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こだまの世界

2004年6月中旬号

哲学の始めを見るがいい、 それは人間相互における矛盾の認識であり、 矛盾の出て来る根源の探求であり、 単に思われるということに対する非難と不信とであり、 また思われるということについて、 それが正しいかどうかの何か研究であり、 また例えば重量の場合に、秤を発見し、 曲直の場合に定規を発見するように何か基準を発見することだ。

---エピクテートス、『人生談議』

[ソクラテスは]「どうか(…)定義をしてくれ給え」、 などとはいわなかった、それから定義された時にも、 「君の定義はよくない。というのは定義が要点にぴったり合わないからだ」 とはいわなかった。 これ(定義)は学術的な用語だ、だから素人たち--彼らからわれわれは 離れることのできない関係にある--には厄介でわかり憎い。 (…)われわれはそれら学術的な用語によっては、 彼を動かすことは断じてできないのだ。

---エピクテートス、『人生談議』


主な話題


11/Jun/2004 (Friday/vendredi/Freitag)

夜中

今日も早起き。

昼下がりから、雨の降る中、某氏らと、 バスと地下鉄を使ってスミソニアン博物館へ。 (教訓: バスや電車に乗るためには、1ドル札と小銭をたくさん持っておくこと。 チップにも必要)

スミソニアン博物館というのはてっきり一つの博物館だと思っていたら、 実は博物館の集合体で、「博物館街」という感じ(英語もthe Smithsonian Museumsと複数形)。恐竜の化石とホープ・ダイアモンドがある 自然史博物館を堪能したあと、ナショナル・ギャラリーに行ってみたが、 すでに閉館していたので、あきらめて帰宅。 このころから雨足が強くなってきて、よく濡れた。

帰る途中、地下鉄の駅のそばで中華料理屋で食事。 一緒に観光したシンガポール人の男性(この人もコースに参加している)と仲良くなり、 宗教とか聖書とか「人生の意味」について語ったりする。 人生の意味についてある程度の確信が抱けている人を見ると、 「そんなに簡単じゃないだろ」と思うものの、うらやましくもある。 日本人のどれだけが自分の人生の意味を見つけているんだろうか。 But I still 〜 haven't found 〜 what I'm lookin for 〜.

帰宅してから、某氏らとビールを飲みながら少し相談。 エピクテートスでも読んで、もう寝よう。


12/Jun/2004 (Saturday/samedi/Sonnabend)

夕方

とにかく眠い。講義はどうしても少し寝てしまう。

グループ・ディスカッションでは、 ケアというのは善行の義務と同じではないのかという質問をすると、 ケアの倫理は原則主義とはパースペクティブ(というのか、 道徳的問題に対するアプローチというのか)が違う、という答えが返ってきた。 折衷主義的な四原則主義でも、ケアの倫理まではとりこめないのだろうか。

夜中

夕方から、フランス大使館(!)でバンケット。一応きれいな格好をしていく。 ワインと食事はそこそこ。会話を楽しんだ。が、受講者が100人以上いるので、 結局全員と知りあいになるどころか、 これまでに半分の人に自己紹介したかどうかも怪しい。 ちょっと人数が多すぎるのもなんだなあ、と思う。

帰宅後、某氏らとちょっと雑談。そろそろ寝よう。

真夜中

この寮の問題は、そばに公衆電話がないことだ。 10分ほど歩いたところにある建物まで行かないと、 電話ができない。普段は各部屋に電話がついているそうだが、 なぜ一つぐらい公衆電話を置かないのか。


13/Jun/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中

今日もなんとか早起き。

結局、こちらに滞在中、たまっていたガーディアン・ウィークリーも ほとんど読めなかったし、授業の準備もできなかったし、 某学会での発表の準備もできなかった。 やっぱり講義を受けて社交するだけでたいへんなんだよなあ。 睡眠を削る気がないかぎり、中途半端に副業をしようと思っても無駄なことを悟る。

授業の感想は、東北巡業というか、北京巡業というか、 素人の医療従事者向けにレベルをかなり下げてやっている感じ。 講義はパワーポイントを使わない人がほとんどで、 話やジョークはうまいが、アカデミックな環境であるためか、 あまり切迫感・現実感がない。 グループディスカッションも井戸端会議の域を出ていない。

まあ集中講義にそれほどレベルの高いものを求めてもしかたがないが、 うちのところはもうすこしうまくやれるよう努力したいと思う。

さて、出発前に荷物をまとめる必要があるが、とりあえず寝てからやるか。


14/Jun/2004 (Monday/lundi/Montag)

旅行日。時差のため、半日しかありませんでした。


15/Jun/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中

帰国。

あ、科研費の若手研究は不合格の通知が来ていた。つかん。 もっと真面目に書かないと通らないということか。 紀伊國屋のツケ、どうしよう…。


16/Jun/2004 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

よく寝て、早起き。

飛行機の機内で聴いていたMaroon 5の`Take that'のサビが頭の中でループしている。 CDを買えということか。

そういえば、先週の土曜日にDidoがDCに来ていたようだ。 早目にわかってたら見に行くべきだった。


17/Jun/2004 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

夜明け前

昨日は朝から大学。

かつて自分が引用したロールズの『正義論』の一節の該当個所が見当らず、 一時間以上探す。人生を無駄に使ってしまった。 当たりまえだが、引用は必ず明示的に典拠を残しておくこと。

昼下がり

お昼前に起きて、某海鮮丼屋で食事をしてから大学へ。


18/Jun/2004 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

昨日は、夕方に卒論指導に顔を出し、 ちょっと某ミーティングをしたあと、某講義の第一回。

ひさしぶりに授業をやり、緊張してうまくできず。 あとでみなに「緊張してましたね」と言われる。反省。

竪琴を弾いてうたう人も自分独りでうたうならば、 なるほど不安ではないけれども、舞台にあがると、 たとい彼は非常に声がよく、 そして見事にならしても、不安になるのだ。 なぜかというに、彼はただ見事にうたいたいばかりでなく、 拍手喝采もされたいからである、だがこれはもはや彼の権内にはないのだ。

エピクテートス、『人生談議』、上巻171頁

そのあと、みなで飲み屋へ。つかれていたので、 ビールを少し飲んだだけで酔っ払う。 解散後、さらに某氏らと大学の研究室で飲む。 (さすがに心配だったので、お茶を飲んだ) 1時ごろに解散して帰宅。眠い。

朝まで昏々と眠る。洗濯。

そういえば、昨日、リブレットの充電ができなくなり、使用不可能になった。 これも修理に持っていかねば。お金かかるだろうなあ。


19/Jun/2004 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

昨日は:

新聞を読んでから帰宅。

どうでもいいが、いやよくないが、 日本語で読めるまともな哲学事典や倫理学事典がないのは不幸なことだと思う。 なぜ三巻本とか五巻本とかで出さず、こぢんまりしたものばかりで済ませるのか。 出版社がたいへんなのはわかるが、研究者たちの共通理解を形成するために、 きちんとした事典を作るのは不可欠だと思うのだが。 日本の今の研究水準では網羅的なものは作れないというなら、 部分的には外国の事典の翻訳、部分的には日本の研究者が書き足せばよろしい。

お昼すぎ

昨夜はめずらしく寝付きが悪く、眠りに入るときに奇妙な夢を見た気がするが、 内容は忘れた。朝起きてから大学に行き、ジムでワークアウト。 はじめてレッグプレスをやると、これがたいへんで、疲労困憊する。 そのあと購買部で弁当を買い、食事。

これから三田で某研究会。遅刻だ。

夕暮れ

30分ほど遅刻して、三田の某研究会に参加。 人権のうさんくささについて。 終わってから某氏と銀だこで軽く食事をして大学に戻ってくる。

眠い。

真夜中

夜中まで大学でうだうだして、帰宅。 パンなどを適当に食べる。


20/Jun/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

昼下がり

昨日も寝つきが悪く、しかもお昼すぎまで起きられず。 どうもクーラーが悪さをしているようだ。

とりあえず学校に行って勉強するか。

夕方

研究室。クーラーの効きが悪いのか、とにかく暑い。かなわん。

アマゾンからCDが届く。

すべてANAの機内で小林克也の『ベストヒットUSAなんとか』でかかっていた曲。 おそるべし、小林克也。

公衆衛生の倫理的問題について勉強中。

暑い熱い厚い篤い。ぜったいに研究室のクーラーは故障している。 明日修理を頼もう。

くそ、この部屋30度近くあるじゃないか。どうにかしてくれ。

夜中

まだ勉強中。Encyclopedia of Bioethics、ほんとに役に立つ。 読むたびに蒙を啓かれる。とりあえず今年中にすべての項目に目を通したい(無理か)。

真夜中

まだ勉強中。部屋はちょっと涼しくなったが、まだ暑い。

思うに、人間は、自分の置かれている状況を他の存在者にも当てはまるものと 考える傾向(投影化)と、 事物を実体化して考える傾向(実体化)がある。 神なんかはどちらにもあてはまり、その他に前者ではアニミズム、 後者では道徳的権利など。

真夜中2

どうでもいいが、「ヴォキャビュラリー」という表記は、なんだかすごいな。

読んだ記憶のない本に、自分で線を引いたあとを見つけるのはショックだ。


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sat Jul 3 17:50:50 JST 2004