靈蘭之室 茶餘酒後

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陽蹻䧟

渋江抽斎『霊枢講義』邪客篇
今厥氣客於五藏六府、則衛氣獨衛其外、行於陽、不得入於陰、行於陽、則陽氣盛、陽氣盛、則陽蹻、不得入於陰、陰虚、故目不瞑、
『甲乙經』、厥氣作邪氣、無六府二字、衛其外作營其外、陷作滿、虚上有氣字、不瞑作不得眠、『大素』、無五字六字、行於陽以下卅三字、作衛其外、則陽氣䐜、䐜則陰氣益少、陽喬滿、是以陽盛、故目不得瞑、廿五字、
〈楊上善〉曰、厥氣、邪氣也、邪氣客於内藏府中、則衛氣不得入於藏府、衛氣唯得衛外、則爲盛陽、䐜、張盛也、藏府内氣不行、則内氣益少、陽喬之脉、在外營目、今陽喬盛溢、故目不得合也、瞑音眠也、
〈馬蒔〉曰、外之陽氣盛、而陽蹻之脉、不得入于陰、致内之營氣虚、而陰蹻之脉、不得通于陽、陽盛而陰虚、此目之所以不瞑也、
〈樓英〉曰、陷當作滿、
〈汪昂〉曰、大惑論作陽氣滿則陽蹻盛、盛字是、又曰、衛氣留于陰、不得行于陽、則陰氣盛、陰氣盛則陰蹻滿、陽氣虚、故目閉也、
〈徐開先〉曰、此章陷字疑悞、
〈張介賓〉曰、陷者、受傷之謂、
〈桂山先生〉曰、〈張〉説非也、
「陷」字に疑問をもった人は多いけれど,ではどんな字であるべきかを言うことは少ない。せいぜい『太素』が「滿」に作るのとか,大惑論には「陽蹻盛」の句が有るとかくらいである。
実は明刊未詳本『霊枢』では,この字は「䧟」になっている。『竜龕手鏡』阜部に「陷」と同じとあるから,皆さんそれに従っているのだろうが,実は从阜舀声の別の字ではあるまいか。蹈におどる,こおどりするの意味があり,慆は心の動くことであるから,「陽蹻䧟」でもともと「陽喬滿」とか「陽蹻盛」と同じようなことを表現するつもりだったのではないか。

Comments

蔭軒
そうは言うけれど,九針十二原の「鍉針者,鋒如黍粟之銳,主按脉勿陷,以致其氣」だって,明刊未詳本では「䧟」なんですよ。
いや,これもひょっとすると,脈を按じて,こおどりさせるなかれ,かも知れない……。
2009/09/08

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