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こだまの世界

---倫理学者のふしぎな日記---


97年12月後半号

12月後半の主な話題


ご意見のある方は、 kodama@socio.kyoto-u.ac.jpまたはメイルを 送るまで。


12/16/97(Tuesday/mardi/Dienstag)

・昼下がり・

・下宿の部屋に最新鋭の第6ガラクタ部隊が投入される。部屋はガラクタに ほぼ占領されてしまった。おれの部屋、絶体絶命!!

・昨日は高槻で冬期講習の打合せ。その後、実家の方に帰る。掃除など。


・夕方・

・ロック読書会。私物のイースーを持ちこむ(パイプ・イースーで長時間座 るとやはり腰が痛くなる)。そいえば、前にオブン・トスタも持って来たので、 マガリンかバタを買えばモニングを食べに行く必要がなくなる(マンガは読め なくなるが)。


・例のチロルチョコは、最近50円 に値上がりしたらしいが、ついてはこの情報が真実(マミ)であるかどうか調べ てもらいたい、というメイルがわが研究室に舞い込んだ。

・もしこれが真実(マミ)だとすれば、これは全国の小学生、中学生、高校 生、および(ごく一部の)大学生に関わる非常に深刻な問題であり、われわれ (ごく一部の大学生)としては即刻真相を究明する必要がある。そこで、より詳 しい情報を握っている方は直ちにメイルしてもらいたい(駄菓子屋のおばちゃ んがこの任務に最適かと思われる)。


・夜・

・机2脚到着。以前までの事務机に比べると「未来デスク」という感じがする。

・中央購買部で粉末ココアを買って来たが、研究室にスプンがないので適 当に入れると、水のように薄いココアが出来た。…。せせ、先生っ、け、けけ け研究室にスプン、スプン、スプンをっ。


・新型机が来たので、とりあえず配置替えのようなことをしてみた。う〜 む、コンセントの数が問題だよなあ…。


・そいえば、もう授業ないんだよなあ。冬期講習が始まるまで久しぶりに 時間に余裕があるので、この間に死刑廃止論を進めとかないと。


SF。ミシガン大学には、SF(とファンタジー)文 学の研究のコースがあるみたい。SFあなどりがたし。


12/17/97(Wednesday/mercredi/Mittwoch)

・真夜中・

・ううーっ。猛烈に眠いっ。ので、とりあえずガラクタ軍占領下の下宿に 戻って寝ます。


・朝・

・少し雨。


・お昼・

・OAラックが到着。一台だけ。もう一台注文すべきだったのかもしれない が、注文したときにはPCが研究室に三台もある状況は予想されていなかったの であろう。

・お腹がすいたのでとりあえず昼ごはん。


・昼下がり・

・久しぶりにCDを購入。

・G. Love & Special Sauce, Yeah, it's that easy, 1997, 1993yen.

・ある信頼できる筋からの情報によると、やはり チロルチョコは値上がったらしい。少し大きくなって、値段は一個20円に なったそうだ。昔は、30円で「長いチロル」が売っていたが、ひょっとすると これが50円になったのではないか。

・ちょうど、今日駄菓子屋に行く用事ができたので、この目で確認するこ とにする。情報感謝。


12/18/97(Thursday/jeudi/Donnerstag)

・お昼過ぎ・

・昨日は高槻。古本を買ったり、駄菓子屋に行ったりして来たが、その報 告はまた後で。

・とりあえず急いで倫理学入門書読書会の準備をしなくては。


・昼下がり・

・といいつつ、JRの切符を買ったり、哲閲で本を借り出したり。


・夕方・

・カントとロールズの比較の話。難しい。というか、無知ゆえの苦しみ。 ロールズって…、誰?


・夜・

・倫理学入門書読書会終わり(「カント的倫理学」最終回)。その後、皆で お好み焼き屋に行く。

・ひたすら眠い。研究室にオブン・トスタとマガリンとバタ・ナイフとト ストが揃ったので、これで明日から研究室で朝食が食べられる。むふ、むふふ ふふ…。

(↑自己批判せよっ)

・昨日富田の古本屋で買った本。


・今日哲閲で借りた本。

・頭痛。むむ。


駄菓子屋レポート

・というわけで昨日駄菓子屋に行ったのだが、なんとここには小学生の主 食、チロルチョコがおいてなかった。駄菓子屋のおばちゃん曰く、「 夏はチョコレートは溶けるからねえ」。

・ちょちょ、ちょっとちょっとちょっと。もう真冬ですってば。…しかし、 さすが駄菓子屋のおばちゃん。十年一日とはよく言ったものである。

・ま、それはそれとして、おばちゃんの話によると、最近の小学生には全 般的にチョコレートは流行らないんだそうである。さらに、おばちゃんによる と、チロルチョコの値段はまだ10円なんだそうである。む。謎が深まる。これ でチロルチョコに関する三つの仮説が出たことになる。

  1. 50円説
  2. 20円説
  3. 10円説

・さて、駄菓子屋に行って何も買わないのもなんなので、以下のアイテム を購入した。

・駄菓子は色が毒々しいのが多く(特にカットよっちゃん)、こんなものを 食べていると寿命が予定よりも早く尽きてしまいそうである(特にカットよっ ちゃん)。


・それはともかく、こういう事態を予想して、わたしにはもう一つの計画 があったのだ。もしもの時に備えて、常に予備の計画を立てておくのがわたし のポリシーである。

・実は、観察力の鋭いわたしは、京大の中央購買部のレジのところにチロ ルチョコらしきものが売っていることに気づいていたのだ。そこで早速わたし は確認のために中央購買部にごく普通の客のふりをして潜入してみた。

・目立たないようにススススッとレジの側に忍び寄る。…あ、あった!

・プラスチックのバスケットの中に無造作に10数個のチロルチョコが入っ ている。わたしは震える手でチロルチョコを3個ほど鷲づかみにし、さりげな くレジにおく。「31円です」

・(x円×3個+3x×0.05=31円)

・…な。なんと。まあ。大穴と思われた駄菓子屋のおばちゃんの意見が正 しかったのだ。…といっても、もしかしたら大きい20円のチロルチョコやさら に大きい50円のチロルチョコや、もっと大きい1万円のチロルチョコなどもあ るのかも知れないが。

・とにかく、これで一応事件は解決した。とりあえずこれで、3000円落し たときに「チロルチョコが300個買えたのにぃぃぃ」という表現をすることは まだ有効であることがわかった。

・それがどうした、と言われればそれまでだが。


12/19/97(Friday/vendredi/Freitag)

・真夜中・

・そいえば、昨日高槻の市役所に行ったが、話によると日本には国民年金 という素晴らしい制度があって、ぼくもお金を払わねばならないそうだ。国民 年金は20才から払う義務があって、知らない内にぼくはすでに20数万円の借金 をしているのだそうだ。しかし、今後の分は免除手続さえ忘れずにすれば払わ なくても済むんだそうだ。ああ。国民年金。なんて素晴らしい制度なんだろう。


・ねむ。そろそろ下宿に戻る。起きたら洗濯と実哲研の合評会の予習をせ ねば。


・お昼・

・朝起きて洗濯。某嬢から借りていた土屋賢二の『われ笑う、ゆえにわれ あり』を読了。なかなか。

・突然、「倫理学者は心理学も学ばねばならん」という啓示が下ったので、 とりあえず部屋にあった宮城音弥の『人間性の心理学』(岩波新書、1968年)を 手に取る。日付を見ると、94年に買って、最初の20頁ほど読んだ形跡がある。 鉛筆でいろいろ線を引いたりしていておもしろい。一種のタイムカプセルである。


・昼下がり・

・昼ごはんを食べたついでに、古本を買う。


・夕方・

・哲閲で、Ernest Albee, A History of English Utilitarianism, Sonnenschein, 1902, Ethics/F/63.を借り出す。

・8階の廊下に廃棄のシールが貼ってある肘掛け椅子が二つあったので、会 計の方に頼みに行って譲ってもらうことにする。有効利用と言えば聞こえはよ いが…。


12/20/97(Saturday/samedi/Sonnabend)

・真夜中・

・夕方にちょっと寝るつもりが、起きたら次の日になっていた。どうして こんなに眠ることができるんだろうか。

・これからいろいろベンタム関係の勉強。大変。


・もうすぐ夜明け・

・ううむ。さらにベンタム。実哲研の合評会でもベンタムに関する論文の 論評をしなくてはならないのだ。

・そいえば、そろそろ年賀状を書いて出さないと。来週の頭にやるべし。


・む。夜明け。

アルビー(Albee)先生はベンタムのことを思いっき りこきおろしている。曰く、「倫理学をそれ自体として厳密に考えるなら、ベ ンタムの倫理学に対する貢献で重要なものはほとんどないと言える」(Albee, A History of English Utilitarianism, 1902, p. 190)。

・アルビー先生によると、ベンタムの善=快という考えはすでに先達がいる し(ゲイやタッカー--もちろんロックも)、功利主義の考え方もすでに登場して いた。これらの点においてベンタムは何も目新しいことをしていない。

・また、アルビー先生によるとベンタムの快楽計算は功利主義を駄目にす るものであって、改善するものではないらしい。

・けどさ、ベンタム以前の人って、ほんとに功利原理を唯一の正・不正の 基準にしてたのかなあ?直観的にはベンタムは倫理学プロパーに関しても革新 的なことをやったんじゃないかって気がしてるんだけど。これはただの身内び いきかなあ。

(ん?ベンタムはぼくの身内だったっけ?)

・「ベンタムとベンタム以前の功利主義の比較」は面白いテーマだけど、 相当大変な作業なわけで(しかも思想史的には意味があるが現代的意味はほと んどない)、やはり修論では、「(ベンタムが想定する限りでの)自然法思想と、 ベンタムの功利主義との比較」をやってベンタムの功利原理の倫理学的意義を 検討する、ってな内容で行くと思う。


・朝・

・下宿に戻って寝ます。


12/21/97(Sunday/dimanche/Sonntag)

・夜・

・おっ、復活が早い。今日の朝から夕方まで文学部新館が停電だったので、 昨夜からサーバが落ちてたのだが、もう復旧してくれたようだ。感謝。


オフミ

・昨日、某横浜の某氏とお昼に附属図書館で待ち合わせをして、ぼくの行 きつけの某喫茶店でお昼をごちそうになる。交通死、死刑廃止論、南京大虐殺 など、不吉な話を熱く語り合った。

・ところで、これでオフミなるものに計四回参加したわけだが、回を追う ごとに10人、5人、4人、2人と、順調に参加者数が減っていっている。どうや ら次回のオフミは1人で行なうことになりそうだ。


・オフミの後、高槻で塾の代講。臨時収入。 臨時収入で暮らす男。

・古本屋で買った本。小松左京、『夜の声』、集英社文庫、1978年、100円。

・塾が終わってから急いで研究室に戻って来たが、サーバがすでに落ちて いて落胆する。仕方がないので、今日の実哲研の合評会の準備を数時間かけて やる。死ぬほど眠たかったが、朝から停電になるので下宿に戻って寝てからや るわけにもいかず、眠い目をこすって終わらせた。

・明け方に寝て昼前に目を覚まし、一冊SFを読み終えてから、合評会に参加。 昼から夕方まであったのでかなり疲れた。

・その後、ついさっきまで研究室の忘年会。鍋。これまで口承文学として 語り継がれて来た倫理学研究室の歴史を一冊の書物にまとめる相談など。


・真夜中・

SF。疲れた。もう下宿に戻っ て寝る。


12/22/97(Monday/lundi/Montag)

・朝・

・コージブスキーのScience and Sanity(『科学と正気』)を少し 読む。なかなか面白い。倫理学者は言語学にも通じていなければならない、と 遅まきながら悟る。

・某実哲研の会計氏に編集代をいただく。一部を実哲研の会 費に充当する。


・哲閲で、Edited by A. John Simmons, etc., Punishment : a philosophy & public affairs reader, Princeton University Press , 1995, ethics/C/573 (Law/AIII/12-2/P45)を借りる。これから再び哲閲へ潜入。


・お昼・

・哲閲と附属図書館で調べもの。哲閲でついでに Philosophy and Public Affairs, Princeton University Press, vol. 14, 1985, ethics/I/32. も借りて来る。某氏が言った通り、倫理学研究室はこの雑誌の購 読を1989年に止めてしまっているようだ。法学部が継続して購読しているよう だから贅沢は言えないものの、政治哲学的なことに関心を持つ学生が少なから ずいるので、できれば購読を再開してもらいたいものである。


・昼下がり・

・死刑廃止論をまじめに勉強中。こういうのを書きはじめた。


・夕方・

・今週号のジャンプによると「マサルさん」がアニメ化するらしい。たし か一年前の夏頃に、「マサルさんは今年(1996年)中にアニメ化する。しなかっ たら5000円やる」と中三の生徒に約束して、しかし正月を過ぎてもアニメ化さ れなかった生徒が請求に来ると、「いや、賭事をするのは倫理的に良くない」 とかいって約束をうやむやにしてしまった記憶があるが、そうか、今ごろになっ てようやくアニメ化か。


・夜・

・夕方に非常な眠気に襲われたので、一度下宿に戻って仮眠(って言っても 爆睡してるが)。そいえば、明日にでも強力な目覚しを買わないといけない。 ここ一ヶ月ほど、ほとんど目覚しにお世話にならない生活をしている。


12/23/97(Tuesday/mardi/Dienstag)

・真夜中・

・ベンタム読書会の勉強。修論までにやるべきことを考えると、死刑廃止 論やビジネス・エシックスをやっている時間などないのではないか、という不 安に襲われる。ましてやSFを読むなど…。


途中の計算

・「途中の計算が間違ってたって、答えがあってればいいじゃん」と言う 人(主に小中高生)がいる。たしかに、功利主義者(帰結主義者)はある場合には これを認めなければならないと思う。結果がよければ、途中はどうだって良い 場合もありえると思う。(例えば、ある人を拷問して重要な秘密を聴き出すこ とができれば全世界の人間が助かる、というような場合)

・すると、死刑廃止はどうであろうか。「こだま君も死刑は廃止するべき だと思っているんでしょ?それだったら現在の死刑廃止論は筋が通ってないっ て思っても、向かうべき方向は同じなんだから批判せずに協力したらいいじゃ ん」という理屈を言う人がいるかもしれない。

・しかし、この理屈の難点は、--たしかにぼくは死刑はないに越したこと はなく、可能ならば廃止されるべきだとは思っているが--、死刑存廃論に関し ては答えが正しさが保証されていない、というところにある。

・たしかに、小中高生の算数・数学の問題集であれば、答えが載っている から、「途中の計算が間違ってても、答えがあってればいいじゃん」と言うこ とは可能である。しかし、答えが最初からわかっている問いなどはむしろ例外 と言えるのであって(したがって学校教育は主に例外的事例を教えている)、 「死刑は廃止すべきかどうか」については、あらかじめ用意された答えはどこ にもないのである。

・そうだとすると、われわれにとって答えの正しさを確信する唯一の方法 は、「途中の計算」を納得の行くまで検討する、ということになる。だから、 死刑廃止論に関しては「途中の計算が間違っててもいいじゃん」とは決して言 えないのである。

・というわけで、結論として、ぼくは、たとえ人権思想や死刑廃止論の向 かっている方向が正しいように見えても、その議論に誤りがあるように思える かぎりは、妥協せずに批判するつもりである。

(お、久しぶりに筋の通った議論をしたのではなかろうか!?)


・夜明け前・

ひたす らベンタム。理解してもらえないかも知れないが、ベンタムってほんっとに面 白いの。一度会って話したかったなあ。SFを何冊かおみやげに持ってってさ。


・と言いつつ、ビートルズのBack in the U.S.S.R.を練習したり する。これもまた楽しからずや。


・早朝・

・やっとベンタムの勉強ひとまず終わり。ああ、一晩中ベンタムだったなあ。

・トースト(2枚)とココア。


・う。今日は休日だったのか。哲閲で調べものをしようと思ってたのに…。 やられた。下宿に戻って寝る。


・昼下がり・

・よく寝た。さて、また死刑廃止論の勉強をするか。


・夜・

・さらに死刑廃止論。年賀状も書くべし。


・ヘーゲルが死亡した模様(ヘーゲル=某研究室のコンピュウタア)。怖くなっ てカントのバックアップを取る(カント=倫理学研究室のコンピュウタア)。バッ クアップ励行週間。


12/24/97(Wednesday/mercredi/Mittwoch)

・早朝・

・寝る時は外が暗く、起きたら外が明るかった。健全。(しかしやることは山積み)


・日記を読んでいると、ふと某氏が寝過ごして授業に遅刻する様子が眼前 にありありと浮かんだので、ひょっとするとこれは現実のことではないかと心 配し、電話をかけてみた。しかし、今日は昼過ぎから授業とのこと。安眠を妨 げてしまった。申し訳ない。この例からして、直感に頼ってはいけないことが よくわかる。


・朝・

・哲閲で本を借りる。(これで19冊+2冊ほど借りてる気がする)


SFを読もうと思った動機

・最近誰かに「どうして急にSFを読み出すようになったの?」と訊かれた気 がする(が、誰だか覚えていない。某横浜氏だったか?--そういえば、A先生に は「どうしてベンタムをやろうと思ったの?」という別の難問を問われた気が する)。

・そこで何日かの間、「う〜ん、なんでだったかなあ」と考えていたが、 昨夜大体思い出したので忘れないうちに書き留めておく。

・SFを読もうと思った最大の原因は科哲の空間論(ライヘンバッハ)の授業 だったと思う。あの授業に出て来るわけのわからない、というか想像しがたい 世界像(たとえば「空間の歪み」)を理解するためには、--SFにもいろいろある だろうが、とにかく--SF的な想像力が必要なのではないか(いやそうにちがい ない)、と思ったのだ。

・あと、サバイバル・ロッタリーの話とか、快楽マシンの話とか、倫理学 の議論に未来SF的な要素があることも気になっていた、という理由もあるかも しれない。また、筒井康隆の影響も挙げられる。それに、『ブレードランナー』 や、『未来世界ブラジル』、『ソラリス』、『2001年宇宙の旅』などのSF映画 を観ていたこともSFを本で読もうという動機になっているかもしれない。

・とにかく、人によっては邪道だと言うかも知れないが、「SFを読んで想 像力を身につけよう」「SFを読んで足腰を鍛えよう」「SFを読んで柔軟な発想 ができるようになろう」というのが、ぼくがSFを読もうと思った動機なのだ。 (SFを読もうと思った動機については、8月の古本まつりのページにも 少し書いてあった)

・ちなみに現在ではもう少し言葉が洗練されて、「ぼくがSFを読むのは知 的興奮したいからだ」という風に考えている。というわけで、知的興奮できる SFを知っている人はどんどん紹介していただきたい。


・う。いつのまにやらヒゲがすごい伸びてる。めんどくさいが後で下宿に 戻って剃るか。ヒゲ剃りで剃ってるせいか、この頃ヒゲの伸びるのが加速度的 に早くなっている。そのうち、朝起きて剃っても、自転車に乗って研究室に来 る間にどんどん伸びて、8階の研究室に着いた時にはすでに伊藤博文になって いる、なんてことになるんじゃなかろうか。ハゲが心配な人は、毎日頭をヒゲ 剃りで剃れば良いんじゃないかな?(あ、そいえば、アメリカで毛生え飲み薬が 正式に認可されたらしいですね)


・昼下がり・

・ある強い確信を持って二、三の古本屋に行ったが、その確信は満たされ なかったので、ルネで以下の本を買った。

・ついでに、古本屋で買った本。

石原藤夫、『SF相対論入門』、講談社ブルーバックス、1971年、100円

・これからロック読書会。


・夕方・

・ロック読書会終わり。途中で巨大な長机が二つ搬入される。この部屋に とても二つも置くことはできない、それぐらい巨大な長机(240*120)である。 いったいどうすれば良いのだろうか。


・夜・

・「秋の日はつるべ打ち」という慣用句があるが、あっという間に真っ暗。


Kotekatekokapateka?--本当にあった怖い 話

・読書会の後の某T嬢との会話。

こだま「そろそろ院試対策をしないといけませんねえ」

某T嬢「M1の人達が教授や助教授のボキャブラリーを探り出してください」

「そうですねえ。今年はやっぱり○○○なんかが怪しいかも知れませんね」

「××△とか」

「ああ、たしかに××△とか□○○は出そうですね。…あと、 kotekatekokapatekaとか」

「え?」

「いや、kotekatekokapatekaですよ。知りませんでし たっけ?」

「いえ、知りません」

「あれえ、前に某助教授と一緒にお好み焼き食べに行きませんでしたっけ? ほら、某助教授が言ってたじゃないですか。kotekatekokapateka って」

「え、何ですかそれ?」

「ほら、あのお好み焼きをひっくり返したり切ったりするのに使うものを どう呼ぶかについて論争があるって。kotekatekokapatekaっ て」

「あーっ。わかりました。なぁんだ、「コテか、テコか、パテか」ね。早 口でkotekatekokapatekaって言うから、インディアンの言 葉かなにかかと思った」

「ああ、たしかに。コテカテコカパテカコテ カテコカパテカコテカテコカパテカって。早口 言葉みたいですね」

コテカテコカパテカコテカテコカパテカ

コテカテコカパテカコテカテコカパテカ

(さあ、みなさんもご一緒にどうぞ)


・4回生の某君来訪。卒論の草稿をいただく。

・とりあえず年賀状の宛名を印刷。宛名を印刷するとはがきが丸く反って しまい、裏を印刷すると紙づまりを起こしそうなので、「明けましておめでと う」は手書きで書くことにする。

・郵政省には悪いが、Eメイルで済ませられる人には極力メイルで済ますつ もりなので、ぼくに年賀状を送ろうとしている奇特な方も、Eメイルで済まし てくれて一向に構わない。いや、むしろメイルでお願いしたい。頼むからメイ ルでくれっ。

・ここまで書いて思ったが、Eメイルで「済ます」という表現は良くないな。 いかにも年賀はがきが「正式」でEメイルが「略式」のように聞こえるから。-- というわけで、旧式で古風な「年賀はがき」でも構いませんが、最新で流行の 「年賀メイル」で送ってくれるともっとうれしいです。


・下宿に戻る。明日から冬期講習。寝坊しないように目覚しを買わねば。


12/25/97(Thursday/jeudi/Donnerstag)

・宵・

・え、昨日は何か特別な日だったんですか?

・昨日は内井先生のロールズについて書かれた論文を読んで、力尽きて寝 てしまった。というわけでまだ年賀状は手元にある。

・今日は極早朝に起きて、冬期講習のために高槻へ。今日が初日。5コマ(5 時間)。久しぶりなので喉が痛いし、慣れない社会(中3)を担当しているので予 習が大変だし、かなり疲れた。

・帰りに銀行に寄ると、ほとんど残高がないことがわかる。い、いつのま にっ。あ、いくらか臨時収入はあったけど、新幹線の切符 とか買ったんだった。ううむ。これではMDどころかCDラジカセも買えん。


・某君再訪。新しい草稿をもらう。今晩やることは、(1)年賀 状を書き、(2)草稿を読む(順不同)。


疑似ダイアローグ型論文

[最近色々と論文を読み(読まされ)、論文の書き方について少なからず考え させられるところがあったので、以下で思いついたことを少々述べておく。]

・哲学や倫理学の論文って、書く側が読む側に対して最後まで一方的に喋 り続けるわけだから、基本的にはモノローグ(独白)なんだろうけどさ、それで も疑似ステレオみたいに、疑似ダイアローグ(対話)になる ように書けば、ある程度面白くなるんじゃないだろうか。

・どういうことかというと、例えばプラトンの対話篇みたいな会話体の論 文を書くことは、現在の日本ではおそらく許されないだろうけど、ああいう感 じの議論の仕方の方が、(1)論点をより明確にすることができるし(たぶん)、 (2)モノローグ的な論文よりも読んでる方も入り込みやすい、という利点があ る。…あるでしょ?

・だから、プラトンの対話篇のダイアローグに似たことを、会話文を用い てではなく、地の文でやれば、面白く--しかも優れた?--論文ができるはずだ、 と主張したいわけです。いや、「そしたらおまえやってみろ」って言われると 困るんだけどさ。

・裏を返せば、ある種の論文がつまんないのは、それがあまりにモノロー グ的で、それはちょうど、プラトンの対 話篇でソクラテスが一人で延々と喋ってる部分がつまらないのと同じじゃない のかな。

・こう書くと、疑似ダイアローグっていうのはつまるところ読者を意識し て書け、ということじゃないのか、と突っ込まれそうですが、そうじゃなくて、 疑似ダイアローグは読者を意識する以上のことを言ってるの。だって、この段 落は疑似ダイアローグだけど、ぼくはこの文章を書かなくてもちゃんと(仮想 的)読者を意識して書いてたんだから。

・つまり、(仮想的)読者を意識するだけでなく、上の文のように(仮想的) 読者をちゃんと議論の中に引き込んで地の文に登場させることが疑似ダイアロー グなのです。(地の文、といっても、かならずしもカッコを用いてはいけない、 というわけではないですが)

・というわけで、「面白い論文を書くためには疑似ダイアローグにしろ」と いう主張をしたいと思います。どうかな。


12/26/97(Friday/vendredi/Freitag)

・真夜中・

・う〜む。こんな時間に起きて研究室に来ていいのだろうか。明日も早い と言うのに。もう徹夜するしかなかろう。

・ところで、ぼくはここで書くほどは勉強していない。言うまでもないが、 ここは全て、ぼくに接する人のぼくに対する心証を良くするためのフィクショ ンで満ち満ちている。そもそも、日記だからといって、人の書いていることを 真に受けてはいけないのである。すべてを疑ってかかるべし。

(…という発言は疑うべきでしょうか?)


ロールズに関するコメント

・なんか、気のせいかもしれないが、『正義論』を書いたロールズは正義 の人、功利主義者のベンタムは腹黒い人、という不当なイメージが世の中に蔓 延しているのではなかろうか。さらに、ロールジアン(ロールズ研究者)は正義 の人、ベンタマイトは腹黒い人、という不当なイメージもまことしやかに通用 しているのではなかろうか。みなさん、だまされてはいけませんっ。

・「マキシミン・ルール」って、ぼくの中ではなんとなく共産主義的なイ メージがあって、しばらくなぜなのかわからずに疑問に思っていた。それで昨 日とうとう気づいたんだけど、その原因は、単に「マキシミン」という音が 「ホーチミン」と似てただけなのであった…。わああっ、ごめんなさいっ。石 を投げないでっ。

・あ、ついでに言っておくと、マキシミン・ルールって いうのは、おおざっぱに言って、「複数の選択肢の内、その選択肢を選んだ場 合に生じうる最悪の結果が一番ましなものを選ぶ」という規則です。(maximin は、ミニマムminimumをマックスmaxにするという意味だろう)

・たとえば、ぼくが消防隊の隊長だとして、今、火事のビルに残った人々 を助ける作戦を遂行するに当たって二つの選択肢があるとする。まず、選択肢 1は、上手く行けばビルに残っている人々を全員助けられるかも知れないが、 下手をすれば、消防隊共々、全員が死亡してしまう可能性のある選択肢である。 次に、選択肢2は、上手く行ってもビルに残っている人全員を助けることはで きないが、最悪の場合でも数人は必ず助けることができ、全滅は避けられる、 という選択肢である。この場合、マキシミン・ルールに従えば、選択肢2を取 ることになる。(推測するに、軍隊の戦略か何かから生まれたルールだと思う)

・ロールズ先生によると、正義の原理を選ぶに当たっては、このマキシミ ン・ルールに従うことが最も合理的だそうだけど、内井先生はそれに異を唱え ている。詳しくは、内井惣七、「ロールズ--平等と公平な格差」(『正義論の 諸相』、寺崎峻輔・塚崎智・塩出彰編、法律文化社、1989年、290-307頁)を参 照して下さい。

・けど、この例で考えてみると、--ぼくが勝手に作った例なので正しいの かどうかわからないが--、内井先生が「マキシミン・ルールは安全策を最重要 視するという意味で、きわめて保守的な選択態度をあらわすのである」(上記、 300頁)と述べるのもわかる気がするなあ。だって、本当に選択肢1を取るのは 不合理なのかなあ?確かに冒険ではあると思うけど。しかし、冒険って不合理 なのか?


・ロールズわからん。こんな原理で問題解決に役立つんだろうか。例えば この正義の二原理によって死刑存廃問題に対してどう答えられるのだろう?


・夜明け前・

・ロールズ(に関する卒論の草稿)は長いので途中で切り上げ、ついでにロッ ク(に関する論文の草稿)も読み始める。うう。眠い。


・うそ〜っ。年賀状書いてたらもうこんな時間。もはや仮眠すらとれん。 ぬうう。やり場のない怒りが込み上げる。

・そういえば、昨日の中3社会の問題で、「イスラムの 成人女性が頭から被る服は何と言いますか?」というのがあった。

・答えは「チャドル」で、生徒の何人かが書いていた「サリー」は、ヒン ズー教徒の女性が腰に巻いた後に残りを肩にかける布の名称である。(って昨 日調べて知ったんだけど…)

・結局誰も正解しなかったんだけど、一人結構勉強できる女の子が変な答 えを書いていて、思わず笑ってしまった。うろ覚えで書いたんだろうから仕方 のない話だけど、それにしてもイスラム圏の人が聞いたらさぞかしびっくりす るだろうなあ。こんな答え


・つまんないこと書いてないでもう行こう。


・夜・

・塾

・ECというものがもはや存在していないことを初めて知る。…そうか。そ うだったのか。

(ソ連がないことはすでに知っていた)

・雨が降っていたので塾にあった傘を借用する。

・帰りに塾の側の某電気屋で目覚し時計を買う。MDウォーク マンやMDミニコンポを指をくわえつつ観察。むむむ。

・出町柳の古マンガ屋で買物。

・研究室に来ると「希望」の臭いがたち込めている。む。某氏か。

・寝てないせいで死にそうなので、とりあえず下宿に戻って銭湯に行って、 それからひたすら寝ることにする。


12/27/97(Saturday/samedi/Sonnabend)

・夜更け・

・ぐっすり眠って新しい目覚しに起こされる。むむ。もうこんな時間か。


・ふたたびロールズ。加藤先生の『20世紀の思想--マルクスからデリダへ』 (PHP新書、1997年)のロールズの節も読む。思想家の要点となる思想をこんな に短くまとめられるなんてすごい。


・わ〜ん、死刑廃止論が進まないよー。


12/28/97(Sunday/dimanche/Sonntag)

・真夜中・

・う。よく寝た。起きると右目のまぶたが腫れている。ものもらいかと思っ たが、どうやら寝方が悪かっただけのようだ。(ところで、「目ばちこ」って 標準的な日本語じゃないの?)


・昨日も塾中3社会は公民的分野に入る 。日本国家の仕組みを(ぼくが)学ぶ。中学生の公民の教科書は、大学生向 けの下手な教科書なんかよりよっぽどよくできている。

・なにがよくできているのか、と問い詰められると窮地に瀕するが、「情 報量が多いにも関わらず、コンパクトにまとまっている」「難しいことがわか りやすく書かれ、しかもおもしろく読める工夫がなされている」と答えておこ うか。この二点を十分に達成できている大学用の教科書は数少ない。

・まあ、中学では、大学に比べて、圧倒的に多くの学生が同じ教科書を使 うし、競争もはげしいだろうから、書く人も編集者もずいぶん気合いが入るの であろう。


・さて、その公民の教科書の中で面白かった記事があったのでコピーして 来た。(『中学社会・公民的分野』、日本書籍、1997年、42頁)

子どもが嫌う親の言動あれこれ

(ある公立中学校の調査から)


・塾が終わってから古本屋に立ち寄る。


・その後、下宿に戻って洗濯。洗濯機が活動している間に近くで夕ごはん を食べる。AERAなる雑誌を読む。むむ。やはり世の中の動きに付いて行ってい ない(新進党解散は知っていた)。これからは喫茶店で漫画以外にも新聞、週刊 誌を読むべし。

・洗濯物を乾燥機にかけて終えてから、真夜中までぐっすり寝る。


・夜明け前・

・今夜もLocke。どうすんだ、死刑廃止論…。


・夜明け・

・さて、そろそろ行かなきゃ。


・夜中・

・塾。GDP(国内総生産)という言葉を知る。

・塾が終わった後、高槻で少し買物。靴下を買う。古本も。


・それから三条でバンドの連中と飲み会。ゲーセンに寄っ たり、ボーリングをしたり。

・ボーリングでは大敗して、結構なお金を払った。散財。マキシミン・ルー ルを主張して賭けをしないべきだった。あるいは格差原理を主張してハンデを 付けてもらうとか。とにかく、あの実力差でハンデをもらえないのは平等であっ て平等でない。平等反対。


・みんなと別れてから研究室に来ると、某O君がいる。某氏 の論文の草稿に目を通していたようだ。お疲れ様。

・ところで、今日ぼくのホームページからメイルしてくれた方、内容が無 いようでしたが…。

(↑自己批判せよっ)

・さて、下宿に戻って寝よう。寝坊しなければ良いが…。


12/29/97(Monday/lundi/Montag)

・夕方・

・朝きちんと起きて塾。行きしなに黒猫 がテクテクと目の前を横切る。帰りしなに二度事故に遭いそうになったのと因 果関係があるのだろうか。

・今日から中3社会に代わって中3国語。芥川龍之介やら大岡信やら五木寛 之やら岩崎武雄やら永井均(!)やらの文章を読む。社会よりは気楽。

・ところで、こんな問題があったのだが、みなさんは答えがすぐわかるだ ろうか。


次の文章中の「……」の部分に省略されている言葉を書きなさい。〈新潟〉

・私が幼児預けられていた里親の家の裏庭に、いちじくが一本だけ生えていた。 脇を流れているどぶ川の上に身をのり出すようにして……。


・一応、少し考えてから答えを見て欲しいのだ が、生徒たちには少しわかりにくい(あるいは一見どうとでも答えられるよう に見える)問題だったらしい。(この部分だけ取り出した場合、いささか悪文で あるように思えるが)上の第二文は擬人法を用いた表現であり、その主語は 「いちじく」であるはずなのだが、多くの生徒は第二文の主語を「私」と考え てしまったのだろう。「いちじくをとった」などという愛らしい答えもあった が、中でも可笑しかったのは、これ。こいつの 発想はわけがわからん。


・塾が終わってからまっすぐ研究室へ。ウォークマンの音量を最大にして ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』を聴きながら阪急烏丸から大学 まで来る。特に「アイ・ガット・ザ・ブルーズ」は大きい音で聴くと鳥肌が立 つ。

・そして、ウォークマンで音楽を聴いていたこととはあまり関係ないと思 うのだが(全くなくはないだろうが)、二度事故に遭いそうになる。

・今夜はベンタムの勉強と死刑廃止論をやるべし。しかし、これからとり あえず夕ごはんを食べて寝る。おやすみ。


12/30/97(Tuesday/mardi/Dienstag)

・夜明け前・

・雨がざあざあと降っているので、ずっと寝てたが(悪夢も見た)、何もし ないのも一日がもったいなく思えたので、起きてコンビニで傘を買って研究室 に来る。これからベンタム。急がねば。


・う。もう塾に行かなくては。少し風邪気味。ごほごほ。


・夜・

・塾。死にそうな ので、ちょっと下宿に戻って寝る。


・夜中・

・家賃を払う。今月の電気代75円。鬼安。(←こういう言 葉があることを今日知った)

・下宿の大屋さんに(ぼくの家族用の)お土産を買っていただく。感謝。

・起きてから某先輩(1)と某先輩(2)と忘年会。 キムチ鍋など、たくさん食べる。某先輩(1)におごってもらう。感謝。


・某先輩(2)に付いて行って、ヘーゲル(教授室のDOS/V)の死亡を正式に確 認。某先輩(2)の診断によると、ハードディスクが物理的に動かなくなったそ うだ。

・そろそろ帰る。しばらく更新されないかも知れない。


Satoshi Kodama
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Last modified: Fri Jan 22 07:53:56 JST 1999