(しつりょう matter, hyle)
アリストテレスに結びつけられる用語。 一つのドングリが成長してカシの木になるとき、 形は変わっても両者には共通のものがあるように思われる。 その共通のもの、すなわちドングリとカシの木から その姿形(形相; form, eidos, morphe) を取り去って残ったものが、 質料と呼ばれる。 質料だけでは姿形を持たないので、 質料は形相を伴なってはじめて現実に現われる。 物を構成する材料のことだと考えればよい。
すべての事物は形相と質料の組み合わせからなる、 という考えを質料形相説 (hylomorphism) という。ただしこれはアリストテレス自身の見解ではなく、 アクィナスによって主張されたらしい。 この立場は後にボイルや ロックらの 粒子仮説の立場から批判されることになる。 (12/07/99)