靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

しゃおちえ

朝日新聞の特派員メモに、思わぬ「失言」の話が載っている。

......新聞を買おうと車内販売の若い女性に「小姐」と呼びかけた。女性は露骨に嫌な顔をして無視し、周りの数人の乗客が私の顔をじろじろ見た。

「小姐」は、大陸ではクラブなどの接客女性を指すのが普通だから、というわけだ。同じようなことを,中国通の日本人の友人からも聞いたことがある。ところがその場に同席した北京の女性,日本語ぺらぺらの女性は,そんなことはないと言っていた。「小姐」はやっぱり「おじょうさん」で,そう呼ばれてそのこと自体が不愉快なわけがない,そうです。

どちらが本当なんだろう。

ようするに言葉は,それが使われた場面によって,受け取られかたが違うということじゃないか。個人どうしのつきあいで,自分に注目があつまって,「おじょうさん」と呼びかけられたら,若い女性はやっぱり内心うれしいんじゃなかろうか。でも,ちょっと年がいっていれば,馬鹿にされたような気がするかもしれないし,服務中に「ちょっと,ねえちゃん」ではムッとするだろう。気をつけなければいけないのは,台湾では「小姐」,大陸では「服務員」という使い分けではなくて,場面の雰囲気の差だろう。
そして,特派員が上海で「小姐」と呼びかけて,周囲から白い目で見られたのは,なまじ中国語が堪能だったからじゃなかろうか。外国人がたどたどしい発音で,一般的ではないことば「小姐」で呼びかけても,上海の心優しい「おじょうさん」に睨まれることはない,と思いたい。

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