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TSUSHIN2016

学会通信 平成29年2月

*2月9日に配信いたしました平成28年度学会通信の榊原るり子理事の役職の記載が間違っておりました。
誤)所長 → 正)次長兼総務企画課長
下記学会通信およびPDFファイルは正しい表記となっております。

 平成29年2月発行号のダウンロード

PDFファイル(ここからダウンロード)

  • 今年度の学会通信は、A4版カラー5枚で編集しました。

ぜひPDF版をご覧下さい。ここをクリック!

事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。
今年度からは評議員の先生にもご寄稿いただき、学会通信として新たに生まれ変わりました。各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事、評議員の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、学会通信を通して東海公衆衛生学会ならびに役員の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 平成28年度 各理事・評議員からのメッセージ


東海公衆衛生学会 理事長、浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島俊之

DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)が動き始めました

2016年度の大きなできごととして熊本地震がありました。災害派遣医療チーム(DMAT)や保健師・公衆衛生医師など、多くの保健医療関係者が駆けつけて貴重な支援活動を行いました。しかし、種々の関係者の調整機能について課題が指摘されています。災害時の公衆衛生支援については、東日本大震災以来、厚生労働科学研究班や、全国衛生部長会災害時保健医療活動標準化検討委員会による検討が進められてきました。その結果、2016年3月28日付け厚生労働省健康局健康課長通知「自然災害に伴う重大な健康危機発生時における健康危機管理体制について」が出され、災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team, DHEAT)の養成研修が始まりました。まずは、保健所職員が中心となりますが、大規模災害時には大勢の人材が必要となりますので、今後は市町村職員や大学関係者等にも参加していただく必要があると思います。今後の災害での活動が期待されます。

東海公衆衛生学会 副理事長、豊橋市保健所 所長 犬塚 君雄


本年の第62回東海公衆衛生学会学術大会には、学会理事長の尾島先生をはじめ、理事、評議員、会員のご協力をいただき、多くの参加者を得て無事開催できましたことに対しお礼申し上げます。特に理事の方々には、過去に例のない大会運営や、会場が駅前とはいえ豊橋市での開催となったこと、市制施行110周年記念事業の一つとさせていただいたこと等々、私の勝手な思いを許していただき、重ねて感謝申し上げます。また、「健康なまちづくり」をメインテーマに、櫃本真聿先生の特別講演と3人の演者によるシンポジウムでは、実践的な活動に重きを置いて討論が進められ、大変示唆に富む内容で参加者には概ね好評を得ることができました。大会事務局を担当した豊橋市保健所の職員も慣れないことばかりで皆様にご迷惑をおかけしましたが、達成感とともに一体感を味わえたことも良い経験になったと思っています。大会に関わった全ての方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

学校法人中西学園名古屋学芸大学管理栄養学部 教授 五十里 明


こんにちは。管理栄養士の方々の養成に従事して4年目になりました。少子化の影響もあり、近年の私立大学の経営・運営は厳しさを増しており、文部科学省からの多くの宿題に対応するため、全教職員が一丸となって忙しい毎日を送っています。
また、平成27年10月には、国立病院機構名古屋医療センター附属看護助産学校を引継ぎ、名古屋医療センターから受託される形で、平成30年4月の本学看護学部看護学科(仮称)開設を目指し、平成29年3月末の文部科学省への申請に向けて、提出書類の作成、実習施設への依頼、教員の選抜等の準備を進めています。近年の大学看護学部新設ラッシュや、地域医療構想の策定による医療機関の再編の動向から、看護師を取り巻く環境も大きく潮目が変化しており、過去から長年続いておりました看護師不足が、一時的に解消されることも予想されています。そのような中で、国立病院機構の歴史を引き継ぎ、政策医療を担う医療職の育成に、微力ながら、改めて努力してまいりますので、会員の皆様の一層のご支援をお願いいたします。

名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学 教授 上島 通浩

環境リスクに対応可能な人材をふやしたい

私は大学で環境化学物質のリスク評価に関する研究を行っています。今日の日本において、一部に存在する個人レベルの職業起因性中毒への対応を除けば、化学物質による健康課題は、集団レベルでの健康リスクへの対応が主体となっています。そして、「安全・安心」の根拠となる知見の科学的評価と社会への適用や、そのプロセスおよび結果についての国民への説明が、さまざまな場面で求められています。「環境」という言葉がキーワードのひとつになり、社会におけるこのような仕事が増えているにもかかわらず、対応していただける人材は増えていないように感じています。私としては、公衆衛生はもとより健康や疾病に関する専門家の中に、環境リスクに対応できる人材がもっと増えれば良いなと願っています。環境保健という公衆衛生領域に、いっそう積極的な目を向けていただけますと幸いです。

名古屋市立大学大学院医学研究科医学・医療教育学分野 准教授 小嶋 雅代


社会医学系専門医制度が発足し、認定申請の受付が始まりました。申請にあたり自らの「社会医学系の経歴年数」を数えてみると、丁度20年になります。ご縁あり、卒後以来、社会医学系の教育・研究に従事していますが、改めて考えてみると、確かに随分世の中変わりました。交通事故死、子どもの虫歯、喫煙率が激減し、社会の高齢化が急速に進みました。団塊の世代が後期高齢者となる2025年は8年後に迫っています。人口は今後減り続ける一方、2040年までは高齢者数は増加し、その後は減少していきます。
多くの病気が治癒可能となったものの、限られた医療資源をどう分配するべきか。国民全体が問題意識を持ち、考えていかねばらないと思います。東海公衆衛生学会が国民への情報発信の場として、益々発展されますよう祈念いたします。

愛知県新城保健所 次長兼総務企画課長 榊原るり子

熊本地震関連の記事を読んで

昨年4月に発災した熊本地震は、2度の大揺れにより被害が拡大し、愛知県内からも多数の職員が派遣され支援活動をしました。そんな中、年末の新聞に掲載された「熊本地震関連死、新たに3人認定」という記事が目に入りました。記事によると「3人は地震によるストレスでうつ病を発症し自殺したり、肺の病気を抱えて自宅で被災し細菌性肺炎で亡くなった」とありました。暫く時が経ったと思っていても、その後も長い期間を苦しんでいた人がいたという現実がリアルに迫ってきます。自分が被災県の保健師だったらと思いを馳せて、まだまだ、学ぶことは多いです。

愛知県一宮保健所 所長 澁谷 いづみ

ひとつまたひとつ学会に期待

愛知県の保健所長会は、学会などの発表を1年ごとにまとめた資料集を作成していますが、毎年12月は一年の自身の活動をふりかえる作業をすることになります。研修会の講師、学会の共同演者、関係雑誌への投稿、地元FMラジオの生出演等々。自分には新しい発見もあり勉強になりましたが、少しは人の役に立っているのでしょうか。反省です。
東海公衆衛生学会は定期的な学会総会の開催に加え、学会誌の刊行も軌道に乗り、また公衆衛生にかかわる様々な職種からも理事への選出がしやすくなる仕組みをつくろうとしています。ひとつまたひとつと組織も活動も充実発展していきますね。
さらに学会として社会にどのように貢献できるのか、会員の研鑽と成長、交流もさることながら、このことの視点も今後も意識していきたいと思います。

三重県健康福祉部長寿介護課(障がい福祉課兼務)副参事 島田 晃秀

地域包括ケアシステムの実現を目指して

平成28年度から初めての本庁勤務となりました。本庁では、地域包括ケアシステム構築に関する事項、中でも在宅医療・介護連携の推進を中心に仕事をしております。県は市町の取組を支援することが求められているわけですが、地域によってさまざまな事情がある中でどのように支援していくのがよいか、日々試行錯誤しながら仕事に取り組んでいます。配属当初は戸惑ってばかりでしたが、各市町をまわったり、市町担当者が集まる会議に出席を重ねる過程で、少しずつ地域の特性や県に求められる役割が見えてくるようになり、遣り甲斐も感じるようになってきました。議会対応や予算確保等の本庁特有の業務、膨大な資料作成など、まだまだ慣れないところもありますが、もうしばらく本庁で行政職員としてのスキルアップに励みたいと考えています。東海公衆衛生学会においても、各県の方々と情報交換、交流を深めていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

三重大学医学部 客員教授、洗心福祉会美杉クリニック 院長 田島 和雄


私は大学を45年前に卒業し、外科、麻酔、病理診断学などを研鑚し、その後、愛知県がんセンター研究所疫学部で約30年間、国内外の疫学・予防研究に従事してきました。定年退職後は三重大学のご厚意に甘えて病院長顧問、客員教授、非常勤講師として勤務しておりましが、平成28年11月から美杉町下之川地区の洗心福祉会美杉クリニックの院長として地域医療に従事しております。畢竟、美杉町のような地域で家庭医として診療活動をすることは医学部の学生時代からの夢でもありました。当初の計画はとてつもなく遅れ、古希を迎える年齢になって、やっと学生時代の夢を実現することになりました。私自身の診療信念は、病気になる前の未病状態から健康増進を図るための予防推進に努めたいこと、地域住民への期待は、体調が少しでも悪くなったらすぐに診療所を訪問して早期に適切な診療を受けていただきたいことです。特に、前者の予防に関しては、疫学研究者としての長年の経験を活かしながら、三重大学医学部の公衆衛生・産業医学講座、家庭医療学講座を始めとした関係講座と協力関係を組みながら、十年計画で未病村のモデルづくりに取り組みたいと考えております。

中部学院大学看護リハビリテーション学部 教授 田中 耕

「学問のすゝめ」から

まもなく、明治維新から150年になろうとしています。この頃に福沢諭吉は標題の本を著し、その冒頭で「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」という有名な一節を残しています。この後段に続くのが、「されども今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかな人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや」という文言です。ここが重要な部分で、世の中は平等であるとは言うものの、現実の世界はこのように学問をするかしないかによって格差が生じていることを述べています。
「学問のすゝめ」は明治初期の著書であるものの、今にも通じる部分があると考えます。各種疫学研究でも、教育歴が疾病の交絡因子として取り扱われることがよくありますが、学問によって健康格差が生じていることの裏付けともいえます。
一万円札を示しながら、学問をすることの重要性を学生に説きつつ講義をしています。また、本学会も、公衆衛生という学問の一端を担う役割が課されているものと考えます。

岐阜市立女子短期大学食物栄養学科 准教授 中村こず枝

公衆衛生の世界に入って

平成18年から岐阜県の評議員を拝命しております。自分のことで恐縮ですが、臨床から公衆衛生の世界に入った者として書かせていただきます。私は、人の役に立ちたい一心で小児科医になりました。小児科臨床は、体がしんどいのが玉に傷でしたが、とてもやりがいがありました。しかし、私も家庭を持ったことから女医定番の悩みを持つようになり、医局から保健所勤務を勧められたことがきっかけで公衆衛生分野に入りました。それからは、様々な研究や実践を経験することができています。残念ながら臨床には“敗戦処理”の面があります。公衆衛生は違います。常に将来のための活動です。栄養士になる学生に話しています。「私たち一人ひとりは小さいですが、みんなが心して食育や調理を行えば、多くの人々ひいては国を健康に導くことができます。と思うとやりがいがあるよね。」と。この世界に入れたことを今はとても感謝しています。

浜松医科大学健康社会医学講座 准教授 中村美詠子

マインドフルネス

平成27年度日本公衆衛生学会総会シンポジウム「子どもの貧困と健康」で名古屋大学大平英樹先生が話された「マインドフルネスを行うことで脳画像上“島”の体積が拡張する」という話は衝撃的でした。大平先生はマインドフルネスを「身体を媒介とした瞑想」と言われました。日本マインドフルネス学会では「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」「なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である」と定義しています。私自身、平成28年は二つのマインドフルネスセミナーに参加し、マインドフルネスに触れた一年でした。“瞑想”というと難しさを感じますが、実際は誰でも気軽に実施できるものです。ただし“継続”は鍵になるでしょう。皆様も試してみませんか?

名古屋市瑞穂保健所 所長 平田 宏之

災害時健康危機管理チーム

近年、さまざまな形の災害時の支援が行われるようになりました。医療面でも、救急医療だけでなく、精神科チーム、福祉チーム、獣医師チームなどが立ち上がっています。従来保健所の災害支援といえば、保健師活動が中心で、被災された方の健康管理が主なものでしたが、被災地の避難所の感染症対策、衛生管理、食事の栄養管理、いわゆるエコノミークラス症候群予防等多岐にわたる支援が期待されています。そこで、他の支援チームと同様に単独職種だけでなく、医師、保健師、薬剤師、食品衛生監視員、管理栄養士、事務職等混合のチームを作り現地の公衆衛生を丸ごと支援するチーム(災害時健康危機管理チーム・DHEAT)を保健所で作ることになりました。
最近は、さまざまな形の支援が行われ、現地の行政担当者は支援受け入れに追われるという現象が起きています。現地で受け入れをする人(受援者)の業務を支援・補完する役割も期待されています。こうした新たな課題にも取り組みながら研修を行っています。
本年度から研修を始めたため、実際の活動は先のこととなりますが、保健所の災害支援として、被災地の役に立つ組織ができるようにしていけたらと考えています。

名古屋市南保健所 所長 松原 史朗

名古屋市の保健所再編と医師募集

現在名古屋市では保健所の再編を計画しています。今まで名古屋市は行政区ごとに16の保健所を置いてきましたが、平成30年度からは市役所内に保健所を1つ置き、区ごとの保健所は保健所支所(名称は保健センター)にする方針です。
再編が必要となった最大の原因は公衆衛生医師の不足です。平成20年度には36人いた医師が、29年1月現在は21人(定年延長の5人を含む)にまで減少してしまいました。再編によって医師不足に対応するとともに、健康危機が起こった時に市内全域で統一的な対応が取れるよう指揮命令系統を一本化することを狙っています。
1保健所16支所体制になっても保健所医師の重要性や必要性は変わりません。健康づくりや感染症対策、健康危機管理などにおいて医師の知識や経験が強く求められています。名古屋市では今まで以上に医師募集に力を入れますとともに、手当や研究費の増額、キャリアアップに配慮した職員配置など、医師の待遇改善や定着支援に努めています。保健所勤務に興味をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、ぜひ名古屋市への応募もお考え頂きたいと思います。詳しくは名古屋市公式ホームページの「名古屋市職員《医師》選考案内」(http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000012141.html)をご覧ください。

藤田保健衛生大学医学部公衆衛生学 教授 八谷 寛

平成28年度東海公衆衛生雑誌の編集委員会を担当して

東海公衆衛生学会の特徴的な活動の一つに学会誌「東海公衆衛生雑誌」の発行があります。2013年(平成25年)に現理事長の尾島俊之先生の発案により、当時の浜島信之理事長のもと創刊しました。抄録集と同じ冊子に印刷するために締め切りを設けていること、記述的な報告や活動実践報告の投稿を奨励していること、迅速かつ建設的な査読を行っていること等のユニークな運営を行っており、掲載料収入は会費とともに学会運営を支える重要な資源になっています。
私が編集委員長を担当した2016年発行の第4巻1号には10編の論文が掲載されました。それらのテーマは高齢者3編、予防接種・学校保健2編、生活習慣病3編、専門職連携2編でした(分類は八谷)。2017年発行号の投稿募集が既に開始されています。投稿によって知見を広く知らしめるだけでなく、論文執筆という活動がエビデンスに基づく公衆衛生活動推進の一助となることを願っています。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


毎年の学術大会では、開催都市の多くの関係の皆様にご尽力いただき、心よりお礼申し上げます。
今年度は豊橋での開催でしたが、私は豊橋を訪れるのは初めてで、新幹線、JR線、名鉄線が乗り入れる駅の大きさ、周辺の商業施設の賑わい、近代的な大会会場に驚き、ワクワクいたしました。市の職員の方々から色々な興味深い豊橋の歴史、名物、街の情報などを伺い、沢山の皆様にご参加いただいて大会も無事終了し、帰りはお土産なら是非ここで!と教えていただいた「ボンとらや」で美味しいピレーネを買って、華やかな花火まで堪能し、大変嬉しい1日となりました。
学術大会を通じて、こうして色々な地域の方々とお話ができ、新しい街を知る事が出来るのも私の密かな楽しみの一つです。 次年度の大会は三重県の津市。沢山の皆様のご参加をお待ちいたしております。何卒よろしくお願いいたします。

事務局一同より

学会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
学会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事、評議員へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

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