心臓カテーテル検査は、手首や足の付け根より細いカテーテルを心臓に運び、心臓に関するさまざま検査を行います。具体的には、心臓の各部屋の圧力を測定したり、X線装置を使用し造影剤にて血管の撮影などを行います。
臨床工学技士は、主にポリグラフの操作を行います。また12誘導心電図を貼ったり、体外式ペーシングや人工呼吸器などの準備を行います。
【冠動脈造影】
冠動脈の入口にカテーテルを挿入し、X線装置を使用し造影剤にて撮影を行います。血管が狭くなった部分が見つかった際には、専用のバルーン(風船)やステント(金網)を使用し、狭くなった血管に血液を流れやすくする治療(冠動脈インターベンション)を行います。
【左室造影】
左室造影の目的は、@左室機能を評価すること、A左室とそれに関連した部位の解剖を把握することです。前者は虚血性心疾患、弁膜症、心筋症などが対象となり、後者は主に先天性心疾患が対象となります。
【冠攣縮誘発試験】
日本人は欧米人と比較して冠攣縮(スパスム)による狭心症が多いと言われています。このスパスムを証明する検査が冠攣縮誘発試験で通常はアセチルコリンの冠注が用いられます。
冠攣縮(スパスム) 血管拡張薬使用後
【右心カテーテル検査】
スワンガンツカテーテルを使用し、心臓の各部屋(右心系)の圧力と心拍出量を測定します。
【サンプリング】
心臓の各部屋の酸素分圧を測定することで、心臓の中にシャント血流がないか評価します。
経皮的冠動脈形成術 PCI
経皮的冠動脈形成術とは、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈の狭くなったり、つまったりしているところに、風船やステント(金属)を使用して血流を取り戻す治療です。
私たち臨床工学技士は、患者さんの状態をモニタリングする装置(ポリグラフ)や治療に必要な画像診断装置(IVUS・OCT)を駆使し、チームの一員として治療のサポートを行っています。
また緊急時にはIABP・PCPS(心臓の働きを補助する医療機器)の準備や操作を行います。
バルーン治療
ステント治療
PCI治療風景
電気的生理学検査 EPS
心臓は全身に血液を循環させるため、繰り返し活動電流を発生することで拍動します。これを記録したのが心電図です。しかし体表からでは記録できる拍動の様子に限界があります。そこで、心臓カテーテル検査と同じように血管から心臓の中に電極を挿入し、心臓の内部から電気活動の状態を記録し観察する方法が考えられました。これが電気生理学検査です。この検査では、洞結節不全症候群、房室ブロック、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動など、危険な不整脈を判別できます。それによって、カテーテル治療、ペースメーカーの必要度や薬の処方など、治療方針を決定することができます。
カテーテルアブレーション治療
不整脈の代表的な治療方法であるカテーテルアブレーションは、アブレーション治療用のカテーテルで不整脈を起こす原因となっている異常な電気興奮の発生箇所を焼き切る治療法です。
アブレーション治療用のカテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流して焼灼することで、不整脈を根治します。
経皮的血管形成術 PTA
血管の中に風船のついた管(バルーンカテーテル)を入れ、血管の狭窄や閉塞部でふくらませて、血管を拡張させる治療法です。さらに金属の管(ステント)を用いて拡張させる方法もあります。治療対象は、主に下肢の動脈や透析患者の血液アクセス(シャント)の狭窄部位になります。最近では、石灰化の強い硬い病変に対してドリルのような物(クロッサー)で削ったりします。治療中の機器の準備はMEが行っています。
小児カテーテル検査・治療
血管のなかにカテーテルという細い管をいれて行う検査です。(小児の場合は、おもに足の付け根の血管)
カテーテル検査を行うことで、心臓の中の形(どこに穴があいているか、など)、血管の形(血管の走行、狭い部分などの確認)、心臓の動きや機能を評価し、血液の中の酸素の割合と圧力の測定を行います。臨床工学技士は、主にポリグラフの操作、血ガス・ACT測定、その他ME機器の準備を行っています。
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