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TSUSHIN2017

学会通信 平成30年1月


 平成30年1月発行号のダウンロード

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  • 今年度の学会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。

ぜひPDF版をご覧下さい。ここをクリック!

事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。
2016年度からは評議員の先生にもご寄稿いただき、学会通信として新たに生まれ変わりました。各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事、評議員の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、学会通信を通して東海公衆衛生学会ならびに役員の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 平成29年度 各理事・評議員からのメッセージ


東海公衆衛生学会 理事長、浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島俊之

多職種協働のより一層の推進に向けて

現在、日本は世界最先端の高齢化を迎え、また価値観の多様化が進んでいます。そのため、公衆衛生活動は従来からの疾病予防や寿命の延伸に加えて、地域包括ケアに象徴されるようにより良い人生のための生活への支援も必要となるなど、多職種協働がますます重要になっています。東海公衆衛生学会は、現在の会員が医師、看護職、その他が概ね1/3ずつとなっており、まさに多職種協働に適する構成になっています。そこで、理事や評議員としてより多様な職種で構成できるように、この度、選挙制度の改訂が行われました。さらに、従来から行政関係者と研究者の連携もこの学会の強みとなっています。多様な立場から学会運営にご意見をだしていただき、また積極的に学会発表や意見交換などをしていただき、多職種協働がより一層推進されればと思っています。

東海公衆衛生学会 副理事長、豊橋市保健所 所長 犬塚 君雄

PDCAを回すため

平成29年度の豊橋市保健所は、各種保健計画の見直しあるいは策定で多忙を極めています。10年間計画である「健康とよはし推進計画(第2次)」及び「豊橋市母子保健推進計画(第2次)」の中間見直しに加え、昨年施行された豊橋市歯科口腔保健推進条例に基づく「豊橋市歯科口腔保健推進計画」の策定が主なものであり、さらに国民健康保険の保健事業に関する計画の策定も進めています。これら計画の見直し・策定に当たっての現状の分析、評価では、計画の進捗状況、新たな課題が明確になるなど、保健事業におけるPDCAサイクルを回すことそのものですが、事業によっては目標達成どころか改善傾向すら見られないものもあります。PDCAサイクルのPDCまでは回せるものの、次のAとなるべき方策については手詰まり感が否めない状況です。こういった状況を打破するためにも、事例やシンポジウムが学ぶ機会となる、本学会学術大会に大いに期待するところです。各地域での様々な取組みが報告され、活発な意見交換を通じて参考にさせて頂きたいと考えています。

学校法人中西学園名古屋学芸大学管理栄養学部 教授 五十里 明


管理栄養学部と看護学部設置事務室を兼務し、準備期間を含めて約2年半の歳月が過ぎました。この間、伝統ある国立病院機構名古屋医療センター附属名古屋看護助産学校を引き継ぎ、平成30年4月の看護学部開設に向けて、今年3月末に文部科学省に申請し、教員審査と改善・要望意見への対応を経て、8月末に文部科学大臣から認可を頂きました。
近年の少子化や地域医療構想等を背景とした看護を取り巻く社会情勢の変化に対応するため、私立大学看護学部には、優秀な教員や望ましい臨地実習先等に裏付けられた充実した教育環境の確保に関する課題が山積しており、厳しい局面を迎えています。そのような中で、政策医療や国際化、緩和ケアを理解し、看護実践力を備えた看護師の養成に努めてまいります。
今後も引き続き本学会会員の皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

愛知県江南保健所 所長 子安春樹

鹿児島を初めて訪れて

平成29年度全国保健所長会総会出席のため、10月29日から31日まで、初めて鹿児島県を訪れました。台風襲来で、セントレアから飛行機が飛ぶのか不安でしたが、「福岡での緊急着陸の可能性もあり!」という条件で離陸しました。中国山地の上空を通って、九州縦断コースをとり、四国沖を東上する台風と擦れ違いの形で、かなりの揺れと、若干の遅れはありましたが、無事、鹿児島空港に着陸しました。前日の便を予約されていた人は、欠航で、急遽、東海道・山陽・九州新幹線への乗り換えで大変だったようです。台風の去った後の鹿児島は、晴天で暑い!といった感じでした。桜島は最近も噴火があったようですが、ホテルのフロントで聞いたら、「365日、噴火してますから、気にしないで下さい。」と言われました。薩摩人の逞しさ、達観でしょうか?!
全国保健所長会総会では、種々の70周年記念行事がありました。厚生労働省からの報告では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、禁煙対策を強化するための健康増進法改正案について説明がありました。昨今の政治情勢の影響等々もあり、未だ国会への上程が出来ないとのことでした。担当課長さんへ私から、「東京都が開催地として、改正案の成立を待たずに、条例で規制をされるとのことですが、自治体条例の優位性はどの程度認められますか?」と質問をしました。「健康増進法の趣旨に沿ったものであれば、自治体が独自に上乗せ規制をされるのは、全く問題ない。憲法違反にもならない。」との回答でした。多くの有名観光地を抱える管内市町にも伝達したいと考えています。
総会意見交換会では鹿児島県保健所長会のお骨折りで、多くの鹿児島県産芋焼酎のご紹介がありました。県内には芋焼酎のメーカーが80社余あるそうです。但し年間平均気温が高すぎて、良質な酒米がとれず、清酒メーカーは1社だけだそうです。山形県くらいの気候が、上質な酒米の生育に適しているそうです。鹿児島市は路面電車も180円で、桜島フェリーも170円で乗れ、気候温暖で良いところだというのが全体の印象ですが、温かいから良いことばかりではなさそうです。以前、同じく全国所長会で行った秋田県の状況を想い出しながら、南北に細長い日本列島の地域特性ついて、現地で知ることの大切さを改めて感じました。
帰路は、2日前に台風が通過した四国沖の太平洋上を、偏西風に乗って、大変スムーズにセントレアに帰着しました。2泊3日の短い出張でしたが、多くの収穫があり、自らの健康と留守番の所属職員に感謝しきりです。

名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻病態解析学講座 教授 近藤高明


私は2003年に大幸キャンパスに異動しております。ここでは5つの医療系専門職(看護、診療放射線、臨床検査、理学療法、作業療法)の国家資格取得を目指す学部学生の教育と、それぞれの専門に関連した大学院での研究指導が行われており、私の所属講座では臨床検査学関連領域での専門的教育と研究を精力的にすすめています。いわゆる「コ・メディカル(和製英語ですが)」にとっても、健康づくりや疾病予防は超高齢社会に突入するわが国にあっては重要な課題です。
臨床検査技師は病院の検査室内で検体を扱ったり生理学的検査を行う業務が主となるため閉じこもりがちな性格と思われがちですが、多くの学生は社交的で明朗です。疾病予防の評価には検査から得られる様々な生体情報が重要な指標になりますが、正確な検体分析や統計学的手法を駆使した精度管理は臨床検査技師が得意とする領域です。少数ではありますが衛生研究所や行政機関で活躍している卒業生もおり、また私の研究室ではフィールド調査に参加したりコホートデータの遺伝子解析に没頭している大学院生もおります。他職種に比べるとめだたないながらも、公衆衛生学・疫学領域でも臨床検査技師は不可欠な存在であるということを紹介させていただきました。

公益社団法人 日本看護協会保健師職能委員会 副委員長 榊原るり子

役員改選における看護職参画の期待と3つの“感”

今回の役員選挙から職能役員が設定され、私の属する看護職群も多数の会員がおられますので、ぜひ、学会運営に“関心”を持って投票して戴き、多職種による新体制に期待を寄せたいと思います。
さて、私は、平成29年3月末に愛知県を退職しましたが、引き続き関係の皆様には大変お世話になり感謝申し上げます。先日、地域でバリバリ活躍されている大先輩から、ある俳優の長寿の秘訣として言われた言葉『3つの“感”』(感(関)心、感動、感謝の気持ちを持つこと)を教えていただき、80歳を超えた先輩の迫力ある姿に感心しました。自分と家族の健康や暮らしを通して地域・社会との繋がりを見つめていきたいと思います。

愛知県一宮保健所 所長 澁谷 いづみ

保健所法制定70周年のわたくし的意味

保健所法制定70周年の2017年は、全国保健所長会にとっても70周年でした。その長さの半分を保健所等で公衆衛生に携わっていることに感慨を覚える年嵩になりました。
これまで医師として関連の医学会や研究会に入りましたが、直ぐには敷居も高く、「誰かが運営してくれている会」に帰属意識もあまり感じませんでした。しかし保健所の仲間と公衆衛生活動をしていると、手応えの感じられる良いときもそうでないときも、仲間がいるのはありがたい、もっと広げたいと思えるようになります。会の役員として運営に携わりながら、実は会に支えられている自身に気づき、特にこの東海地方に愛着のある身には東海公衆衛生学会が大学と地域行政が協力した好ましい形の学会だと思えます。ひとりでも多くの仲間が積極的に本学会に参画し10年、20年と持続されることを願います。

三重県健康福祉部長寿介護課 課長 島田 晃秀

地域包括ケアシステムの深化・推進に向けて

平成28年度から本庁の高齢者福祉、介護保険、地域包括ケア等を所管する部署の配属となり、誰もが住み慣れた地域で最後まで暮らすことのできる社会の実現を目指して、日々取り組んでいます。
今年度は医療計画と介護保険事業(支援)計画が同時改定ということで、両計画の策定に取り組んできました。本県では、当課にて医療計画の在宅医療対策も担当しているので、両計画の整合性については、特に力を入れて検討を重ねました。計画策定に当たっては、在宅医療や介護サービスに関する様々なデータから現状と課題を分析し、今後の方向性を定め、全県的な目標値を設定しました。膨大な各種データの中から、活用できるもの、実態を反映したもの等を探し出し、その数値が意味するものを読み取ること、そこから今後の推移も考慮しながら最適な数値目標を設定するといったことの検討に随分と苦労しました。地域医療構想における将来の医療需要や、今後新たに発生するであろう在宅医療の追加的需要等について、医療と介護でどのように受け皿を考え、それぞれの計画に反映させていくか、不確かな推計値をもとに試行錯誤を続けました。このような中、統計学的思考、疫学的思考の必要性を痛感した次第です。年度内には両計画とも何とか策定の見込みです。
臨床におけるEBMと同様に、公衆衛生行政の分野でも、根拠に基づいた公衆衛生政策が求められています。今後も、東海公衆衛生学会における知見や活動を参考にさせていただきながら、地域包括ケアシステムの深化・推進に向け、取り組んでいきたいと考えています。

中部学院大学看護リハビリテーション学部 教授 田中 耕


人間は一人ではいられず、人の間にあってお互いに助け合いながら生きています。社会保障でも、自助を補うために互助、共助、公助の仕組みが作られています。私も一人では生きられず、周囲に助けられていることを最近になって特に強く感じます。年の始めに周囲の皆様に感謝です。自分一人では決して成就できないことも、他の力を借りることによって、成し遂げることができます。また、多くの人がお互いの得意な部分を出し合って協力することによって大きな仕事も成就できます。その喜びはひとしおです。それはネットワーク(良い意味での人脈)や組織によって達成されます。そのためにも多くの人との結びつきが必要になります。困ったときには周囲の人に相談してみては如何でしょうか。
公衆衛生は周囲にある大衆の健康を対象にした学問と活動の分野です。大衆からの感謝の言葉はありませんが、そのような大衆の健康に携われることの喜びを感じます。

名古屋市南保健所 所長 松原 史朗


前号でご報告させて頂きましたが、名古屋市では平成30年4月に保健所を再編します。現在は各行政区に16の保健所がありますが、来年度からは市役所内に名古屋市保健所を置き、区ごとの保健所は保健センター(法上は保健所支所)に移行します。
再編まで3か月を切り、細部が固まってきました。まず保健と福祉の連携をより強化するため、保健と福祉の区組織を一元化し、総括部門の長は原則として医事職が務めることになりました。また環境薬務の業務は千種、中村、中、南区の4保健センターに集約することが決まりました。さらに支所を持つ6区につきましては、来年度中に精神障害者や難病患者さんの福祉制度利用の申請窓口を支所管内に開設する予定です。
併せて、公衆衛生医師の確保をより一層推進する方針も確認されました。名古屋市では引き続き公衆衛生医師の待遇改善や育成に努めてまいりますので、衛生行政に興味をお持ちの先生は、ぜひ名古屋市への応募をお考えください。詳しくは名古屋市公式ホームページの「名古屋市職員《医師》選考案内」(http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000012141.html)をご覧ください。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


今年度の第63回学術大会は三重県津市の三重大学で開催されました。当日初めて訪れた三重大学のキャンパスの広さに驚き、そして、果てしなく迷い(入る門を間違えました!)、焦りながら彷徨っていたところを、早朝からダンスの練習に励む優しい学生さんに助けられ、ようやく会場へ辿り着くことが出来ました。爽やかな笑顔と優しい心遣いが本当に嬉しかったです。そして、学術大会も三重大学の大会事務局の皆様のご尽力で盛大に終えることができました。
沢山の人達に支えられ、助けられて、事務局として続けてこられたこの9年、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!今後とも何卒よろしくお願いいたします。

事務局一同より

学会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
学会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事、評議員へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

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