• 会 期
    2022年71 2
  • 会 場
    神戸国際会議場/神戸国際展示場ポートピアホテル
  • 大会長
    宮下 光令 東北大学大学院医学系研究科 緩和ケア看護学分野

プログラム

 

日程表(7月1日・2日)

プログラム

更新日:6月23日(木)
 

大会長講演

大会長講演:「緩和ケアの質の評価に関する研究」を評価し、前に進む

特別講演

特別講演1:データに見るわが国の緩和ケア
特別講演2:がん患者から見た緩和医療の課題と期待
特別講演3:腫瘍内科学の発展と緩和医療従事者への期待―がん薬物療法の視点から―
           

海外講演

海外講演1:集中治療における緩和ケアチーム介入のTips:日米の現状において
海外講演2:どうしてアドバンスケアプラニングは上手くいかないのか?
すべての会話は3つのステージでアプローチする
海外講演3:意見が対立したこと、ありませんか?
~医療者が意見や要求の対立に向き合う方法とは~
海外講演4:The Soul of Care: Its Implications for Palliative Medicine
海外講演5:Lessons learned from the death rattle prophylaxis study:
how to conduct randomized controlled studies for distressing symptoms at end-of-life
海外講演6:The history of cancer pain management
海外講演7:Assessment​ and​ management​ of​ cachexia​ and​ fatigue​ in​ patients​ with​ cancer
海外講演8:救急外来におけるACPとクライシスコミュニケーション

海外シンポジウム

海外シンポジウム:Barriers of palliative care promotion to the public:
how can we develop palliative care culture?

招待講演

招待講演1:温度受容・侵害刺激受容の分子機構の解明に関する研究
招待講演2:Post COVID-19 syndromeにおける症状緩和
招待講演3:緩和医療で使える心理療法
~「スピリチュアルケア」を支えるCALM療法、「自分らしく生きる」を支える行動活性化療法のエッセンス~
招待講演4:がん緩和医療における抗凝固療法
招待講演5:がんサバイバーの抱える苦痛に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー
-慢性痛と再発不安に焦点をあてて-
招待講演6:HFNCは緩和ケアに適しているのか?

講演

講演1:緩和ケアに必要とされるIPE(Interprofessional education:多職種連携教育)の試み
講演2:苦痛緩和のための鎮静に関する国際的議論:
Last resortから安楽死の代替手段へ?
講演3:遺伝性腫瘍の家族ケア
講演4:がんの痛みと喫煙 
~痛みのある喫煙者への効果的な禁煙支援方法~
講演5:ACPのエビデンスとアンチテーゼ~今後の姿を考える
講演6:緩和医療で遭遇しやすい精神症状への薬剤の使用方法のポイントと注意点
講演7:呼吸困難の症状緩和に関する研究を始めたい方々へ
~支持療法・緩和治療領域研究ポリシーを読み解く~
講演8:掻痒に対する中枢からのアプローチ
  精神科医の視点から慢性のかゆみを考える
講演9:irAEを含むがん治療による倦怠感の鑑別
講演10:がん治療に伴う口腔粘膜炎の治療とケア
講演11:がん患者の痛覚変調性疼痛Nociplastic painを考える?
緩和医療・支持療法で考えるべきことは?
講演12:医療者―患者関係で、何が起きているのか?
~対応が難しい患者のこころを読み解くヒント~
講演13:緩和ケア外来の現状と未来
講演14:診療現場で地道に取り組む緩和ケア啓発
~無理をしない、でも諦めない~
講演15:予後の差し迫った患者の薬剤の継続と中止(止め時)について考える
講演16:がんによる認知機能低下
講演17:卒前医学教育における緩和医療学教育のありかた
講演18:歴史を知り、緩和ケアと共に歩む 
~私達はどこからきて、どこに向かうのか~
講演19:通院患者のがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入
講演20:がんになった緩和ケア医に残された宿題とは
講演21:さまざまな対象(若者~壮年期~高齢者)による効果的な啓発と限界。
学校における、あるいは、学校外の地域における効果的ながん教育とはどんなものか?
講演22:緩和ケアの提供者に必要なネガティブ・ケイパビリティという概念
講演23:緩和ケアの普及・啓発、そして研究
故・加藤雅志先生の功績と私たちが引き継がなければならないこと
講演24:緩和医療において求められるオピオイドネットワークの最新知識

シンポジウム

  • シンポジウム1:COVID19下でのチームビルディング

    • コロナ前の日常は、はるか遠いものとなった。家族との面会、患者同士の交流、気分転換を兼ねた外出や外泊、患者・家族にとってかけがえのないそんな時間でさえ、コロナ禍は奪ってしまった。 コロナ禍が生み出した影響は、医療者にとっても大きい。急遽編成された部署での医療提供の難しさ、在宅医療連携時の情報共有の困難さ、面会制限によって生じた家族の怒りへの対応など、医療現場は新たに多くの問題を抱えるようになった。 現状では、患者・家族のQOLを高める医療・ケアの提供はもちろんのこと、医療者のレジリエンス強化・バーンアウト防止の対策が強く求められている。そんな時だからこそ、チーム医療が大きく役立つだろう。 このシンポジウムでは、コロナ禍でのチームビルディングをテーマに、現場が抱える問題を共有し話し合いたいと考えている。何かしらヒントを持ち帰り、明日からのチーム医療に活用頂ければ幸いである。
  • シンポジウム2:架け橋としての緩和ケアチーム
    主科、多職種、他部署、他施設との協働を考える

    • 緩和ケアチームは、緩和ケアを専門とする医師、看護師等を含めたチームによる緩和ケアの提供体制であり、対象となる患者さんに適切な緩和ケアを提供する。多くの緩和ケアチームはコンサルテーション型であり、主科と緩和ケアチームという異なった専門性や役割をもつ者同士が協働する難しさがある。しかし、患者さんやご家族のもつ様々な苦痛に適切に対処するためには、それぞれの専門性や役割に基づいた状況の検討を行い、協働して解決策を見出すことが重要である。 本セッションでは、緩和ケアチームの各職種の専門性から果たすべき役割を踏まえ、患者を中心としたより良い緩和ケアを提供しようとする際に、日常に遭遇する困難やその解決策等を実際の活動示しながら議論したい。患者さんとご家族に最善のケアを届けるためのヒントをセッションから持ち帰ってもらえれば幸いである。
  • シンポジウム3:鎮静の手引きはあるけれど
    -終末期の現場の苦痛緩和と鎮静の悩み-

    •  鎮静の手引きに基本的な考え方が記されているが、終末期の現場ではどのような対応をとることが最も適切か迷うことは多い。1) チームによる判断とはいっても、主治医や病棟の方針など医療者の価値観で鎮静を行うかが決まってしまう。2) 患者や家族が鎮静することを医療者に強く要求しそれに応じざるを得ない状況になってしまう。3) 鎮静の仕方が医師によってバラバラでどのように調整したら良いか分からない。4) 在宅などミダゾラムが使用できない環境やミダゾラムが無効の場合にどうしたら良いのか分からない。以上のような終末期の現場の悩みについて、各施設での実例と対処方法を示し、鎮静の手引きの考え方に沿って現場に則した対応を考えていくきっかけになれば幸いである。
  • シンポジウム4:これって本当?がん疼痛管理の気になるあれこれ

    •  新たに日本で販売されたオピオイドを含め、症状マネジメントに使える武器は非常に増えた。またガイドラインが整備され、処方医師の好みによる薬物選択の違いなども縮小してきたと感じる。一方で専門的緩和ケアの提供で求められるのはガイドラインを超えた細かな工夫や症例個別的な戦略の提案である。今回取り上げた内容は、非常に強い疼痛症例の場合や症状が残存して今一つ満足感の得られないような際に、何か追加オプションを検討できるかどうかのヒントになるのではないかと考えている。気になるあれこれとして、神経障害性疼痛のことや以前から使用されているケタミンやナプロキセンなども取り上げた。専門家によるエビデンス解説や経験等のディスカッションを通じて、本セッション参加者が様々な困難症例に対して「この薬剤選択でいいのか」を振り返る有意義な時間となってくれると思う。
  • シンポジウム5:地域・コミュニティでの看取りを支える

    •  高齢多死の時代を背景に、医療施設以外の様々な場での看取りのケアが求められている。地域包括ケアが推進される近年、住み慣れた地域・コミュニティが看取りの受け皿となり、人生の最期を安心して過ごせるよう、積極的な取り組みが行われるようになっている。 しかし、今後さらに高齢人口が増え、看取りが増えることが確実な状況において、十分な看取りのケアが提供可能な施設や事業所は不足しており、その取り組みへの周知も十分な状況とは言えない。 今回、シンポジウムを通して、地域・コミュニティにどのような社会資源が存在し、どのような特徴をもって看取りのケアが提供されているのかを紹介する。また、これらの施設や事業所が抱える課題を取り上げ、今後地域・コミュニティの中で質の高いケアを提供するために、どのような取り組みができるのかを議論したいと考える。
  • シンポジウム6:呼吸器症状up to date
    ~システマティックレビューの結果の紹介とそこから見えてきた今後求められること~

    •  呼吸困難をはじめとする呼吸器症状は、がん患者において発現頻度が高く、難治性とされており、緩和医療における重要な課題の一つに挙げられている。前回、5年ぶりの改訂となった2016年版の「がん患者の呼吸器症状に関するガイドライン」では26個の臨床疑問を収載し、推奨部分については2011年版から全面的な改訂が行われた。 現在作成中のガイドラインでは、呼吸困難を有する患者の症状緩和に対し、酸素療法(酸素吸入、HFNC)、薬物療法(オピオイド、ベンゾジアゼピン系薬、ステロイド)、送風療法の各分野について臨床疑問を設定後、SRを進め、現在、新たなガイドライン発刊に向けた作業が進行している。 本講演では、2016年版のガイドラインから、新たに追加された臨床疑問を中心に今回の改訂版の見どころ、および、ガイドラインを利用する上でのポイントを紹介していく。
  • シンポジウム7:がんの痛みに対する神経ブロック up to date

    • この20年がん疼痛治療の発展は目を見張るものがある。使用可能なオピオイドの選択肢が大幅に増え、鎮痛補助薬の効果についての基礎、臨床研究も多くなされている。WHOがん疼痛治療のガイドラインに従い、多くの患者の痛みは緩和されるようになった。しかし、それでもなお、難治性がん疼痛患者に一定頻度で遭遇する。皆様はその時どう対応されていますか?
      侵襲的治療方法とされる神経ブロックやIVR(インターベンショナル・ラジオロジー)の選択肢は思い浮かぶでしょうか?オピオイドを用いた鎮痛が痛みを上から抑えつけるというイメージであるのに対し、神経ブロックやIVRでは、痛みが引いていくように効果が出現する。この鎮痛の醍醐味をぜひみなさんにも感じ取っていただきたいと思っています。
      今回、この道のプロフェショナルである先生方5名に、それぞれの施設でのご経験、適応、地域との連携体制や神経ブロックの啓蒙や普及に関する取組みなどについてご紹介いただきます。
  • シンポジウム8:神経難病のEOLケア:全人的苦痛の緩和に焦点を当てて

    •  神経難病は未だ根治療法がなく進行性であり、発症・告知・治療選択・進行の受容・命の選択・EOLケアと、疾患の全過程において、全人的苦痛を伴う。また、介護を含み家族にも苦悩を生じる。欧米先進国では古くから緩和ケアの対象として認識されてきたが、エビデンスは少なく、病態も多岐にわたるため、単純な確立された緩和ケアの手法があるわけではない。本セッションでは、身体的苦痛だけでなく、精神的・スピリチュアルな面まで含んだ全人的ケアに焦点を当て、神経難病のEOLケアにも緩和ケアの神髄があることを示す。すなわち、まずそこに苦痛があることを認識し、多職種で関わり、地域ぐるみで患者と家族の希望を中心に捉え、患者が生き抜くことを応援するケアについて実践者から報告する。EOL期の生きるを支えるケアにがんも非がんもないことを実感するであろう。緩和ケアは全ての人が享受すべき人権である。
  • シンポジウム9:親ががんになったとき子供にどう説明するか?

    •  親ががんになったとき、子どもに病気を伝える過程でどのようなことが問題となるでしょうか。親はどのような気持ちで悩むのか、なぜ子どもに話をすることに抵抗を示すのか、伝えないことはどのような影響があるのか、一方で子どもは親の病気をどう受け止め対処していくのか、様々な問題にわたしたちは戸惑います。そこで、親の思いや、子どもの発達に応じた反応と対処、そして子どもの力を理解することは、親子を支援する上で非常に重要なポイントとなります。シンポジウムではこのような視点から親子の問題について理解を深め、病院のなかでできる支援と病院の外でできる支援の実際を知っていただくことで、みなさまに親子への支援の輪を拡げていただければと願っています。
  • シンポジウム10:終末期医療に携わる専門職のスピリチュアルケア教育

    • 終末期ケアに携わる看護師のスピリチュアルケアの教育プログラムの効果は複数報告され、実践されている。近年では医師の教育プログラムも開発され、その効果が報告されている。その他、終末期ケアに携わる様々な職種・役割ごとにスピリチュアルケアに関する教育がなされ、実践力の向上に役立っている。多職種が参加するスピリチュアルケア教育が実施されている状況もあるが、教育プログラムとしての報告は国内ではみられない。
       スピリチュアルケアは一職種で実践できるものではなく、他のケアと同様にチームで関わることが望ましく、多職種で関わる教育プログラムの必要性が認識される。
       そこで、このシンポジウムでは、国内での各職種による教育的な取り組みを紹介し、それぞれの現状を知るとともに、多職種チームによるスピリチュアルケア教育プログラム開発の可能性など、今後の展望について共有したい。
  • シンポジウム11:言葉で意向を伝えることが難しい患者の意思決定について考える
    ~小児と高齢者における意思決定の類似点と違い~

    •  医療における意思決定において本人の意向は重要な要素である。しかし、患者の中には言葉で意向を伝えることが難しい人もいる。その場合、本人の意向をどのようにとらえ、意思決定支援につなげていくのかは大きな課題である。今回は言葉で意向を伝えることができない患者の意思決定について、小児患者と高齢者の異なる二つの領域を取り上げ検討する。成長発達過程にある子どもの意向をどのようにとらえるのか、認知機能が落ちていく高齢者の意向をどのようにとらえるのか。代弁という難しい課題を考えるに当たり、二つの領域の類似点と違いを意識しながら支援の在り方について考える機会としたい。
  • シンポジウム12:がん悪液質に多職種で挑む
    〜薬物療法と非薬物療法のベストプラクティス〜

    •  がん悪液質では、末梢組織で生じた全身性炎症の中枢神経での増幅があり、脳が介在し多様な身体・精神症状を引き起こす。全身性炎症は、腫瘍だけでなく、がん治療や感染でも増強する。また、身体・精神症状は相互作用し、患者の苦痛と苦悩を増強させるだけでなく、患者と生活をともにする家族の苦悩の原因にもなる。このような状況におちいっている患者と家族にはホリスティック(心身一体的)かつマルチモーダル(集学的)なケアが必要であり、その実践には多職種でのチームアプローチが重要である。ところが、患者と家族を対象とした多職種でのチームアプローチとホリスティックマルチモーダルケアは未確立である。このシンポジウムで、がん悪液質で苦しむ患者と家族へのベストプラクティスについて多職種で熱く討議したい。奮ってご参加ください!
  • シンポジウム13:死亡直前期の難治性苦痛への戦略-治療の標準化の試みと限界-

    •  死亡直前期に治療抵抗性となり得る難治性の痛み、呼吸困難、せん妄についての標準的な治療はなく、どのように治療するか、あるいはどこまで治療したら治療抵抗性といえるのかは明らかではない。各症状の専門家が難治性症状に対する基本的考え方をまとめ、治療をアルゴリズムとして示す一方で、治療抵抗性と判断する基準を限界として提示していく。また、苦痛を耐えやすくするための精神的ケア、スピリチュアルペインのケアの重要性も共に示す。日常臨床において直面する死亡直前期の難しい諸問題について、本シンポジウムがこのような問題で悩んでいる現場のスタッフの一助になれば幸いである。
  • シンポジウム14:痛みの評価~現状を評価し、前に進む~

    • 痛みの評価は疼痛治療の第一歩であり、がん患者の苦痛緩和の中で最も重要な情報のひとつである。痛みは主観的な苦痛であり、その評価法としてNRS(Numerical Rating Scale)やFRS(Face Rating Scale)に代表される数字評価、また緩和ケアのスクリーニング評価ツールとしてSTAS-J(Sopport Team Assessment Schedule 日本語版)が広く用いられてきた。しかしながら本来の痛みの治療目標は単に痛みを低下させるだけではなく、痛みによる生活の支障度を減らすことにある。また、がんの領域でもサバイバーの増加に伴い痛みが慢性化し、痛みといかにうまく付き合いながら生活社会活動を営んでいくかが課題となっている。そのため日常生活活動、QOL(Quality of Life)、運動器疼痛疾患、心理社会的要因の評価など多角的な評価がより重要視されてきており、苦痛スクリーニングも患者報告型アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)の考えが広まりつつある。
      本シンポジウムではこれまでの痛みの評価法の問題点を、がん領域にフォーカスして振り返り、今後の担癌患者の理想的な痛みの評価法について多職種で議論いただく機会としたい。
  • シンポジウム15:機関を越え地域で紡ぐアドバンス・ケア・プランニング

    • アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の必要性・重要性が医療機関や国民の間で認識され、各地域で様々な活動に繋がっている。そして、各地域の取り組みは、対象者やアプローチは異なるものの各地域のEnd of life careの推進・向上に寄与している。しかし、各地域で取り組まれているACPの活動の詳細が共有される場は少ない。そのため、各地域で蓄積されたノウハウや課題を、他地域のACP活動に活用・応用することは難しい。よって、本シンポジウムでは、各地域や各医療機関で取り組まれているACP活動の詳細を共有し、各地域でACPを普及するにあたって、一般化できること、地域の個別性を考慮すべきことなどに焦点をあて議論・検討し、地域におけるACPの理解を深めていきたい。
  • シンポジウム16:緩和ケアの普及啓発は何をもたらすのか
    〜WG6と委託事業委員会の合同企画~

    •  緩和ケアの認知あるいは普及が不十分であるといわれて久しい。日本緩和医療学会では、がん対策基本法およびがん対策推進基本計画に基づき厚生労働省より委託を受け、緩和ケア普及啓発に力を注いできている。そればかりでなく、学会としても緩和ケアの普及を推進している。この緩和ケア普及啓発活動も始まってから今年で15年となる。
      しかし、まだまだ足りない。
      このシンポジウムでは、何がどう足りず、誰に対して何をどうしたら緩和ケアは普及し、それを行うことにより何がもたらされるのか、そしてこれからの緩和ケア普及啓発はだれに対して何をどう目指すのかなどについて、患者家族の立場から、そして学会および委託事業において普及啓発に取り組んでこられた立場からご講演いただいたうえで、未来志向の建設的な熱いディスカッションを行う予定である。
  • シンポジウム17:呼吸困難に対する非薬物療法

    • がん患者の呼吸困難のマネジメントについて、海外のガイドラインでは、階層的なアプローチを推奨するとともに、非薬物療法を優先的に検討することが紹介されている。その一方で、がん患者の呼吸困難に対する非薬物療法のエビデンスは限定的であり、非がん患者のエビデンスを外挿している支援も少なくない。そこで、本セッションでは、非薬物療法による支援の中心的役割を担う、看護師、心理士、理学療法士の先生方にご登壇いただき、それぞれの立場から、現状のエビデンスと、今後、エビデンスの蓄積が期待できる支援について紹介していただく。
  • シンポジウム18:がんサバイバーの慢性痛の評価と対応
    ~がんサバイバーの疼痛治療のステイトメント発行に向けて~

    •  がんサバイバーとは「がんの診断を受け,様々な問題を抱えてながら,その後を生きていく人々」などと説明されている。その問題の一つに痛みがある。近年のがんの早期診断,がん治療の進歩などにより,がんの生命予後は改善し,がんサバイバーの長引く痛みは慢性疼痛と捉え,対応することが望まれている。これまでに,米国臨床腫瘍学会による「成人がんサバイバーの慢性疼痛の臨床実践ガイドライン」の発表,国際疾病分類ICD-11における「慢性がん関連痛」という用語が使用などの動きがある。これらの背景のもと,日本ペインクリニック学会は「がんサバイバーの慢性疼痛診療ワーキンググループ」を組織し,「がんサバイバーの疼痛治療のステイトメント」の発行(2022年予定)に向けて活動を開始している。本シンポジウムでは,その活動の一環として,多職種で「がんサバイバーの慢性痛の評価と対応」について語り合う予定である。
  • シンポジウム19:CKD患者の緩和ケアに関する意思決定

    •  我が国における慢性透析患者は、34万人へと増加し、かつ、高齢化が進んでいる。さらに、約10%の患者が何らかの理由により入院中であることが報告されている。このような背景を受け、2020年、日本透析医学会は2014年に公表した「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」に大幅な改定を行った。その中では、共同意思決定、アドバンス・ケア・プランニングの重要性に触れるとともに、患者・家族からの依頼により透析を開始しない、または、透析を終了する「保存的腎臓療法(Chronic Kidney Management; CKM)」の選択肢についても言及した。CKMを選択した場合は、適切な緩和ケアを提供すると記載されているが、その実際については言及されておらず、この分野における過去の知見も少ない。また、我が国の医療現場では、緩和ケアのスタッフは、CKD診療の経験が少なく、CKD診療スタッフは緩和ケアの経験が少ないという現状がある。 そこで、本シンポジウムでは、臨床の第一線で活躍中の3名の演者から、両者にとって理解しやすい、明日からすぐに使えるCKDの緩和ケアについて、特に、その意思決定支援等につき、お話をいただく。
  • シンポジウム20:多職種で行うしびれのマネジメント2021

    •  化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy: CIPN)は薬剤による症状緩和が困難なため、症状及びそれに伴って生じる影響を緩和するための多職種ケアが重要となります。そのため本シンポジウムでは、作業療法士の立場から華井先生、心療内科医の立場から山田先生、看護師の立場から細川先生にご登壇いただきます。
       最新のエビデンスを紹介していただき、ご自身の研究活動や臨床における経験を踏まえ、各々の職種の立場から日常の臨床実践の中でどのような対処や工夫が可能か、多職種間でどのような連携が必要かについてお話いただきます。
       ご来場の皆様とともに、持続するCIPNで悩む患者とご家族を多職種でどう支えるのか議論し、今後の臨床に活かせるようなヒントや研究への示唆について検討していきたいと考えています。皆様のご参加をお待ちしております。
  • シンポジウム21:どう考える?説明のつかない身体症状

    •  がん患者さんの症状緩和において、まず重要なことは症状の原因について同定することです。ただ、実際には原因がはっきりしないこともあり、そういったケースでの症状緩和では通常用いられる薬物療法やケアが奏功せず、難渋する経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか? 本シンポジウムでは、見落としやすい器質性疾患があるケースや機能性疾患があるケース、心因性の症状であるケースなどの「説明のつかない症状」について、3人の先生から総合診療、精神科、心療内科の視点からどのように考え、どのように対応するかをご発表頂き、総合討論も含めて議論をしていきます。 多くの皆様のご参加をお待ちしております。
  • シンポジウム22:難しい症例の背景にあるかもしれない発達障害

    •  がん臨床では、患者さんとの関わり方にしばしば難渋することがあります。例えば、「急な予定変更でパニックになる」「ケアや手技に対するこだわりが強い」「薬の副作用を過剰に訴える」など、それらの言動は、ともすれば自己中心的のように感じてしまうかもしれません。ただし、あらためて発達障害の文脈でエピソード全体を眺めてみると、正しい理解や評価、そして適切な対応が見えてくることがあります。したがって、がん患者さんの治療やケアを担う医療者が、発達障害に関する知識を持っておくことは、きわめて有用と言えそうです。
       本シンポジウムでは、臨床の第一線で活躍中のサイコオンコロジスト、精神看護専門看護師、公認心理師が登壇し、実際に経験した症例をもとに、具体的な評価や対応について紹介します。また、多職種の視点からディスカッションを行い、実践知を共有したいと思います。
  • シンポジウム23:痛みの閾値を上げるケア
    ~その潜在的な可能性を探る~

    • 痛みを緩和する方法は薬だけではない。人間本来の喜び、人との関係性の確立などを通して痛みが緩和していることに、しばしば気づいてはいないだろうか。
      その場面は誰かとの語りや関係性であったり、聴覚や視覚、嗅覚、味覚など五感を通して快の感覚を含む個別性の高い “体験”であるかもしれない。しかし、このような体験は、普遍化や可視化によりエビデンスを構築することが難しく、今回の大会のテーマにある“アート”として取り上げることかもしれない。
      今回ご登壇の演者にはそれぞれのお立場から、痛みの閾値を上げるケア”の実践についてご紹介いただく。
      実践の中の潜在的な可能性を探り、痛みの閾値を上げるケアを科学的に探究できる入り口が見つかることを願っている。 “痛み”に焦点を当てつつ、本来人が持つ生きる喜びを感じられるようなケアを医療の中でどのように取り入れていくか、さまざまな実践の意義をディスカッションしながら考えていきたい。
  • シンポジウム24:緩和ケアにおける心理療法の実践-3つの主要な学派から考える

    •  心理療法とは、一定の理論に基づいて人が人に関わることによって、症状を緩和したり、持続する苦痛と共に生きることを支えたり、あるいは今よりもより豊かな状態へと変容をもたらす営みです。その心理療法には多様な学派があります。そして、それぞれは異なる歴史や概念を持ち、異なる働きかけを行います。それと同時に、患者もまた置かれる状況や抱える問題は多様であり、目標や好みも一人一人異なります。
       私たちは患者の心のケアのために、数多ある心理療法の何を選び、緩和ケアの現場にどのようにフィットさせ、活用すればよいのでしょうか。
       本シンポジウムでは、3つの主要な学派(来談者中心療法の立場、認知行動療法の立場、力動的心理療法の立場)をオリエンテーションに持つ心理療法家にご登壇いただき、緩和ケアにおける心理療法の実践についてお話し頂きます。
       演者・参加者の皆さんと、患者の心のケアに私たちができることを考え、互いに学び合うシンポジウムになれば幸いです。
  • シンポジウム25:血液疾患の最新の治療薬と緩和ケア

    • 造血器腫瘍では終末期まで化学療法が行われることが多く、ホスピス・緩和ケア病棟に入院することは少ないと考えられる。また、輸血療法を継続するために入院治療が継続されることも少なくない。そのため治療病院において緩和ケアチームが血液内科医と協働して専門的緩和ケアを提供する必要が出てくる。造血機腫瘍に対しても、新たな治療薬が適応追加され治療方法も増加している。緩和医療に関心のある血液内科の医療従事者、血液疾患の治療・緩和ケアに関心のある緩和医療従事者が学会・研究会等で集まる機会は少ない。今回のシンポジウムでは造血器腫瘍の緩和ケアについて、3名のシンポジストからの発表を予定している。血液内科医としての豊富な経験を有する緩和ケア医、緩和ケアのマインドを持った血液内科医のそれぞれの立場から発表いただき、今後の造血器腫瘍における緩和ケアについてディスカッションを行いたい。
  • シンポジウム26:緩和医療に関する日米の教育の比較

    • 本シンポジウムでは、緩和医療教育の日米での違いに焦点を当てます。 米国で緩和ケア・老年医学の臨床フェローシップを修了された百武先生に米国での実際をお話しいただきます。現在は帰国されており今後日本の緩和医療教育にどのように生かしていけるかを一緒に考えていければと思います。小杉先生は研修指導者講習会でも皆様に共有している日本での緩和医療専門医育成カリキュラムやプログラムについてお話し、自施設での取り組みもお話しいただきます。竹之内先生には看護師についての卒後緩和ケア教育について日米の現状比較と今後についてお話しいただきます。本シンポジウムを通じて、米国での緩和医療教育を参考に、日本での(特に卒後の)緩和医療教育をどのようにしていくと良いかを皆様と共有できればと思っています。
  • シンポジウム27:終末期ケア エビデンス UpToDate

    •  終末期とは、治療により病気の回復が期待できないと判断され、患者・家族・医療者が死を予測し対応を考える時期とされています。疾患ごとに経過も異なるため、終末期を期間で決めることは容易ではなく、適当でもありません。また、昨今は「診断されたときからの緩和ケア」に注目されることが多いのですが、緩和ケアを語る上で終末期ケアを欠かすことはできません。
       このシンポジウムでは、2名の医師・1名の看護師に、この1年に発表された終末期ケアに関するエビデンスを網羅的に解説していただきます。多職種の皆様に知っていただきたい新しいエビデンスを、それぞれの分野から熱く語っていただいた後、日々の臨床現場にどのように活用できるかを皆様と一緒に議論いたします。
       終末期ケアに携わるすべての職種の皆様のご参加をお待ちしています。
  • シンポジウム28:早期からの緩和ケア:日本発のエビデンス、次に何をするべきか

    • 近年の研究成果によると、早期からの緩和ケアは特に進行がん患者の療養に対して、様々な面で有用であることが明らかになってきている。ただし、多くは海外発のエビデンスのため日本の医療環境にも外挿可能かは十分検討されていない。また、海外においても、早期からの緩和ケアを多施設において実装することの困難が報告されている(J Palliat Med. 2020 Jul;23(7):922-929)。本シンポジウムでは、早期からの緩和ケアに関するこれまでのエビデンスを整理した上で、国内で実施された「早期からの緩和ケア」介入研究の成果、およびその研究を実施する上でうまく行った点・難しかった点について共有し、参加者と共にわが国全体の取り組みとして次にどのようなことが望まれるか議論する機会としたい。
  • シンポジウム29:認知症のエンドオブライフケア

    •  わが国において認知症を有する65歳以上の方の割合は16.7%。つまり、65歳以上の6人に1人は認知症を有し、その数、約602万人、2025年には700万人を超える予想だ。
      認知症ケアにおいても、ご本人の意向をど真ん中に医療やケアを組み立てていくことは基本であるが、ご本人が言葉で自身の意向を伝えることが難しい段階を迎えると、穏やかな表情で過ごすことを目標に医療やケアが組み立てられるようになる。しかし、さらに進行が進むと、表情を読み取ることも難しいこともある。認知症を有する方へのエンドオブライフケアにおいて、どのようにご本人の尊厳を守り、その方にとっての最善を模索していけばいいのだろうか?
       本セッションでは、まず認知症の方へのエンドオブライフケアに係る課題や研究知見、そして国の取り組みを概説いただき、その後、3名の老人看護専門看護師の皆さんに、急性期病院、慢性期病院・高齢者施設における現場の最前線での取り組みや課題、展望をお話しいただく。
  • シンポジウム30:緩和ケアでの臨床心理士の独自性と発展
    「現状を評価し、前に進む」

    •  本シンポジウムの目的は、緩和ケアの現場で働く臨床心理士の実際、困りごとを明らかにし、臨床心理士および他職種の話し合いを通じて今後の展望を考えることです。
       まず、先行研究の紹介や、サイコオンコロジー学会よりどのような教育が行なわれているかを紹介します。
       続いて、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟とセッティングを分けて、臨床心理士およびその他の職種より、困り事や問題点を挙げてもらい、話し合いを行います。精神科、心療内科といった一般的な臨床心理士の働き場に比べて、どのような特徴があるのか、求められる内容や難しさなどについて討論をします。これらを通じて、現状を明らかにするとともに、将来に向けた発展の方向まで考えられると良いと思います。
       また場に参加される皆様からもご意見を頂き、更に発展的な意見交換が行えることを期待しています。宜しくお願い致します。
  • シンポジウム31:緩和医療における感染症治療の位置づけ

    •  本シンポジウムでは、特に終末期患者に対する緩和医療における感染症治療の位置付けについて、一般病棟、ホスピス・緩和ケア病棟、在宅医療、医療倫理の各々の立場からディスカッションを行う。
       「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、人生の最終段階における医療・ケアの在り方として、「医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて 医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、 人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。」としている。
       終末期患者に対する緩和ケアの文脈において、この原則を感染症治療にどうあてはめることができるのか、あるいは、できないのか、専門性の垣根を越えて熱く議論をしたい。
  • シンポジウム32:小児の症状緩和Up to date

    •  小児の緩和ケアでは成人に比べて経験の蓄積が困難で、エビデンスも未だ十分とは言えない。このため成人領域の知見も参照しながら症状緩和に取り組むことも多いが、成人と共通する部分と小児特有の部分とがある。緩和ケア提供者には小児特有の課題を意識しつつ関わることが求められる。
      症状緩和のスタートは子ども自身がどのような苦痛を感じているかを捉えることにある。しかし成長発達段階にある上に、ときには発達年齢が実年齢と合致しないこともあり、子どもの症状をどのように評価するかに戸惑うことも多い。今回のシンポジウムでは子どもの症状の評価方法に始まり、痛みや呼吸困難、精神症状といった代表的な苦痛症状への対応について最新の知見も交えて学ぶ。本シンポジウムが、明日からの臨床に役立つものとなり、必要とする子どもたちに適切に緩和ケアを届けることにつながれば幸いである。
  • シンポジウム33:経皮吸収型製剤疼痛治療剤の新たなる展開

    • 2021年、ジクロフェナクナトリウムを有効成分とし、がん性疼痛に適応のある持続性がん疼痛治療剤ジクトル®テープが発売された。加えて、フェントス®テープは小児の中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおいて適応が追加された。このように、がん疼痛治療における経皮吸収型製剤疼痛治療剤の使用は新しいステップに移行しつつあり、がん患者の治療・療養において、治療環境を選ばず、苦痛なく、そして負担なく過ごすために欠かせない剤型である。本シンポジウムでは、古くて新しいこれらの製剤について、あらためて臨床的な薬物動態・薬理作用の理解を深め、成人・小児、入院・在宅など様々な臨床における経皮吸収型製剤疼痛製剤を用いたがん疼痛治療について、医師、看護師、薬剤師の専門家と議論し、明日からの臨床に活きるシンポジウムとしたい。
  • シンポジウム34:皮膚脆弱・自壊創に対するケアの現状を評価し前に進む

    • 終末期には病勢の進行、低栄養、体動困難などによって身体要因が変化し、加えて更衣や保清が困難になって皮膚が脆弱になりやすい。その結果患者は皮膚乾燥、褥瘡のような皮膚の様々なトラブルを経験し、QOLが低下する。このシンポジウムでは皮膚トラブルの中でも、自壊創のケアについて重点的に議論する。自壊創は浸出液、出血、臭気、痛みなど特有の症状を伴い、ドレッシング交換も身体的、精神的な負担になる。そして何よりも自壊創は自分の体が壊れていくことが可視化されるため、明確に死を想起させるつらい症状の1つである。このような症状は単純な薬剤の投与のみで緩和できるものではなく、身体的にも精神的にもケアの力が大きい領域である。多職種の現在の取り組みをこのシンポジウムで共有し、皆で「前に進む」ためには何ができるのかを考える機会としたい。
  • シンポジウム35:Research physicianを目指す
    ~臨床と並行して研究を遂行する~

    • 緩和ケア領域では、基礎研究ではなく臨床研究が主体であることから、市中病院でも、主体的に研究を進めることも可能です。緩和ケアの臨床能力が一定のレベルに達したあと、さらなる向上にはリサーチマインドが不可欠と考えます。特に、緩和医療は内科と外科の境目がなく、generalistである側面もあり、様々な視点から、クリニカル・クエスチョンを作り、リサーチ・クエスチョンにつなげる機会が多いと考えられます。他分野においては、大学院に入学し、研究のノウハウを学ぶ機会も多く得られやすいですが、緩和ケア領域では、大学院を開設しているところも少ないのが現状です。同様に、大学・研究病院所属である医師も少ないことから、研究サポート体制が各地域において十分に整備されている状況ではありません。本企画は、若手研究者、研究の初学者が臨床と並行して研究を行っていくコツやこれから研究を行いたい人へのアドバイスを行うことが目的です。
  • シンポジウム36:精神・心理系ガイドラインからみるエビデンスUp to Date

    •  がん患者において抑うつ・不安、せん妄といった精神心理的苦痛は頻度が高く、患者や家族に負担をもたらすのみならず、様々な深刻な悪影響をもたらす。しかし、医療者にとって精神心理的苦痛を評価し、適切な支援を行うことは困難を伴うことも多い。
       そこで日本サイコオンコロジー学会では、がん診療に携わる全ての医療者を使用対象者とした、がん患者の精神心理的苦痛に関するガイドライン策定に取り組んでいる。策定に当たっては、Mindsガイドライン策定マニュアルに基づき、系統的レビュー、外部評価など、妥当性・透明性を担保した手法を用いている。本年はせん妄、コミュニケーション、遺族ケアという3テーマのガイドラインを出版予定であり、また現在、気持ちのつらさについても策定中である。
       本シンポジウムでは、ガイドライン策定過程で実施された系統的レビューの結果を踏まえながら、各ガイドラインの概要について紹介する。
  • シンポジウム37:緩和的リハビリテーションの現状を評価し、前に進む

    • 緩和ケア病棟や在宅における緩和的リハビリテーションのニーズは、近年増加してきている。従来の緩和的リハビリテーションというとリラクセーションやマッサージといった症状緩和のイメージが強かったが、近年ではそれらに加えて運動療法やADL支援などのより積極的なアプローチも重要視されている。また、緩和的リハビリテーションを必要としている患者および家族は多様な社会的背景を有しており、それぞれのニーズに応えていく必要がある。このような状況の中で、緩和的リハビリテーションがどこまで対応できているのかを評価し、今後の課題として何があるのかを、さまざまな立場のリハビリ専門職と最新の知見や実際の臨床経験を交えて熱くディスカッションしたい。
  • シンポジウム38:緩和ケア病棟・在宅緩和ケアはコロナ禍にどのように対峙したか

    • 勤務先の急性期病院では、コロナ禍の為に入院患者の面会制限が厳しく、患者・家族に大きな苦痛・苦悩を与えています。また、退院時の療養調整に際しても、患者・家族は比較的自由に面会ができるホスピス・緩和ケア病棟や在宅療養を選択されることが増えています。当シンポジウムでは、コロナ禍における、ホスピス・緩和ケア病棟と在宅緩和ケアの臨床現場の実情と取り組み・問題点などを学ぶことが出来ればと考えています。(柏木)
      コロナ禍では担癌患者さんが療養の場として在宅を選ばれることが増えました。その理由の一つが “面会制限”であったように思います。確かに在宅では、患者to患者、訪問者to周囲の患者の感染リスクは低くなります。一方で医療従事者を介した感染リスクは病院と在宅では同じです。我々は、緩和ケアとコロナ感染拡大抑制という2つのミッションに直面しました。当シンポジウムでは病院サイド、在宅サイドの苦労・苦悩をシェアしたく考えております。(大森)
  • シンポジウム39:看護ケアの最新エビデンス UP TO DATE

    • 学術大会恒例となっている当シンポジウムでは、この1年間に公表された緩和ケア領域の研究報告から看護ケアに活かせる最新エビデンスをピックアップして紹介します。「身体症状」に関するエビデンスは角甲純先生にご紹介いただきます。角甲先生はご自身では呼吸困難に関する研究に精力的に取り組まれ、呼吸器 症状ガイドライン改訂WPG員でもあります。「精神症状・心理的問題」に関する エビデンスは清水陽一先生にご紹介いただきます。清水先生は前回大会に引き続いての登壇となり、ご自身ではレジリエンスや社会的苦痛に関する研究に取り組まれています。「調査研究等」に関するエビデンスは川島有沙先生にご紹介いた だきます。川島先生はニューズレターのJournal Watch記事を毎号寄稿され、その幅広い論文レビューから選りすぐりのエビデンスをピックアップしていただきます。是非、最先端のエビデンスを臨床に持ち帰ってください。
  • シンポジウム40:各職種でみた緩和医療教育の現在の活動と未来

    • 緩和医療教育における教育プログラムの充実と学術団体や医療機関での普及はこの10年余りで飛躍的に推進している。平成19年にがん対策推進基本計画が制定され、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針が示された。米国ではオンコロジストに対する緩和ケアの教育プログラム(EPEC-O)などのカリキュラムが存在し、日本でも独自の教育プログラムとしてPEACEが開発され多くの医師が受講されている。また看護師、薬剤師、リハビリテーション専門職、がん相談員などそれぞれの分野で教育プログラムが開発され、多職種連携が推進されている緩和医療の分野においてIPE の取り組みが,この間急激に進んできた。
      今回、これまでの各職種での緩和医療教育の変遷やキャリアパスの違いなどについて振り返り、これらの現状と今後の展開・方向性について、医師、薬剤師、看護師の視点でお話しいただき、ディスカッションをすすめたい。
  • シンポジウム41:論文結果から生かされた臨床実践例
    ~わたしは論文を読んでこう実践しました~

    • 緩和ケアはランダム化比較試験などのエビデンスレベルの高い研究が少ない分野です。また、ランダム化比較試験や診療ガイドラインの内容をそのまま当てはめられる患者さんも実臨床では多くなく、エビデンスと個々の事例の状況を見比べながら日々の診療を行っているのが実際のところではないでしょうか。
      本シンポジウムでは、新進気鋭の3名の先生から緩和ケアの論文をどのように解釈し実臨床で生かしているか、それがうまくいったかどうかなど、現場の経験を踏まえてざっくばらんに語っていただこうと思います。
      単純なエビデンスの整理や講義的な内容に留まらない学びの機会となり、今後取り組んでいくべき研究課題の発見にもつながる内容になると思いますので奮ってご参加ください。
  • シンポジウム42:緩和ケア病棟の意義を問い直す

    • 近代的ホスピスの歴史は、イギリスのDr. Cicely Saunders(1918-2005)が、がん末期患者が激しい痛みに苛まれることなく、最期の時まで人間らしく穏やかに過ごせる場を提供したいと、1967年にロンドン近郊にSt.Christopher Hospiceを開設した時に始まったとされています。現在緩和ケア病棟(ホスピス)では、緩和ケア病棟入院料の差別化や、新型コロナウィルスのpandemicによる面会禁止や看取りに立ち会えないなどの問題が起きています。さて本シンポジウムでは受け手側であるホスピス医2名の先生方と、送り手側であるがん専門病院のMSWの先生にご講演いただきます。そしてテーマである『緩和ケア病棟(ホスピス)の存在意義』とは一体何なのか?そしてその存在意義を評価し見直してまいりたいと思います。
  • シンポジウム43:がん患者のせん妄対応全体について「現状を評価し、前に進む」

    • せん妄は日々の診療で頻繁に遭遇し、患者や家族、医療従事者それぞれに大きな負担となる病態です。患者や医療現場への影響が大きいため、予防介入が保険診療上評価されるようになりました。せん妄に対しては一定の診療指針も示されていますが、指針の根拠となるエビデンスは十分とは言えず、まだまだ新しい知見が出てくる領域です。
      緩和医療に携わるすべての医療従事者にとって、せん妄に関するエビデンスをアップデートし、実際の臨床現場で応用できるようにすることは非常に重要です。本セッションでは、せん妄の評価、予防、治療(薬物、非薬物)に関してわかっていること、わかっていないことを整理し、多職種がどのように包括的に関わるかについて検討します。
  • 委員会企画

    委員会企画1:呼吸器症状緩和ガイドライン改定の全容 ~公開討論:パブコメください!!~
    (ガイドライン統括委員会)
    委員会企画2:Why don't we talk about death with terminally-ill patients and how can we support them in Asia? Perspectives from Japan, Korea, and Taiwan?
    (国際交流委員会企画)
    委員会企画3:緩和的放射線治療をがん患者に届ける~現在の課題と打開策について~
    (合同シンポジウム(JSPM・JASTRO))
    委員会企画4:各ガイドライン作成WPGが今取り組んでいること
    (ガイドライン統括委員会)
    委員会企画5:医療用麻薬の変遷と適正な使用~
    (安全・感染委員会)

    PAL

    PAL_1:緩和ケアの普及啓発は何をもたらすのか?~本会シンポジウム16との連動企画~
    PAL_2:なぜがん患者の痛みが取り除けないのか?
    PAL_3:PAL退院前模擬カンファレンス

    交流集会

    交流集会1:ACPを病院や地域で広めるためのコツってありますか?
    交流集会2:日本におけるComfort measures only(CMO)について
    交流集会3:これからの患者力の話をしよう!!
    交流集会4:COVID-19感染拡大禍におけるがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システム構築への挑戦
    交流集会5:緩和ケアの専門家は、「時間外診療の質」をどのように担保すべきか?;持続可能な診療体制とケアの質の両立に向けて
    交流集会6:緩和ケアにおける患者報告型アウトカム(PRO:Patient Reported Outcome)の活用を考える~IPOS導入の工夫と課題~
    交流集会7:急性期病院での癌治療中の急性増悪時における医師、看護師それぞれの苦しみの現れについて
    交流集会8:緩和ケアの大谷翔平!?病院と在宅医療の両方で「二刀流」している人したい人はキャンプイン!
    交流集会9:俳句を作ってみませんか 「病と暮らしを詠む」
    交流集会10:緩和ケア領域におけるDX:人工知能活用の現状と今後
    交流集会11:がん患者・家族に緩和ケアを届けるイノベーションについて語りましょう!
    交流集会12:急性白血病患者における緩和ケアのあり方
    交流集会13:在宅緩和ケアの困りごとを語る会
    ~最期まで自分らしく生きるを支えることとは~
    交流集会14:これからの緩和ケア病棟に求められるものは何か
    交流集会15:終末期の家族支援 ~親を亡くす子どもに対して私たちは何ができるのだろう
    交流集会16:ICTを用いて緩和ケアを普及啓発するには?
    交流集会17:Meet the expert ~キャリア・カフェ~
    交流集会18:日本において、アドバンスケアプランニング(ACP)は、患者の利益になっているのか
    交流集会19:大学医学部の緩和ケア卒前教育を考える
    交流集会20:市民の「聴く力」と「食べる支援」で地域の看取りが変わる!
    〈暮らしの中の看取り〉準備講座で学んだ市民が実践できたこと
    交流集会21:がん悪液質で苦しむ患者と家族への多職種でのチームアプローチとホリスティックマルチモーダルケア
    交流集会22:こどもたちに緩和ケアを届けるために
    ~集い、ざっくばらんに話し合いませんか?~
    交流集会23:多職種による在宅チームで活用する現状確認ツールIMADOKO
    ~がんの看取りプロセスで誰もがこれからのことを話し合えるために~
    交流集会24:理想の救急・集中治療領域の緩和ケアとは?
    交流集会25:各地域の高齢化状況、緩和ケア・終末期ケアリソースを鑑みた、緩和ケア均てん化のシステム構築
    交流集会26:マインドフルネスとコンパッションを緩和ケアにどう活かすか?
    交流集会27:看護小規模多機能型居宅介護や療養通所介護/重症児児童発達支援の共生型サービスを活用した「在宅緩和ケア」の実践
    交流集会28:教育現場における「がん緩和医療」浸透の試み
    交流集会29:緩和ケア病棟でRCTを行うべきか

    ランチョンセミナー

    ランチョンセミナーの詳細についてはこちらからご確認ください。

    最優秀演題

    最優秀演題1-1 : がん疼痛に対するオピオイド選択のための多型バイオマーカーの探索
    最優秀演題1-2 : Point of care ultrasonographyで診断した便排出障害に対して経肛門的処置と経口治療の有効性を比較した前向き観察研究
    最優秀演題1-3 : がん患者のせん妄発症とサルコペニアとの関連性に関する検討
    最優秀演題1-4 : 救急・集中治療領域における医師の緩和ケアに対する認識と障壁:ICUおよび救命救急センターに対する自記式質問紙調査の自由記述データの内容分析
    最優秀演題1-5 : 焦燥を伴う終末期せん妄においてハロペリドールとクロルプロマジンの静脈注射はどちらが焦燥やコミュニケーションの改善に有効か?(PHASE-R)
    最優秀演題1-6 : 座学・ビデオ・ロールプレイを用いた看取りの学生教育に対する困難感の改善効果の検討
    最優秀演題2-1 : 介護支援を要したがん患者の医療や療養生活に関する全国アンケート調査―疼痛緩和の質を中心に
    最優秀演題2-2 : がん患者の呼吸困難に関連する因子の相互作用および因果関係に関する横断研究:JORTC-PAL19
    最優秀演題2-3 : がん体験者が「病いの体験」を書く・語ることの意味の分析
    最優秀演題2-4 : 透析中止及び緩和ケアについての透析患者に対する意識調査
    最優秀演題2-5 : 持続的鎮静によって患者がコミュニケーションできる機会は失われるか
    最優秀演題2-6 : 非がん疾患における緩和ケアの質指標:システマティックレビュー