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こだまの世界

---倫理学者のふしぎな日記---

1997年5月後半号

1997年5月後半の主な話題


ご意見のある方は、kodama@socio.kyoto-u.ac.jpまたはメイルを送るまで。


05/16/97(Fri)

・朝・

・げっ。やばい。ドイツ語っ。

・今朝は御所の周りにおまわりさんがたくさんいました。お勤めご苦労さまです。


・昼・

・うむ。疲れた。

・『存在の耐えられない軽さ』の感想。え○○さんは「つまらん」と言っておられたが、ぼくはかなり好きである。この手の映画が一般的に好きなのかどうかはわからないが。


・夕方・

・ホームページの(大)整理。イメチェンを図る。

・ちょっと喫茶店に行って来る。


・これからバンドの練習。その後、夜中のベンタム読書会。


・夜・

・バンドの練習終わり。暑い。死ぬ。(パタン)


・す○きさんとのベンタム読書会終わり。疲れた。死ぬ。(パタン)

・かと○教授室から倫理学研究室に戻ると、くら○さんとし○うずさんが仕事をなさっている。

・さて。ぼくはちょっと夕ご飯に行って来ます。


05/17/97(Sat)

・真夜中・

・皆川亮二作画の『スプリガン』を最後まで読む。ちょっとだるかったが、なかなか楽しめた。この人は今週刊少年サンデーで『アームズ』という同じような作品を書いている。

・どれ、『不思議な少年』を最後まで読んで寝るかのう。


・げ、『不思議な少年』、圧倒的な結末。す、すごい。良くここまで書くなぁ。この終わり方に筒井康隆のノリを感じるのはぼくだけか?

・知らない間に外は大雨。なんかさみしくなっちゃいましたよ。


・あさ・

・ちょっとねぼう。あせる。いいてんき。


・ぼくがきっさてんから、ぶんがくぶにかえってくると、2かいに、はとが2ひきいます。はとは、とてもばがなので、まどからそとにでられません。しかたがないから、20分ぐらい、おいまわして、2ひきともそとにだしました。ぶんがくぶのみなさん、ちゃんとあのはりがみをみて、るーるをまもってくださいね。「開けたら閉める!ハトが入ります。」


・ひる・

・「きょうだいかいかん」で、なにかのがっかいがあるので、てつだいとひやかしにいってきます。うわさでは、ながいよしおもくるらしい。


・ゆうがた・

・「きょうだいかいかん」で、また「べんたまいと」としりあいになりました。よのなかのせまさに、おどろきました。えぐ○4きゅう、す○きさん、○くのさんもいました。

・これから、ばんどのれんしゅう。ちこくちこく。


・よる・

・ばんどのれんしゅう、おわり。はら、へった。めしくって、かえる。さいなら。

(あすは、たぶん、こない)


05/18/97(Sun)

・夕方・

・あらら、来ちゃった。

・今日は朝から昼下がりまで高槻の某塾でテスト監督をして、それから京都に来てバンドの練習をしてた。

・とにかく今日はあまりろくなことがないので、これ以上悪くならないように気を付ける必要がある。


・ところで。ぼくの兄もついにこのホームページを見たらしい。ぼくは身内ネタを書かないので、とくに文句は言われなかったし、これからもこの調子で書き続ける気だが、それにしても身内に見られるのは、なんとも恥ずかしいものである。

・いったいこの恥ずかしさは、父兄参観(ところでまだこのような差別用語が使用されているのか?)の時に子供たちが感じる、あの恥ずかしさみたいなものだろうか?いやむしろ、ぼくが先生になって授業をしているときに友人とか家族とかが観ている、という時の感じに近いのかも知れない。あ、あと、実家の者や親戚一同に自分がエロ本漫画家であることがばれた場合とか。いや、そこまでやましくはないか。

・要は、ペルソナ(仮面)の問題なのだ。

・ぼくがここで着けているペルソナは、家族の前で着けているものとは、著しく違うのだ。しかも、それが家族に知られてあまり誇らしくはないペルソナなので、ちょっとはずかしく、ちょっとやましく感じているのだと思う。

・ま、いいか。気にし出すと何も書けなくなる。


・さきほど、○○○4○のブックマーク・ファイルから、びっくりするくらい充実した死刑廃止論のホームページを見つけた。う、応用倫理学の授業で「死刑廃止論」の発表する前に見つけて良かった。

・しかしもちろんぼくは、「誰の生命を犠牲にしても秩序を守ろうとする、それが死刑存置論者の真の姿である」などという意見にはまだまだ与する気はない、生きのいい反死刑廃止論者ですけどね。

(ただし、今度の発表での反論次第では死刑廃止論に傾くかも知れない。たぶんそれはないと思うが)


・○○○4○がとっととお帰りになられたので、4○に将棋で勝ち越したらしい○谷大学の方と一緒に夕ご飯を食べに行って、それからそのまま家に帰る。

・何しに来たんだろうかっ。


05/19/97(Mon)

・昼・

・あと5分、あと5分、てな感じで昼前まで寝てました。

・これから法学部で授業があるので、またあとで。


・昼下がり・

・げっ、法学部の授業半分以上寝倒しちゃったよ。何してんだおれっ。


・夕方・

・腹減ったのでちょっと昼飯を食べて来る。


・さっき古本屋を荒しに行ったら、山田英世著、『ベンサム』、清水書院、1967年が売っていて、250円の本に500円の値がついていたが、喜んで購入。ついでに、以下の本も購入した。

・んで、戻って来たら○○○4○からメイルが来ていて、「古本屋デ永井義雄ノ『ベンサム』ヲ見ツケテ購入シタ。欲シケレバ水曜夜×時ニ、宝ガ池ノホトリニ、一人デ来イ。警察ニ知ラセタラ、本ハ池ノ奥深クニ沈ムモノト思エ」って!(下半分はうそ。念のため)

・ううむ。最近ベンタム運がついて来た。


・咋晩はあれからしろ○○氏と日伊会館1Fの喫茶店で夕食。映画の話やら、死刑廃止の話やらをする。以下、二人の対話を抜粋して掲載する。多少こだまの創作も入っているので、全てを本気で受けとらないように。

「あの、横浜って神奈川県にあるんですよね?」

「(苦笑)。そ、そんなん君、あたりまえやがな」

「いや、もしかしたら横浜県っていうのがあるのかなーって、今ふっと思ったんで」

「(笑)」

「ぼく、こんなんでえらそーに小学生に社会教えたりしてたんですよ」

「や、やるなー、君」

「そういえば一昨年に神奈川県に行きました。それで、鎌倉っていうのが東京よりも下にあることも知って」

「(爆笑)。えー、き、君、鎌倉がどこにあると思とったん?」

「いや、なんか東京と仙台の間かなんかに…」

「(倒れる)。うわーっ、ここっ、こいつ、あほやあほや」

「だから鎌倉幕府も東京の上にあるものだとばかり…」

「ほしたら君、仙台っていうのは何県にあんねんや?」

「そりゃあ、その、宮城県ですよ」

「お、やるやん」

「(調子に乗って)会津磐梯山とか…」

「(倒れる)。そりゃあ、あんた、福島県やがなっ」

「あっ、そうか。しまった。今本気でボケてしまいました」

「(笑)。こいつ、ほ、ほんまのあほや」

「いや、北の方って覚えられないでしょう?行かないから。ぼく去年ぐらいから秋田県が日本海側にあるのか、太平洋側にあるのかはっきりしないんですよ」

「(倒れる)。き、君、それほんま?」

「いや、それがほんとなんです」

「秋田は岩手県の向こう側にある、って覚えたら一発やがな」

「あ、そうか…。そうですねっ、わかりました。やっぱり秋田は日本海側なんですね。新潟の上」

「(苦笑)。ほ、ほんなら君、君の師匠(○○○4○のこと)の出身の山形県はどっち側にあんねん?」

「えー、山形は日本海側です」

「お、やるやんけ君」

「いや、今話しててやっとパズルがきちんと解けました。日本海側が富山・山形・新潟・秋田と並んでて、太平洋側が宮城・福島・岩手と並んでるんですね」

「そうそう。(苦笑)。しっかし君、すごいなあ。それはちょっと旅でもせんとあかんで…」


・というようなサイコの晩餐を繰り広げた後、ぼくは帰りにゴルゴタの丘ならぬ高槻の古本屋に立ち寄ったわけです。そこでもまた役に立たない本を買ったので、以下に記録のために記しておきます。


・真夜中・

・どっひゃー。ずぶぬれっ。

・ご飯屋さんで、力石が死ぬまで『あしたのジョー』を読んでから、外に出るとなんと寝耳に水の雨。店のおばさんにもらった袋に本を入れてチャリをこぎ出した途端、どっぶあああーっと雨が降り出して来た。

・んで、ずぶぬれ。雨にこんなにされたのは、久しぶりです。けど、『あしたのジョー』を読んで熱血してたので、結構平気だったりする。ノーガード戦法っ。(意味なし)


・ぬう、寒いのでガス・ストーブを付けようとしたが、ガスが切られているようだ。これはCIAの陰謀に違いないっ。(筒井康隆ネタはやめなさいってば)


思想的な学問をする人で、自分が学んだ大学の授業に非常な満足をみいだすような人は歴史上あまり多くない。すぐれた学者であればあるほど、ありきたりの講義の内容と形式に不満を感じるものである。そして、既成の思想のわくをつき破ろうと悪戦苦闘をかさね、ようやく学問上の新機軸を生みだすことができるというのが実情である。いわゆる「有名」大学へ入学できたということだけで、自分が「秀才」であるなどと思ったら、歴史上の真の天才たちはそれらの受験技術の練達の士どもを、凡俗の最もはなはだしいものとして問題にもしないであろう。大学というところは天才には本来無用の場所であるはずのものである。

などと、前出の山田英夫が書いている(p.26)。けれどもぼくは良い先生方に恵まれているせいか(本気)、少なくとも今のところは非常に満足している。

・ま、もとよりぼくは天才ではないが。


05/20/97(Tues)

・真夜中・

・真夜中まで○ら○氏が関倫の仕事をされているので、少しお手伝いをする。


・ティーシャツがなかなか乾かず、寒くて風邪を引きそうなので、落ちていた紺のブレザーを拝借する。


・ちょっと寝ます。


・朝・

・さ、予習予習。


・う。ちょっと予習が足りてないような気がするが、とりあえず喫茶店に逃避することにする。


・喫茶店で水をこぼし、科学哲学のテキストのコピーが水浸しになる。ば、ばがっ。

・コンピュータの調子が悪いのか、倫理学研究室のページが見れない。困る。


・夕方・

・ああ、今日も授業全部終わった。疲れた。

・ついに科哲のレポートが出る。今週中に書いてここに出すかも知れないので、その場合、関係者は予想点数を書いてメイルしてください。

・倫理学研究室のページは復活しました。心配かけて済みませぬ。

・今日はか○う先生の還暦祝いでした。祝。

・ではでは。今日はこれにてごめん。明日も来ます。


・夜・

・と思ったが、某○○授と○ろう○さんとご飯を食べに行くことにする。寝む。


・真夜中・

・あらら。今日も泊まることになってしまった。ばがっ。


05/21/97(Wed)

・真夜中・

・ほんと。ここに泊まると風呂も入れないし、ひげは伸びるし、背は縮むしで悲惨。明日は早く帰って風呂入って寝よ。

・これからちょっと本を読んで、できれば科哲のレポートに着手しよう。


・眠いので寝る。結局読書会の準備を少ししただけ。ばがっ。


・早朝・

・頭痛。(天誅)


功利主義のすすめ

・岩崎武雄(昨日初めて知ったが、かと○先生の先生にあたるそうだ)の本などを読むと、やはり功利主義はほんっとにひどい誤解をされているようだ。

・確かに、功利主義的な人間観によれば「人間は、究極的には自分の快楽を求め、自分の苦痛を避けるように行動する」と言える。これはベンタムの人間観であり、マークトウェインの人間観である。(哲学用語では「心理的快楽主義」と呼ばれる)

・この人間理解そのものがただちに功利主義ではないのであるが、どうも功利主義とは「人間は、自分の快楽が最大になり、自分の苦痛が最小になるように行為すべきである」ということを説く学説だ、という理解をされているようである。

・もっとひどいのになると、「功利主義とは、人間は自分の肉体的快楽のみを追求せよ、という学説である」という具合になる。んなわけないでしょっ。そこらのがきじゃあるまいし、こんなくだらないことをわざわざ本に書くやつがいるかってえの。

・最初に書いた人間観がまちがっているということを示す例として、「ソクラテスが死刑を宣告された後、逃げようと思えば逃げられたにも関わらず、自らの進んで毒盃を仰いだ」という話が挙げられることがある。かの岩崎武雄などは次のように説明している。(『哲学のすすめ』、講談社現代新書、1966年、87頁)

もしもある人が単に快楽を得さえすればよいのだ、快楽を求めて生きてゆけばよいのだ、と考えているとすれば、その人は常に快楽を求め、そして快楽さえ得られればそこに幸福を感ずるでしょう。その人は、ソクラテスのような状況におかれたならば、一も二もなく逃亡を選ぶことでしょう。

・ま、まてっ。なんでそうなるのっ。岩波文庫の『ソクラテスの弁明・クリトン』を読んだらわかるけど、ソクラテスが敢えて逃げないのは、はっきり言って「逃げた方がより苦痛が大きい」からですってば。

・ソクラテスにとっては正当な判決に逆らうことは愛する国家に逆らうことであり、それだけでもう大変な苦痛だし、それに他のポリスに逃げたところで悪名が付きまとうし家族や友人にも迷惑がかかる。しかもソクラテスは死後に苦しい人生があるとは思っていない。

・結局、目先のきくソクラテス君にとっては、脱獄よりも法に従う方がだったわけです。死ぬことによって「より多くの快楽を得た」と考えたかどうかは議論の余地があるにしても、少なくとも「より少ない苦痛で済んだ」と考えたことは間違いない。ありませんっ。

・ぼくは今のところ、上のベンタムやマーク・トウェインの人間理解(心理的快楽主義)に対する反証例にお目にかかったことがない。今のぼくの説明に納得の行かない人はメイルを送って来なさいっ。


・が、が、「人間は、自分の快楽が最大になり、自分の苦痛が最小になるように行為すべきである」というのが功利主義だ、というわけではないのである。ちゃいます。ちゃうちゃう。これは利己主義とは呼べるかも知れないが、「最大多数の最大幸福」を説く功利主義ではないのは明らか。功利主義と利己主義をごっちゃにしないっ。

・そもそもベンタムがむかついていたのは、「正しい」という言葉がほんっとにいいかげんに使われていた当時の風潮であって、彼は「正しい」の一義的な意味を定めたわけ。そしてこれこそが「最大多数の最大幸福」というスローガンで知られる功利主義の核心なの。

・つまりそれはどういう定義かというと、「ある行為は、その行為が影響を及ぼす人々全員に対して、苦痛の量より多い快楽を生み出すなら正しく、快楽の量より多い苦痛を生み出すなら正しくない」っていう定義。

・大体わかった?要するに、ベンタムは確かに「人間っちゅうのはみんな、自分の快楽を少しでも大きくして、自分の苦痛を少しでも小さくするように生きとんねん」って考えてたけど、「だから、自分の快楽を最大化して、自分の苦痛を最小化する行為が正しい行為やねん」とは言わなかったの。

・そうじゃなくて、あくまで正しい行為は「関係者全員の快楽を最大化して、苦痛を最小化する行為」なの。これで正しい行為は一義的に決まるから、政府は主に法律によって、市民の皆さんが正しい行為をするように工夫しましょう、っていう筋書きになるわけです。正しい行為が論者によってばらばらで、てんで話にならないっていうと、特に政治の世界で困るでしょ?

・あ〜、長くなっちゃった。続きはまた。


・もう文学部の事務室もとうに始まってるだろうし、そろそろ事務に寄って、喫茶店で朝ご飯食べて帰ろっと。また明日。


05/22/97(Thurs)

・昼過ぎ・

・うむ。(家で)よく寝た。

・やたらと不快指数の高い天気。読書会の準備をせねば。

・昨夜は『ジェーン・エア』と『嵐が丘』という映画を立て続けに観た。ブロンテ三昧。


・昼下がり・

・ちょっと喫茶店に行って来よう。生協に頼んでおいた本も届いたみたいだし。


・う。銀行に行ってお金を下ろすと、残高がほぼ氷点に近いことが判明。や、やばいっすよ。

・Richrd Tuck, "Natural Rights Theories", Cambridge,1979.という本を購入。なかなかの本らしい。


Double Standard of Action(行為の二元的基準)

・以下は最近考えているベンタムの功利主義のこだま解釈。簡単に言うと、ベンタムは「行為の善さは相対的であり、行為の正しさは絶対的(一元的)である」と考えていた、ということ。

・あ、ごめんなさい。用事が入ったので続きはまた明日。


・夜・

・倫理学入門書読書会終わり。全8人。大変面白い読書会(だが、なかなか進まない)。

・ではまた明日。


05/23/97(Fri)

・夕方・

・昨日はちょっと頭痛がしたので帰ってすぐに寝てしまいました。んで、昼まで寝てた。今は元気です。


・夜・

・あ、映画の推薦ありがとうございます。必ず観ます。

・さっきはえ○○4○がいらしていて、永井義雄の『ベンサム』を置いていってくれました。が、こだまにはやらん、とのこと。づがん。

・んで、こば○しさんの手伝いをしてから、バンドの練習に行ってました。

・これから夜中のベンタム読書会。近々「夕方のシジウィック読書会」も始まるらしいから、大変だ。


・ベンタム読書会終わり。し○う○氏がいらっしゃる。これから晩飯か?


05/24/97(Sat)

・真夜中・

・○う○ず氏のおごりで、晩ご飯。食べすぎ。


・わ、地震っ。


・眠いので少し寝る。ううむ。何してるのやら…。


・朝・

・うう、社会契約の話はよくわからん。


・ぼくはどうも死刑廃止論の議論になると、かなり感情的になるようだ。もちろん団藤某許すまじっ、という気持ちがあるからなのだが(この怒りは相当根深い)、しかし、し○○ず氏もおっしゃられているように、先に感情的になった方が負けなわけで、なるべく感情を抑えて冷静にけちょんけちょんにするよう努めなければならないだろう。

・それにしても、「死刑廃止論者こそが真のヒューマニストなり」などと考えるやつは絶対許せないんだけど…ムカムカムカムカっ。あっ、冷静冷静っ。

・ちょっと喫茶店に行って来ます。


ジョン・レノン風に

神の存在は信じない

イデアも信じない

生得観念も信じない

直観も信じない

善意志も信じない

一般意志も信じない

自然法も信じない

弁証法も信じない

社会契約も信じない

道徳的権利も信じない

相対主義も信じない

権威主義も信じない

利己主義も信じない

利他主義も信じない

……自分だけを信じる

……ベンタムと自分だけを

擬制の時代は終った

擬制の時代は終ったんだ

他になんて言えばいいんだろう?

擬制の時代は終ったんだ


・さすがにまだ「ベンタムも信じない」とは書けない。やはりぼくは「心理的快楽説」を信じているし、普遍的な正しさ(正義)を決める(おそらく)唯一の原理は、功利原理だと思うからだ。


・昼・

・最近、下手な日本語を読むよりも英語を読む方が楽になって来た。しかも英語を読む方が速かったりする。

・そもそも、英語って全部ひらがなで書かれているようなものだと思う。ただし、ギリシア・ラテン語源のものは、ひらがなにうまく化けた漢字、というべきものだけど。

・ベンタムの英語はかなり骨が折れるが、まあ、18世紀に出版された日本の本なんておそらく読めないだろうから、何とか読めるだけましではなかろうか。

・ま、両方の言語(それとドイツ語!)とも、まだまだ読解力を身に付けなくてはならないことは間違いない。


・昼過ぎ・

・しかし、権利基底論(Right-based Theory--(功利原理ではなく)権利を政治・道徳の第一原理として考える学説)だけは許せん。天然痘のように、絶対に撲滅させる。


・ん、また少し雨が降り出したようだ。

・『モーニング』でかわぐちかいじがまた書き始めた。今度はどうやら「俺が正義だ」タイプ(ダーティー・ハリー風)の漫画らしい。


・昼下がり・

・現在、科哲の要約を作成中。落ち着けさとしっ、ききっ、気軽にやればいいんだっ。


・工事中であった冷房がついに運転可能になったらしい。

「5秒後に冷房始動っ!リモコンスイッチ用意っ!」

「了解!冷房作動リモコン準備よしっ。秒読み開始っ」

「5、4、3、2、1、スイッチONっ!」

「スイッチONっ。アチョ〜っ」(ビシっ)

(ウィィィ〜ン)

「はあ〜」

「極楽じゃあ極楽じゃあ」

・いかんいかん、レポートレポート。


・夕方・

・ちょっと寝た。今だレポートできず。苦しむ。


・夜・

・結局レポートはまだ完成せず。

「あかん、どないしたってわいにはできまへんのやっ」

・というわけで、帰る。また明日来ます。あああ、どないしょっ。


05/25/97(Sun)

・昼下がり・

・今日も昼まで死ぬほど寝てました。元気だが、うしろめたい。

・目指すこと。一日一善。考えていることをすぐに文章に出来ること、あるいはイメージではなくて、文字で考えること。

・もうすぐバンドの練習。


・イェーリングの『権利(法)のための闘争』を苦労して読み終る。ながながと同じことを繰り返しているのでほんとに疲れた。

・解説にあったが、彼もベンタムを読んでいたようだ。「ベンタムは個人的功利主義で、わたしは社会的功利主義だ」とか言ってたとか。

・短い本だが、ほんっとに疲れた。なんであんな本が世界中で読まれたんだろ?あっ、もしかして訳が悪いのか?


・夜・

・バンドの練習終わり。さ、勉強勉強。


05/26/97(Mon)

・真夜中・

・げっ。シジウィックの翻訳を試しにやっていたらこんな時間になってしまった。今夜は絶対に科哲のレポートを完成させねば。


・げっ。ひとりで寂しいので電話を掛けて話してたらこんな時間になってしまった。

・ちよっと寝よう。起きたらレポート。(完全に逃避モード)


・早朝・

・(寒くて)起きる。うう、ふとんが恋しい。


・朝・

・一応、科哲のレポート完成。諸先輩の御批判を請う。疲れた。

・ではちょっと喫茶店に。


・喫茶店で死刑廃止論の本を読んで再び怒り狂う。まあ、頭の体操にはちょうどいいが。そろそろ攻撃を開始する。


・昼過ぎ・

・あかんあかん、もう授業が始まるっ。シジウィックの訳をしている場合やないっ。

(う〜ん、なんか「ニセ」関西弁っぽいなぁ、ぼくが書くと…)


・昼下がり・

・居眠りせずに法学部の授業を最後まで聴く。えらいっ。(他の本を読みながらだったけど…)

・これから奥田くんとシジウィック読書会。ひたすら眠いのだが。


・夕方・

・読書会、中途半端なところで終わり。もうそれはそれは疲れたので帰ります。

(ああ、死ぬっ)


05/27/97(Tues)

・朝・

・(最近やたらと健康体になってきたので)力石にならって減量を開始。とりあえず間食を絶滅する。

・一日一善っ。


・昼・

・二コマ目終わり。レポート提出。

・ところで「異なる二つの地点で、物差しの長さが異なるかも知れない」って言う議論(相対性理論?)は、「昨日のぼくは今日のぼくとは違うかも知れない」っていう人格の同一性の議論と似ていると思いません?(え、全然違うって?)


・昼下がり・

・つ○○さんの雑誌のコピーの手伝い。

・現在、研究室に人が溢れている。


・夜・

・た○くん、○るたさんとお好み焼きを食べに行く。そのため某雑誌の編集者という方に会い損ねる。しまった。

・研究室に戻ると、しろ○○氏がいらしている。


・やっと一人になる。いや、みんなといるのは楽しいんですけどね。

・なぜか断水。そこら中のトイレも工事中だし。


・真夜中・

・腹減った。ううむ。やはり食べに行くか。


05/28/97(Wed)

・真夜中・

・『あしたのジョー』、カーロスが廃人になってホセ・メンドーサがジョーに会ったところまで。

・このマンガはすごく怖い。読んでいるとみぞおちのあたりが苦しくなって来る。

・とりわけジョーの存在感がすごい。ぼくはああいう人間にはとてもなれないだろうし、またなりたいとも思わないが、「あー、おれ、何してんだろ」って思っちゃう。

・(とにかく)名作。


・早朝・

・うー、ねむ。断水がまだ続いていて顔が洗えない。


・朝・

・久しぶりに力作、反死刑廃止論のページを作った。力の続くかぎり継続的に死刑廃止論を批判する。ぜひぜひ御批判を賜わりたい。

・ではちょっと朝ごはんをば。


・(寝不足だが)天気が良くて気持いい。やっぱりサンデーがおもしろいよなーっ。


・昼・

・授業授業。


・昼下がり・

・天気が素晴らしい。どっか外で寝たい。


・色々な人が研究室を訪れる。楽しいが忙しい。忙しいが楽しい。


・夕方・

・つ○たさん、○しむらさんたちと吉田山を散歩した後、中央食堂で晩ごはん。そういえばお昼を食べていなかった。

・食堂でぼくが「そこら中のみんなが口を動かしてご飯を食べてるっておかしいですね」というと、二人に「…こだまくん疲れてるんですよ」となぐさめられてしまった。

・可笑しいと思うんだけどなあ。(疲れてるのはほんとですが)


・そろそろ帰ります。明日は読書会が二つあるので大変。ま、帰ったら絶対寝るが。


05/29/97(Thurs)

・昼過ぎ・

・寝坊。相当疲れていたのか、目覚しにも気づかず10時間ほど爆睡。

・昨日死刑廃止のメーリング・リストに入ったのだが、これがどうも死刑廃止論の賛否を論ずる場ではなかったらしい。失敗。(どこそこの国で死刑執行がされたなどの情報交換をするだけ)


・夕方・

・奥田君とのシジウィック読書会を済ませて、遅い昼ごはんを食べに中央食堂に行った。

・適当に食べ物を選んでレジに行くと、「294円です」。

・え、おねぃさんそれはちょっと安すぎるのでぃは、と動揺しつつ、もらったレシートを見ると、確かに294円なのである。内訳を見ると、

というわけである。(ちなみにカロリーは626キロカロリー)

・いつもはこれに「サバのなんとか煮」とか「ホッケの開き」とかが足されるので、もう少し高いのだが、今日は夕ごはんのことも考慮してこういう選択になったのである。

・しかし、酒もタバコも麻薬もやらないし、肉も魚以外は食べない、という規則を持つこだまは、時々「なにか宗教とかやってんですか」と尋ねられる…


・夜・

・読書会終わり。もう帰る。また明日。


05/30/97(Fri)

・昼・

ぎゃっ。寝坊してしまったっ。

・二コマ目に30分遅れそうだったので、もういっそのこと喫茶店にでも行ってマンガを読んでいようかと思ったが、後でばれると(背後から忍び寄られて)殺されるかも知れないと思い、怒られるのを覚悟して授業に出た。うむ。これでいいのだ。


・夕方・

・三コマ目の授業が終って研究室に戻って来ると、えぐ○4級がいらしていた。こだまの反死刑廃止論が強力に論難される。むむむむむ。


・ベースのやつがレコード会社にテープを送るというので、ダビングをさせられたりカセットレーベルを作らされたりする。

・これからバンドの練習。それからベンタム読書会。


・夜・

・そいえば、よくぼくがマンガを読みに行くごはん屋さんがあるんだけど、こないだの火曜の夜にそこに行ったら軽音の人にばったり出会った。

・んで、その人はハードロッカーというか、ヘビメタリアンなわけです。それでは、そこでした会話の一部をここに再現してみましょう。

(ちなみに、このヘビメタリアンは基本的にはもう一人いた(ぼくと)共通の友人と話していて、ぼくは横で聞きながら『あしたのジョー』を読んでいた)

(ヘビ)「こないだ見つけたんやけど、ものすごい名前の中華料理屋見つけてなあ」

(友人)「ほお、どんなんどんなん」

(こだま)(え、カーロス廃人っ?)

(ヘビ)「中華料理『ルドルフ』」

(友人)「がははははっ」

(ヘビ)「ごっついやろ?マイケル・シェンカーにルドルフ・シェンカーっていう兄がおってな…」

(こだま)「あ、それやったらおれもすごい名前の中華料理屋知ってるけど…」

(ヘビ)「え、ほんまですか、こださん?」(年下の人にはこう呼ばれたりもする…)

(こだま)「うん。くくく。ほ、ほんまにあるんやけど。ちゅ、中国料理『アイ・シャル・リターン』」

(友人)「っだっはははは」

(ヘビ)「な、なんじゃそれーっ」

(こだま)「い、いや、烏丸の方にほんまにあんねん、これが…」


・中国料理『アイ・シャル・リターン』。ほんとにあるんです。烏丸の浜学園のそばに。初めて見たとき吹き出しました。ほんとに「なんやそれっ」っていう感じで。いつか一度行ってみるか…


・夜中・

・夜中のベンタム読書会終わり。『序説』の第一章ですず○氏と喧喧諤諤。いやあ楽しい楽しい。


05/31/97(Sat)

・真夜中・

・誰も来ない…。晩ごはんを食べてから団藤氏と対決するか。

・げ、雨が降ってるらしい。


・丑三時・

・『あしたのジョー』、カーロスが廃人になってジョーの前に現れ、その後ジョーがホセ・メンドーサと闘う前に、白木(だったっけ?)お嬢様が彼に「あなたが好きなのよっ」と告白するところまで。

・怖い怖い怖いっ。雨降ってるし、BGMはビリー・ホリデーの「奇妙な果実」だしっ。

・ほんとに『あしたのジョー』は怖い。大体結末を知っているだけに、なおさら怖い。(死んだ力石や廃人になったカーロスを追うようにして)宿命的に破滅して行く人間を見る怖さ、と言ったら良いのだろうか。しかも、どこかそういう姿に感動し憧れてしまいさえする自分に対する恐怖。死への衝動。メメント・モリグチセンセイ(イミナシ)。

・しかしほんとに怖いってば。(だんだん自分で自分をコントロールできなくなる恐怖…)


・早朝・

・うわっ。団藤氏批判に朝までかかってしまった。ねね、ねむいっ。(疲れていたので結構穴のある議論をしているかも知れない…)


・あまりに天気が良いので一人で吉田山を一周してくる。う、なんか恥ずかしいっ。


・昼・

・喫茶店で朝食をとった後、UNIXのお勉強。楽しい。しかし、こんなことをしていていいのだろうか、という一抹の不安は拭い切れない…


・夕方・

・バンドの練習終わり。二時間ぶっつづけでぼくのギターソロを録音していた。昨日ほとんど寝てないせいか、かなりハイだったので二時間がんばれたが、その後どっと疲れる。もう家に帰って寝よっと。

・昼過ぎに西部食堂(カフェテリア・ルネ)で、一回生の時に同じクラスだった人に出会う。ぼくのホームページを見たとのこと。照れる。

・そういえば、このページを見ているらしい現二回生の某嬢は、こだまのホームページを見て専攻を倫理学にしようと決めたとのことらしい。

(だ、誰だ「ええ〜っ」って叫んで手に持っているものを床に落した奴はっ)

・誠にうれしい限りだが、何か非常に冷や汗ものの話ではある。


・明日は(たぶん)来ない。


Satoshi Kodama
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Last modified: Fri Jan 22 06:50:26 JST 1999