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厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)
医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究

第3回班会議 議事要旨


日時:平成20年11月6日(木)16:00-18:00
場所:国際会議場(国際研究交流会館3階 国立がんセンター築地キャンパス内)
出席:土屋(進行)、有賀、海野、江口、岡井、葛西、川越、阪井、外山、
    桐野高明先生(日本学術会議、国立国際医療センター総長)

1.開催挨拶
 土屋班長より、本研究班の発足の経緯、第1回、第2回の議論の概要が報告された。

2.日本学術会議の医師後期臨床研修制度のあり方についての考え
 同会議 桐野高明先生よりご講演をいただいた。
(1)学術会議要望書「信頼に支えられた医療の実現」について
学術会議の医療のイノベーション検討委員会にて検討し、政府に対して要望した。
  先進国型医療の特徴の一つである「充実した教育体制と厳格な専門医認定制度」は諸外国が古くから備えている。
  学術会議では3つの要望の一つに専門医制度認証委員会の設置を取り上げ、医療者による自己努力での実現が必要であり、法的な裏付けにより設置することが重要であるとした。
  専門医制度の改革には医師の全員加盟型の自律的職能集団の設立と、その集団による運営が必要である。
  (2)専門医制度の現状と課題
  教育プログラム、教育病院の評価が十分でないこと、専門医の数と地域別分布に関する制御の仕組みがないこと、家庭医・総合医制度が確立していないことが現状の課題である。
  専門医制度認証委員会の設置により、制御を行う仕組みを確立することで、国民の理解のもとに技術料の評価も可能になる。病院と診療所との信頼に基づく連携関係も必要。
  専門医制度の実務組織と、制度の評価・認証を行う組織は分離すべきで、医局や学会から独立した立場の構成員による組織が専門医の数と分布の制御を行う必要がある。
  (3)専門医制度の目指すものと全員加盟型組織の必要性
  医療の質を保証し専門医を養成するために、教育の質と量を保証する必要があり、医師の専門職能集団として自ら数と分布を制御する仕組みを担うためには、医師が全員加盟する組織が必要である。
  (4)医療の変遷と制度の転換の必要性
  これまでの医療制度は限界に近づきつつあり、こうした認識の上で制度を転換していく必要がある。
     
 引き続いて、質疑応答が行われた。
  (5)学術会議の位置づけと要望の実現への道筋
  学術会議は内閣府の組織であり、政府の諮問などを受けて意見を答申するとともに、政府や社会に対し要望や提言を行っている。
  (6)制度の具体化への取り組み
  社会から十分分かりやすく評価できる透明性を確保した専門医制度が必要であり、医師自ら単一組織を持って制御していくことが求められる。この組織は質のよい医療を国民に提供するために研修制度の質の保証と制御に加えて懲戒処分などを担う。
  自律的な医師の職能集団が必要であり、政府や社会の支援により法的な規制と認証制度、さらに専門医に報酬を認める仕組みがあれば、専門医制度は有効に機能する可能性がある。
  全国医師による統一された組織と、分かりやすい専門医の議論と制度づくりに着手することが重要で、ある時点で導入し徐々に時間をかけて適用していくことが現実的かつ実効性が期待できる。
  こうした組織は学会や大学などの利害を超えて我が国の医療のために必要であるという論理に基づいて、十分な論拠と議論のもとに構築することが重要。
  制度の評価・認証にあたる実務組織は公平な専従者により構成され、運営には大規模な事務局機能が必要。
  海外の医師組織と専門医制度についての調査が必要。
  機構としては基本領域の学会を評価するとともに、整理していく必要がある。基本的な専門領域については法的な規制が必要ではないか。
  医療の質を保証する専門医制度であれば必然的に養成可能な人数の議論が可能になる。
  日本では医療制度やこれまでの経緯から、数や分布の制御は困難であった。研修内容や地域の医療の実情から考えた論理的な必要人数の設定が求められる。このためには医療費を含めた社会保障、病院医療の改革について国民的な議論が必要。
  職能団体が医師の誇りをかけて取り組む米国の事例が紹介された。学ぶべき制度のあり方、参考にすべき部分を取り入れることが重要。
  長期的なビジョンに基づき、さまざまな専門家の議論を踏まえて運営にあたる必要がある。
  (7)評価・認定を行う機構の基本的指針と運営方法
  評価や認定を行う機構の指針として、透明性を確保して運営することを明確にすることが望ましい。設置法を設けることも考えられる。
  官と民という位置づけでなく、最低限の法の手助けをもって自律性の高い制度をつくる、公のシステムという認識で進めることが必要。
  (8)我が国の脳外科医の現状と専門医の考え方
  脳外科医が取り扱う疾患の変遷や実情、初期臨床研修制度導入以降の志望者数の変動を踏まえて、専門医のあり方を考える必要がある。
  さらに地域の実情と将来の見通し、専門医が担う医療の範囲、診療体制を踏まえた上で専門医集団による総合的な議論が必要。

3.事務局連絡
以上


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