第55回東海公衆衛生学会学術大会の報告
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学術大会の概要
第55回東海公衆衛生学会学術大会は、「今、公衆衛生が取り組む課題」をメインテーマとし、平成21年7月25日(土)に名古屋市立大学医学部で開催しました。
午前は、一般演題(口演28、示説15)の発表があった。その内容は、母子保健、成人保健、高齢者保健、感染症、食品衛生、健康づくり、精神保健福祉などであった。その後、「健康と医療の公平に挑む」のテーマで特別講演(演者は立命館大学の松田亮三氏)を行いました。
午後は、総会とシンポジウム「格差社会の中で、公衆衛生は何をすべきか」を行いました。
大会終了後に、名古屋市の事業としての公開講座(演者は名古屋市東山動物園長の小林弘志氏、動物園のこれから〜生物多様性を考える〜)、および「いきいき東海サテライト集会」を開催しました。
特別講演及びシンポジウムについて
本大会では、メインテーマを「今、公衆衛生が取り組む課題」とし、特別講演として立命館大学産業社会学部教授 松田亮三先生に「健康と医療の公平に挑む」とのご演題でご講演を頂いた。雇用形態の変化の中で、貧困と社会格差が日本社会の課題として浮上しており、人々の健康が社会的要因によって左右されるとするならば公衆衛生行政上の課題となる。「健康の公平」の課題化を紹介し、それへのアプローチについてご講演され、大変興味深いものであった。
また、シンポジウムは、『格差社会の中で、公衆衛生は何をすべきか』をテーマに、「全世代にわたる生活習慣病対策」(愛知県健康対策課 稲葉明穂さん)、「中小規模事業所特定検診・保健指導」(全国健康保険協会三重支部 長谷川早苗さん)、静岡県「働き盛り世代の自殺予防対策」(静岡県精神保健福祉センター 松本晃明さん)、「ホームレスの現状・結核対策を中心に(名古屋市健康福祉局 上田いせのさん)、「貧困と児童虐待・児童相談所における実践の現場から」(岐阜県中央子ども相談センター 石田公一さん)等をご発表され、現在の保健所事業に大変参考となり、非常に有意義な内容であった
一般演題(口演)『母子保健』のまとめ
報告者:座長 加藤敬子(あいち小児保健医療総合センター)
- A−1「乳幼児を持つ母親のQOLに関連する要因の検討」
4か月児健康診査と1歳6か月健康診査受診者の母親を対象に、QOLの現状と、QOLに関連する要因を探り、経産婦と初産婦を比較し、それぞれのQOLを高めるための要因を明らかにした。その結果、経産婦と初産婦比べると経産婦方がQOLが低く、母親の睡眠時間、家族支援を十分受けていないことまた、初産婦は子育て支援施設利用を勧奨することがQOLを高めることに繋がることが明確にされた報告でした。今回明確にされたことを地域保健活動に盛り込まれ、推進することが期待される。
- A−2「学校保健と保健活動の連携 ―保健所への要望や期待から連携を考える―」
「健やか親子21」の思春期保健の対策強化と健康教育の推進が主要課題となっているので、小、中、高校の養護教諭と市の保健師に対して、実際にどの程度連携がされているのか、思春期保健について学校と保健の捉え方の違いを知るためにアンケート調査を実施した。その結果、養護教諭からの健康教育・会議等への連携の要望が多いことがわかった。今回の調査から現状と課題が明確になったので、今後の具体的な思春期保健事業の展開が期待される。
- A−3「ちくさふれあい1/2成人式のあゆみ―学校・地域・区・保健所の連携事業―」
地域の保健師が学校と地域を巻き込みながら、思春期保健事業を継続・工夫しながら発展し、この事業を区役所改革基本計画として「区政運営方針」として盛り込まれ、地域で支えあうまちづくりとして、継続して取り組む体制を確立した報告でした。事業を継続して実施し、基本計画に盛りこみ、揺るがない事業としたことに敬意を評し、今後の推進に期待する。
- A−4「小学生の永久歯とう蝕経験と生活習慣要因」
小学生の永久歯う蝕経験と生活習慣要因との関連を明らかにし、効果的なう蝕予防対策をするために1小学校全校生徒に調査を実施した。その結果から小学校4年生頃から永久歯う蝕が増加すること、「偏食が多い」・「1日平均2時間以上TV視聴」・「間食時間を決めていない」と三項目に関連している可能性がある結果が出た。肥満度との関係について質問があったが、今回の調査では関連が見られなかった。しかし、「お菓子や食事をしながら、TVを2時間以上見る」は関連が強かった。
今回の調査を生かし、小学生低学年からの永久歯のう蝕対策の推進を期待する。
- A−5「高校生対象の「食事バランスガイド」を活用した食に関する知識・意識・技術習得のための教室開催の試み」
食の自立期にある高校生を対象に食事バランスガイドの活用の講義と調理実習を組み入れた健康教育と食事バランスガイドの活用の講義のみ健康教育を実施し比較した結果、その後の朝食を取る、バランスガイドを活用するなど健康行動に差が見られた。
食の自立期でもある高校生に、食事を通して自分の健康、家族の健康を考えられる人を育てることはとても重要なことである。しかし、実際にはなかなか取り入れられていない現状がある。今回の結果を踏まえ広く教育の中で推進していくことを期待する。
一般演題(口演)『成人・その他』のまとめ
報告者:座長 日置敦巳(岐阜保健所)
- A−6「大学生に対するメタボリックシンドローム予防支援について」
大学生76名に対してメタボリックシンドローム予防支援研修を行った。朝食の欠食,間食によるエネルギー摂取過多,運動不足などの生活習慣上の問題が認められたが,1日の研修により意識・行動変容がみられ,1か月後の調査では,回答者の半数程度に継続効果も認められた。今後,グループに対する支援等が計画されており,多くの学生を勧誘して継続されることにより,学生時代に始まる生活習慣の乱れを防止できると期待される。
- A−7「食事が耐糖能異常に及ぼす影響」
健診データを用い,高齢者の耐糖能異常について横断研究とコホート研究を行った。65歳時24.7%に耐糖能異常が認められ,異常の認められなかった者の13.7%で5年後に耐糖能異常が認められた。耐糖能異常と炭水化物摂取量との関連は認められず,タンパク質,緑黄色野菜摂取量との関連が示唆され,通説とは異なった結果であった。耐糖能異常を指摘されて食生活が改善された可能性や食事の質が関与する可能性もあるとのことであった。
- A−8「女性の痩せと血中栄養指標との関連」
18-39歳の一般健診受診女性を対象として,BMIと血中栄養指標との関連を調べた。BMIの低い者ではリンパ球数およびプレアルブミン濃度が低値であり,低栄養の指標とされるリンパ球数1500/mm3未満の割合が高かった。リンパ球数は痩せの栄養評価に活用できると考えられた。低プレアルブミンは体重減少との関連が強く,アルブミンはどちらとも関連が認められなかった。リンパ球数の健康指標の一つとしての活用が期待される。
- A−9「就労女性の子宮頸がん検診受診行動に関連する要因」
定期健康診断受診女性を対象とし,子宮頸がん検診受診行動について調査を行った。子宮頸がん検診受診と関連のみられた項目は,「定期健診の必須項目であること」「検診費用補助があること」「婦人科への通院経験があること」「30歳代以上であること」であった。以上から,職場での子宮頸がん受診案内や費用負担は受診促進に有用であると考えられた。こうした受診支援は,100-500人規模の事業場で多くみられたとのことであった。
一般演題(口演)『感染症・食中毒』のまとめ
報告者:座長 金田誠一(名古屋市衛生研究所)
- B−1「新型インフルエンザの週別罹患数等の推計」
今回の新型インフルエンザの発生をうけて、週別の罹患数等の推計を行った。気温等の特性が季節性インフルエンザと同様と仮定して、過去の感染症発生動向調査による報告数を用いて週別に按分し、新型インフルエンザ対策行動計画による罹患数等の想定数により推定した結果である。致死率を低く(0.1%)見積もった際の死亡数と入院数の推計も行った。これまでに報告されている罹患数は、推計値とほぼ重なるものとなっており、秋以降の急速な増加が懸念される。
- B−2「透析患者の不明熱に対する抗結核薬の診断的治療に関する研究の最終報告」
透析患者は結核発症のリスクが高いという報告があることから、不明熱に対する診断的治療として抗結核薬の投与が行われることが多い。愛知県下で研究に参加した78施設において2年間の調査を行い、疫学的に検討した。その結果、抗結核薬投与による解熱率の改善を示すことはできなかった。より重篤な患者に投与が必要とされる背景が考えられたが、症例数が少なく解明できず、より大規模な調査で再検する必要がある。
- B−3「名古屋市内の雨水マスにおける、昆虫成長制御剤と微生物剤の蚊幼虫駆除効果について」
名古屋市内の雨水マスへ錠剤を投与する方法により、昆虫成長制御剤であるピリプロキシフェンの羽化阻害効果および微生物剤の速効的な駆除効果が確認できた。蚊媒介感染症が国内に侵入した際の化学的駆除のために、駆除対象生物の薬剤抵抗性増強の問題や薬剤の人畜に対する安全性、地球環境保護の観点から、適正な薬剤選択を提案していく必要がある。
- B−4「名古屋市におけるブルセラ症の発生について」
ブルセラ症発生の届出があり調査したところ、患者が動物取扱業者で犬の繁殖に従事していたことや繁殖用の犬が多数感染していたことから、出産時の胎盤や悪露等との接触により感染したことが推定された。また、早期に血液培養が行われたことで、患者2名から国内で初めて国立感染症研究所において菌が分離された事例となった。犬繁殖業者や飼い主に対する啓発や指導の必要性を感じるとともに、動物取扱業界の清浄化への努力も求められる。
- B−5「大学祭模擬店における食中毒事例について」
大学祭模擬店を原因施設とした、患者数75名(うち入院患者4名)のクレープを原因食品とした黄色ブドウ球菌による食中毒が発生した。大学側の全面的な協力が得られ、関係者の協力で再現調理・再現試験を行い、菌の増殖とエンテロトキシン産生の状況が理解されて再発防止対策確立の一助となった。営業許可を必要としない食品取扱い施設に対する指導要綱について、今回の教訓をふまえた見直しと強化が必要である。
一般演題(口演)『高齢者・その他』のまとめ
報告者:座長 尾島俊之(浜松医科大学)
- B−6「摂食・嚥下回診チームの指導計画に基づいた実践報告」
脳卒中の急性期リハビリテーションとして、摂食・嚥下に対する専門医・言語聴覚士等によるスクリーニング、回診チームと病棟スタッフによる合同カンファレンスでの指導計画立案・評価により、効果的な訓練プログラムの実施、食事形態の変更、また口腔ケアの継続等ができた事例の実践報告が行われた。チーム医療の有用性が確認された。
- B−7「地域在住高齢者の受療抑制と死亡・要介護認定の発生〜AGESプロジェクト〜」
コホート研究によって、治療疾患がある男性で治療中断者は治療継続者に比べて死亡ハザード比が高いこと、一方で女性では明らかな関連が見られなかったこと、また低所得者で治療を中断する者が多く、所得を調整したモデルによる検討でも同様の結果であること、治療中断者では関節疾患、視力・聴力障害、高血圧等が多いこと等が報告された。
- B−8「地震災害時の町内会の取り組み」
新潟県中越沖地震発災当時の柏崎市内全町内会長を対象とした調査結果として、ほとんどの町内会で震災対応活動が行われ、その内容としては、住民の安否・住宅被害の確認、住民の困り事や要望の把握、支援物資の配布等が多い等の報告が行われた。町内会活動、また平常時からの地域の人的つながりの重要性が確認された。
- B−9「障害者の自立支援について:どのように能力評価をして支援を続けるか」
視覚障害者に対し、眼科医・視覚障害者援護促進協議会が、乳幼児期から関わり、拡大教科書の提供、拡大読書器等を使いながらの学習の支援を行い、入学試験での障害への配慮の申請等により、国立大学合格にまで至った症例を通じての報告が行われた。全盲だけでなく、弱視者への支援の充実の必要性が確認された。
- B−10「健康危機管理体制の整備に向けて〜平成20年8月末豪雨時の活動報告〜」
前年の豪雨災害時に、臨時健康相談、マスクや消毒薬剤の配布、創傷等の応急手当、介護支援事業者職員対象の災害時のメンタルヘルス講座の開催等を行い、また災害時マニュアルの改正、対象者別・分野別指導用リーフレットとして活用できる「援護者用手引き」の作成等を行った事例の活動報告が行われた。
一般演題(口演)『健康づくり』のまとめ
報告者:座長 巽あさみ(浜松医科大学)
- C−1「保健指導における支援レターの効果」
健康づくり教室後のフォローアップとしての支援レターによる保健指導の介入研究の報告であった。3か月後までは改善効果が得られ、9か月後の支援継続率、運動習慣・食習慣改善意欲は介入群の方が維持期の増加率が有意に高かった。体重改善には「エクササイズ数を増やす」、「よく噛む」、HbA1c改善には「日常生活の活発」、「運動習慣への関心」が影響しており、今後の効果的な保健指導の実践につなげられる結果であった。
- C−2「長期・自発的健康増進施設の利用は健康指標にどのような影響を及ぼすか」
健康増進施設における受験者の10年間(1997年と2007年)の効果を比較した結果、両年受験者では体重・血圧等健康指標の悪化防止が認められ、月2回以上トレーニング継続者では健康指標の改善効果があった。今後さらに生活習慣、血液データ等の比較検討に期待したい。
- C−3「スポーツ活動と主観的健康感の関連」
スポーツの実施だけでなく観戦・ボランティア参加でもしていない人より、主観的健康感が高いものが多かったという横断的研究である。発表者はこれらのスポーツ活動が健康につながることに関する介入研究を計画されており、今後の研究に期待する。
- C−4「非肥満者の体重増加に関する要因」
肥満の増加要因について検討した2年間の縦断的研究である。1kg/m2以上BMIが増加した群では食行動の「満腹感覚」、緊張・不安・抑うつ等心理的ストレス反応と関連し、またそれらは仕事コントロールや量的負担と関連があることが明らかにされた。今後も継続して肥満とストレスに関するさらなる研究を期待したい。
一般演題(口演)『精神保健福祉』のまとめ
報告者:座長 新畑敬子(名古屋市精神保健福祉センター)
- C−5「成人期のこころの健康づくり支援について」
こころの相談支援体制強化のため、健康意識調査結果を検討し、現状と今後の課題について言及。行政におけるこころの相談支援体制の構築を目的とした内容。
質問 ・40〜60代を対象とした理由
⇒ 地域の特性(大都市のベッドタウン、団塊世代人口の比率)に考慮した。
また、行政の施策において壮年期を対象とした事業がないこと。
・訪問を実施した年齢構成
今後は、この結果を踏まえ、こころの相談支援体制の3次計画(心の健康相談事業)を推進して いく予定
- C−6「女性システムエンジニアのストレスと自発的相談行動の認識」
近年増加している女性システムエンジニアの抱えるストレスと、セルフケアの1つである自発的相談の認識を調査。女性システムエンジニアにおける仕事上のストレス対処に関する傾向が提示された。
質問 ・相談行動の認識において、女性であることとシステムエンジニアであること、どちらの影響が大きいか。
⇒ 女性という条件が大きく関与。男性社会における女性共通の悩みかもしれない。
・職場環境の整備とともに、抽出された「認識」と「個人の中の葛藤」を緩和する働きかけが課題。
- C−7「小学校教員の職業性ストレスと背景要因との関連」
小学校教員のメンタルヘルスやストレスに対する支援を考える上での基礎調査として実施。その分析から、高い健康リスク、ストレスフルな現状が示され、今後の支援における課題が示唆された。今後は性差や職階についても分析をしていく。
質問 ・システムや体制整備など、組織で取り組むべき課題が多いが、個人が「自分ですぐでき
ること」についてはどうか。
⇒ 今回はそこまで検討はしていない。すぐできることは少ないが少しずつでもいい方向にと考えている。
職場のメンタルヘルスは、どんな職業でもどんな事業場でも大きな課題。組織全体での
体制整備には時間がかかるが、提案などはしていきたい。
- C−8「事業所のメンタルヘルス不調による休職者の職場復帰支援体制における看護職の関わりと今後の課題」
職場復帰支援方法の改善及び確立を目指し、職場復帰支援体制における看護職の関わりや課題を検討した。コーディネーターの役割を担っている割合が多いが、多くの事業所でシステムづくりや家族への支援の必要性が示唆された。
質問 ・多くの看護職が「ルールが不十分」と感じているようであるが。
⇒ 自由記載においては、システム構築のほかにも、「上手く連携がとれない」
「情報の共有」なども課題に挙げられていた。
職場復帰支援は今後更に必要性が高まる分野であり、各事業所においても体制整備が求められる。
今回明らかとなった課題についての取組みを期待。
- C−9「うつ病やうつ状態の労働者の職場復帰に対する不安と望む支援」
不安と望む支援を明らかにすることで、疾患の再発予防や雇用継続を考える基礎研究。4つの概念を抽出、相互関係が明らかとなった。
質問 ・対象者の『家族への気兼ね』とあるが、家族への支援に対してはどんな手立てをしているか。
⇒ 今回の対象者は、事業所にリワークの体制がない。
職場復帰支援センターとしては、家族との連携の一つとして家庭訪問をしている。
職場復帰には様々な課題が残されている。研究の対象者を増やし、課題に対する対処方法を明らかにすることを期待。
一般演題(示説)『母子保健・その他』のまとめ
報告者:座長 犬塚君雄(岡崎市保健所)
- D−11「親子の社会的健康度に着目した乳幼児健診問診項目の活用についての研究」
愛知県吉良町の乳幼児健診の問診で、子どもの年齢が増加するともに「自分は子どもを虐待しているのではないか」と思う母親の割合が増加し、「子どもと一緒に外に出ることが少ない」、「育児があまり好きでない」といった望ましくない行動、気持ちの特徴がみられた。子育て支援への具体的な応用が期待される。
- D−12「周産期からの子育て支援に取り組むスタッフをつなぐ〜ハロー・ファミリーカードプロジェクト〜」
名市大がキャンパス内全面禁煙に踏み切った後、関係者の意識・行動の変化をアンケート調査した結果(回収数2,591、回収率58.7%)、病院利用者は大学所属者よりも全面禁煙を肯定的に評価しており、医療従事者の喫煙を否定的に考える人が多かった。今後、喫煙の害の情報発信を積極的に行うと共に禁煙サポートの体制を整えていくことの必要性を述べた。
- D−13「MRワクチン第3期・第4期接種勧奨方法について」
愛知県内の自治体に対するアンケート調査である。接種率向上に向けて第3期では7割、第4期では8割の自治体が未接種者に対して再度通知するなどの取り組みをしていた。行政と学校関係者の連携の必要性が指摘された。
- D−14「3歳児の生活習慣と保護者の食育の認知について」
静岡県の3歳児健診の対象者とその保護者に対するアンケート調査である。食育について知識のある保護者の児の方が好ましい食習慣が定着しており、朝食の喫食率も平成15年より高くなっていた。食育の推進が望まれる。
- D−15「24時間換気設備の使用実態及び室内空気中VOC濃度等について」
平成16年以降に竣工した常時換気設備を備える共同住宅に対するアンケート調査とVOC等の濃度測定、設備の使用状況・維持管理に関する現地調査等である。ホルムアルデヒドは指針値を超過している住宅はなかったが、アセトアルデヒド、p-ジクロロベンゼン等で指針値を超過している住宅が認められ、維持管理が不足している傾向がみられた。設備の有効活用について普及啓発する必要性が示唆された。
公開講演について
学術大会に引き続いて公開講座が開催されました。講師の名古屋市東山動物園の小林弘志園長から「動物園のこれから〜生物多様性を考える〜」というテーマでクイズを織り込んだ形式で普段聴くことのない事柄について講演をいただきました。講演が始まる前に激しい風雨があり、市民の方の参加が予想より少なかったが、絶滅危惧種の話など参加者に好評でありました。
なお、この講演はCOP10パートナーシップ事業の許可をいただいて実施しました。
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