トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

RIJIKAITSUSHIN2015

理事会通信 平成27年12月

 平成27年12月発行号のダウンロード

PDFファイル(ここからダウンロード)

  • 今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。

ぜひPDF版をご覧下さい。ここをクリック!

事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。
今年度も各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、理事会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに理事の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 平成27年度 各理事からのメッセージ


東海公衆衛生学会 理事長、浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島俊之

理事長就任のご挨拶

2015年度から3年間、東海公衆衛生学会の理事長を務めることになりました。この学会は、1955年の第1回大会から始まる歴史のある学会です。この学会の特徴として、公衆衛生に関わる行政と研究機関の関係者が手を取り合いながら運営している点があります。その伝統を引き継ぎなら、時代に即した展開をして行ければと思います。
近年、行政では、根拠に基づく公衆衛生活動、また良い取り組み(グッドプラクティス)についての情報交換が重視されています。一方で、大学等の研究機関では、研究成果の積極的な発表、また社会貢献が求められています。そして、両者において、人材育成は重要な課題となっています。東海公衆衛生学会は、まさにこれらの機能を提供できるものとなっています。肩肘をはらずに、また誰かに過度な負担がかかることなく、東海地方の公衆衛生関係者の情報交換の場として活用されるように、みなさまと一緒に運営していきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

東海公衆衛生学会 副理事長、豊橋市保健所 所長 犬塚 君雄

来年の学術大会に是非ご参加ください!

来年の第62回東海公衆衛生学会学術大会につきましては、既に学会ホームページに開催概要を掲載していただいておりますが、豊橋市は来年、市制施行110周年を迎えるに当たり、その記念事業の一つとして企画を進めております。会場は豊橋駅前の豊橋芸術劇場PLATで、豊橋駅改札口から徒歩2分と大変便利な立地です。メインテーマには「健康なまちづくり」を考えています。高齢化の進展とともに生活習慣病の中でも糖尿病の増加が著しく、多くの市町村ではその増加速度を少しでも緩やかにできないか対策に頭を悩ませていることと思います。特別講演のほか、先進的な取り組みを紹介して頂くシンポジウムを企画しています。多くの一般演題の応募と多数の方々の参加を期待しています。なお、当日は豊橋祇園祭りで打上げ花火が予定されています。学会での有意義な意見交換の後、数千発の花火もお楽しみ頂ければ幸いです。

愛知県健康福祉部医療福祉計画課 主幹 榊原るり子

愛知県保健師の目指す姿を掲げて

本年度、理事を拝命しました愛知県の榊原です。本庁で保健師や保健所に関することを担当しております。県保健師は12保健所9保健分室に勤務している他、県庁や他部局等で多様な経験を積んでいますが、行政機関に働く保健師は、専門職としての感性を持ちつつ行政職員としての力量も向上させていく必要があると痛感する日々です。
さて、当県では平成27年3月に「愛知県保健師の保健活動指針」を作成し、その中で県保健師が目指す姿を「公衆衛生の視点で地域を総合的に捉え、自分で考え実践できる保健師」としました。ここには、若手保健師の成長を願う気持ちが詰まっています。私自身も多くの皆さんと出会い、刺激を受け、仲間の支えがあって成長があると実感しています。今、目を輝かせている若い保健師たちが一歩一歩成長できるよう支援し、学会を始め多くの出会いを大切にしていきたいと思います。

愛知県一宮保健所 所長 澁谷 いづみ

職種を考える

理事を引き続きさせて頂きます。これまで愛知県の理事は医師のみでしたが、今回の選挙では、はじめて保健師の理事を出すことができ、保健師の視点が一層活かせて大変よかったと考えています。
「多職種の連携」は公衆衛生活動の様々な場面で言われていますが、今後もキーワードになると思われます。先頃長崎市で開催された第74回日本公衆衛生学会でも公衆衛生学会の職種・職場を問わない「専門家制度」や公衆衛生の専門医制度創設について議論がなされたようです。我々も関心を持っていきたいと思います。
7月の岐阜県で開かれた第61回東海公衆衛生学会ではちょっとうれしいことがありました。発表者のひとりが声をかけてくれたのです。以前私の講演を聴き「仕事をまとめること、評価することが大切」と頭の片隅に残っており、今回の発表になったといわれました。少しは私も役に立っているのかなと思えたことと、自身も刺激され、まとめなければと反省の機会となり、保健師から元気をもらえた一日でした。ありがとうございました。

中部学院大学看護リハビリテーション学部 教授 田中 耕

大きき夢を持つこと

時間はすべての人に平等に与えられ、それぞれの人生が描かれています。ただ漠然と生きるのではなく、小さな夢でも大きな夢でも結構ですから、目標になるような夢を持って生きることで、充実した人生を成就できるのではないでしょうか。夢はできるだけ大きい方がそれを達成できたときの喜びや感動が大きくなります。
夢を達成するには‥慘蓮↓能力、1燭裡獲彖任あるように思います。なかでも普段の努力が最も大切です。努力があれば、知識や技術も身に付くことになります。また、その姿を見て周囲が応援してくれることがあるかもしれません。そのように、運もついて来るものです。しかし、いくら努力しても、時の運、時代背景、適性などによって夢が万が一にも実現しない場合もありますが、それでも必ず次の夢に繋がる糧になるはずです。
オリンピックのメダリストもそれぞれ人並み外れた努力の結果です。天性もあるかもしれませんが、ほとんどはその人の努力で、夢が叶っているのです。
こういって、保健師、看護師を目指ざし、公衆衛生の次代を担うべき学生に普段の努力を説明しています。

浜松医科大学健康社会医学講座 准教授 中村美詠子

休養の疫学

健康づくりの基本と言われる「栄養」「運動」「休養」。健康日本21(第2次)では「休養は、生活の質に係る重要な要素であり、日常的に質量ともに十分な睡眠をとり、余暇等で体や心を養うことは、心身の健康の観点から重要である。目標は、十分な睡眠による休養の確保及び週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減尐について設定する」とあります。
睡眠の大切さに異論はないところですが、さらに「余暇で体と心を養う」にはどうしたら良いのでしょう。下手すると「余暇で体と心を(財布も?)消耗する」場合もありそうですね。今後心の健康づくりをすすめていくためには、体+心を養う休養法を模索していく必要がありそうです。
まずは学会員の皆様ご自身、余暇で体と心を養って(模索して頂いて)、2016年も健康で良いお年をお過ごしください。

名古屋市南保健所 所長 松原 史朗


今年、名古屋市では「子宮頸がん予防接種調査」を行いました。子宮頸がん予防接種は接種後に全身の痛みや運動障害などを訴える事例が多発し、現在積極的勧奨が中止されていますが、これらの健康被害と接種の因果関係は未だ明らかになっていません。
そのため、今年1月に子宮頸がん予防接種被害者連絡会愛知県支部の方々が、市長に接種を受けた全員の健康調査を要望され、市長が実施を決断しました。
けれども本市では、接種実施済届出票のほとんどが電子化されていなかったため、接種者に調査票を送ることは難しく、非接種者を含む接種対象年齢の全員に調査票を送り、接種の有無は本人に記入してもらう方法をとりました。これにより、非接種者を対照群として健康状態を比較できる利点も生じました。
調査は9月に実施し、12月中に結果公表の予定です。執筆時点では結果は出ていませんが、対象者約7万人の大規模調査と申しても、ごくまれな副反応を比較するには限界がありますし、種々のバイアスも考慮しなくてはなりません。しかし、この調査が子宮頸がん予防接種と健康障害を巡る議論に、有益な示唆を与えることを心から期待しています。

愛知県健康福祉部保健医療局 局長 松本一年

「論文の書き方」(清水幾太郎著、岩波新書)を読み直して

私は、本年4月、保健医療局長を拝命し、議会答弁作成の最終責任者として、答弁案の日本語が今まで以上に気になり始めました。そこで、昭和の終わりに国立公衆衛生院で1年(正確には11か月)間の専門研修を受けた際に、卒論作成のために購入し、大変勉強になった「論文の書き方」を読み直してみました。
今回読み直して、特に印象に残った内容を抜粋すると以下のとおりです。
「書物を読むのは、これを理解するためであるけれども、これを本当に理解するのには、それを自分で書かねばならない。」、「話し言葉には沢山の味方(身振り手振り、相手の反応等)がいるのに対し、書き言葉は孤軍奮闘だ。」、「日本語の世界では肯定と否定の観念が曖昧になりやすい。」、「学術用語というものは、専門学者の狭いサークルで通用する方言のようなものである。」、「日本語では、主語が頻繁に省略される上、動詞は最後でなければ現れて来ない。その間、話を聞く方は中ぶらりんの状態にいる。」、「日本語の語順に気をつけよう。」、「「が」には、「しかし」のほかに沢山の、殆ど無数の意味がある。」、「曖昧な「が」を警戒しよう。」、「根本的なルールとしては、句点の多い文章を書いた方がよい。」、「誇張は避けなさい。」、「単純に書きなさい。」、「二つ以上の名詞がそれぞれ長い形容詞を身に着けて現れて来たりすると、話の大筋が非常に摑みにくくなる。」、「重苦しい序論はやめて、スルリと書き始めた方がよい。」、「時間的過程の中に次々に現れるものを、その順序に従って書くのもよい。」等です。
この書物が、1959年3月の第1刷発行以来、今なお読まれている理由がよくわかりました。文章構成の基本的ルールを興味深く復習することができました。

名古屋大学大学院医学系研究科予防医学 教授 若井建志


国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)に象徴されるように、政府の成長戦略の下、研究の分野においてもロードマップを描き、迅速に実用化を図ることが必要とのプレッシャーを感じる。しかし、研究には大きな進展のない時期もある。
たとえば、ディープラーニング(深層学習)として、自動運転車や人工知能への応用開発がニュースを賑わしているニューラルネットワークも、理論は50年以上前から研究されていたが、実用に耐える精度が得られず、研究が下火となる「冬の時代」があったという。
もちろん、研究者としては「成果を挙げるには時間がかかる」と甘えてはいけないと自戒しなくてはならないが、優れた政策担当者や研究評価者であっても、研究の将来を正確に予測するのは非常に難しい以上、現状は成果を挙げていない研究分野にも、浅くとも広い支援が必要ではないか。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


趣味で20年近くイタリア語を学んでいます。今年は秋に久々にイタリアへ行き、日本人はほとんど行かない小さな街を訪れました。食べる事を愛し、友と多いに語らい、家族を大切にし、慎ましいけれども人生を精一杯謳歌する人々の暮らしがそこにはありました。何故強烈にイタリアに惹かれるのか・・・自分でも不思議ですが、きっと心のままに生きている人が多いからだと思います。
人生には悩みも問題も色々あるけれども、とりあえず前向きに今を生きる!
また、大好きなイタリアへ行けるよう、日々頑張りたいと思います。

事務局一同より

理事会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
理事会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

Logoに使った写真の使用については東海4県の観光連盟などの許可をいただいています