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TSUSHIN2019

学会通信 令和2年1月


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  • 今年度の学会通信は、A4版カラー6枚で編集しました。

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事務局より


2005年度より理事会通信を、2016年度からは評議員の先生にもご寄稿いただき、学会通信を年1回発行しています。
各地域各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事、評議員の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、学会通信を通して東海公衆衛生学会ならびに役員の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。

<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 令和元年度 各理事・評議員からのメッセージ

東海公衆衛生学会 理事長、浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島俊之

健康寿命延伸プラン

厚生労働省から2019年6月に健康寿命延伸プランが出されました。このプランでは、2040年までに健康寿命を男女とも3年以上延伸させるという野心的な目標が掲げられました。健康寿命として健康日本21(第二次)で使われてきた「日常生活に制限のない期間」とともに、介護保険データを活用した「日常生活動作が自立している期間」についても補完的に使用する方針となり、後者は国保中央会によるKDBシステムでも算定が行われるようになります。日常生活動作が自立している期間を延ばすためには、死亡と要介護割合を改善することが必要で、喫煙対策などによるがん予防や、社会参加の促進などによる介護予防が重要です。また、日常生活に制限のない期間を延ばすためには、予防とともに、仮に機能障害があっても、積極的に活動できる社会環境を整備することも有効です。認知症施策推進大綱で強調されている共生と通じるところがあります。人々の健康寿命が延伸するように、多様な取り組みをしてゆきましょう。

東海公衆衛生学会 副理事長、豊橋市保健所 所長 犬塚君雄

豊橋市保健所の取り組み

平成30年度、豊橋市では健康に関連する二つの条例が制定されました。一つ目は「豊橋市健幸なまちづくり条例」で、市民が生涯にわたり健やかで幸せに暮らすことができる社会の形成に寄与することを目的に、市、市民、地域団体、事業者及び保健医療等関係者が相互に連携を図りつつ、市民の主体的な意思による健康づくりを推進することを基本理念とするものです。SWC(スマートウェルネスシティ)首長研究会に参加して先進事例を学びつつ、健康マイレージ事業や健康経営などへの取り組みを“健幸なまちづくり”として、市民とともに進める市の姿勢を広く示すものです。
二つ目は「豊橋市受動喫煙防止条例」です。健康増進法の改正を契機に、法に一部上乗せして、20歳未満の者、患者や妊婦が主に利用する施設や市の庁舎・施設(一部を除く)を「喫煙禁止施設」とすること、禁煙とした飲食店に標識の掲示を義務付けること、2断式たばこを紙巻たばこと同様の取り扱いとすることをその骨子としています。市の施設は令和元年7月からほぼ全ての施設で敷地内禁煙となりました。来年4月の全面施行に向けて、飲食店等への説明会を順次開催しています。法や条例の施行で一挙に受動喫煙がなくなるとは思っていませんが、受動喫煙対策の推進に寄与できるものと考えています。
いずれの条例も、多くの関係者の理解があって成立したものですが、この成立に市保健所として関われたことに誇りを持ち、これらの条例をもとに市民の健康づくりを一層推進していきたいと考えています。

至学館大学健康科学部栄養科学科 教授 今枝奈保美

感動しました。日本のNPO活動“モンゴルの障がい児療育支援”

大学で公衆栄養学を担当している今枝と申します。令和元年の夏、私はモンゴルに行って来ました。きっかけはクラウドファンディング、「障がい児センターにきれいな水とトイレを」というNPO主催のツアーでした。見渡す限り広がる大草原、馬、羊、ヤギ、ラクダの放牧と遊牧民の生活など、すっかり魅了されました。
でも実際の市民生活は、かなりの発展途上な様子でした、郊外の大草原には、遠くまで続く送電線はありません。雨が降れば、街には側溝が無いので、幹線道路も住宅街も、車のタイヤが見えない位の洪水になりました。そんな公衆衛生環境の国に、日本では普通にあるシャワートイレを贈ろうというツアーに、個人参加した次第です。
障がい児教育については、日本でも未解決な点がたくさんありますが、モンゴルでは、当事者の保護者ですら、障がい児を療育する意義を感じていないケースもあるそうです。そのNPOは10年以上前から何度もモンゴルに行って、障がい児の保護者たちに、自助グループを作り、小規模の療育支援の拠点をつくるように指導し、理学療法・言語療法を実演し、現地の人たちだけでも可能な方法で療育サークルの活動が続いているとのことでした。人的交流もパワフルで、5年前は1人の保健師さんをキーパーソンにして、モンゴルのお母さん達を日本に呼び寄せて、練馬区の乳幼児健診、母子手帳の役割、障がい児の保育・療育方法を体験する合宿をJICA基金で実現したそうです。現在、この時のお母さん達は、療育サークルを運営する主要メンバーに育っているそうです。
以上、学会通信の場をお借りして、プライマリヘルスケアの実例を紹介させていただきました。―みんなで取り組もう SDGs ―私にできる小さな公衆衛生活動でした。

浜松医科大学健康社会医学講座 特任研究員 尾関佳代子

昨年に引き続き、令和元年11月2日から6日までアメリカ公衆衛生学会に参加するためにフィラデルフィアを訪れました。今年は昨年の経験があったので少し気持ち的には落ち着いていました。
昨今、日本で地震や台風による被害が相次いでいますが、今年は11月5日にPharmacy のセクションで「Role of pharmacies during large-scale power outages(大規模停電時における薬局の役割)」という昨年浜松で起こった大規模停電をテーマとしたポスター発表を行いました。ロスアンゼルス在住の研究者が私のポスターを訪れてくださり、カリフォルニアでも山火事等の自然災害は重大な問題で今後、災害はアメリカ公衆衛生学会のテーマとして最重要課題の1つであろうと話していました。
大規模災害時、被災者への薬の供給において薬局の担う役割は大きく、研究者でもあり薬剤師でもある私は、防災対策研究に今後も引き続き真摯に取り組んでいきたいと思っています。

名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学 教授 上島通浩

曝露マージンの大きさとリスクの受容

化学物質のリスク評価においては、「曝露マージンMargin of Exposure, MOE」という言葉がしばしばでてきます。これは、動物実験等から求めた最大無毒性量と実際の摂取量との差の大きさを表す用語で、リスク管理の優先度を決める際等に言及されます。食品衛生におけるMOEを考えてみました。
農薬や動物用医薬品等の残留量が人の健康を損なうおそれがないとされる一定量を超える食品は、販売、輸入等ができないと食品衛生法により規定され、国民の摂取実態は、国が毎年行うトータルダイエットスタディによって把握されています。この調査で検出された農薬等の平均一日摂取量は、動物実験結果に100以上の安全係数(不確実係数)がかかっている一日摂取許容量(ADI)の最大数%程度です。一方、アサリ等の貝毒では、可食部1グラムに含まれる毒量が規制されていますが、麻痺性貝毒の場合、マウスが15分で死亡する「マウスユニット」という単位が用いられてきました。すなわち、貝毒のMOEは、農薬等のMOEに比べ相当に小さいのです。しかし、私たちは、このリスクを受容して生活しています。リスクの認知と受容は、たいへん奥深い公衆衛生課題であると感じます。

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センターフレイル研究部 部長 小嶋雅代

令和初めての新年を迎え謹んでお慶び申し上げます。
将来人口推計は確実な未来と言われ、出生数が減少する中、高齢者人口は今後2042年まで増加を続けます。この人口構造の変化にどう対応していくか、長い人生をいかに自分らしく生きるか、誰もが「自分の問題」として考え、地域単位で社会を変えていく必要があります。東海公衆衛生学会は衛生行政、地域の保健・福祉の現場で活躍する専門職の方々と研究者が集い語る貴重な場です。今こそ”Think globally, act locally!”さらなる学会の発展を期待します。
私事で恐縮ですが、本年(2019年)7月より大府市の国立長寿医療研究センター・フレイル研究部長を拝命いたしました。名古屋市立大学在職中は、特に2004年から2009年まで徳留教授の下、東海公衆衛生学会の事務局長を務めさせていただき、会員のみなさまに大変お世話になりました。どうぞ今後ともよろしくご指導・ご支援のほど、お願い申し上げます。

愛知県清須保健所 所長 子安春樹

地産外商

第76回全国保健所長会総会並びに第78回日本公衆衛生学会総会出席のため、令和元年10月21日から23日まで高知県高知市へ出張しました。緑色の機体のFDAに搭乗して県営名古屋空港を飛び立ちました(FDAはフジドリームエアラインの略で、アメリカ食品医薬品局の略でもあります)。琵琶湖上空や大阪湾上空までは順調なFlightでした。それ以降は、折からの台風20号から変わった熱帯低気圧に向かっていく形となり、機体が上下左右に、ガタガタ、ガタガタと揺れっぱなしで、高知龍馬空港に無事着陸したときは、本当にホッとしました。以前、同様に鹿児島へ出張した折も、台風に向かっていく空路で大変でした。この時期の飛行機旅行は台風との縁が切れません。
全国保健所長会総会では、毎年恒例の、永年保健所業務に貢献した職員への会長表彰があり、愛知県からは一宮保健所土山氏、衣浦東部保健所青木氏が表彰されました。議事では今年特に、『全国保健所長会「喫煙対策の推進に関する行動宣言2019」』が為され、その中で、全国の保健所でこの対策を推進する基本方針、数値目標、アクションプランが示されました。会員協議のテーマは「グローバルヘルスに対応する保健所機能と課題」で、日本の公衆衛生行政経験を、どのように国際保健に活用すべきかや、増加する外国人滞在者への様々な対応について、活発な議論がなされました。
22日は即位礼正殿の儀の祝日で、古来からの伝統に則った儀式の模様をホテルのテレビで視聴しました。
日本公衆衛生学会総会では、理事長報告で、学術発表が終了すると会員数が急減するとの事で、何とか通年で安定した会員数を維持したいとの事でした。また、学会史上初となる開催地県知事、尾崎高知県知事の特別講演を拝聴しました。その内容を要約すると、
高知県は四国一の面積を有しますが、その86%は森林、平地はわずか14%、県全体の人口は69万人で高知市が32万人、近年、人口減少が続いており、壮年期死亡が全国平均の1.2〜1.3倍、高知市周辺以外の中山間地域では、過疎化、少子化、教育環境の不備が大きな行政課題との事です。そういった中で、「日本一の健康長寿県構想」を打ち出し、様々な地域づくり、地域活性化を目指したい、更に「地産外商」のスローガンのもと、県内の豊かな一次産品、二次加工品を、東京事務所を発信拠点として県外で販売して外貨(同じ日本円ですが)を稼ぎ、県外からの移住者も増やしたいとの事でした。
高知県といえば、「南国土佐」、鰹のたたき、文旦などで言い表される如く、気候温暖で豊かな土地というイメージがありました。しかし空港から乗ったタクシーの運転手さん、商店街の主婦の方、そして知事さん、異口同音に、「若者の県外流失が止まらず。人口減少に歯止めがかからない」と言ってみえました。「地産地消」という言葉は地方創生や、また学校給食の場で盛んに使われます。地域で出来た物を、積極的にその地域で消費する。そうして地域の活性化を図ろうとするものです。「地産外商」という言葉は、高知県のおかれた厳しい状況を表しているのかもしれません。
他の公務もあり、23日じゅうに帰名しました。高知竜馬空港から黄色の機体のFDAに搭乗し、太平洋、伊勢湾、知多半島、三河湾を眼下にして、往路と違って、大変スムーズに県営名古屋空港に着陸し、帰宅しました。

愛知医科大学看護学部 教授 坂本真理子

本学の看護学生が実習でお世話になっている地域の一つに愛知県設楽郡設楽町があります。設楽町は中山間地にある地域で、65歳以上人口が50%を超え、極端な少子高齢化と人口減少の課題に直面している地域です。統計数字を見ると、深刻な側面がクローズアップされがちですが、訪れてみると、そのイメージはガラッと変わります。地域の活動を牽引するアクティブシニアのパワーにあふれているからです。活動を楽しみながら、次から次へとアイデアを出して効果を上げている様子からは、地域における住民主体の保健活動の限りない可能性を感じます。設楽町は私にとって、超高齢社会における公衆衛生活動はどうあるべきか、いつも気づきを促してくれる地域なのです。
2019年は相次ぐ台風被害のため、今も大変な思いをされている方がたくさんおられることと思います。2020年こそ、当たり前に思えるような日常の生活が守られる年でありますよう、祈るばかりです。

愛知県一宮保健所 所長 澁谷いづみ

新しい時代は反省と評価から

平成31年法律第14号は「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」でした。令和元年7月には、この一時金認定審査会が始まりました。また一方でハンセン病家族への補償をすることが決まり、これまでの国の公衆衛生行政を振り返り、向き合い、考えさせられる転換期となりました。
その時代時代により科学が証明するもの、人心の求めるもの、人の力の及ぶところ、それぞれに変化し限界にも直面します。今実行していることが果たして最善か、他の選択肢はなかったか。将来の影響の予測はより正確か等々、公衆衛生に従事するひとり一人に問われていると思います。
日々の業務の中で時折振り返り、記録をまとめ、情報を収集し、分析し評価する機会をつくり学会等に発表する。そこで意見交換する、さらに新たな発見がある、そのような習慣がつけばよいと思います。PDCAサイクルはどこから回してもいいと思います。県外の同業者や研究者の声が聴ける身近な研鑽の機会として、東海公衆衛生学会が活かされていくことを期待しています。(令和元年12月)

三重県伊賀保健所 所長 島田晃秀

保健所勤務に復帰して

平成28〜30年度の本庁勤務を経て、3年振りの保健所勤務となりました。本庁では、医療・介護分野の政策を担う仕事が中心でしたので、保健所での感染症対策や健康づくり、食品・生活衛生等の保健衛生分野の仕事は久しぶりで、年度当初は新鮮な気分で過ごしていました。わずか3年離れていただけとはいえ、アップデートされている事項や、すっかり中身を忘れていた事項も多く、かつての感覚を取り戻すのに、しばらく時間がかかりました。
本庁では、国の動向を把握したり、県全体のことを検討することが主でしたので、なかなか個別の地域の実情や課題にまで踏み込んだ検討ができず不完全燃焼のような気持ちでいましたが、保健所では地域の方々とともに活動ができるということで、現在は大きな充実感を感じています。本庁の勤務は慣れないことや大変なことも多々ありましたが、予算や政策、議会対応等、これまで自分に足りなかったたくさんの事項を学ぶことができ、大変有意義なものでした。今後は、その経験も活かしながら、地域の健康なまちづくりに貢献していきたいと考えています。

浜松医科大学地域医療支援学講座 特任准教授 竹内浩視

これからの地域医療に思うこと

この学会通信が理事会通信だった頃から久しぶりに投稿させていただきます。昨年4月、静岡県により設置された寄附講座に赴任しました。臨床医から行政医師、さらに現在のポジションと、第三のステージで活動しています。
昨今、公立・公的医療機関等の再編・統合が大変話題となっていますが、医療提供体制の在り方については、厚生労働省の検討会等で長年議論が重ねられてきました。
これまでに、様々な立場から多くの意見が出ていますが、基本的には、「保健、医療、介護、福祉の担い手が足りず、さらに減少する」、「担い手の働き方改革も進めないといけない」、「一方でサービスの対象者は増加する」、「そもそも財源が足りない」といった中で、これからの社会保障をどうするか、住民一人一人が主体的に考え、社会全体で結論を出し、支えていくという大きな課題を投げかけられているのではないかと思います。
私としては、静岡県の医療対策協議会(医療法上の地対協)委員や地域医療構想アドバイザーとして、知識と経験を重ねながら情報発信していきたいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

広島大学大学院医系科学研究科口腔保健疫学 教授 内藤真理子

多職種連携教育と公衆衛生

2018年に名古屋大学から広島大学に異動して、2回目のクリスマスを迎えようとしています。異動先では歯学部の社会歯学教育や歯科衛生士教育を担当しており、久しぶりの歯科臨床にもようやく慣れてまいりました。
広島大学は医歯薬保健学の医療系学部を有しており、学部生の多職種連携教育も熱心に行われています。学部混合のグループを編成し、臨床系のシナリオを基にした課題解決型のグループ学習も取り入れられています。自分の専門のみに偏らない幅広い視点を養うことは医療人として重要であり、公衆衛生分野への関心にも繋がっていくものと感じています。
2020年も「疫学」をキーワードに、引き続き教育・研究に力を尽くしていきたいと存じます。若い世代への種蒔きを積極的に行っていくことができればと考えております。ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

聖隷クリストファー大学看護学部看護学科 教授 仲村秀子

所属大学の看護基礎教育新カリキュラムの作成に関わって感じていること

私が所属する看護学部では新しいカリキュラムの作成を検討しています。令和元年10月15日に厚生労働省から「看護基礎教育検討会報告書」が出され、保健師や看護師の基礎教育内容の見直しが示されましたが、本学では4月から検討を始めました。段取りとしては、まず新昇格教授・新任教授・准教授でカリキュラムの中長期ビジョンを提案し、それを受けて全教授で構成する短期目標及び新カリキュラム骨子作成委員会が3ポリシーを検討するというものです。つまり、比較的若い年齢層の教員が日頃感じている課題や、こういう教育をしたいという希望を出し合うことからスタートさせました。新しいカリキュラム作成までにはまだ道のりはありますが、これを機に、普段は所属する領域が違うと顔を合わすことの少ない教員同士が語り合う機会にもなっています。そのこと自体がまた、学部内の新たな雰囲気作りにもつながっている気がしております。

浜松医科大学健康社会医学講座 准教授 中村美詠子

多様性と異分野融合の時代

吉野彰・旭化成名誉フェローが、リチウムイオン電池の開発に関わる研究で、ノーベル化学賞を受賞されたことは、2020年のニュースの中でも特に喜ばしいニュースのひとつでした。モバイル社会の発展に貢献し、今後の地球環境問題の解決への貢献が期待される研究テーマに加え、企業内の研究者としてご活躍されたことも印象的です。
また、個人的には、経済学賞を受賞されたデュフロ教授(女性)、バナジー教授(マサチューセッツ工科大学)、クレマー教授(ハーバード大学)の受賞テーマ「世界の貧困軽減に対する実験的アプローチ」に興味を持ちました。医学分野で用いられているランダム化比較試験(RCT)をいち早く開発経済学にとりいれ、理論と直感に基づいて結論を導き出す傾向があった開発経済学において、理論でなく、実践的な取り組みを優先して、数百万人の子どもを支援した功績が認められたとのことです*1。漫然と教科書の提供や無料給食を実施しても効果が少ないが、本当に手助けが必要な生徒に必要な支援を行うと、全体の教育水準が大きく改善する等の研究結果は1、公衆衛生活動ともつながるものです。新しい令和の時代、色々な立場から色々な専門性を交えて種々の課題に取り組むことの大切さをあらためて認識しています。(*1山形浩生. 東洋経済O LINE 2019/10/20 )

名古屋市南区保健福祉センター 所長 松原史朗

令和元年7月6日に第65回東海公衆衛生学会学術大会を名古屋市立大学医学部で開催しました。今回は「ICT(情報通信技術)と公衆衛生」という、例年とはやや毛色が異なる学際的なテーマを取り上げましたが、皆様のご協力のおかげで盛会のうちに終了することができました。心よりお礼申し上げます。
さて、名古屋市では公衆衛生医師の不足に長年悩まされてきました。そのため、若手医師の待遇を改善したり(若手だけなのが気に入りませんが)、ホームページやパンフレットに若手医師の日常を掲載して親しみやすいものにしたり、若手医師を一つのセンターに集めて孤立化を防ぐなど、さまざまな医師確保・定着対策を進めてきました。それが功を奏したのでしょうか、最近は毎年数人ずつ新しい先生が入ってくださるようになり、公衆衛生医師数の減少にもようやく歯止めがかかってきました。
しかし、これから数年、ベテランの先生方の定年退職が相次ぎます。その穴を埋めるには、すぐに所長を務めていただける40代、50代の先生が不可欠です。やる気のある若い先生はもちろんですが、ベテランと若手の間をつなぐ中間層の先生方にもぜひ名古屋市に入っていただきたいと思います。保健衛生行政に興味をお持ちの先生がありましたら、年齢にかかわりなく、ぜひ名古屋市の門をたたいてみてください。

藤田医科大学医学部公衆衛生学 教授 八谷 寛

今年度初に「学会による人材育成・研究の推進活動」に関する会員意識調査を実施したところ、調査や研究に関する多様なニーズがあることがわかりました。例えば、第一線の専門職は、便利で気楽な相談窓口がほしいという声が多かったのに対し、大学等の研究機関は、業績重視の風潮が連携の足かせになっている余裕のない現状が明らかになりました。
このように多様な立場で仕事をしている会員に、お互いを知る場、純粋な疑問を率直に話し合える場を作ることが重要であることがわかりました。例えば、学術大会時に相談コーナーを設けたり、普段からインターネットを活用して、調査や研究について気軽に聞ける場、入り口を作ることが学会の役割として期待されます。一方、大学・行政関係者とも、関係がある人、知っている人に質問や依頼が集中し、対応が困難になっている事例もある可能性が示され、会員による情報発信の推進を通じた会員相互のネットワーク強化の必要性が認識されました。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子

先日久しぶりに京都を訪れました。松尾、嵐山、南禅寺と散策したのですが、外国からの観光客の多さに圧倒されました。周りから聞こえる会話は英語ばかり、道を聞かれてもスムーズに教えられず焦ってしどろもどろに。中、高、大学とあんなに英語を勉強したのに、全く役に立っていない我が身が情けなくなりました。
今年の第65回学術大会では8名の留学生の方々にご口演いただき、東海公衆衛生学会も国際色豊かになりました。来年はオリンピックもあり、さらに多くの外国の方々が日本にやってきます。臆することなく笑顔で堂々とおもてなしができるよう、英会話を勉強せねば!と思っております。
来年の第66回学術大会ではペラペラに英語を操る渡邉が皆様をお迎えできるよう....(^◇^;) 頑張ってまいります!
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

事務局一同より

学会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
学会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事、評議員へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

Logoに使った写真の使用については東海4県の観光連盟などの許可をいただいています