トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

NL10_52

前頁  第52回大会報告一覧 印刷用PDFファイル(セクション8 保健一般)

一般演題セクション8(保健一般)のまとめ

 報告者:座長 澁谷いづみ(愛知県半田保健所)


 セクション8(保健一般)D-5からD-8の4題は、まとまったテーマのものではないが、それぞれが貴重な体験や調査結果であり、関連する法律や制度の黎明期において、今後その活用・発展が期待されるものであった。

 「D-5 中学校2年生男子生徒の感想文から性教育を考える」では、産婦人科として臨床経験のある演者が、愛は育むもの、という相手を思いやることの大切さを伝えた思春期教室の経験を発表された。男女別に実施することのメリット・デメリットが活発に議論された。

 「D-6 乳癌患者における楽観主義の度合いと癌への適応度について」では、楽観主義の度合いが高まるにつれ、精神的な健康度が良好で癌への適応度に貢献しているのではないかと発表された。対象の協力を得るのに困難な調査と考えられたが、告知の問題など臨床面への応用の可能性もあり、今後癌対策の推進にも寄与することが期待された。

 「D-7 高齢者虐待防止の取り組みについて」では、息子による両親への虐待と思われる事例への対応を通じて、関係機関の虐待の認識の違いが浮き彫りになり、研修会を開催した経験を報告された。今後も高齢者虐待防止・養護者支援法の理解が広がり、適切な運用が図られるよう関係者に期待が寄せられた。

 「D-8 保健師が行う生活機能評価を考える」では、生活要因と健康指標の関連性を分析し主観的健康観や幸福観が向上する働きかけや保健活動が重要だと発表された。具体的にその成果をどのように評価するかが今後の課題、と締めくくられた。

いずれも現代の世相を反映した興味深いテーマで、多くの参加者をひきつけていた。特に最初の演題は、演者の熱意のほとばしりを感じたのか、発表時間中の参加者が多い発表となり好感が持てた。
癌対策、高齢者虐待は深刻なテーマであったが、演者の今後に繋げていきたいという真摯な姿勢は評価したい。また、最後の発表は、健康は人との関係性が重要だとの示唆を改めて提起された。これは健康の原点を考えさせる、今学会最後の一般演題発表に相応しい一題であった。
最後に、各演者とその共同発表者の今後の活躍を期待したい。

Logoに使った写真の使用については東海4県の観光連盟などの許可をいただいています