(まきしみんげんり maximin principle)
ゲーム理論で用いられる用語。 行為者にいくつかの選択肢があるとき、 それぞれの選択によって最悪でも得られる利益に着目し、 最悪の場合の利益が最大になるものを選ぶ戦略。マキシミン戦略。 「自分の最小(minimum)のもうけを最大化(maximize)する戦略」と覚えよう。
たとえば、二つの選択肢AとBがあるとき、 Aを行なうと、最高で10000円のもうけを得るが、 最悪では500円しかもうからない。 他方、Bを行なうと、最高で8000円のもうけを得るが、 最悪でも1000円もうかる。 この場合、「最小のもうけが最大になるようにせよ」 というマキシミン原理に従えば、 最悪でも1000円もうかるBを選ぶことになる。 悲観主義的な態度、守りの態度とも言える。
また、ロールズは『正義論』において、 原初状態における社会契約においては、 マキシミン原理を採用すると論じている。 というのは、ロールズによれば、 通常は期待効用を最大化する選択肢を選ぶのが合理的とされるが、 一回きりの人生の場合は、 「最悪のケースがいちばんマシなものを選ぶ」 というマクシミン原理が合理的だからである。 このマクシミン原理から格差原理が導きだされる。 詳しくは正義の二原理を参照せよ。
ミニマックス原理の項も参照。 (11/17/99)
ゴティエの 「相手がどんな選択を行なおうと自分の受けとる最小の効用が 極大化するような戦略」 (デイヴィッド・ゴティエ、『合意による道徳』、 小林公訳、木鐸社、1999年、95-6頁) という説明もなかなかよい。え、よけいわかりにくい? (11/23/99)