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こだまの世界

---倫理学者のふしぎな日記---

99年10月中旬号

洗礼者ヨハネの首をここで盆にのせてわたしにください。

(マタイ福音書、14:8)


10月中旬の主な話題


何か一言


10/12/99 (Tuesday/mardi/Dienstag)

昼下がり

昨夜、帰りぎわに某先輩に会ったので、 「え、論文? できましたできました」 とつい言ってしまったが、 実はまだできていない…。やばいっす。

昨夜は、某縁蛸でタコ焼きを買う。おいしい。

少し論文に手を入れてから寝る。 早朝に起きるつもりだったが起きられず。 お昼前に起きて大学へ。

3コマ目の授業に出る。これから4コマ目。


4コマ目は4回生の某君によるカント。 そのあと続けて、某君によるカント (日倫で発表するやつ)。 前者はカントの認識論、 後者は「人格の中の人間性」という考えについて。 両方とも難解。カントも勉強せねば。

研究員として一年ほど倫理学研究室にいることになった某イギリス人に会う。 以前、仙台でJETプログラムの教師をしていたらしく、日本語がかなり達者である。

授業後、まもなくして某倫理学史読書会。 キリスト教の個々の義務について。 読書会のあと、某所にて食事。


そういえば、 こないだの某面接について風のうわさで聞いた話。 面接のときに国際交流についての質問にうまく答えられなかったのは、 非常にまずいことだったらしい。 他の人はみなちゃんと答を準備していたようだ。

お金の出所の意向をよく汲む必要があるのに、 おれは自分の専門に関する質問ばかり考えており、 国際交流なんてことは完全に忘れていた。 なんたる失態だ。ばかばかばか。

う~む。まいったなあ。 タイムマシンがあればやり直したい。


今日やったこと


何か一言


10/13/99 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

夕方

今週号のマガジンの『なくよウグイス』に某教授が出ている (名前だけ)。

こないだふと思うところがあってフロイトの『精神分析云々』の「錯誤問題」 という章を読んだのだが、 フロイトはワープロの誤変換についても「それには深い意味があります」 と言うのだろうか。

昨夜は聖書を少し読んでから寝る。当然論文は書けず。だめだ。

お昼前に起きる。 マガジンとサンデーを買ってきて読む。だめだだめだ。

ううむ。心を入れかえねばいかん。


いったん下宿に戻ってシャワーを浴びたあと、 某所でお好み焼きを食べる。 『サラリーマン 金太郎』第19巻、第20巻読む。

ついでに大学へ。早く下宿に戻って論文書かねば。 GREの勉強もせねば。関倫の勉強もせねば。ああ。

日記の整理。 さて、下宿へ戻ろう。


今日やったこと


何か一言


10/14/99 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

昼下がり

昨夜は真夜中まで勉強。 他の英国の道徳哲学者が「徳」や「自愛の思慮」 という言葉をどのように用いているかを調べていたら、 あっという間に時間が過ぎてしまった。

「prudenceは徳か否か」という論点があるようだが、 どうもこれは、 virtueをどう定義するかという問題に帰着するようだ。 「17-18世紀の英国道徳哲学におけるprudenceの概念史」 みたいな論文をそのうち書いてみたい。

また、今回の論文では、 アリストテレス流の徳論に対するベンタムの批判を検討することができなかった。 また、 バトラーやヒュームその他の思想家の徳論とベンタムのそれを対比して 描くこともできなかった。論者の現在の能力を超えているからである。 今後の課題としたい。

↑こういうことを論文に書くのは御法度とされているので、 ここに書いておく :-)

そういえば、 来年3月のイギリス哲学会で発表したい人は、 そろそろ動いてないといけないらしい。

それはともかく、座布団の上でお昼まで寝る。 座布団も二枚敷くとなかなか快適であった。

起きてから某喫茶店に行き、ピラフセット。 プレイボーイ。チャンピオン。

ルネに行き、いろいろ本を見るが、 結局このあいだ受けとりそこねた本だけを購入。


何か一言


10/15/99 (Friday/vendredi/Freitag)

昼下がり

昨日は、夕方、世界の名著のプロティノスの巻を探しに 某古本屋に行く。すると、本の安売りをしていたので、 ついついいろいろ買ってしまう。

部屋に本があふれてきた。どうしたものか。

夜、『うるさい日本の私』、一気に読む。少々長いがおもしろい。 長々と具体例が提示されたあとになされる最後の日本文化論も (少なくとも単純なおれには)説得的で、 「語る徳」よりも「察する徳」を積もうとしていた最近の態度を 反省する良い機会になった。 (といっても、中島義道のように完全に反旗を翻すような態度は取れないが)

バスの中にも賛美歌のBGMが流れ、さまざまな注意放送が入る。

きょうも、健康で幸福であることを神に感謝しましょう。 次は○○です。お客さまに申しあげます。 異教徒には用心してください。 次は○○です。 神を信じて誘惑には強い心で抵抗しましょう。 次は○○です。 お客さまに申しあげます。 狭い門から入りましょう。 滅びに至る門は広いのです。 終点○○です。 どなたさまも罪を犯さないようご注意ください。(183頁)

夜中、少し論文に手を入れたあと、 お腹が空いたので、某所に行ってキムチ鍋。 『ドカベン プロ野球編』第13巻、第14巻。

下宿に戻ったあと、 なんとか論文を書き上げた。 (手抜きだけど)万歳。

5時すぎから10時まで寝る。 起きてからシャワーを浴び、 スクラーの予習。時間ぎりぎりまでかかる。

10分フラットで大学に着き、スクラーの授業に出席。 来週休むこともあり、 自分の担当を急いで最後までやる。これで当分あたるまい。

これからGREの勉強をせねば。


夕方、某所に寄り、モーニングとCDを購入。

また、某総人(総合人間学部)の某先生のところに電話を入れて、 来週の火曜日に会ってこないだの某面接に関する話を聞かせてもらう約束をする。 ああ。怖い。この人は某先生の次に怖い先生なのだ。ああ。怖い。

モーニング読む。

夜、朝からほとんど何も口にしてなかったので、 某うどん屋で夕ごはんを食べる。

さきほど、某先生からロンドン便りが来る。 まだ旅行の予定をぜんぜん立てていないが、大丈夫なのか。

いや、しかし、とにかく今夜はGREの勉強をせねば。


真夜中

う。GREの問題、難しい。しかも明日までには十分対策ができない。 ←当たりまえだって。なぜ一夜漬けでやろうとするのっ。


今日やったこと


何か一言


10/16/99 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中

GREの数学の問題は簡単である (ときどき間違えるが)。 たとえば。

ある年に米国で産出された鉄鉱の総量のうち、ミネソタ州はその3分の2、 ミシガン州はその6分の1を産出しました。残りの州を合わせたとき、 それらの州でその年に18万トン産出したとすると、 その年ミネソタ州は何万トン産出しましたか。


や、やばい。 統計の基礎知識がない。

「n個の測定値の分布において、 (算術)平均とは測定値の総和をnで割ったもののことである」。 ふむふむ。

中央値 (メジアン)とは、 nが奇数の場合は、 測定値を大きさに従って順序づけたあとに中央にくる測定値のことであり、 nが偶数の場合は、二つの中央の測定値の平均のことである」。 ふむふむ。そうだったのか。

範囲とは、最大の測定値と最小の測定値の差である」。 な、なるほど。すばらしい定義だ。

「そこで、70、72、72、76、78、82という測定値に対して、 平均は450÷6=75、中央値は(72+76)÷2=74、 そして範囲は12である。 平均と中央値は、 最小の測定値と最大の測定値の間になければならないことに注意せよ」。

ああ、そうか。そうなんだ。いやはや。すばらしい。 数学ってなんて明快なんだろう。 450÷6=75。 この式は、まったく疑いえない真理のように思われる。 すばらしすぎる。

う。こんなことを書いていると、「統計ができない大学院生」 とか言われてしまいそうだ。 でっ、できますっ。たった今できるようになりましたっ。


ああ。めっちゃしんどい。

今日は、下宿で3時間ほど寝たあと、早朝に下宿を出発。 地下鉄で烏丸まで行き、阪急で梅田に。

梅田で御堂筋線に乗り換えて、おとなりの中津駅へ。 何も食べないと脳が正しく機能しないかもしれないと思い、 コンビニでカロリーメイトと野菜ジュースを購入。 時間ギリギリでGREの会場に着く。

会場で宣誓書(「テストを受けたら秘密はもらしません」とか何とか) を書かされたあと、 パスポートだけを持って小さなコンピュータルームへ。 11月は会場がすぐ埋まると聞いていたが、 この小ささでは無理もない。 なるべく早めに予約することが重要。

それから3時間強かけてコンピュータでテストを受ける。 一応、事前に参考書を一通り読んだのだが、 なにせセクションごとの時間がやたらに短かいので、 初めにゆっくりやっていると 最後の方にツケがたまり、 最後は適当に回答して終わり、 ということになる。

問題によく慣れていれば、 もう少し速く解くことができただろう。 しかし、自分の思考の速度の遅さに嫌になってしまった。 なんとかもう少し速く考えることができるようにならねばならない。

語彙力は悲惨。勉強不足。時間も足らずに泣く。

数学は、標準偏差(standard deviation)の概念を知らないので困った (あ、秘密をもらしてはいけないんだった)。 くそ。統計の勉強が不十分だった。

分析力のところの時間配分はとくにひどく、 後半の問題はほとんど適当。 ここまであてずっぽうでやったのは初めて。 猛烈な自己嫌悪に襲われた。

しかし、なぜか点数は460、720、740 (合計1920点/2400点) とマトモなので驚いた (←コンピュータでやってるので点数が当日のうちにわかる)。 TOEFLと言い、GREと言い、 どうやら神さまが味方してくれているらしい。

しかし、分析力が740点というのは謎だ。 コンピュータのミスか、おれの記憶ちがいかもしれない (←「記憶ちがい」というのは、 コンピュータルームからはパスポート以外何も持って出れないので、 点数も頭で記憶しなければならず、 そのため間違えて覚えている可能性があるのだ)。

GRE終了後、某阪大でやっている日本倫理学会に出るために、 急いで御堂筋線で千里中央へ。 北急の千里中央に来たのは初めてだが、 ここの駅ビルは不思議なところで、 自分が何階にいるのかわからなくなる。 バスもたくさんあってどれに乗れば阪大に行けるのかわからない (これはおれも悪いのだが。 しかし、バスの案内が不十分のような気もする)。 しかたないのでタクシーで行くことにした。

タクシーが大学の入口までしか入れなかったので、 500メートルほどゼエゼエ走ることになる。 途中で力つきそうになったが、 無事に学会会場に到着。 某君が発表する勇姿を見ることができた (ただし質疑応答のみ…)。

それから某先輩の発表も聴く。 道徳的実在論の話。たいへん勉強になった。 ただ、レジメをもらい損ねたため、 早口についていけなかったのが残念。 早口にもついていける思考速度を身につけねば。 (ま、思考速度の問題というよりは知識量の問題の気もするが)

しばらく休憩したのち、 阪大の某先生方による 「臨床哲学というプロジェクト」 という臨床哲学のマニフェスト (自分の立場の表明、宣言のこと) を拝聴する。 臨床哲学は、 阪大を中心に数年前から主張されている哲学的態度のことであるが、 要するに、 「日本の哲学者、倫理学者は研究室に籠ってばかりでけしからん。 書を捨てて(社会問題の発生している)現場に出よ」 というアカデミズム批判であるらしい。 つまり、市井の哲学者たれ、ということだ。 阪大の先生方はこの運動を、 言語論的転回(ないしコペルニクス的転回)をもじって、 「臨床的転回」と呼んでいるようだ。

ま、某先輩や某先生が反論していたように、 これを新しい哲学というには多少僭越の感があるにせよ --とくに「臨床的転回」というのは大袈裟な気がする--、 「哲学のお勉強」に対比される 「哲学的に考え、そして行動すること」の強調、 「モノローグ(一人での思考)」に対比される 「ダイアローグ(他者との対話)」の強調、 というのは共感できるし、 自分でも努力しなければならないと思う。

これで今日の発表がすべて終わったので、 懇親会などはパスして帰ることにした。 帰りぎわ、某氏に会うことができ、自己紹介をしておいた。 ついでに『実践哲学研究』の原稿も渡しておいた。

帰りは某先輩とご一緒し、 モノレールと阪急を使って河原町まで行く。 留学その他の話を聞けておもしろかった。

河原町で某洋書屋に行き、科研費で数冊本を購入。

ちょっと某百貨店に行き服を買おうとするが、 高いのであきらめる。高いよう。 しかし、旅行前にカバンと服を買わねばならない。 やっぱおれには某所のような庶民的なとこがお似合いか。 あ、服はイギリスで買うという手もあるな。 サイズが問題だが。

朝からほとんど何も食べていなかったので 某コーヒー屋で軽食を食べたあと、 地下鉄で自転車が置いてある某駅へ。

それから自転車で大学へ。忙しい。しんどい。 それに交通費もいくら使ったんだ。くそ。 急いで軽音のコマを取りに行き、 今日はジャンケンに勝って無事コマを取る。

あらら。えらくたくさん日記を書いてしまったな。 こんだけ書くと、だれもちゃんと読むまい。くそ。


あっ、そろそろカウンタが7万を超えるようだ。


今日やったこと


何か一言


10/17/99 (Sunday/dimanche/Sonntag)

夕方

昨夜は大量に寝た。 お昼過ぎに起きてから大学。 某氏と某所で『実践哲学研究』の編集作業。 編集作業をやりだしてもう三年目なので、 かなり楽に仕事が進む。 来年からは某氏にまかせるつもり。

夕方、 お腹が減ったので久しぶりに某マクドナルドに行きジャンクフードを購入。 そういえば、なぜ大学の近辺には弁当屋がないのだろうか。

外は寒い。気をつけないと風邪を引いてしまいそうだ。


何か一言


10/18/99 (Monday/lundi/Montag)

夕方

昨夜は寒かった。

某所で焼きそばを食べてから下宿へ。 久しぶりに風呂に入る。

それから某ビデオ屋に行き、 『トゥルーマン・ショー』を借りる。

それから明け方までベンタムの勉強をしてから寝る。

お昼前に起きて某所へ。 クレジットカードで冬服と旅行カバンを購入。 洋服を選ぶのは苦手だ。 カバンを選ぶのも苦手だ。

それから急いで大学に来たが、 某教授の授業は休講。 休講届も出さずにどっか行ってしまったらしい。

某喫茶店でミックスサンドのセット。ジャンプ。

これから再び『実践哲学研究』の編集作業。


紀伊國屋の人がこないだ科研費で注文した本を持ってきてくれる。

編集作業中。


さらにルネに行って和書を購入。

昨日こたつの前に座って本を読んでいたので腰が痛い。 座布団だけではだめだ。 人間工学的な座椅子でも買わねば腰がやばい。

「久しぶりに風呂に入った」というのは、 シャワーではなく湯船につかったという意味である。 念のため。


『実践哲学研究』の編集作業終わり。 あと明日少し仕事をすれば完成。

明日は忙しくなりそうだ。


今日やったこと


何か一言


10/19/99 (Tuesday/mardi/Dienstag)

昨夜、盛大に腹を下す。死ぬ。

真夜中に『トゥルーマン・ショー』を観る。 子供が見てもきっと楽しいだろうし、 哲学的に自由とか自律とか神のデザインなんて問題を考えながら見ても楽しい、 たいへんおもしろい映画。B+。

それからビデオ屋に行ってビデオを返却。 少し勉強してから夜更けに就寝。

朝起きる。急いで大学へ。

総合人間学部の某先生のところに、 こないだの面接についての話を聞きにいく。 前にも書いたように、 日米交流や社会的活動に対する自覚の低さが問題であることを主に指摘された。

とにかく 「大学にこもって社会のことなど一切顧みないような学術研究」 を行なうという(京大文学部に特徴的な)姿勢は、 これからどんどん不利になっていくだろうとのこと。 「(おまえのために税金を払ってまで勉強させてやっている) 社会のために何ができるか」 「パトロンである奨学金の出資者のために何ができるか」 という視点を持たざるをえないだろうとのこと。

倫理学や社会哲学をやる上で、 社会的な活動をしようという気持ちは欠かせないわけだが、 おれは理論を学ぶのに夢中になってそれを忘れてしまっていたようだ。 某先生の臨床哲学でも言われていたが、 「何のために勉強するのか」という問いをこれからよく考えてみることにしよう。

というわけで今回はどうもダメそうだ。 くやしいことはくやしいが、当然といえば当然の結果。 学ぶことも多かったので良しとしよう。 某先生、それに某先輩方、 わざわざ相談に乗っていただいてありがとうございました。

あ、他にもいろいろ参考になる話を聞いたので、 今後フルブライト奨学金に応募する人は、 おれにメイルしてくれればできるかぎりのアドバイスします。 遠慮なく他山の石にしてください。

それからルネで本を購入し、某喫茶店でピラフセット。 プレイボーイ。

お昼から、 3コマ目情報倫理、4コマ目第二演習(某君のロールズとハート)、 『実践哲学研究』の編集作業、倫理学史読書会(初期キリスト教の倫理) を続けてこなす。寝不足なので死にそうだった。

そのあと、読書会の人々と某所に。 ごはんを食べるのもしんどい。 雨が降り出す。


今日やったこと


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Nov 21 14:51:25 JST 2011