68回日本病跡学会総会

The 68th Annual Meeting of Japanese Association of Pathography

 

 

 

 

 

 

 

 

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ご挨拶

 

68回日本病跡学会総会を大分で開催させていただきます。このことを別府の山本病院理事長・院長の山本隆正先生にお話ししたところ、貴重な資料をいただきました。それは第1回日本病跡学懇話会を昭和411125日に鹿児島市で開催したというもので、天才詩人の精神史:ランボーの場合(池田篤信、熊本大学)、漱石と龍之介の病跡について(伊東 高麗夫、長崎県立東浦病院)、カフカにおける人間関係(鹿子木敏範、熊本大学)、豊臣秀吉の性生活(王丸 勇、久留米大学)の4つの演題が掲載されていました。

2回日本病跡学懇話会に至っては昭和421129日に別府市で開催され、ニジンスキーについて(石福恒雄、三栗病院、東京医科歯科大学)、イエス・キリストと世界没落感(伊東高麗夫、長崎県立東浦病院)、エピーパトグラフィーのこころみ(宮本忠雄、東京医科歯科大学)、詩人と夭折:特にトラークルとハイムの病跡を中心として(鹿子木敏範、熊本大学)、徳川家光と松平忠直の病跡(王丸 勇、久留米大学)、松平忠直寄進の熊野縁起供覧(原尻正治:大分タキオ病院)と、錚々たる顔ぶれが揃っておりました。

王丸 勇先生(1901-1995)は、大正15年に九州帝国大学医学部をご卒業され、昭和4年に久留米大学医学部の前身である九州医学専門学校の精神病学教室教授となられ昭和41年まで久留米大学医学部神経精神医学講座教授を務められました。王丸先生は「歴史にはかねてから興味を持っていたが,入局の確か翌々年仙台で精神神経科総会があった。精神病学的見地より観たる信長,秀吉,家康論を発表すべく原稿を下田光造先生にみせたところ,先生は苦笑いしながら許可された」とのことで、まさに病跡学の草分け的存在でした。病跡学に関する数多くの著書・論文があり,従来史家の聞に未解決であった問題に解明の光を投げたものが少なくありません。昭和41年より王丸先生が主唱されて日本病跡学懇話会が出来、それは日本病跡学会に発展し,理事長としても活躍されました。実は、冒頭の山本隆正先生の母方の祖父にあたる方が王丸先生です。山本先生は、書斎で病跡学の書きものをしている祖父(王丸先生)の姿をよく見ていたとのことです。

長い年月を経て、再び大分県でこの学会を開催できることを大変光栄に思います。私自身は生物学的精神医学を専門としておりますが、油画を描くことや陶芸でろくろを挽くことを喜びとしています。今回、テーマを「芸術と病跡:活動性と創造性」とした背景には、そのような自分自身の嗜好も影響しておりますが、双極性障害や発揚気質の患者さんと長年治療関係を通してお付き合いしてきたことも影響しております。

なお残念ながら全国的になかなかコロナの勢いが衰えませんので、発表者や座長の先生方および理事の先生方には可能な範囲で大分へおいでいただき、そのほかの会員の先生方にはオンラインで視聴していただくことになりました。発表者の中で所属機関からの規制のために大分へ来れない先生方は、あらかじめ音声付パワーポイントもしくはその動画を作成していただき事務局にメールに添付してお送りいただくことになります。感染予防のため、どうかご理解いただきたくお願いいたします。

 

令和3826日 第68回日本病跡学会総会会長 寺尾 岳