会長ごあいさつ

　第54回日本鼻科学会総会・学術講演会を広島で開催させていただきますことを、大変光栄に存じております。
　本学会のテーマは“鼻的感覚を磨く”といたしました。近年は“one airway, one disease”の概念が浸透し、上下気道の病態の解釈や治療に大きな進歩をもたらしました。今回のテーマは御承知のように語呂合わせであります。もっぱら専門とする耳鼻咽喉科医としては、鼻を中心とする上気道の解剖や機能の特徴を再認識する必要もあるのではないかと思います。
　特別講演は広島大学大学院生物圏科学研究科の長沼　毅先生にお願いしています。先生は世界中を探索され生物の不思議を研究されており、「和製インディー・ジョーンズ」と呼ばれている方です。また、海外からはオーストラリアからRaymond Sacks, Richard J Harvey両教授をお招きし、鼻科手術、頭蓋底外科について御講演をいただく予定です。シンポジウム等で討論していただくテーマとしては「副鼻腔炎の難治化因子」、「アレルギー性鼻炎の新たな治療戦略」、「鼻科学の臨床研究の勧め」、「鼻科領域の検査と処置の再評価」等を取り上げました。多くは主催者の独断で選んだテーマですが、参加される皆様にも興味をもってお聞きいただけるものと思います。
　広島は、山、谷、盆地、平野、川、海が織りなす地形が日本の原風景ともいうべき景観を作っています。瀬戸内海の島々と中国山地の豊かな自然に恵まれ、世界遺産となった原爆ドーム（広島市）や国宝平家納経で知られる厳島神社（廿日市市）があります。もう少し足を延ばしていただきますと、旧海軍兵学校跡地の海上自衛隊第1術科学校（江田島市）、戦艦大和の建造に係る資料を展示した大和ミュージアム（呉市）、NHKの朝ドラで取り上げられたニッカウヰスキー創業者の生家がある竹原市等々、興味深い場所が点在しております。是非この機会に、学会の合間をみて足を運ばれてはいかがでしょう。多くの先生方の御来広を心よりお待ち申し上げます。