第66回東海公衆衛生学会学術大会の報告
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1. 大会概要
第66回東海公衆衛生学会学術大会は、令和2年7月11日(土)に中部学院大学各務原キャンパス(岐阜県各務原市)で開催した。大会顧問は古田善伯(中部学院大学学長)が務め、学術大会長は田中耕(中部学院大学看護リハビリテーション学部教授)が務めた。地域の公衆衛生をすすめていくには、その地域特有のエビデンスを的確に反映したうえで、公衆衛生上の対策が求められることから、メインテーマには「EBPHによる地域保健活動(Evidence-Based Public Health:エビデンスに基づく公衆衛生)」とした。公衆衛生上の歴史的出来事である新型コロナ禍の中ではあったが、感染流行狭間の比較的平穏な時における感染防止対策下での集合型開催となった。
午前は、一部の誌上発表を含め一般演題45題(口演25題、示説20題)の発表を行った。
午後は、特別講演及びシンポジウムを開催した。特別講演では千葉大学予防医学センター教授/国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター部長の近藤克則氏に「地域診断に基づいた健康格差社会への処方箋」という演題でご講演をいただいた。シンポジウムでは5名のシンポジストの方々に、「EBPHにより各県市で取り組まれている地域保健活動」について発表していただいた。後藤千穂氏(名古屋文理大学)には「EBPHとしてのあいち健康チャレンジ事業における官学共同の取り組み(野菜摂取に関する実態調査とその活用)」、芝田登美子氏(三重県医療保健部)には「三重県における地方創生を見据えたEBPHによる健康づくり」、村川実加氏(静岡県磐田市)には「住民データは宝の山〜データを使った地区保健活動による住民の行動変容〜」、鈴木貞夫氏(名古屋市立大学)には「HPVワクチンと接種後症状:名古屋スタディの結果と反響」、宮田延子氏(中部学院大学)には「地域保健活動からみた高齢者看護による看取り」についてそれぞれご報告いただき、活発な質疑が行われた。
大会参加者は123名であった。その内訳は、学会員91名、非学会員27名、学生5名、地域別では愛知県41名、岐阜県48 名、三重県4名、静岡県8 名、名古屋市22 名であった。
大会の開催にあたっては日本公衆衛生学会から助成をいただくとともに、多くの方々にご尽力、ご支援を賜った。心より感謝申し上げる。
2. 参加者へのアンケート調査結果
65名から回答を得た。大会全体の評価は「良かった」91%、「普通」5%、「良くなかった」0%と良好であり、公衆衛生活動・研究に対する「知識」が向上したと回答した者が100%、「意欲」が向上したと回答した者が90%、「自信」が向上したと回答した者が90%、等であった。回答者の71%が本学会員、59%が日本公衆衛生学会の学会員であり、日本公衆衛生学会の認定専門家あるいは認定を目指している者が30%であった。
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