇と診断された子どもに対する非医療的介入・対処の戦略に関する情報については、「Epilepsy Foundation Toolbox」を参照。

発達遅滞/知的障害の管理に関する事項

以下に述べる内容は、アメリカにおける発達遅滞者、知的障害者の管理に関する一般的推奨事項を挙げたものである。ただし、標準的推奨事項は、国ごとに異なったものになりうる。

0-3歳
作業療法、理学療法、言語治療、摂食治療、乳児のメンタルヘルスサービス、特別支援教育、感覚障害支援といったものが受けられるよう、早期介入プログラムへの紹介が推奨される。これは、アメリカでは連邦政府が費用を負担して、罹患者個人の治療上のニーズに対する在宅サービスが受けられる制度で、すべての州で利用可能である。

3-5歳
アメリカでは、地域の公立学区(訳注:ここで言う「学区」というのは、地理的な範囲を指す言葉ではなく、教育行政単位を指す言葉である)を通じて発達保育園に入ることが推奨される。入園前には、必要なサービスや治療の内容を決定するために必要な評価が行われ、その上で、運動、言語、社会性、認知等の機能の遅れをもとに認定された子どもに対し、個別の教育計画(IEP)が策定される。通常は、早期介入プログラムがこうした移行を支援することになる。発達保育園は通園が基本であるが、医学的に不安定で通園ができない子どもに対しては、在宅サービスの提供が行われる。

全年齢
各地域、州、教育関係部局が適切な形で関与できるよう、そして、良好な生活の質を最大限確保する支援を親に対してできるよう、発達小児科医とよく話をすることが推奨される。
押さえておくべき事項がいくつかある。

運動機能障害

粗大運動機能障害

微細運動機能障害
摂食、身だしなみ、着替え、筆記などの適応機能に問題が生じる微細運動技能の障害に関しては、作業療法が推奨される。

口腔運動機能障害
口腔運動機能障害の評価は、来院ごとに行う必要がある。また、摂食哺乳時の窒息/嘔吐、体重増加不良、呼吸器疾患の頻発、特別な原因が見出せない摂食拒否といった状況がみられる場合は、臨床的摂食評価やX線による嚥下検査を行う必要がある。食物の経口摂取を安全に行えることが前提ではあるが、協調ないし感覚に関連する摂食の問題を改善していくための摂食治療(通常、作業療法士か言語治療士の手で行われる)が推奨される。安全のため、食餌にとろみをつけたり冷やしたりすることもある。摂食機能障害が重度である場合は、経鼻胃管や胃瘻管が必要になるようなこともある。

コミュニケーションの問題
表出言語に障害をもつ罹患者に対しては、それに代わるコミュニケーション手段(例えば、拡大代替コミュニケーション[AAC])に向けての評価を検討する。AACに向けた評価は、その分野を専門とする言語治療士の手で行うことが可能である。この評価は、認知能力や感覚障害の状況を考慮に入れながら、最も適切なコミュニケーションの形を決めていこうというものである。AACの手段としては、絵カード交換式コミュニケーションシステムのようなローテクのものから、音声発生装置のようなハイテクのものまで、さまざまなものがある。一般に信じられていることとは反対に、AACはスピーチの発達を妨げるようなものではなく、むしろ理想的な言語発達に向けた支援を与えてくれるものである。

社会/行動上の懸念事項

小児に対しては、応用行動分析(ABA)をはじめとする自閉症スペクトラム障害の治療で用いられる治療的介入の導入に向けた評価を行うとともに、実際にそれを施行することがある。ABA療法は、個々の子どもの行動上の強みと弱み、社会性に関する強みと弱み、適応性に関する強みと弱みに焦点を当てたもので、ふつう、行動分析に関する学会認定士との1対1の場で行われる。

発達小児科医を受診することで、両親に対し、適切な行動管理の指針を指導したり、必要に応じ、注意欠陥多動性障害(ADHD)に用いられる薬剤をはじめとする処方を行ったりといったことが可能になる利点がある。

深刻な攻撃的、破壊的行動に関して懸念があるときは、小児精神科医への相談という形での対応が考えられる。

定期的追跡評価

表7:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群罹患者で推奨される定期的追跡評価

系/懸念事項 評価 頻度
発達 発達の進行状況や教育上のニーズに関するモニタリング。 来院ごと。
神経系 癲癇発作を有する罹患者について、臨床的必要性に応じたモニタリング。
コロボーマや小眼球がみられる場合は、高眼圧と緑内障(コロボーマ性小眼球症の合併症の1つであることが知られている)に関するスクリーニングを含めたフォローアップ。 少なくとも年に1度。
難聴 難聴の進行状況に関する評価。 年に1度。
心血管系 心奇形がある場合は、合併症に関するモニタリング。 心臓病専門医の指示に従って。
腎尿路生殖器 腎奇形がある場合は、腎不全に関するモニタリング。 腎臓専門医の指示に従って。
消化器 摂食障害と消化管機能障害を有する例について、モニタリング。 少なくとも年に1度。
整形外科系 脊柱側彎に関するモニタリング。 少なくとも年に1度。
成長スパートの時期や思春期は6ヵ月ごと。
家族/地域 家族の感じているソーシャルワーカーの支援(例えば、緩和や息抜きのためのケア、在宅看護、地域の情報資源など)の必要性や、協調のとれた管理に向けての必要事項の評価。 来院ごと。

注:BWCFF症候群における悪性腫瘍のリスクは確立されていない。そのため、これに関する定期的評価は推奨されていない。ただし、身体的状況の悪化、あるいは原因不明の慢性の発熱がある場合は、血液悪性腫瘍のスクリーニングを必ず検討する。

リスクを有する血縁者の評価

リスクを有する血族に対して行う遺伝カウンセリングを目的とした検査関連の事項については、「遺伝カウンセリング」の項を参照されたい。

研究段階の治療

さまざまな疾患・状況に対して進行中の臨床試験に関する情報については、アメリカの「Clinical Trials.gov」、ならびにヨーロッパの「EU Clinical Trials Register」を参照されたい。
注:現時点で本疾患に関する臨床試験が行われているとは限らない。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

Baraitser-Winter脳前頭顔(BWCFF)症候群は、常染色体顕性遺伝疾患である。

家族構成員のリスク

発端者の両親

注:親の白血球DNAを検査しても体細胞モザイクの全例で病的バリアントが検出されるわけではなく、生殖細胞系列のみに存在する病的バリアントについては、一切検出されない。

体細胞・生殖細胞系列の両方にACTBあるいはACTG1の病的バリアントを有する片親は、軽度ないしごく軽微な症候を有している可能性がある。

発端者の同胞 

発端者の同胞の有するリスクは、発端者の両親の遺伝的状態により変わってくる。

発端者の子

BWCFF症候群罹患者の子がACTBあるいはACTG1の病的バリアントを継承する可能性は50%である。

他の家族構成員

他の血族の有するリスクは、発端者の両親の遺伝的状態によって変わってくる。仮に片親がACTBあるいはACTG1の病的バリアントを有していたということになれば、その血族にあたる人は全員リスクを有することになる。

関連する遺伝カウンセリング上の諸事項

家族計画

DNAバンキング

検査の手法であるとか、遺伝子・病原のメカニズム・疾患等に対するわれわれの理解が、将来はより進歩していくことが予想される。そのため、分子診断の確定していない(すなわち、原因となった病原のメカニズムが未解明の)発端者のDNAについては、保存することを検討すべきである。

出生前検査ならびに着床前遺伝子検査

家系内に存在するACTBあるいはACTG1の病的バリアントが同定されている場合は、出生前検査ならびに着床前遺伝学的検査を行うことが可能となる。出生前検査の利用に関しては、医療者間でも、また家族内でも、さまざまな見方がある。現在、多くの医療機関では、出生前検査を個人の決断に委ねられるべきものと考えているようであるが、こうした問題に関しては、もう少し議論を深める必要があろう。


関連情報

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報についてはここをクリック。


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。

表A:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群:遺伝子とデータベース

遺伝子 染色体上の座位 タンパク質 Locus-Specificデータベース HGMD ClinVar
ACTB 7p22.1 アクチン,細胞質型1 ACTB database ACTB ACTB
ACTG1 17q25.3 アクチン,細胞質2 ACTG1 database ACTG1 ACTG1

データは、以下の標準資料から作成したものである。
遺伝子についてはHGNCから、染色体上の座位についてはOMIMから、タンパク質についてはUniProtから。
リンクが張られているデータベース(Locus-Specific,HGMD,ClinVar)の説明についてはこちらをクリック。

表B:Baraitser-Winter脳前頭顔症候群関連のOMIMエントリー(閲覧はすべてOMIMへ)

102560 ACTIN, GAMMA-1; ACTG1
102630 ACTIN, BETA; ACTB
243310 BARAITSER-WINTER SYNDROME 1; BRWS1
614583 BARAITSER-WINTER SYNDROME 2; BRWS2

分子レベルの病原

ACTBは、細胞質タンパク質βアクチン(β-actin;アクチン,細胞質型1)をコードしている。このタンパク質は375個のアミノ酸から成る。β-アクチンは、複数の細胞質タンパク質と相互作用する。ACTG1は、細胞質タンパク質γアクチン(γ-アクチン;アクチン,細胞質2)をコードしている。これは、βアクチンとほぼ同じもので、やはり375個のアミノ酸から成る。γアクチンとβアクチンは、一次構造の点ではたった4個のアミノ酸残基が異なるのみである。それでも、この2つのタンパク質は、全く別の翻訳後修飾を受ける。どちらの細胞質アクチンも、細胞の生存にとって必須という点では一致しているが、間期ならびに細胞分裂に際してそれぞれがさまざまな別の機能を発揮する。そして、両アクチンの比率は、細胞種によって変わってくる。βアクチンとγアクチンとは、細胞骨格の構成要素として、そしてまた細胞内運動のメディエーターとして大多数の細胞腫で共存し、サルコメアアセンブリーの中で一定の役割を果たしている。両者は共に相互に協調的に働き、一部、重なりのない独自の機能を発揮している。

ACTBタンパク質は、細胞成長、細胞分裂、細胞運動、免疫応答、細胞の安定性維持、細胞骨格の形成といったさまざまな細胞の機能において、役割を果たしている。ACTG1タンパク質は、非筋肉細胞において機能し、蝸牛内の有毛細胞に豊富に存在する。細胞の可塑性や運動性といったものに関し一定の役割をもち、蝸牛にある有毛細胞の不動線毛の形態や機能にとって不可欠の役割を果たしている[Duginaら2019,Duginaら2021]。

疾患発症のメカニズム
BWCFF症候群を引き起こすACTBACTG1の病的バリアントは、機能獲得型の効果をもつ。

表8: Baraitser-Winter脳前頭顔症候群:遺伝子ごとにみた注目すべき病的バリアント

遺伝子1 参照配列 DNAヌクレオチドの変化 予測されるタンパク質の変化 コメント[参考文献]
ACTB NM_001101.5
NP_001092.1
c.359C>T p.Thr120Ile 重度の表現型を示す[Di Donatoら2014]
ACTG1 NM_001614.5
NP_001605.1
c.608C>T p.Thr203Met 重度の表現型を示す[Vontellら2019,Chacon-Camachoら2020]

表中のバリアントは、著者の提供したものをそのまま載せたもので、GeneReviewsのスタッフが独立した立場でバリアントの分類を確認したものではない。
GeneReviewsは、Human Genome Variation Society(varnomen.hgvs.org)の標準命名規則に準じた表記を行っている。
命名法の説明に関しては、「Quick Reference」を参照されたい。

  1. 表1の遺伝子をアルファベット順に並べたもの。

癌ならびに良性腫瘍

孤発性、単発性の腫瘍(肝細胞癌,メラノーマ,卵巣癌,白血病,B細胞リンパ腫など)において、しばしばACTBACTG1の体細胞病的バリアントがみられる。ただ、こうしたバリアントが生殖細胞系列にみられるわけではない。
利用可能なcBioPortalデータベースのデータを用いて行われた最近の研究によると、癌の複数にわたるサブタイプを取り扱った174の癌研究において、ACTBACTG1の体細胞バリアントの出現は稀であることがわかっている。ただ、ACTBACTG1の変異は、血液癌、特にリンパ性悪性腫瘍で比較的多くみられる。そして、骨髄性悪性腫瘍では少ない[Witjesら2020]。ACTBACTG1の体細胞バリアントが単なるパッセンジャー変異なのか、それともドライバー効果をもつものなのかという点に関しては、依然としてよくわかっていない。


更新履歴:

  1. Gene Reviews著者: Alain Verloes, MD, PhD, Séverine Drunat, PharmD, PhD, Daniela Pilz, MD, PhD, and Nataliya Di Donato, MD, PhD.
    日本語訳者: 佐藤康守(たい矯正歯科)、櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)
    GeneReviews最終更新日: 2022.3.24. 日本語訳最終更新日: 2023.1.8[in present]

     

原文: Baraitser-Winter Cerebrofrontofacial Syndrome

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