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日曜講座や分科会で参考になる本を中心に、 推薦者のコメントや補足をできるだけそのまま残しています。
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推薦図書
学術委員会のメンバーと日本内経医学会からの推薦図書をまとめています。 日曜講座や古典学習の参考になる本を探す入口としてご利用ください。
第一部 序論 中国鍼灸史学の研究に関する若干の問題 第一篇 史料の収集と整理 第二篇 史料の鑑別 第三篇 史料の理解 第二部 経絡 第一篇 「経脈」概念の形成と経絡学説の成立 第二篇 経絡学説の変遷 第三篇 経絡専篇の研究 第三部 腧穴 第一篇 腧穴概念の形成と変遷 第二篇 古代の取穴法の変遷 第三篇 腧穴部位の変遷 第四部 刺灸法 第一篇 鍼具と鍼法 第二篇 寒熱刺法の形成と変遷 第三篇 特殊灸穴法考 第五部 治療 第一篇 古代の診脈法 第二篇 鍼灸の治療原則の形成と変遷 第三篇 腧穴証治と鍼灸方
中国中医科学院首席研究員で,鍼灸理論研究・鍼灸学術史研究・鍼灸文献研究分野の第一人者である黄龍祥氏の代表作『中国鍼灸学術史大綱』の日本語版をついに世に出すことができました。 本書は「序論」「経絡」「腧穴」「刺灸法」「治療」の5部から構成され,中国鍼灸学術の発展の歴史過程を全面的に明らかにし,鍼灸発展史上の重要な学術問題を系統的に考証しています。その内容は,学術界で長い間結論が得られていない難題や,著者が初めて提起する新たな問題で,それに対して著者は努めて全面的に史料にあたって綿密に考証を行い,当時の特定の歴史的・文化的背景に基づいて,各種学術思想の形成と変遷について可能な限り客観的に論述し,道理と根拠のある独特な見解を述べています。 本書はさらに,著者や他の研究者の成果を系統的にまとめ,史学研究の一般的規則,基本方法,研究モデル等を述べています。すなわち,本書は中国鍼灸学術史を総合的に論述した専門書であると同時に,明確な特色を持った史学方法,史学理論の概論書でもあります。 山東中医薬大学の張樹剣教授は『中国針灸思想史論』(2020年)で「『中国針灸学術史大綱』はすでに経典になっており,現在では鍼灸文献・学術史の研究は多かれ少なかれこの本の影響を受けている。……50年後に振り返ったときでも相変わらず価値があるに違いない」と述べています。 本書を精読することで,東洋医学の理論・学説,特に脈と腧穴に対する認識がこれまでよりも一段と高い地点に引き上げられることは必至です。本書を中国伝統医学の研究者,鍼灸学校の教員・学生,古典に興味を持つ鍼灸師の方にぜひともお薦めします。 私は鍼灸学校の教壇に長年立ってきましたが,学生からさまざまな質問を受けました。いくつかご紹介します。
Q.1 『新版 経絡経穴概論』(以下『経絡経穴』)には「手の太陰肺経は,中焦に起こり,下って大腸を絡い……」と書かれていますが,「流注図」には中府-雲門-天府……のツボをつないだ線しか描かれていません。どちらが正しいのですか? ☞ 教科書の「流注図」は経穴をつないだ線にすぎません。著者・黄龍祥氏はそのような図を「経穴図」と呼び,「経脈図」と区別しています。本書p.27, 41, 287, 336, 371, 376, 396, 631-634をご覧ください。
Q.2 『経絡経穴』には「足の三陰経脈は体幹部では胸腹腔内をめぐる」と書かれていますが,「流注図」を見ると,胸腹の表面を流れているように見えます。この線の真下深くに経脈が流れているのでしょうか? ☞ 頭顔面部・体幹部にある経穴の多くは初めから経脈に所属していたのではなく,近くを通る脈に徐々に帰属されていきました。経穴は「脈気の発(あらわ)るるところ」(表に現れるところ)であり,経穴の真下に所属経脈が流れているとは限りません。本書第二部 第四篇 二.経脈と経穴, p.649, 第三部 第五篇 腧穴帰経の起源と沿革の考察 をご覧ください。
Q.3 『経絡経穴』には「腎経は……腹胸部を上り本経と合流する。大腿後内側で分かれた本経は,脊柱を貫いて腎に属し膀胱を絡う……」とあります。このような流注は『十四経発揮』の滑寿の注釈文以外には見られないようですが,正しいのでしょうか? ☞ 経脈の流注は,やはり『霊枢』経脈篇を基本にするのがいいのではないでしょうか。本書 p.345-346, 375-376, 591-595, 632, 649, 716 をご覧ください。
Q.4 足の少陽胆経の「流注図」では,流注が頭部で3回折れ曲がっています。また,足の陽明胃経の「流注図」では,下巨虚から豊隆に向かい鋭角に屈曲・上行しています。このような屈曲は不自然でないでしょうか? ☞ 胆経の頭部流注については本書 p.796を,胃経の下巨虚と豊隆の上下関係については本書p.729をご覧ください。
Q.5 『新版 東洋医学概論』には「是動病は,主として経脈の機能が失調(変動)した時に現れる病証を説明し,所生病は本経の経気が異常な時に現れる病証を,その経の経穴が主治できることを指している」と書かれていますが,意味がよくわかりません。また「是れ肺を主る所に生ずる病は,……」という書き下し文が,なぜ「その経の経穴が主治できる」という意味になるのでしょうか? ☞ 李鼎著『鍼灸学釈難』(日本語版は浅野周訳,源草社),および本書第二部 翻訳者注*62,p.252-257, 397-410をご覧ください。
Q.6 国試過去問(はき30回)では「うつ傾向」を足の陽明胃経の経脈病証としています。胃の受納・腐熟と「うつ傾向」は関係があるのでしょうか? ☞ 足陽明脈がまだ胃とつながっていなかった『陰陽十一脈』で,すでに躁鬱の具体的な記述がみられます。当時,足陽明脈は心と関係が深く,胃の受納・腐熟作用とは関係がありませんでした。本書p.252, 260-261, 404, 431-435, 449, 461, 538, 573-574, 700をご覧ください。
Q.7 国試過去問(あマ指31回)では「下痢」を手の陽明大腸経の経脈病証としていますが,『霊枢』経脈篇やICD-11(国際疾病分類第11回改訂版)に収載された大腸経の経脈病証には「下痢」はありません。間違っているのでしょうか。 ☞ 本書の第二部 第二篇 八.経脈病症の変遷 ~ 十一.経絡学説と蔵象学説 をご覧ください。