陸上って何が楽しいんですか?
陸上をやっている人なら誰もが聞かれたことのある質問です。
人によってそれぞれ陸上に魅力を感じる部分は異なると思いますが、回答者の個人的な考えを語らせてください。
陸上に限らず、スポーツの楽しさは大きく二つに分類されると考えます。
一つ目は、「遊び」としてのスポーツの楽しさです。その場限りでそのスポーツ自体に感じる楽しさであり、休み時間のサッカーや趣味としてのランニングが一例です。
二つ目は、「競技」としてのスポーツの楽しさです。そのスポーツでのパフォーマンス向上を目的にあらゆる努力をした結果、それが結果として反映されたときの喜びを指します。
前者を短期的な楽しさ、後者を長期的な楽しさとすればとらえやすいかもしれません。
一般的に、陸上は「遊び」として楽しめない、という人が多いスポーツであることは否めません。走ることを一例に挙げても、体育の授業などで「走る=辛い」というイメージがついている人にとっては、今更走ることを楽しむのは難しいでしょう。陸上部員でも、走ること自体が好きだ、という人は多いわけではありません。
しかし、その分「競技」として、練習を積み重ねたのちに結果が表れる喜びもひとしおです。陸上は他者に依存しない、記録という数字で結果が示されるため、自分の成長を実感しやすい競技です。これが陸上の楽しさの一つであり、多くの競技者はこの瞬間の喜びを求めて厳しい練習に取り組み続けます。
そしてまた、「競技」として陸上に取り組んでいくと、「遊び」としての陸上の面白さに気づくことが多いです。走る、投げる、跳ぶという動作は日常的で一見単純ですが、記録向上のためにそれらの動作に向き合うと、「動きをこう変えるだけで身体がこれほど軽く感じられるのか」などといった新たな無数の学びに出会います。そのような陸上というスポーツ自体に感じる「遊び」の楽しさも、競技者が競技のために練習を続けていける糧になっているのではないかと考えます。