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第53回大会報告一覧 印刷用PDFファイル【小児保健】
【小児保健】(一般演題口演C)のまとめ
座長:加藤充子(三重県桑名保健福祉事務所)
C−1「1歳6ヶ月児健康診査におけるう蝕分類型O1、O2判定と3歳児健康診査時のう蝕経験」
三重県の3歳児の一人平均う歯数は東海4県中ではまだ多いが、1歳6ヶ月児健診のう蝕分類型O2(う蝕がないが口腔環境が不良なもの)の割合は他県に比し低い。歯科保健関係統計資料の分析によって、1歳6ヶ月児健診時のO2割合が高く、かつ3歳児健診時のう歯数が多い都道府県はなかったことから、O2判定後の歯科保健指導、フッ化物塗布による予防効果が高いのではないかと考えられた。このため、三重県におけるう蝕分類型O1、O2の判定基準の見直しと、事後指導の徹底の重要性が報告された。会場からは、健診以外にも多くの機会をとらえ、う蝕予防につながる生活指導が重要であるとの発言があった。
C−2「相談活動からみた小児の医療施設における保健師の役割と意義」
あいち小児保健医療センターの保健部門で、保健師が受けたセンター受診者の相談内容は、「虐待・虐待予防」「予防接種」「療育・療養に関する相談」が多く、「療育・療養に関する相談」では入院生活より在宅生活についての相談が多かった。入院から在宅療養に繋ぐ支援が求められており、家族のニーズを把握し、在宅生活に向けた地域機関との調整を行うことが保健師の役割であるとの報告であった。行政の保健担当者、保育所、学校などに対して、医療ケアを要する児への生活支援を求められことが多くなっているため、同様の取り組みが多くの医療機関で行われ、地域との連携がより円滑になることを望みたい。
C−3「弱視児童生徒たちの拡大教科書の用意は誰がするのか」
2005年から普通学級在籍の弱視児童生徒にも拡大教科書が無償配布されることになり、その需要が大幅に伸びている。拡大教科書は個々の弱視児童生徒が最も見えやすい字の大きさ、字間、行間等を配慮して作製されるものであり、これまで演者らボランティアが製作にあたってきたが、需要拡大に追いつけず限界にきている。拡大教科書の安定的な提供に向けて、現在不明確になっている発行者を明確にするとともに、教科書作製、発行のシステムを構築するよう提案があった。
C−4「知多保健所管内における乳幼児健診データ管理システム構築の試み」
管内4自治体の乳幼児健診で得られた個別情報を匿名化して、県型保健所に収集、分析するシステム構築の試みが報告された。情報システム構築により、日常業務で発生した母子保健情報を活用して、自治体間に生じる差異の要因分析が可能となり、健やか親子21の評価等に資することができ、事業の企画、実施に有益であると考えられた。しかし、各自治体で異なる情報システムからの集約、継続的に収集される膨大な情報の管理等、今後の展開には多くの課題があると思われた。
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