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こだまの世界

2004年6月上旬号

筆者の印象では、残念なことに日本では、医療従事者と福祉従事者の仲が あまり良くない。お互いが他の分野に関心を持たずに、またお互いが率直な意見を 交換することなく、それぞれがそれぞれの仕事を行っている。 これは実際の仕事の場でもそうであるし、研究者同士のあいだでもそうである。
たとえば筆者はいくつかの機会に、福祉研究者が、どれほど医学雑誌を読んでいるか、 また医療関係者がどれほど福祉関係の専門誌を読んでいるか 聞き取りをしたことがある。驚くべきことに、 ほとんどの人々が、専門雑誌の名前さえ知らなかった。

---西村周三、『医療と福祉の経済システム』

[日本では]治療方法の決定は、医者に任される (……。日本の患者が診察室で好んで使う表現は、 「先生、お任せします」である)。(中略)
つまり、理想とされる患者の態度は、寿司屋に入ったなじみの客がするように、 それがなんであるか、いくらかかるか、といった野暮なことは尋ねず、 その日のおすすめを大将に任せる姿なのである。

---ロバート・B・レフラー、『日本の医療と法』


主な話題


01/Jun/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

小雨。某氏らと蕎麦を食べてから帰宅。 つかれていたからか、ちょっと飲んだだけで酔う。 今日はもう寝て、明日早起きしよう。

昼下がり

朝、また寝坊して勉強会に5分遅刻する。前回も同じことをやったので、 反省していないと反省。しかも、今回は自分が発表者だったから猛反省。

発表は「患者のためになる」とはどういうことかについて。 患者の利益とか、健康というのが、 考えてみれば捉えどころのない概念だという話。 それに続く某氏の発表は、ロールズの反照的均衡について。 いろいろ勉強になった。

これからまた発表。まだ準備が…。

真夜中

昼下がりからミーティング。ケアの倫理と医療資源の配分。 資源の配分についても、まだまだ勉強しないといけない。

夜、某氏や学生らと飲み会。よく食べ、よく笑う。

明日からしばらく日記が更新されないかもしれないが、ご心配なきよう。


02/Jun/2004 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

昨晩は眠くて荷物を詰められなかったので、3時間ほど寝たあと、 早朝に急いで荷作りをした。しかし、おそらく何か忘れているだろう。 今回は持っていく本をなるべく少なくした。どうせ読まないだろうから。

急いでタクシーをつかまえて、京成上野駅から特急で成田へ。 空港に来て、ようやく旅に出る気分になる。 最近は直前まで旅の仕度をしないせいか、なんかこう、 出発前の気分の盛り上がりのようなものがない。 慣れとは恐ろしいものだ。

新聞を止めるのを忘れていたので、空港から電話。 なんかまだやり忘れている気がするが、まあなんとかなるか。 眠いから飛行機の座席に着いたら寝よう。

免税店で何か買おうかと思ったが、買わず。 考えてみると、化粧品を買うわけでもなし、宝石を買うわけでもなし、 酒やタバコを買うわけでもなし、 となると、あんまり免税店とは縁がないんだよなあ。

夕方

というわけで、ニューヨークへ。 機内では映画を観るつもりだったが、 個人用のシステムがダウンしているとかなんとかで、 結局メグライアンの『アゲインスト・ザ・ロープス』という映画しか観れず。 まあおもしろいが、展開が単純で、印象に残りそうにない。 実話に基いた話で言えば、『エリン・ブロコヴィッチ』の方がおもしろかった。

機内では、本を読もうかと思ったが、 隣に座っていた東洋人のおばあさんとその孫娘の世話をしていると、 本を読むこともまともに寝ることもできなかった。 おばあさんは「さいばば」がどうとか言っており、 日本語の宗教新聞を終始読んでおり、退屈な孫娘は人が本を読んでいると 邪魔をしてくるので、一緒にアニメを見たりして寝かしつけたり (というか、先に自分が寝たり)…。

成田をお昼前に出て、JFKに着いたのもお昼前。 入国審査のところでひさしぶりに英語を話すことになり、 しどろもどろしてしまったが、なんとか無事に入国し、 AirTrainとかいうモノレールでHoward Beachに行き、 そこから地下鉄に乗ってマンハッタンへ。途中、 二度ほど乗り間違えをしてしまったが、 なんとか無事に姉の家に辿りついた。

お昼はサブウェイ(チップを払うのを忘れた)。 たまたま母親もNYに来ているので、 昼下がりに一緒に散歩し、 そのあと一人で古本屋やバーンズアンドノーブルに行ったりして、 哲学関係の本を物色する。 古本屋でちょっと買物。 ハクスリーの『知覚の扉』を見かけたが、 一度どうしようか躊躇してしまい、結局買わなかったので後悔する。 今度見たら買うことにしよう。Come on baby, light my fire...

台湾喫茶店でパールティーを飲んでから帰宅。 この店では勘定のときに「チップを払ってください」 と婉曲的に言われたので、思い出したように払う。 しばらくチップ文化から離れていると、やり方を忘れてしまう。 そもそも、小銭の種類を覚えないと。 なんでダイムってこんなにちっちゃいんだろう。日本だと、 10円玉が1円玉より小さい感じで、ひどく不合理に思える。 まあ、50円玉は10円玉や5円玉より小さいわけだが。

それはともかく、 機内でほとんど寝なかったせいか、眠い。時差がほぼ半日分あるので、 今日だけ一日36時間ある感じだ。以前、一日24時間では足りないと書いた 気がするが、36時間もあるのも困りものだな。早く寝たい。

あ、そういえば、デジカメの電池の蓋の部分が壊れていることに気付いた。 修理しないと、指で押さえておかないかぎり電池が飛び出してしまうので、 使いものにならない。こまった。


03/Jun/2004 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

お昼すぎ

昨晩は夜中までインフォームド・コンセントの勉強をしたあと、 某氏の住まいにタクシーで行き、 某氏と一緒に近くの中華料理屋で食事をしてから某氏宅に泊めてもらう。 思っていた以上に豪邸で驚く。汚ない格好をしていると、入口の守衛に 蹴り出されてしまいそうだが、某氏によると、守衛の人たちは一度見た顔は 忘れないそうだ。

朝起きて、某氏は仕事に行ったので、スパイウェアに毒された某氏のコンピュータの 修復作業をする。スパイウェアについては初めて詳しく調べたが、 かなり恐ろしいものであることがわかる。 帰国したら自分のコンピュータも調べてみよう。 参考までに、スパイウェア駆除には、Spybot, Ad-Awareなどを使ってみた。 詳しくはアダルトサイト被害対策の部屋を見よ。このサイトには大変お世話になった。感謝。

さて、遊んでないで勉強しなければ。

昼下がり

間違って消した重要なドライバなどもようやく修復 (教訓: Googleなどでちゃんと調べてから削除すること)。 もういじるのはやめよう。結局半日かかったな。

昼下がり2

畜産物や農産物のトレーサビリティって、すごいなあ。 大量生産で一度は生産者が匿名化(ないし「顔が見えない」)したのに、 インターネットなどのハイテクも手伝って、 ふたたび生産者と消費者の距離が短くなったと言えるだろうか。 一般化のしすぎか。

夕方

そろそろ夜の7時だが、まだ太陽は高くにある。 夏は日が長いんだな。西日が部屋に入ってきてまぶしい。

昼下がりにバスで姉の家に行き、しばらく母と散歩。 えんえんと歩いたあと、 昨日も行った台湾喫茶店で簡単に食事し、 地下鉄で戻ってくる。

さて、少しは勉強しなければ。

夜中

夜、某氏と一緒にタクシーで9丁目に行き、寿司を食べる。 が、あまり新鮮ではなかったので食べてから気分が悪くなる (よせばいいのに生牡蠣まで食べてしまうし。当たらなければいいが)。 帰りにまた台湾喫茶店でパールティーをテイクアウトで買ってから、 タクシーで帰宅。まだ気分が悪い。


04/Jun/2004 (Friday/vendredi/Freitag)

昨晩は洗濯をしてから就寝。涼しいせいか、よく寝られる。

ジョージタウン大学のバンケットでは、やはりある程度正装する必要があるとのこと。 荷物が多くなるからスーツを持ってこなかったので、 週末に簡単にジャケットとネクタイを揃えよう。

お昼

なんとなくお昼まで過ごしてしまう。勉強せねば。

夕方

お昼すぎに部屋を出て、てくてくと歩いてバーンズアンドノーブルへ。 途中、タコベルで昼食を買い、マディソンスクウェアパークで食事。

バーンズアンドノーブルでは、先日は哲学のセクションを物色したので、 今回は法学と医学のセクションを物色する。 大半はメモで済ましたが、少しだけ本を買ってしまう。

それから、スーパーで買物をして帰宅。行きにドラッグストアで瞬間接着剤を 買ったが、この`Instant Krazy Glue'というのは、Made in Japanと書いてあり、 Toagosei(東亞合成)とも書いてあるから、アロンアルファと同じもののようだ。 帰宅してさっそくデジカメの蓋の部分を修理してみる。 とりあえずくっついたので、なんとか帰国まではこれで持つといいが。

ふくらはぎの筋肉痛がひどい。昨日ちょっと鍛えてみたのだが、やりすぎたようだ。

真夜中

夜、某氏と一緒に適当に夕食を食べ、辺りをすこし散歩してから帰宅。 眠い。


05/Jun/2004 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼前

よく寝た。お昼はちょっとパスタを作ってみる予定。

お昼すぎ

パスタとサラダ。そこそこ。

ロバート・B・レフラーの『日本の医療と法』、おもしろいなあ。 キャンベルと池上の『日本の医療』もおもしろいし、 やはり外国人が書いた方が日本の医療の特徴がわかりやすいからだろうか。 あるいは一般的に日本人には文章の才能がないのか。 いや、特別に優秀な外国人が書いているということか。 いやいや、あるいは、『武士道』もそうだが、 外国人向けに日本の紹介をするとわかりやすくなるということか。 ということは、入門書は一般に、文化を異にする外国人に対して書くつもりで 書くとよいことになろう。

真夜中

昼下がり、メイシーズに行き、 4時間近くかけてブレザーとズボンその他を購入する。 たいへん。 それから、その近くの映画館で 『ハリーポッター3』を観る。 初日なので満員で、子供たちにも受けていたが、 内容はちょっと複雑で、今ひとつ盛り上がりに欠けていた気がする。 でもまあ映像はきれいだし、そこそこ楽しめた。

それから歩いて住まいに戻り、近くの海鮮料理屋で食べてから帰宅。


06/Jun/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

起きる。雨。

朝、雨の中、歩いてメイシーズへ。昨日の買物のレシートと パスポートを持ってVisitors Centerに行くと、 若干お金を返してもらえると、昨日セールスクラークから聞いた気がしたのだが、 実際に行ってみると、今後の買物が11%安くなるクーポンとメイシーズの 名前の入ったリュックしかもらえなかった。まあいいけど。

昼、姉夫婦たちと9丁目で蕎麦を食べる。なかなか本格的。 台湾喫茶に行ったあと、某氏の家でナチョスを食べ、 それから地下鉄に乗って自然史博物館に行ってみるが、 時間切れで入館できず。仕方ないのでダコタハウスを通りの向こうから眺め、 セントラルパーク内のストロベリーフィールズでしばしアコギでビートルズの曲を 歌う外人の歌を聞きながら休憩。

それからまた地下鉄に乗ってミッドタウンに戻り、 シネコンで『シュレック2』を観る。 あまり期待していなかったのだが、これが前作を超えるぐらいおもしろく、 かなり笑えた。とくに、ピノキオのパロディが笑えた。 最後の盛り上がりが今ひとつだったが、よく出来ていた。

映画を見たあと、ギリシア料理の宅配屋で適当に食事を買ってから帰宅し、 晩ごはん。つかれた。


07/Jun/2004 (Monday/lundi/Montag)

お昼前

早起きして某氏の家を出て、グランドセントラルからバスに乗ってラガーディアへ。 メモ: バスは10ドルで、 マディソン通りと42丁目がぶつかるところにバスが来るので(到着もここ)、 そばのビルの中の自販機で切符を買って乗車できる。

空港には出発の2時間以上前に着いてしまった。 国内便は1時間前に来れば大丈夫のようだが。 前回に比べると、 今回はあまりセキュリティがタイトではなかったようだが、 どうしてだろうか。

そういえば、レーガンが死んだのは他人事だと思っていたが、 よく考えたら水曜日あたりからDCの方で国葬をやるんだった。 写真でも撮れるかな。

さらにそういえば、 アロンアルファでくっつけた電池の蓋が再び壊れてしまった。 今回は破片もどこかに行ってしまったので、 手で押さえてるしかないようだ。まいった。

それにしてもニューヨークはあっというまだったな。 もうすこし計画的に観光でもすればよかった。


08/Jun/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

よく寝てしまう。部屋が寒い。

昨日は、30分遅れでワシントンDC行きの飛行機が出発。 30人乗りのプロペラ機だったが、あまり揺れないので機内ではよく寝る。 1時間ほどで到着。Dulles空港からスーパーシャトルとかいうシャトルバス に乗り、小一時間でジョージタウン大学へ。

宿泊予定の学生寮のロビーに行くと、 まだチェックインの時間ではないというので、 大学の生協に行って洗濯用の洗剤を買う。 小さいのがなかったので、大きなものを買ってしまう。 う〜ん。

それから先に到着していた某氏らに会い、 夕方、一緒に食事に行く。 そのあと、ちょっとポトマック川沿いを散歩したあと (帰り道ではホタルが見えた)、 寮に戻ってビールを飲みながら少し話をし、各自部屋に退散。 夜中、某氏とちょっと国際電話をかけに行く。 こちらから日本に電話するときは、011-81-のようにするようだ。 それからしばらく新聞を読んでから就寝。

今日は昼下がりまで予定が入っていないので、 図書館にでも行って勉強するか。

真夜中

お昼すぎ、洗濯をしようと洗濯室を探すが、 この建物にはないと言われるので、 コインランドリーを求めて町に出る。 が、ニューヨークと違い、行けども行けどもコインランドリーは見つからず、 とうとうあきらめて、サブウェイでお昼を買って戻ってくる。

昼下がりに大きな問題が発生し、終日それに追われる。 いろいろな方のヘルプもあり、 夕方までにはなんとか解決し、 夕方の歓迎パーティに参加する。 フィリピンや台湾の方と知り合いになる。

夜、シャワー室で少し洗濯。先日洗剤のつもりで買ったものが、 ソフナー(柔軟剤)であることが判明。意味ないがな。


09/Jun/2004 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

夕方

あ、自分のコンピュータからネットにつながった。 ジョージタウンはDHCP接続ができるようだ。ありがたい。

これからまた授業なので、またあとで。

今日は早朝に起きて某見送りを済ませたあと、 もうしばらく寝てから起き、朝食をみなと食べて授業へ。

…と、長い一日だった。グループディスカッションには、 テーマもあまり得意なものではないため、貢献度が低かったが、 甘えたことを言ってないで明日はもうすこしがんばろう。

部屋に戻ってきてネットにつなげることを確認。 FTP接続ができないので、もうちょっと調べてみる必要がある。


10/Jun/2004 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中

ビールを夜に2本飲んだせいか、眠い。

そういえば、昨日の夕食にレストランでサンドイッチを食べていると、 「ガリッ」としたものを噛んだので、口の中を調べてみると、 全長1センチの細い針金が出てきた。

文句を言おうと思ったが金を払うころまでにはすっかり忘れていたが、 昨日の夜中ぐらいから少し針金を噛んだ右上の奥歯が痛くなってきたので、 帰国したらちょっと歯医者に行ってチェックしてもらう必要がありそうだ。 針金はめったにないが、アサリとか食べてるとときどき同じようなことがあるので、 物を噛むときにはくれぐれも注意しなければならない。

それはともかく、今朝もなんとか7時過ぎに起き、 朝食を食べてから授業へ。

ビーチャムが善行と無危害が自律に負けず劣らず重要だということを主張して いたのが印象深かった。 ヴィーチの講義についてのスモールグループディスカッションでは、 話がどんどん脱線していていたので発言を控えていたところ、 最後に当てられたのでいろいろしゃべってみた。 しかし、当てられるまで発言しない、というのはよくないので、 どんなトピックでも積極的に口を挟めるように努力しなければならない (学生もそのように育てなければならない--が、まず隗より始めよ、だ)。

授業が終わったあと、 図書館でしばらく過ごし、 --どうでもいいが、図書館はやはり入り口が簡単に入れるようになっていた方が、 気軽に出入りできてよい。いちいち階段を上ったり、カードを使うのは面倒なので、 なるべく敷居を低くする必要がある-- それから台湾から来た某氏や日本から来た某氏らもまじえて、 ポトマック川沿いのオープンカフェで食事。 しばらく散歩したあと、寮に戻ってきて某氏らとしばらく相談。

さて、ようやく寝られる。毎日たいへんだ。

ところで、最近気がついたが、一部のメールアドレスにメールしても、 はじかれてしまうようだ。ひょっとすると、オレのメールアドレスは こないだからウイルスメールの差出人としてよく使われているようなので、 ブラックリストに登録されているのかもしれない。よくしらないが。

あれ、やっぱり科研費の若手研究はダメだったんだろうか。 連絡がないんだけど、もう結果出てるのかな。情報求む。 ダメな場合は、紀伊國屋へのツケをどうするか考えなければ。

真夜中2

シャワー。

レイ・チャールズも逝ったそうだ。享年73才。合掌。 帰国したら`I can't stop loving you'でも聞くか。


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jun 6 15:44:13 JST 2008