PQJ2024参戦レポート by 工藤大樹

PQJ2024に札幌医科大学チームとして出場した工藤大樹先生(PQJ2023代表・当時札幌医科大学6年生)が、PQJ2024の参戦レポートを寄稿してくれました! PQJ2025(3月23日・大阪医科薬科大学)開催直前に向けて、PQJの雰囲気を味わってください。


 

PQJ 2024は2024年3月26日に島根大学の主催で4年ぶりの現地開催となりました。

場所は日本の神々が集まる地、出雲です!

今回のPQJには札幌医科大学、東北大学、大阪医科薬科大学(2チーム)、島根大学、香川大学、そしてインドネシアのUNIVERSITAS MUHAMMADIYAH MAKASSAR、スロベニアのUniversity of Ljubljanaから計8チームが参加しました。(筆者も札幌医科大学のチームとして参加しました。)

カメラに向けてポーズをとるインドネシアのチームと大会運営スタッフ

 

開会式に続く第1ラウンドはクイズの王道、フリップクイズでした。

30秒という短い時間の中でチームとしての答えを出し、それを用意されたホワイトボードに書いてタイムアップと同時にいっせいに掲げます。すべてのチームの答えが揃うことも多々あり、参加チームのレベルの高さが伺えました。

       フリップクイズの様子

 

問題は基礎医学と臨床医学を橋渡しするような良問が多かったように思います。

例えばこの問題をみてください。肺サーファクタントを産生する細胞と分解する細胞をそれぞれ答える問題です。表面張力で肺がしぼまないようにするためには界面活性作用のあるサーファクタントという物質が必要なのですが、サーファクタントの量は多ければよいというわけではなく、産生と分解のバランスが崩れると肺の中にサーファクタントが溜まって呼吸ができなくなってしまいます。単純に細胞の機能を問う問題にみえますが、実際の疾患を意識した出題ではないでしょうか。問題のあとに解説のスライドがあるのは歴代のPQJと同様で、参加者たちはその場で解説を読んで勉強することができます。

 

こちらの問題はどうでしょうか。一般的にも名前の知られた毒素の名前ですが答えはわかりますか?

正解はbotulinus toxin(ボツリヌス毒素)です。ボツリヌス菌の毒素がなぜ人体に悪影響を与えるのかを問い、そしてそれが逆に治療に応用されているということを理解させる良問だと思います。

 

第2ラウンドはこれまたクイズの王道、早押しです。

どのチームよりも早く、しかし正確な答えを出さなければならない早押しクイズは、制限時間のあるフリップクイズとはまた違った戦術が要求されます。

戦いは次第に白熱し、ボタンを押す音が鳴りやみませんでした。

 

お昼休憩をはさみ(お弁当おいしかった~)、第3ラウンドは山手線ゲームでした。

お題は1問目がホルモンの名前、2問目が21世紀にノーベル医学・生理学賞を受賞した人物の名前です。

ホルモンの名前の山手線ゲームはPQJ 2019でも出題されたものがカムバック!そのときはレニンがホルモンではないということで大変盛り上がったときいています。今回もレニンの名前が挙がり、待っていましたとばかりに解説が入りました。誤解を招きやすいですが、レニンはアンギオテンシノゲンをアンギオテンシンに変換する酵素であり、受容体に結合して標的臓器に作用するわけではないのでホルモンではないのです。

山手線ゲームは司会の方の明るさもあり大変盛り上がりました。

 

ファイナルラウンドは再びフリップクイズでした。

最終決戦にふさわしい難問ぞろいです。例えばこの問題、前庭眼反射に関わる神経回路を図示する問題ですが、正確に回答できたチームはいたのでしょうか…?

 

 

また、最後は誕生の季節ということで新生児の循環動態に関する問題が出題され、季節感を意識した作問もユニークでした。

クイズの途中で参加者から疑義が出ることもありますが、そのすべてに的確に回答されるジャッジの先生方の知識量にはいつも圧倒されます。

      難問に苦戦する参加者たち

熾烈な戦いを制したのはスロベニアから来たUniversity of LjubljanaのMetabolic Mastersです。2年連続でPQJの王座につきました。

準優勝は島根大学のShimanekko familyです。主催校である島根大学の5年生チームが先輩の意地をみせました。

閉会式では、順位に応じて各チームにトロフィーや教科書などが渡されました。参加賞としていただいたPQJ 2023のオリジナルデザインバッグはとても気に入っていて、日常的に使わせてもらっています。

  優勝したLjubljana大学のチームとジャッジの先生方

 

  準優勝した島根大学のチームと大会運営スタッフ

 

勝負のあとは恒例の懇親会です。

ビンゴ大会は大盛り上がりでした。配られたビンゴカードを手に、これはなんだ…?と戸惑う海外チームの参加者たち…こんなところでも文化の違いを感じました。ビンゴしたひとには島根の名物が送られました。

ビンゴゲームで盛り上がったあとはケーキを食べながら観光の話をしたり(みんな出雲大社に行っていました)、SNSを交換したり、写真を撮ったりと、時間ぎりぎりまで交流を深めていました。

 

 

    ビンゴ大会の景品を手にして喜ぶ参加者たち

 

この日のために準備を続け、素晴らしい大会の場を用意してくれた運営スタッフのみなさん、大会を盛り上げてくれた参加者の方々、ジャッジの先生方をはじめ、多くの方々のおかげで素敵な思い出ができました。ありがとうございました。

コロナ禍での3度のオンライン開催を経て、PQJ Onlineとして生まれ変わったPQJO 2024には世界16か国から99チームが参加するなど、オンラインのPQJも年々勢いを増しているようですが、現地開催だからこそ味わえる臨場感や楽しさもぜひ経験してほしいです。

PQJ 2025は大阪医科薬科大学の主催で3月23日に現地開催予定です。たくさんのご参加をお待ちしています!

        PQJ 2024の集合写真

文責・工藤大樹 (医師. PQJ2023代表)

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