第61回東海公衆衛生学会学術大会の報告
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1. 大会の概要
第61回東海公衆衛生学会学術大会は、「人口減少社会の地域保健活動」をメインテーマに、平成27年7月11日(土)岐阜県立看護大学において開催した。大会長は黒江ゆり子岐阜県立看護大学長、また、大会長を委員長とする実行委員会を設け、大会事務局は岐阜県立看護大学が担当した。
午前は一般演題発表を開催した。一般演題の口演発表は3会場で行い、「成人保健」、「高齢者保健・難病」、「成人保健・口腔保健」、「保健医療福祉システム」、「母子保健・メンタルヘルス」、「環境保健・感染症対策」の6分科会で16題の発表を、示説発表は1会場で17題の発表をいただいた。いずれも活動実践者や研究者が集い、互いの立場から活発な議論が展開された。
午後は総会、教育講演、シンポジウムを開催した。教育講演は四日市看護医療大学の東川薫准教授に、「東海地域の人口変動と今後の地域社会」と題して講演をいただいた。全国の896市町村を消滅可能性都市として、人口減少社会における東京一極集中の問題を指摘した日本創世会議のいわゆる「増田レポート」について、その前提とした考え方や問題点、また、さらにその後発表された東京圏の高齢者化に対する提言についてもご紹介いただき、人口減少・高齢化が進行する中での地域保健・地域医療、介護のあり方を考える上で、たいへん参考になった。引き続いて行われたシンポジウムは「人口減少・少子高齢社会の地域保健活動」をテーマに、4県1市の5人のシンポジストに発表していただいた。佐藤かおり氏(名古屋市子ども青少年局子育て支援部子育て支援課)から「名古屋市の子育て支援施策−少子化の中での保健活動−」、都竹淳也氏(岐阜県健康福祉部地域医療推進課障がい児者医療推進室)から「岐阜県における人口減少の現状と課題」、村松由美江氏(愛知県豊根村保健センター)から「過疎地域での様々なつながりに支えられた活動」、高木幸代氏(静岡県浜松市天竜区健康づくり課水窪保健福祉センター)から「少子高齢化の進んだ地域における保健事業の取り組み〜大規模合併後の地域の特性を生かした事業展開〜」、佐々木孝治氏(三重県健康福祉部医療対策局)「三重県における健康づくりの取組」についての発表がなされた。人口減少・少子高齢社会の実態を反映したそれぞれの地域における保健活動の紹介、より具体的な東海地域の人口の今後の推移に関する実態の紹介といった内容であり、直面している社会の実態をふまえて今後の活動を考えるにあたり、大変興味深く、参考になる点が多かった。発表の後、会場の参加者との意見交換を行い、報告内容をより深く理解し、参加者各自が自身の所属する地域の活動を考える機会となった。
大会参加者は122名であり、内訳は学会員80名、非学会員26名、学生4名、その他12名、地域別では愛知県43名、岐阜県37名、三重県4名、静岡県8名、名古屋市24名、その他・不明6名であった。
なお、大会の開催にあたっては日本公衆衛生学会から助成をいただくとともに、多くの方々にご尽力、ご支援を賜った。
2. 参加者へのアンケート調査結果
46名から回答を得た。大会全体の評価は「良かった」46%、「普通」39%、「良くなかった」0%(無回答15%)と概ね良好であり、公衆衛生活動・研究に対する「知識が向上した」と回答した者が89%、「意欲が向上」が80%、「自信が向上」が65%等であった。回答者の78%が本学会の学会員、65%が日本公衆衛生学会の学会員であり、日本公衆衛生学会の認定専門家、あるいは認定を目指している者は9%であった。
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