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こだまの世界

---倫理学者のふしぎな日記---
不精ヒゲ、はだしにサンダル、→京大生

1997年6月後半号

1997年6月後半の主な話題


ご意見のある方は、 kodama@socio.kyoto-u.ac.jpまたはメイルを 送るまで。


06/16/97(Mon)

・昼過ぎ・

・昨日は風邪で一日中寝込んでいた。ホームページを更新しに来ないくら いだから、どれくらいひどかったか容易に想像されよう。

・なにしろ頭痛がひどかった。The Whoのキース・ムーンが頭に入り込んでドラムを叩いてるんじゃないかと思うほど苦しんでいた。

・そこで夜中に、電子体温計を用いて体温を計ってみた。

・「これだけ苦しんでいるんだから40度は下らないだろう。ワクワク」と なぜか高熱を期待しながらピーっていう終了音を待っていると、しばらくして その音がなる。脇の下から取り出して見てみると…:

---36.5℃---

・「ええーっ、それって平熱ーっ」とか言って一人で突っこんでしまった。とほほ。

・しかし朝が来て多少元気になったので、また体温を計ってみると、今度は35.6℃しかなかった。そうか、ぼくはもともと低温動物だったのだ。


・というわけで、とりあえず学校に来たが、頭痛は継続中。三コマ目はさぼってしまった。反省。


学生部の再編について

・学生部が事務局に編入されることになったらしい。吉田寮や西部講堂の住人たちが抗議活動を起こすのは必至。一波乱ありそう。

(ぼくは「その世代」ではないせいか、今一つ「自治」という言葉にピンと 来ないんだよなぁ。そもそも学生の側ではこれまでに勝ち取って来たものを失 わないように闘うし、他方当局側はこれまでに失ってしまったものを取り返す べく闘う。しかしもし両者ともが「学生のために」やっているのだとしたら、 なぜこんなに相手を不信の目で見合うのだろう?--前もこんなことをどこかで 言うか書くかして「甘い」と批判された気がする…)

(学園闘争って国王vs市民の闘いというか、「ミニ市民革命」みたいですよ ね。とすると根本的な問題は、当局側の決定事項に関してわれわれ学生が決議 権(選挙権)を持たないことが問題なのではないのかな。学生に投票権を!)

(さきほど革命の闘士○せださんにお聞きしたところ、そういった投票権を確立するのは大変難しいとのこと)


・昼下がり・

・頭痛がひどいっ。

・早速、


・夕方・

・(い○ださんも少し参加された)シジウィック読書会終わり。ちょっと喫茶店に。


・夜・

・頭痛が痛いっ。

・早速学生部について書いたことについて批判の メイルが来てしまった。ぼくも軽音のメンバーであり、軽音のメンバーは自動 的に西連協(西部講堂連絡協議会)のメンバーにもなってしまうのだ。そういう 人がこのような「おれは関係ないもんね」的な文章を書くとは余りにも情けな い日本の恥だこの非国民め…といったメイルが来たのです。

・確かに自分でも恥ずかしいんだけど、正直に言えば(正直に言わない方が 良いかも)、ぼくはこの手の問題に関心があるにはあるが、少なくとも現在は コミットしているという気はしないのだ。

・「コミットしてない奴はすなわち敵だ」などと言わないでね。選挙じゃ ないんだから参加する義務はないはず。がんばってる人には悪いけど、ぼくは ぼくで忙しいんだから、「わたしがこんなに努力してるのに、あなたは何にも していない。あなたはフリーライダー(ただ乗りする人)だ」という批判はされ る覚えはありません(いや、まだされてないけど)。

・もしぼくにやれることがあって気が向いたらやります。今言えるのはそ れだけです。

(やっぱりこの手の運動はなんといっても素人には「うさん臭い」んですよ ね。今回の件は学生全体に関わる重要なものになりそうだから、できるだけ多 くの素人学生が参加する運動にしないといけない。したがってそういう「うさ ん臭い」イメージによって学生が「ひいて」しまわないよう、賢い戦略を立て るべきでしょう。勝手な意見だけど)


・夜中・

・ロック読書会終わり。帰る。


06/17/97(Tues)

・朝・

・またまた学生部について書いたことについて批 判のメイルが来た。

・次は社会人の方からで、曰く、「学生運動を市民革命になぞらえるのは おこがましい。なぜなら市民はそれまで人権を持っていなかったが、学生は持っ ているではないか。おまえら恵まれてるんだからばかなことやってないでしっ かり勉強しなさい。母より」

(注:これは本人の言葉ではなく、あくまでこだまの言葉で書かれています)

・ぼくらの方が17世紀のイギリス市民や18世紀のアメリカ・フランス市民 よりも恵まれていて、多くの権利を持っていることは確かです。が、それにし てもこの大学内の政治体制はほとんど王制というか、僭主制というか独裁制と いうか…、いやそこまでひどくないんですけどね。たぶん。

・ま、後で又書きます。


・昼・

・二コマ目終わり。

・倫理学研究室にて学生部の話に花が咲く。政治的急進化進む。


・夕方・

・授業終わり。難しい話が続いたので頭痛がぶり返す。

・これから、い○ださん歓迎会をするらしい。こだまも行くらしい。


・夜・

・いせ○さん歓迎会終わり。教授・助教授にご馳走になりました。ごちそうさまでしたっ。

・4級や、おおた○大学な方(以後5級と書くことにするか)もいらしており、 久しぶりに楽しい飲み会でした。(ぼくは飲んでないけど)

(何人かはさらに二次会に行ったらしい)


06/18/97(Wed)

・真夜中・

・現在、久しぶりにあせってすることがない。ので、マンガを読んで寝ます。起きたらシジウィック(の翻訳)が待っている。わーい…。


・早朝・

・寝るつもりだったが、朝が明けるまで、お○だ文庫の『あしたのジョー』を全巻読み通してしまった。これから少し寝る。


・朝・

・ああ良く寝た。顔を洗ってちょっと喫茶店へ。


今日の革命情報(1)

・最近、教員・生協関係者・学生の三身分による議会が出来た らしい(三部会)。しかし、任期制問題にのみ関心のある教員と、食 堂の利用者の増進にのみ関心のある生協関係者と、新たに生じた学生部再編問 題にのみ関心のある学生との間には、ほとんど利害関心の一致が見られず、議 会は紛糾しているらしい。

・また、構内では学生部再編問題についてのパンフレットがあちこちで配 布されている。数あるパンフレットの内、学生の声を代弁するものとして特に 人気が高いのは、「学生身分とは何か。全てである」から 始まる阿部氏(どうも仮名らしい)のパンフレットである。


・昼前・

・どひゃー。ロックの英語もたいがい難しいと思ってたけど、やはりベン タムにはかないませんや。わけがわからんっ。

(久しぶりにベンタムを読んでの感想---『序説』は毎週読書会でちょっとず つ読んでるけど)


・昼・

・あ、そろそろ訪問者カウンターが4000になるな。わーい。

・ま、大目に見積もってぼくが1000回見てたとしても(そんなに多くはない と思うが…)、あとの3000回は他の人が見ていることになる。大体内訳を考え ると……いや、やはりやめとこう。

・ま、とにかく感謝感謝。三九。蟻ヶ党。檀家氏縁。(ばが)

・ただ今シジウィックの翻訳中。全然進みません。


・さて、昼ごはんにするか。(ところで)天気は朝からずっと曇りである。

・あ、今日京大は創立記念日(しかも百周年らしい)で休みなのです。いいでしょ。


・昼下がり・

・ちょっと一句詠む。

不精ヒゲ
はだしにサンダル
→京大生

・ちなみにこれらの条件に加えて、「小脇に『動物のお医者さん』を抱えている」という条件を入れれば、これらの条件を全て満たす集合の要素はこだまだけになる。(ばが)


・あっ、という間にシジウィック読書会終わり。次はロック読書会。明日もまた忙しい。


・夕方・

・ロック読書会終わり。眠いよーっ、ひもじいよーっ。

・というわけで帰って死ぬほど寝ます。また明日。


06/19/97(Thurs)

・昼下がり・

・昨日はぐっすり寝てしまった。シジウィックの予習が出来てなくて、お ○だくんに迷惑をかけてしまった。

・んで、これから倫理学入門書読書会の予習。急がねばっ。


・時間がないがちょっと昼ごはんを食べて来る。


・夜・

・読書会終わり。うむ、また気分が悪くなって来た。今日はこのまままっすぐ帰って寝る。(明日の予習が心配)

・倫理学研究室のうわさでは台風が来ているらしい。ふう、夏ももう終わりか(まさか)。


今日の革命情報(2)

・学生身分が三部会を離脱、狂大議会を開設する。すぐ に教員身分もこれに合流する(意見が分かれたらしいが、結局全員参加)。

・大学総長はこの議会を非合法集会であるとして弾圧するが、学生たちは 吉田グラウンドにおいて「狂大憲法が制定されるまでは解散しない」ことを誓 い合う(吉田グラウンドの誓い)。


06/20/97(Fri)

・朝・

・昨夜も爆睡していた。朝ふと起きると8時**分。

「えええっ、朝早く起きて某助○授のシェーラーの授業の予習をするはず だったのにぃぃぃっ」(説明調)

・どうやら目覚しに全く気づかなかったようだ。しかし寝すぎてもうとて も寝れない状態だったので、とりあえず朝ごはんを食べて風呂に入った。(い いかげん髪を洗わないと頭からカビが生えて来そうだったので)

・朝刊を読むと「台風7号近畿直撃っ」という見出しが目に付く。テレビを見ると、大阪は暴風・波浪警報が出ているらしい。ううむ、行くべきか行かざるべきか。

・しかし以前(06/06/97)雨が降っていたので授業をサボった時に、「これからは雨が降ろうと隕石が降ろうと人工衛星が落ちて来ようと阪急がストを起こそうと絶対に授 業はサボりません。宣誓。休んだら死にます」と書いてしまった手前、そうそう休むわけには行かない。

・というわけで、「たとえこの身が朽ち果てようとも○助教授の授業に出ねばっ」と悲壮な決意をして家を出た。

・途中、傘は折れるは看板は飛んで来るは電車は脱線するは女性のスカー トはまくれ上がるは猫はこたつでまるくなるはでそれはそれは大変だったが、 なんとか無事に学校にたどり着いた。

・が、がっ、なんとっ、肝心の某○教授が来ていないではないかっ!みん な研究室にすでに集まっているというのにっ!

(……きゃつめ、日和ったな……)

・ま、警報が出れば休講になるのは当り前の話であろう。無理して来るん じゃなかった。


・昼過ぎ・

・三コマ目のシェーラーも休講。わーい(うそ)。

・外は台風が来ているとは思えないのどかさ。ちょっとマンガでも読んで シジウィック読書会の用意をしよう。


夏休みの計画

・う〜ん…。なんだかとっても楽しそうな夏休み。あと旅行なんか行けるといいんだけど…。(注:京大文学部の通年授業は来週いっぱいで終わりです)


・夕方・

・い○ださんと4級がいらっしゃる。

・本棚を買うと言われるので4級にお供して中央生協に行ったが、ちょっと したいざこざがあり、本棚を買うことは断念。4級は生協のおばさんの「生協 のメンバーでなければ人でなし」という態度に大変ご立腹の様子であった。さすが にあれはちょっとひどい。


・シジウィック読書会終わり。ちょっと早いがごはんを食べてバンドの練習に行く。


・夜・

・バンドの練習終わり。今日は二人でちまちまやってた。次はベンタム読書会。


・ところで最近プラトンの『国家』を読んでいる。(そういえば、某氏に 「『国家』も読まずによく院に入れたねえ」と言われた…)

・国家を読むと、正義についてこれまで抱いていた素朴な信念が非常に動 揺させられる。とりわけグラウコンや兄のアデイマントスの不正を讃える話 (第2巻)は秀逸である。はたして奇人ソクラテスはこれを十分に論駁できるの であろうか。(そこまでまだ読んでいない)

・生粋のワルになりたい人にお勧めの本かも知れない。


・ベンタム読書会終わり。5級が来なければ一人で夜ごはん(何回食ってんだしかし)を食べに行く。


今日の革命情報(3)

・遂に圧政の象徴であった時計台が、暴徒と化した学生 の一群によって占拠される。他学部でも相次いで暴動が起きる。

・身の危険を感じた総長は密かに盗大に脱出しようと試みるが、JR京都駅 で東京行きの新幹線の切符を購入しているところを狂大の学生に発見され、狂 大に連れ戻され時計台に幽閉される。

・この措置に怒った盗大総長は発句大、盗発句大、仇大の総長らに呼びかけて 対仏(ぶつ)大同盟を結成。図書館の相互利用を拒否したり、 狂大からのインターネットによるアクセスをブロックしたりすることで、狂大 に対して圧力をかける。(なお、仏という文字を用いたのは、京都に寺社が多 いためかと思われる。いずれにせよ、余りにもくだらない語呂合わせである)

・盗大総長のやり方に反発した盗大駒場寮の一部の学生が、「義勇軍」と 名乗って自転車で狂大へ向かったが、箱根の山を越えられずにすごすごと帰っ て行ったらしい。(このような情報が狂大で流れているが、情報源がはっきりしない ので、あるいはガセネタかも知れない)


06/21/97(Sat)

・真夜中・

・夜ごはんを食べながら、本宮ひろしの『雲にのる』を読む。それにして も、昔の人は天国とか地獄とかよく考えついたものだよなぁ。それでまたその 天国やら地獄やらの内容がやたらと詳しいの。あきれるくらい。昔の人はよっ ぽどひまだったんでしょうねぇ。おっと、今の哲学者も同じようなことをして るかも知れないか。


・ううむ、熊本大学の倫理学科ではベンタムの演習をしているらしい。う らやましい。

(ちなみに熊本大学の人達も「ベンサム」ではなく「ベンタム」と呼んでい るようである)


・早朝・

・すさまじい直射日光によって否応もなく起こされる。暑いってば。


・とっても天気が良いので少し散歩をして来る。


・朝・

・外に出てついに夏が来たことを知る。があああっ。


・昼過ぎ・

・ロック読書会終わり。やっと第一巻の第二章を読み終わった。

・んで、これからバンドの練習。今日は貸スタジオに入っての練習である。


・夕方・

・バンドの練習終わり。メンバーの一人が2時間の練習に1時間15分遅刻し て来る。彼の神経はぼくにはほとんど信じがたいが、まあ、ぼくの基準で計って怒って も仕方ないとも思う。

(それとも、「ぼくならそんなことはしない」という理由で人を怒るのは正 しいのだろうか?)

・では帰る。げっ、雨が降って来た。(夕立ちでした--ほんとに夏!)


06/22/97(Sun)

・朝・

・昨日はあれから帰るはずが、バンドのメンバーと三条でボーリングをすることになる(2回やって、4人中4位と1位)。そのあと居酒屋で飲み食いして結局帰ったのは12時前。

・ま、たまにはこういうのも良いものです。(お金がまたなくなったが…)


・昼前・

・シジウィック読書会終わり。これから(ソウル)バンドの練習。


・昼下がり・

・バンドの練習が終わって、研究室でしばらくぼおっとする。ねむい。


・宵・

・ロック読書会。終わり。ごはん食べて帰ります。また明日。


06/23/97(Mon)

・昼・

・ゆっくり寝て昼からくると、学生たちが中央食堂の前でメガホンで叫び ちらしつつ、ビラをばらまいている。よく見ると、アメリカ帰りのいせ○さん もビラを配っていたりする。(い○ださんは現在吉田寮で生活しているらしい)

・実は明日、前に書いた「学生部再編問題」の決議(最終決定)が学生抜き で行なわれるのだそうだ。そこで、これは大変いざ鎌倉、と学生たちは激しい 抗議活動を行なっているようだ。ううむ。

・どうやったらこの決議を中止させられるだろうか。ぼくならなんとかマ スコミを呼び込む方法を考える。マスコミを呼ぶために一番手っ取り早いのは 全学ストライキであろうか。時計台の前で誰かがガソリンをかぶって炎上死す る、というのもインパクトがありマスコミ受けは抜群であろうが、これはやっ てくれる人を見つけるのが大変であろう。

・それで、マスコミを呼んでテレビで窮状を訴える。(京大生の一部は誇り にしているが)ぼろぼろの吉田寮や西部講堂の自治組織のことを強調すると逆 に「なんだこれは。つぶせ」と反感を買ってしまう可能性があるから(ない?)、 特に学生を全く無視した密室談合と自由の蹂躪を強調する。

・また、「これは日本の天安門事件だ」「総長は専制君主気取りで学生を 意のままに操ろうとしている」「これは悪質な管理教育の典型だ」などとセン セーショナルな発言をする。

・他のアイディアとしては、(ありきたりだが)インターネットで世界中(の 大学)にこの問題を訴えかけ、署名を集める。プロのバンドの呼んで来て、西 部講堂で『学生部再編反対コンサート』を開く。軽音は24時間焼け跡(西部講 堂の前の、以前あったサークルボックスの焼け跡地)でライブをする、等々。

・それにしても、吉田寮や西部講堂だけでなく、サークルボックスを現在 所有しているクラブにとってもこの問題は死活問題のはずなのに、大規模な運 動になるのがちょっと遅すぎた感がある。(このまま行くと、サークルボック スは現在のように24時間使えなくなり、しかも他のサークルとの共有になる可 能性があるらしい)

・ま、偉そうなことを言えた義理ではない。あまり参加しなくてごめん。


・昼過ぎ・

・また法学部の授業をサボってしまった…。

・あっ、サボると言えば、次の金曜日、オーディションのリハが2時半からなので、○助教○のシ○ーラーの授業が出れないのだっ。ああ、すいません、しっかり当たってるのにっ…。

(本番は8時すぎになりました--来てくれる方はそのつもりでいらして下さい)


・夕方・

・結局、応用倫理学での死刑廃止論の発表はぼく一人ですることになりそ うだ。(死刑廃止以外のテーマをされる方々は大体複数でやる)

死刑が面白いテーマだと思うのはぼくだけなのだろうか?

・これからシジウィック読書会。


06/24/97(Tues)

・真夜中・

・ちょっと考えるところがあって、ベンタムの『行為の動機の一覧表』の草稿部分の「功利性は利己的でない」という部分を試訳してみた。

・この手の文章を読むのは大変だとは思うが、「え、功利主義っ て利己主義のことじゃないの?」と考えている方は、ぜひ一読してい ただきたい。べつにぼくは利己主義を勉強しているわけではないのである。


・夕方に5級(注:別名「おおた○大学な方」)がいらっしゃって、いろいろ と書類をプリントなされる。それが済んでから中京の郵便局に行かれて、また 戻って来られ、それから○せださんとぼくの三人で夜ごはんを食べに行く。い せ○さんにアメリカの大学事情などのお話をうかがう。

・明日の科哲の予習がまだなので、そろそろ一度寝てから勉強する。


・早朝・

・よく寝た。また忙しい一日が始まる。


・朝・

・まじめに一時間半ほど科哲の勉強をする。リーマンだとかピーマンだとかヘルムホルツだとかポワンカレーだとかククレカレーだとか…いや、もうやめよう。

・ちょっと喫茶店に行こう。


・喫茶店で朝食を食べながら、倫理学入門書読書会で次に読む予定の「利 己主義」を途中まで読む。おもしろい。

・なんのかんの言っても、道徳的な葛藤あるいは選択(「授業に出るか、そ れともサボるか」など)の本質は、どの行為が「自分の幸福」を促進するのに もっとも役立つかどうかを見定めることだと思う。言いかえれば、どの行為が 自分の利益の最大化に役立つかという観点で、選び得る行為を比較考量するこ とだ。

・また逆に言えば、道徳的な葛藤は、決して「自分の幸福vs他人の幸福」 というものではないと思う。あくまで、どれが「自分の幸福」を最大化するか のはずだ。(が、もちろんこれは功利主義の教えではない--功利主義の人間観・ 事実認識ではあるが)

・ま、それにしてもやっぱり倫理学で教える利己主義っていうのは、一般 に言われている利己主義とは違うんだろうなぁ。ぼくなんか全然「利己主義」 という言葉にマイナスイメージを持ってないし。

・倫理学的な(あるいは心理学的な)利己主義と日常の利己主義を区別する ために、新しい言葉を作るべきなんだろうか。それともこのままで通して、倫 理学的な利己主義を、「利己主義」という言葉の主たる意味にすべきなのだろ うか。


・昼・

・科哲で夏休みの宿題が出る。あなうれし。


・夜・

・二、三、四コマと立て続けに出て、さらにロック読書会もやって、ひた すら疲れる。これからごはんを食べて帰る。また明日。


・真夜中・

・と、上のように書いて帰ったはずだった。

・しかし、ただめしの食いたさのために、読書会が終わった後、教授・助 教授や今日発表されたいせ○さんらが飲み会をしているところにふらふらと参 加してしまったため、結局遅くなって今夜もここに泊まることになった (無理をすれば帰れたのだが、明日も読書会などがあるし…)。

・というわけで、服が汚い(身体も…)。明日生協ででもTシャツを買おう。

・飲み会のときにか○う教授が、「ある哲学者の著作の日本語訳が悪いと、 日本におけるその哲学者に関する研究がまるっきりダメになる可能性がある」 というようなことをおっしゃっていた。翻訳の重要性を再確認するとともに、 現在進行中のシジウィックの翻訳が、そのような悪い結果をもたらさないよう に、心してかからねばならないと思った。


06/25/97(Wed)

・真夜中・

・少し寝て、起きてからシジウィックの訳を作ろう。そういえば、昨夜もこんなことを書いてたっけ。


・早朝・

・うう、良く寝た。あ、昨日の朝とまた同じことを書いてるっ。ぼくは昨日のぼくではないっ(人格の非同一性)。

英語のページを少し更新したが、 やはり英語を書くのは時間がかかるし疲れる。また、どうせ外人が見ることも そうそうない、と思うとあまり書く気にはなれない。


・朝・

・シジウィックの翻訳。なかなか快調。


・朝、ひげを剃りながらふと考えたこと・

・アゴが二つに割れている人って、ひげ剃るの大変じゃなかろうか。


・ちょっと朝ごはん。


・昼前・

・実は、先週の週末に久しぶりにリンリー教授に出会った。

・その際に、ある大学での倫理学の授業について(ホームページに授業の内 容が載っていた)、いろいろとお話を聞いた。そこで、ここ何日かその内容をまと めていたのだが、あまりに過激な内容であったため、結局発表を見合わせるこ とにした。(引用をしてリンクを貼ると、本人の承諾をとる必要が出て来るし…)

・しかし、ちょっともったいないので、冒頭の部分だけは載せておくことにする。

・時間のある方は、どこの大学の話か考えて、実際にインターネットで本 文を見ていただきたい。リンリー教授も激怒して、(いつものことだが)電車の 中なのに大声で「こんなやつ、今すぐ○○だっ」とか叫んでいたのだが、ぼく もぼくで最近相当苛立っていたのである。


・夕方・

・三コマ目に出て、その後シジウィック読書会。


・そろそろ帰る。ああ、やっと家に帰れる。

(風呂にも入れる…)


06/26/97(Thurs)

・昼下がり・

・昨夜は久しぶりに帰省したせいか、昼前までグッスリと寝てしまった。

・そのため、昼過ぎから予定していていたシジウィック読書会をキャンセル。お○だ君、ごめんなさい。


・リンリー教授から、「なんで最後まで掲載せえへんのや」というお怒り のメイルをいただく。とりあえず「保身のため」と答えておく。


・夕方・

・午後6時からの読書会の準備に忙しい。

・またリンリー教授からメイルが来て、「それやったらしゃあない、わし が『利己主義と功利主義の違いに関する対話』という文章を書いてやろう。一 週間ほど待っとれ」と書かれてあった。すいません。ありがとうございます。


・夜・

・読書会終わり。これから「さよならい○ださん、日仏のフジタで飲んで騒いで送迎会」に参加する。


06/27/97(Fri)

・朝・

・早朝からドイツ語を勉強する。

・今日はついにオーディションの日だ(練習はしていない)。お昼から大阪 は西九条というところに行く。

・それでお昼過ぎにリハーサルがあるのだが、ドラマーともう一人のギタ リストは仕事のために来れない。ううむ。それでいいのかっ。

・ま、結果は今日の夜中にこのページに載るでしょう。


・昼・

・では、こだま三等兵、行って参ります。


06/28/97(Sat)

・真夜中・

・いろいろあったので、順を追って書く。

・まず、昼にベースのやつと百万遍の第一勧銀の前で待ち合わせをして、出町柳へ。このときぼくは歩き、彼はチャリだったのだが、これが後に二人の運命の明暗を分けることになる。

・出町柳から京阪電車の特急に乗って、一路大阪は京橋まで行く。京橋で 降りると、バンドのピアノのやつに出会う。実は同じ電車に乗っていたのだ。 ありがちありがち。

・それからJR大阪勘定線、じゃなかった、環状線に乗って、目指すは西九 条。これがまた結構遠い。着いて西九条の駅を降りるとすぐにライブハウスが ある。(すぐもすぐ、高架下にあるのだ。ライブハウスの中に入ると、当然な のだが、電車が来るたびにごとごと揺れる)

・かなり早く来すぎてしまい、リハーサルまで腹を空かせて二時間以上待 つ(ばか)。会社員のドラマーとギターのいないリハーサルを適当に終わらせて、 超遅い昼ごはんを食べに外へ出た。

・昼前の二コマ目のブレンターノの時間に、なぜか「ああ酢豚が食べたい」 と思ったので、豚肉を食わないという禁を破って中華料理屋に行った。そした らやっぱりまずかったので、結局「二度と食わないぞ」と誓うことになった。


・さて、ここからがすごい体験談になる。

・西九条の駅からちょっと歩くと、すぐに潮のにおいがする。周りを見る と、港にありがちな倉庫がたくさん立ち並んでいる。

・そこで「あ、近くに海があるんだな」と思って、ベースのやつとそこら を散歩してみると、実は海ではなくて、海にすぐにも繋がると思われる大きな 川がある。後で知ったのだが、安治川という川である。(おそらく「あじがわ」 であろう。「やすはるがわ」だと面白いのだが)案の定、貨物船がそこら中に 停泊している。

・さて、ふと見ると、川に面して三階立てぐらいの古ぼけた茶色の建物が 立っている。二人とも、それを見て最初は「これも倉庫であろう」くらいにし か思わなかった。

・しかし、もうわかった方もいるかと思うが、実はその建物は倉庫ではな かったのである。

・しばらく何気なくその建物を見ていると、どうみても従業員ふぜいには 見えない、おっちゃんや学生やこどもなどが、自転車に乗ったり歩いたりして その建物を出たり入ったりしているのに気づいた。しかも良く見ていると、そ の出たり入ったりしている人達は、一般人には変わりないが、行きと帰りとで は微妙に違う人なのである。

・ぼくは、あっと思って向こう岸を見た。すると向こう岸にも似たような 茶色の三階立てくらいの建物があるではないか。ベースのやつもそれに気づい たようである。「まま、まさか…」

・かすかな不安と期待を胸にその建物のそばに行ってみると、大きな字で 「安治川とんねる」と書いてあり、古くさい大型のエレベータの前に数人の一 般人が自転車を支えたりしながら待っている。

・な、なんと、この建物は川の下にある地下通路への入口だったのだっ!

・川の下のトンネルとは、本当に恐れ入りました。想像を絶するとはまさ にこのこと。もうこれはもはや007の世界ですってば。思わず意味もなく友達 と二人でそのエレベータに乗っちゃいましたね。

・そしたらちゃんとエレベータのお兄さんがいて、朝の6時から夜の10時ま で動いてるの。他に、階段もあるから、24時間向こうに渡れます。地下は結構 深い。

・エレベータを降りると、シンとした地下通路が延びている。恐ろしいこ とに、地下通路の壁は一面水滴が付いて、濡れている。

・「な、なんだこれはっ。ちょっとちょっと。なんかやばくないのかっ」 などと思うが、他の人達は一向に平気である。端まで着くと、またエレベータ に乗って地上へ。

・外へ出て、このトンネルについての説明書きがあったのでそれを読むと、 この「安治川とんねる」はそれまでの川の上の橋の代わりに、昭和19年に作ら れたらしい。すごい。すごい。しかも大阪名物らしい。ぼくはいままで全く知 らなかったが。

・帰りはまたエレベータに乗るとエレベータのお兄さんに遊んでいること がばれてしまうので、階段を上り下りして戻った。とにかくすごい疲れる階段 である。異常に長い。

・ほんとのほんと、まだ行ったことのない人は「安治川とんねる」を体験しに行くべし。絶対後悔しません。

(ま、一度行って帰って来れば、必要でないかぎりもう二度と行く気にはならないと思うけど…)

(猛烈に眠いので、このあとの話はまた後で)


・早朝・

・それから、ドムドムバーガーなるところで時間をつぶして、再びライブ ハウスへ戻ると、そろそろ一つ目のバンドが始まる頃。

・自分らも客席で観ようと客席へ行くと、○くだくんと彼の妹さんがいら している。しばらくすると4級もいらっしゃる。5級は諸々の都合により来れな くなったそうだ。残念。

・オーディションは、10分で2曲演奏して、その後にいわゆる「関係者」の方々 がコメントする、というもの。採点表みたいのは後で送って来るらしい。

・ま、そんなこんなで自分たちの出番になったんだけど、ぼくとしては非 常に楽しくやれたんですけど、やっぱり「関係者」が求めているような音楽と は違うみたい(もちろんそういう問題だけではないが)。かなり厳しいコメント をいただく。

・特に痛かった批判は、「自分らだけが楽しむだけでなく、客をどうやっ てのせるかを考えなくちゃならん」て言われたんだけど、ま、良く考えてみれ ば、それがわかってりゃ苦労しないって。


・とにかくそんなこんなでライブが終わり、バンドの連中とおく○兄妹と 一緒にごはんを食べてから、京都へ戻る。

・出町柳に帰って来ると、なんとベースのやつのチャリがない。どうやら 盗まれたらしい。かなりブルーズ。ご愁傷様です。

・それから、ベースのやつとピアノのやつと三人で、延々2時間ぐらい道端に座ってバンド論を論じる。

・「なんのためにオーディションを受けたのか」「何を表現したくて音楽 をやるのか」「ライブをするのは何のためなのか」「これからどうするつもり なのか」といった、かなり答えにくい質問が連発される。

・ぼくとしては、こういった問題にあまりはっきりとした答えを与えたく はないし、逆にはっきりとした答えを与えることでバンドは崩壊に繋がってし まうのではないかと思う。

・だってこれって、彼女に「なんのために自分たちは二人でいるのか」と か「君は本当にぼくのことを愛しているのか」とか「これからどうするつもり なのか」とか言って、決断を迫るようなもので、もしかしたら尋ねることで全 部を(不必要に)台無しにしてしまうような質問なのかも知れないでしょ。世の 中、はっきりさせないほうが良いこともあるんじゃないでしょうか。

(もう一つ、こういう比喩を。あるところに敬虔なキリスト者がいました。 彼は、神の存在を証明しようとして、全ての学問を学び、世界中をくまなく旅 しました。しかし、その結果彼が得た答えは皮肉にも、「神は存在しない」と いうことでした。彼は「こんなことになるのであれば、最初から何もしないで ただただ神を信仰している方が良かった」と大変悔やみました)

(ま、こういう問いがなされるのは、うまく行っていない証拠なんだから、 「答えられない」というだけでなく、どうしたらうまく行くかを真剣に考えな くちゃいけないんだけど)


・それにしても、なんでオーディションを受けたんでしょうね。プロになっ てレコード出したいから?けど合格したら合格したで、会社勤めのメンバーや大学 院生のぼくなんかは大変な決断をしなくちゃいけない。

・ま、ぼくも他のメンバーもそこまで真剣に考えてないよなぁ。「受かる 前にあれこれ考えてもむだ。受かってから考えりゃいいじゃん」って。こうい う考えだから受からない、という説もあるが…。

・とにかく、いろいろ考えるきっかけになったし、関係者にコメントをい ただく、というのは初めての経験だったしで、ぼくにとっては有意義な出来事 だった。


・朝・

・また台風が来ているらしい。梅雨のはずなのに、なんなんだいったい。


・昼・

・ロック読書会終わり。なかなか進まない。


・昼下がり・

・これからバンドの練習。雨雨雨。


・夕方・

・バンドの練習終わり。雨が降ったり止んだり。そろそろ帰る。


06/29/97(Sun)

・昼下がり・

・昨日は15時間ぐらい(!)爆睡。疲れてたんです。

・んで、昼過ぎに起きると、台風はとうの昔に去っており、新聞を見ると、 例の猟奇的殺人事件の犯人が実は中三の男子生徒だった、というので大騒ぎに なっていることを遅まきに知る。


・夕方・

・んで、昼下がりに学校に来て、今までロック読書会。

・さあ、これから夏休みだからいろいろ勉強しないとっ。


・夜・

・今、外で友人に会って話したところ、学生部再編反対の活動はまだまだ 活発に続くらしい。大学をお祭り騒ぎにして学生の気を引き、さらにマスコミを呼ぶ、 というような戦略があるようだ。(しかし夏休み前にやらないと意味がない)

・無責任なぼくが考える戦略はこうだ。まず、学生が「教員任期制導入」に一 緒に反対するという約束と引き替えに、教員に今回の運動に加わってもらう。

・また、「吉田寮の寮生は、今後毎日三食を生協の食堂で食べる」という約束と引き替えに、生協を味方に付ける。(具体的には食堂に「学生部再編反対」の三角ポストを置かせてもらう、生協誌の「らいふすてーじ」にこの件に関して特集を組んでもらうなど)

・それで、この問題が長引くのであれば、NF(京大11月祭)実行委員も買収 して、非常に政治色の強い文化祭を行なう。メインテーマは「自由か死か〜京大は京大生のものである〜」。

・ま、なんにせよ、これからどれだけ学生と教員とメディアを運動に引き入れられるかが勝負であろう。


・真夜中・

・げっ、いつのまにかもうすっかり遅くなってしまった。シジウィック読書会の用意をしないといけないのにっ。

バスで聞いた馬鹿な話。あ まり気分の良い話ではないので注意。


06/30/97(Mon)

・真夜中・

・う〜む、寝れない(当り前)。『動物のお医者さん』をついに全巻読み終 える。面白いが、一気に全部読める本ではない。


・少しシジウィックの翻訳をする。そろそろ眠くなって来た。


・早朝・

・起きる。腹減った。あ、もう明日は7月か。香港が中国に返還される(らしい、ということを3日前に知った…)。


・昼前・

・リンリー教授からメイルが届いた。

「忙しくてなかなか書けへん。とりあえず導入部分だけ書いたんで送るわ。君 のホームページに載せといてくれ。ま、だいたいうちの大学のほんまの話やね んけどな、一応フィクションにしといてくれ。つづきはまたそのうち送るわな。 ほな」

・というわけで、一応フィクションである。


・昼過ぎ・

・これまでの一連の連続殺人もこの淳君を殺害した少年の仕業ではないかと、マスコミは大騒ぎである。うむ。これではとても京大にはマスコミを呼べんな。

・識者と言われる人が総動員されてこの件に関してコメントをする。容疑 者の少年の過去がどんどん暴かれる。みなが少年をもっと良く知りた がっているもっと良く理解したがっている。な んだか非常にアイロニカルな状況。

・また、エヴァンゲリオンの時のように皆が謎解きにやっきになっている。 殺人者の心理を分析したがっている。ひょっとすると容疑者の少年は、この時 代に産まれるべくして産まれた殉教者として祭り上げられるのではないだろう か。しかし彼は決して義務教育が生み出した異端児なのではない。地震が生み 出した奇形児でもない。このことを強調しなければ責任の擦り付け合いになる。

・とか言って。つい調子にのって口をはさんでしまった。けど、こういうときに立派な倫理学者だったらどうするのだろうか。どんなことを言うのだろうか。

(何を言っても陳腐になりそうだし、そうかと言って何も言わないのも立派な倫理学者らしくない気がする)


・昼下がり・

・シジウィック読書会終わり。遅刻反対っ。

・疲れたのでそろそろ帰って寝ます。ま〜たあ〜し〜たっ。


Satoshi Kodama
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Last modified: Fri Jan 22 07:03:56 JST 1999