「第三の人間」論法

(だいさんのにんげんろんぽう Third Man Argument)


アリストテレスプラトンイデア論 を批判するさいに用いた論法の一つ。「第三人間論」ともいう。

現実に存在するものはすべて個物であるのに対して、 イデアは普遍的存在である。 たとえば、ソクラテスやプラトンはそれぞれ個物(個人)であるが、 「人間」というイデアはソクラテスやプラトンや他のすべての個人を包括する 普遍的なものである。

ここからがアリストテレスの批判。 たしかに「人間」のイデアは普遍的であるが、 しかし一方でそれ自身はやはり個物ではないだろうか。 もしそうであれば、 ソクラテスやプラトンや(イデアである)「人間」を包括するような、 さらなる普遍的イデア、 すなわち「第三の人間」がなくてはならないのではないか。 するとその普遍的イデアとソクラテス、プラトン、「人間」をさらに包括する 「第四の人間」、さらに「第五の人間」、「第六の人間」 という風に無限背進に陥ってしまうのではないか。

コプルストンその他の参考書によれば、 アリストテレスは『形而上学』でどうもこんな議論をしているらしい。 プラトンの『パルメニデス』にもすでにこの議論の原型が出てるらしいので 参照のこと。おれも読まなきゃ。(06/07/99)


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jan 28 05:41:14 JST 2000