第2回 優秀論文賞 受賞論文 (2020年度)

受賞論文:

第69巻2号
狩野文浩先生
「空飛ぶ鳥は何を見ているのか? 最先端センサー技術を用いた鳥の視線研究への挑戦」

第69巻2号
堀田崇先生
「魚類を対象とした比較認知科学研究の可能性」

選考理由:

狩野 文浩「空飛ぶ鳥は何を見ているのか? 最先端センサー技術を用いた鳥の視線研究への挑戦」(69巻2号、総説) ハトを用いた小型センサによる飛行中のハトの視線利用計測を紹介した総説。画期的な機器を自作し、そのデータを統計数理処理しており、今後の動物心理学、動物行動学の進む道をより良く示している。内容も俯瞰的な記載に加え、データの取得や難しい点も記載されており、非常にバランスよくまとまっている。今後、他の動物でも同じような計測がされれば、比較認知としても価値の高い研究となろう。

堀田 崇「魚類を対象とした比較認知科学研究の可能性」(69巻2号、総説) 多様な生態、行動を示す魚類を対象に、比較認知科学的視点からこれまでの研究を紹介した総説。遺伝学や神経科学、分子操作、観察などが適応可能な魚類の行動を総説としてまとめることの価値は高い。「個体認知」や 「推論」の実験的検証の方法と結果など、これまでの魚類の社会認知能力の紹介は読んでいて知的好奇心がくすぐられる。これまでの知見を取りまとめた優秀な論文と言える。

選考対象:

第67巻1、2号、第68巻1、2号、第69巻1、2号 に掲載された「研究」「総説」「資料」論文