集中治療業務は主に,ICU,HCU,CCU,NICU,救命センターなど重症系の病床を対象に,血液浄化,補助循環,呼吸療法,体温管理,各種モニタリング,ME機器管理などを中心に行っています.これらの部署では,一人の患者の生命維持管理に多くの医療機器が必要となります.それらに機器を適正に操作及び管理するために,臨床工学技士の行う業務の知識や技術を集約してその任に当たっています.
ECMO
通常の呼吸管理だけでは,ガス交換ができない状態になり,適応があれば体外循環を利用した膜型人工肺でのガス交換をおこない,自己肺を休め回復を待つ方法です.基本は補助循環のPCPSと同じ構造で,遠心ポンプと膜型人工肺からなる閉鎖回路で行います.循環の補助も必要な場合はVA-ECMOを,循環の補助を執拗としない場合はVV-ECMOを行います.それぞれ,脚や首の血管からカニューレを挿入し体外循環を行います.
体温管理
心肺蘇生後の脳低体温療法や発熱時に解熱,低体温症の復温を目的とした体温管理装置を取り扱っている.
心肺蘇生後では低酸素状態による脳へのダメージを最小限にするため,全身や脳のみの温度を32-35℃程度に維持し,その後ゆっくりと復温(37℃に戻す)するという治療法です.そうすることで,脳の酸素消費量を抑え,低酸素によるダメージを予防する目的で行われます.この原理は,重度の呼吸不全の患者さんにも応用されることがあります.
発熱時の解熱では,高体温による痙攣や循環不全などに対する治療です.また,低体温症の復温は,低体温による心室細動などの不整脈や各種臓器が正常に機能するために必要な体温に回復・維持することを目的としています.
NO吸入
集一酸化窒素(NO)吸入療法は,特に新生児の肺高血圧症を対象に行われてきましたが,近年では右心不全や肺水腫などへも適応されて効果が認められています.血管の周囲には筋肉が巻き付いており,NOを吸入するとその筋肉が弛緩(ゆるくなる)し,血液が流れやすくなります.