はじめに
Twitterでフォローしている @3naiblood さんが「ゆる募:ここ4-5年で大きく変わった臨床情報」とやったところ多くの情報が寄せられました。ご本人がブログで大まかにまとめてくださっています。それを眺めながら、気になるところを調べたものをメモっていこうと思います。
【循環器・腎臓・糖尿病領域】
・SGLT2iが心不全と腎不全のくすりになった。
・副作用のeuglycemic DKA(正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス)に注意。
・1年以上安定している虚血性心疾患合併心房細動はOAC(OAC: 経口抗凝固薬)単剤投与が標準治療になった。(血栓高リスクを有する場合は除く)
・ 弁置換術をされた方の心房細動は今までは全て弁膜症性心房細動と定義されていたのが生体弁の場合は非弁膜症性心房細動と定義されるようになった(DOACが使用可能)
・ARNIの登場;(angiotensin receptor-neprilysin inhibitor);「エンレスト®錠」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物「エンレスト」)効能効果は「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」
・CKDや透析患者の腎性貧血に対する経口薬(HIF-PH阻害薬)の登場
・持続血糖モニターの進歩。インスリンポンプの進歩。--これはその通り
・GLP-1製剤が増えて、インスリンとの合剤や経口薬ができた。ーーリンク先に飛ばそう
心不全の治療
ステージCでEF<40%で薬物治療
・ 基本薬がACE阻害薬かARB +ベータブロッカー+MRA(ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト)
・ ACE阻害薬かARB → ARNI (サクビトリルバルサルタン、エンレスト)
上記に加えてSGLT2阻害薬 (〜フロジン)
心不全のステージ
とりあえずACCF/AHAのステージング
Aはリスク因子ありの状態
Bは無症状
Cは有症状
Dは治療抵抗性
正常血糖ケトアシドーシス
こちらのリンクの記述がわかりやすいです
虚血性心疾患合併心房細動
機械弁への置換がなされた患者さんの心房細動はワルファリンが推奨
エンレスト
CKDや透析患者の腎性貧血に対する経口薬(HIF-PH阻害薬)の登場
わが国では世界に先駆けて HIF-PH 阻害薬が透析患者の腎性貧血の治療薬として 2019 年 11 月 20 日に発売され,2020 年 8 月 26 日には別の HIF-PH 阻害薬 2 剤が保存期の慢性腎臓病患者の腎性貧血治療薬として最初の薬価収載を受けている。
HIF-PH阻害薬(○○デュスタット)
5剤がPMDAのホームページで検索できる
日本腎臓学会のrecommendation
1 )どのような患者に使用することが望ましいか(ESAからの切り替えも含め)
腎性貧血は十分な鉄補充の後,ESA もしくは HIF-PH 阻害薬を用いて管理する。保存期 CKD のターゲットヘモグロビンは 11~13 g?dL,透析期 CKD のターゲットヘモグロビンは 10~12?dL を参考値として,個々の症例の病態に応じた目標 Hb 値を定め治療する。ESA と HIF-PH 阻害薬の選択は,個々の患者の状態や嗜好,通院頻度,ポリファーマシーや服薬アドヒアランス等に応じて,医師が判断する。
ん?【個々の患者の状態云々に応じて医師が判断する】とうことは、学会としては特にESA(Epoの類)との使い分けを判断するような基準はないということか。まぁ透析に入っている人なら透析の際に一緒に投与できるのではないかとおもったり、実際にはどうなんでしょうかね。
GLP-1受容体作動薬(とインスリンの合剤)
インダカテロール酢酸塩・グリコピロニウム臭化物・モメタゾンフランカルボン酸エステル (エナジア)とかいうICS/LAMA/LABAのトリプル吸入ができた。
●長期管理薬(コントローラー)の使用に関する注意点
①吸入ステロイド薬(ICS):最も効果的な抗炎症薬である。副作用は、口腔・咽頭カンジダ症、嗄声などで全身性の副作用は少ない。妊娠自体に影響しない。喘息患者の呼吸器感染症の頻度を上げる証拠はない。最大呼気位(最大限呼出したところ)から最大吸気位(最大限吸入したところ)まで吸入し、約10秒間息こらえをしてゆっくり吐き出す。デバイス毎に吸入の強さが適切となるように指導する(はやく深く:フルタイド®ロタディスク®・ディスカス®、アドエア®ディスカス®/深く力強く:パルミコート®、シムビコート®、アズマネックス®/ゆっくり:キュバール®、オルベスコ®、フルタイド®エアゾール、アドエア®エアゾール)。
②長時間作用性β2刺激薬(LABA):吸入薬、貼付薬、経口薬があり、必ずICSと併用する(単独使用は禁忌)。ICSにLABAを併用すると相乗効果が得られる。
③吸入ステロイド薬/長時間作用性吸入β2刺激薬配合剤:ICSとLABAを個別に吸入するよりも有効性が高い。アドヒアランスを向上させてLABAの単独使用を防ぐ。
④ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA):気管支拡張作用と抗炎症作用を有し、ICSに併用すると有効性が高い。アレルギー性鼻炎合併喘息、運動誘発喘息、アスピリン喘息患者の管理において有用である。
⑤テオフィリン徐放製剤:気管支拡張作用を有する。ICSとの併用で相乗効果が得られる。副作用や過剰投与(中毒)を回避するには100mg錠を2~3回/日で開始し、効果が不十分なら保険診療上の常用量である200mgを2回/日まで増量する。重症例では、専門医と相談の上さらに500~600mg/日へと100mg単位(分2~3)で増量できる(レセプト上の詳記を必要とする場合がある)。血中濃度は5~15μg/mLが目標であるが、患者によっては適正な血中濃度でも、それ以下でも中毒症状が生じることがあるので400mg/日の時点で血中濃度のモニタリングをする。
⑥抗IgE抗体(オマリズマブ):高用量ICSと複数の気管支拡張薬の併用下でもコントロール不十分で総血清IgE値が30~700 IU/mL、通年性吸入抗原が証明されている場合に投与する。約60%で奏効するとされる。4か月間投与後に効果判定を行う。