研究分野の紹介

巨大色素性母斑

 巨大色素性母斑では、悪性化があることや広範囲で外見が黒く目立つことです。悪性の発生率は数パーセントであると言われ、発生の発生年齢をみると半数が3歳未満です。単純に考えると、この3歳までに手術などで全部母斑が取り除かれることが望ましいと考えられます。

治療法

1.分割切除法

母斑を複数回にわたり脂肪を含めて切除して母斑を小さくする方法です。皮膚の余裕が得られやすい乳幼児期から手術を進めていくことが望ましい。

2.キュレット法

キュレット法は、生後間もない時期では、母斑を鋭匙(金属の耳かき状のもの)で母斑を掻き取ると、真皮深層(皮膚の一番深い部分)を残すことができ、軟膏などで治すことができます。ただし、適した時期が限られています。

3.培養表皮移植

培養表皮移植には2通り方法があり、一つはキュレット法を行ったあとに培養表皮を移植する方法です。培養表皮を追加できればキュレットがより深くまで母斑を切除できます。もう一つの方法が、母斑を脂肪層まで深く切除して、人工真皮を移植後に、自分の極少ない皮膚と培養表皮を移植する方法です。比較的広い面積が治療できます。

4.エキスパンダー

母斑の横にエキスパンダーを挿入して拡張後に、母斑を切除してエキスパンダーで拡張した皮膚で傷口を閉じる方法です。周囲の皮膚と色合いや皮膚の質感が近く外見が良好です。しかし、エキスパンダーを外来で注射しながら拡張する必要があります。また、皮膚が拡張できないことや皮膚の壊死することもあります。

5.植皮術

皮膚移植術は、植皮術を呼ばれて、全層の皮膚や分層の皮膚が移植できます。全層の皮膚では正常な皮膚を採取できる範囲が限られています。分層の皮膚では、移植する母斑と同じ範囲が傷あとになってしまいます。

6.レーザー治療

巨大色素性母斑では、Qスイッチレーザーや炭酸ガスレーザーが有効ですが、回数がかかることや色を十分に取ろうとすると傷あとになりやすいことがあります。

文献

診療 疾患 巨大色素性母斑

培養表皮移植(臨床研究)

白斑・改善が困難な瘢痕・皮膚難治性潰瘍に対する培養表皮移植(臨床研究)

この臨床研究は、白斑(皮膚の色が白く抜けた状態)・改善が困難な瘢痕(皮膚の色が抜いた瘢痕や皮膚表面の細かい凹凸など)・皮膚難治性潰瘍に対して、まだ保険で認められていない培養表皮を移植して改善する治療です。尋常性白斑では、白斑の拡大がない安定した状態であること、従来の他の治療法で改善できないことが必要です。費用は患者さんからの自費負担で賄われます。現在までに、尋常性白斑20例、伊藤母斑1例、熱傷後脱色素班に治療を行い、比較的良好な色素の回復が得られています。しかし、尋常性白斑では、四肢、特に指先では色がつくことがむずかしいです。

研究課題ページ

床研究「白斑(白いあざ)、改善が困難な瘢痕(傷あと)、難治性皮膚潰瘍(治り にくい皮膚の潰瘍)に対する培養表皮移植の有効性の検討」の説明・同意文書

乳房再建

乳房再建は、手術時期と手術方法でいくつか異なります。まず考えて頂きたいことは、手術時期で、(乳癌の手術と同時に)1次再建か(乳癌の手術のあとで)2次再建を行うかです。1次再建では、乳腺外科の切除術と同時に再建を行い、再建手術は2次再建に比較して早く進んでいきます。また、乳癌の手術と同時に再建術が行われるので、乳房の喪失感が少ないことです。一方で、どのような方法で再建するかについて十分に時間をかけて考えにくいことがあります。一方で、2次再建では患者さんや家族・会社の都合を考えて、手術時期・手術法を選択することができます。

 もう一つ大切なポイントは手術方法です。大きく分けて、人工物挿入術と自家組織移植術があります。人工物挿入術は、一旦エキスパンダーを挿入して、外来で拡張して約半年経過してインプラントに入れ替えます。インプラントは2年1回MRI撮影を行い、インプラントに破損がないかどうかの検査必要で、劣化していくために10年から15年に1回のペースで入れ変えの手術が必要です。一方、自家組織移植では、有茎広背筋皮弁と腹直筋穿通枝皮弁があります。有茎広背筋皮弁では、背中を切開して」皮膚・脂肪と同時に広背筋を胸に移植して乳房の形態を作ります。広背筋皮弁を栄養する血管は腋窩(わきの下)にあり、血管をつけなおす
必要はありません。術後の合併症は、背中の傷の治りがおくれることや乳房に血腫が貯まること以外に、背中に水がたまること(セローマ)があります。腹直筋穿通枝皮弁は、臍の周りにある、腹直筋から立ち上がってくる穿通枝を含めて皮弁を起こして、胸に移植後に内胸動静脈に血管をつないで、皮弁で乳房の形をつくる方法です。この方法では、手術時間が6から10時間が必要です。また、手術の合併症は、お腹の皮膚の治りがあることがあります、胸に血腫が貯まることがあります、腹壁瘢痕ヘルニアが起こることがありますなどです。

血管腫

 血管腫にはいちご状血管腫と単純性血管腫と血管奇形があります。いちご状血管腫は、生まれた直後より盛り上がり始めて生後1歳ごろに最大になり、その後徐々に大きさが減少して幼稚園のころに目立たないなるタイプの血管腫です。瞼などにできるいちご状血管腫では、大きくなり目に光が入らなくなると弱視なる可能性があり、シロップでの治療が必要となります。また、いちご状血管腫が直径3センチを超えて目立つときにもシロップが必要となることがあります。一方で、早めに血管腫の色を消したいときには色素レーザーでの治療ができます。

 一方で、単純性血管腫は急激に大きくなることはありませんが、思春期ころには赤さが増すだけでなく、皮膚が厚くなり、血流が豊富で火照ることがあり、目立ちます。色素レーザー治療によく反応してくれるので、早目のレーザー治療がいいと思います。

傷と傷あと

 傷治すプロフェッショナルである

手足や顔面の傷は、救急外来を受傷すると縫合処置や創傷被覆材での処置を受けます。形成外科では、その後経過をみて治療をみさせていただいております。また、瞼や口唇の複雑な傷では、形成外科医が呼ばれて縫合処置などを行います。さらに、抜糸したあとも傷あとがケロイドなど目立つことが予想される場合には、追加の治療を続けます。

 顔面の骨折(鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩底骨折など)では、できるだけ整復して必要があればプレートで固定します。受傷後早めの受診をお勧めします。

皮膚腫瘍

顔などの露出部での皮膚腫瘍では、できるだけ傷あとを残さないような治療を心がけています。

頭頚部再建

耳鼻いんこう科、口腔外科、食道外科が手術して、口から食道までの通り道がなくなるときには、マイクロサージャリーの技術を用いて再建を行っております。

リンパ浮腫

 産婦人科、泌尿器科、乳腺外科のがんの手術後に、リンパの流れが悪くなり足や手が腫れることがあります。

研修医・学生の皆様へ

当医局へ興味を持ってくれた方向けに医局説明会へのご案内などのお知らせをお送りしております。ご希望の方は以下のフォームよりメッセージをお待ちしております。

名古屋市立大学 形成外科
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FAX番号:052-858-7514

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