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!!ニュースレター(第5号:発行日 平成17年3月)
!!!ニュースレター(第5号:発行日 平成17年3月)
'''(第50回学術大会報告と第51回大会案内)'''

[印刷用(PDF)版はこちらから|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=ATTACH&page=FrontPage&file=newsletter5%2Epdf]

!目次:
+第50回東海公衆衛生学会学術大会事務局を担当して
+教育講演1.「小児の生活習慣病予防と保健事業評価について」
+教育講演 2. 「健康日本21の評価について」
+一般口演 座長から発表者へのコメント
+事務局だより
+第51回学術大会案内

!第50回東海公衆衛生学会学術大会事務局を担当して'''臼井利夫(名古屋市健康福祉局)'''
第50回東海公衆衛生学会学術大会は、「評価を視野に入れた健康日本21の各地での
取り組み」をメインテーマとして、平成16年7月31日(土)に名古屋市立大学医学部
で開催されました(学術大会長:名古屋市健康福祉局医監 勝見康平、大会事務局:運
営担当 名古屋市健康福祉局、学術担当 名古屋市立大学大学院医学研究科健康増進・
予防医学分野)。
昨年の浜松で開催された第49回学術大会における総会では、学会の存廃について
様々な議論が行われたと聞いていましたので、果たして第50回学術大会にどれくらい
の一般演題の申し込みがあるか心配していましたが、会員の皆様方から積極的な多数の
申し込みを頂き、合計32題と前回とほぼ同様の一般演題数でした。また、当日の参加
者数がどれくらいあるかも心配されましたが、交通の便が良い名古屋での開催というこ
ともあってか、合計181人(名古屋市で開催された第47回学術大会では183人)の参
加者を迎えることができました。所属別内訳は名古屋市34人、愛知県78人、岐阜県53
人、三重県8人、静岡県5人、その他3人。職種別内訳は、医師60人、保健師52人、学
生30人、教育職12人、事務職6人、その他助産師、歯科医師、薬剤師等でした。
第50回学術大会は学会運営の面からみても試金石でした。学会運営をできるだけ簡
素化し、事務作業負担と経費を極力削減することが課題でした。決算報告は後ほどいた
しますが今回の学術大会の歳出合計は約40万円で、従来の学術大会の三分の一から二
分の一でした。
第50回学術大会は評価を視野に入れた健康日本21の各地での取り組みをメイン
テーマとしましたので、教育講演では「小児の生活習慣病予防と保健事業評価につい
て」、「健康日本21の評価についてー健康日本21評価手法検討会報告のまとめー」に
ついてそれぞれの講師のお立場から、公衆衛生に従事する私達にとって大変有意義な講
演をお聞かせ頂けました。引き続いてシンポジウムも同様のテーマで、各地での取り組
みについてシンポジストの方々からご発表を頂きました。今回の大会は経費削減のた
め、講師、シンポジスト、一般口演の座長の皆様方には全てボランティアでお願いをい
たしましたが皆様ご快諾を頂き、大変貴重なお話をお聞かせ頂きました。この場をお借
りして改めて厚くお礼申し上げます。
今回の大会では、会員の方々にプログラムをお送りするのは止めて、全ての会員の
方に講演集をお送り致しました。評議員会の場で会員のメリットということが取り上げ
られましたが、従来の講演集に大学から、公衆衛生に従事する私達にとって何か参考に
なる内容のもの(既存のもので、それほど紙数の多くならない程度)を付け加えて頂い
て、年一回の会誌として出せば、会員のメリットにもなり、会費未納者対策にもなるの
ではと思います。
!教育講演1.「小児の生活習慣病予防と保健事業評価について」'''報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生 丸本光洋'''
教育講演1では、あいち小児保健医療総合センター 総合診療部長・保健室長 山崎嘉久先生が、小児の生活習慣病予防と保健事業評価についてお話されました。
生活習慣病の予防は小児から取り組むものであるといえる。小児における生活習慣病予防の取組みとして、(1)生活習慣病の一次予防において重要な「行動変容」は、小児期においては成人よりも容易とされる。小児に保健行動を習慣化させることは比較的短期間ですむ。(2)子どもの生活習慣は家族の生活習慣に影響されるため、親がよい生活習慣を示したり、また、子どもがよい生活習慣を示した時に誉めてあげるなどのことで子どもを動機づけられる。(3)小児の生活習慣予防の効果測定として、「健やか親子21」のホームページがある。このデータベースを利用することで、母子保健事業の実態を知ることが出来るなど、いろいろな取組み方法がある。小児の生活習慣病の予防目的は、現在の子どもとしての健康状態ではなく、未来の成人してからの健康状態の改善を目指したものである。したがって現在の母子保健事業も、未来を見越した先行投資の必要性が問われる、ということでした。
最近では、肥満した児童がとても増加しているように感じられます。肥満した児童がそのまま大人になったときの日本はどうなってしまうのでしょうか。山崎先生の提唱された取り組みが、世の中に広く伝わっていくことの必要性を強く感じます。
!教育講演2. 「健康日本21の評価について」報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生細野晃弘
本教育講演は、愛知県健康福祉部の藤岡正信先生が座長をお務めになり、三重県松坂保健所長の佐甲隆先生にご講演いただいた。午前中の学術発表が盛会に終わり、会場はその余波を受けたか満席に近い状況で、すりばち状の会場の上段に近いところに位置した方々は、その熱気を感じられたことと思う。
愛知、三重を中心とした各自治体がいかに地域保健計画を推進したか、およびその後の事業達成度等の項目を各自治体内部で評価した、という内容だが、評価表の妥当性、評価項目の内容から始まって、最後に各自治体からの健康日本21に対する取り組みの上での意見まで扱われた講演だった。評価方法、調査票の内容は妥当とみる意見が多く、推進状況の評価、および意見としては、現状について好感触を得ているという事であったが、情報提供などについては国の関与を促したいという意見もあり、部分的には問題点を浮き彫りにすることとなった。
各自治体で地域予防の最前線で活躍されている方々の奮励努力を、本講演にて伝えていただいた思いがする。
!シンポジウム「評価を視野に入れた健康日本21の各地での取り組み」報告:名古屋市立大学大学院医学研究科・大学院生吾川弘之
健康日本21の実践方法は様々であり、自治体や企業などの主体によって重点の置き方が異なる。豊田市健康増進課の加藤氏は、住民ボランティアから成るヘルスサポートリーダーを養成し、さらにそこからヘルスサポーターを養成していくといういわば「健康の裾野を広げる」やり方を紹介されたが大変ユニークな試みと思われた。
多治見市の纐纈氏は、優先課題を4つに絞って目標を理解し易く無理なく実行できる“ハッピープラン”という計画について話された。限られた予算と人手の中で行うには効率よい方法と考えられたが具体的な数値目標が課題とされた。
一方、ホンダ鈴鹿工場の櫻井氏は、従業員の自助努力を啓発していく方法でかつ最も経済的なプランを考えておられるようであった。また、企業においては産業保健スタッフの効率良い活動が強く求められているのを感じた。
静岡県総合健康センターの久保田氏はITを用いた健康管理という現代的な手法を紹介された。これにより非常に多くの人々に対して最小限の健康管理情報を与えることができると考えられるが、結局は自助努力によるところが大きいと思われる。しかし、個別に具体的な数値目標に従って管理を行うことが可能なので将来的に発展が期待できる。
最後に、名古屋市の丸山氏による喫煙予防教育についてはその場限りで終わらせないことが重要と考えるが、教育活動の直後でも喫煙に対する興味を失わない児童がいることは悲しい実情である。思春期全体に及ぶ粘り強いフォローアップが大切と思われた。

!一般口演 座長から発表者へのコメント
!あいち健康の森健康科学総合センター 津下一代 (A会場 健康づくり1)
本セッションでは、健康づくり事業推進のための環境整備、事業評価、人材養成、健康教育のあり方などについての話題提供がありました。いずれも日常の健康づくり活動をまとめた実践的な発表であり、事業の目標値設定の妥当性、調査票の設計、統計手法、得られた結果の活用法(情報公開も含めて)などについて、フロアとの活発な議論が展開されました。保健事業は法律に基づく行政の仕組みに則って行われますが、健康づくりはひとりひとりの意欲を引き出すための創意工夫が求められる分野でもあります。対象者のニーズを的確に把握するためにはどうすればよいのか、対象者に受け入れられる教育手法は?どのように事業評価し次の事業に活かすか、等について継続的な研究が必要であり、本セッションは悩みつつ事業を実施している保健担当者の情報交換の場となったと思われます。研究で得られた成果を今後の活動にどのように生かしていくのかを明確に意識していくことが大切でしょう。
!名古屋大学医学部保健学科 榊原久孝 (A会場 健康づくり2)
「健康づくり」のセッションのA7からA11まで、産業現場での肥満とストレス、地域での高齢者筋力トレーニング、小中学生の動脈硬化危険因子、小中学生の重心動揺と足形、インドでの大腸がんの疫学調査などの報告がありました。各報告とも現在の保健課題について、現場での調査結果から実際の保健課題を明らかにしようとした報告で、各報告とも良くまとめられた研究報告だったと思います。ただ、発表時間が質疑を入れて10分でしたので、活動内容にまで立ち入って意見交換するのには、時間が短かったように感じます。このセッションでは、現場と大学との協力共同による報告が主でしたが、こうした協力共同が地域での公衆衛生活動の展開に繋がってゆけばと思います。
!名古屋市南保健所 加藤浩 (B会場 母子・小児保健 )
母子・小児保健の6題を担当した。時間外電話相談の分析では、育児不安の現状と実態が浮き彫りとなり、母親の不安を受け止めるシステムの拡充を提言した。ハイリスク母子のケアのためには、「地域医療と保健福祉の連携が重要である」とした2題が発表され、いずれも先進的に取り組み好成績をあげていた。虐待関連の調査分析では「早期発見」については積極的に対応されていた。一方事後のケアへの取り組み不足が示唆された。乳幼児発達関係と思春期教育関係の発表は、それぞれユニークかつ重要なもので日常業務に追われている私どもに大変参考になった。
!名古屋大学総合保健体育科学センター 大澤功 (B会場 高齢者保健)
私はB会場で高齢者保健の座長を務めました.テーマは,配偶者と死別した高齢者への支援,生活環境の違いが満足度に及ぼす影響,要介護状態予防のためのアセスメントツールの評価,一人暮らし高齢者のQOLの特徴の4題で,すべて現在の日本の高齢者が抱えている重要な問題を扱ったものでした.ひとくちに高齢者と言っても,ひとりひとりは健康状態や生活環境,そして何を望むかという意向や価値観は異なっており個別の対応が必要です.今回の発表は,このような多様性のある高齢者に対する社会的支援を検討する際に貴重な資料となる報告だったと思います.発表者が問題意識を持って,それぞれの地域や職域において意欲的に取り組んでいることが十分に感じられました.ただすべての演題もまだまだ基礎的資料の段階にとどまっており,今後今回の結果をふまえて実際に現場でどのように行動するかが重要です.次回以降の本学会で,ぜひその成果を発表していただきたいと思います.
!名古屋市立大学・院医・健康増進・予防 鈴木貞夫(C会場 精神保健・その他)
C会場は全部で11演題,「精神保健・その他」と「地域保健」のセッションで,音楽療法,感染症,ホームレス実態調査,がん登録,検診とその評価など多彩な内容でした.日常的な業務をまとめ,発表するということは,公衆衛生活動を行う上で重要なことです.しかし,それは煩雑な作業であり,計画されたデータではないものが多いため,このような形にまとめることは労力がかかったに違いありません.その熱意に敬意と賛辞を送りたいと思います.反面,発表が長めだったため,十分な討論が持てなかったことが課題として残りました.その他にも考えていただきたい点がいくつかありました.1)得られた結果と考察や結論の間に乖離がないか.データから本当にその結論が引き出せるのか.2)統計的な手法は適切か.3)プレゼンテーションの方法は適切か.短い時間,限られたスペースで理解しやすいプレゼンテーションか.以上,今後の活動の参考にしていただければ幸いです.
!名古屋市中保健所 兒嶋 明徳(C会場 地域保健)
地域保健の6題(C-6 からC-11)の座長を担当しました。幸い、フロアからの質疑があり、座長からの愚問の必要はありませんでした。それで、刈谷、安城市のホームレスの生活実態に関する報告を、私の勤めている名古屋市中区管内のホームレスと比較しつつ、彼らの食べ物の調達方法に差があるのか、自覚症状一位でも、う歯・欠歯の治療まで行政は手を出せんわなあなどと考えながら、また、検診関係3題については、地域のデータが示す傾向が地域の特性を示すのか、データの偏りなのかを判断できずに、エピデミックと表現される米国の深刻な肥満と、わが国の肥満との質的な差の可能性に想いを馳せつつ聞いていました。そして、最後の演題、「第三次対がん十か年総合戦略」の目標であるがんの罹患率・死亡率の有意な減少を評価するために不可欠である地域がん登録の精度に関して、何とかせいと言われていて相変わらず低い名古屋市域の登録精度、ため息・・

!!事務局だより 名古屋市立大学大学院医学研究科 健康増進予防 小嶋 雅代
今回は、学会事務局を名古屋大学公衆衛生学から引き継いで初めての学術大会でした。事務局長を務められた名古屋市健康福祉局、臼井利夫先生をはじめ、名古屋市の関係者の皆様方には大変なご苦労をおかけいたしましたが、皆様のご尽力の甲斐あり、とても活気のある素晴らしい大会となりました。お忙しい中ご講演、ご発表いただきました先生方、当日会場に足を運び活発にご議論いただいた皆様にも深くお礼申し上げます。来年度は多治見市で開催される予定です。是非学術大会を会員の皆様の交流の場としてご活用下さい。
同時開催された平成16年度東海公衆衛生学会評議員会では、学会から皆様にどのようなサービスが提供できるかについての議論がありました。年一回の学術大会の開催、ニュースレターの発行に加え、今秋からはメールマガジンの発行を予定しています。大変厳しい財政状況ではありますが、インターネットを活用して情報発信に努めてまいりたいと思います。学会の活性化に向けてご意見ご希望等ございましたら、是非ご連絡賜りますようお願いいたします。

!!お知らせ・第51回学術大会のご案内(第1報)
メインテーマ:「公衆衛生における研究と行政の連携」
第51回東海公衆衛生学会学術大会長 多治見市長 西寺雅也
+開催日 平成17年8月6日(土) 9:25〜16:40
+場 所 多治見市文化会館(岐阜県多治見市十九田町2)
+内 容 メインテーマ「公衆衛生における研究と行政の連携」
+連絡先 多治見市保健センター
第51回東海公衆衛生学会学術大会事務局(学術担当)
〒507-0028 岐阜県多治見市弁天町1-9-1
電話:0572-23-6187 FAX:0572-25-8866
E-mail: gakujutu@city.tajimi.gifu.jp
+参加費(講演集代) 会員:1,000円 非会員:2,000円 学生:500円

<演題募集>
(1)演題申込み 平成17年5月9日(月)(必着)
学会ホームページの「第51回 東海公衆衛生学会学術大会」のページより
お申込みいただいた方には、後日事務局より詳細についてご連絡いたします。
(2)講演集原稿 平成17年6月6日(月)(必着)